久しぶり！
霊能者なおこの事件ファイル
今回は、21年前のお話です
霊能者なおこの事件ファイル9
～引っ張る手①～
その日私は、難波駅で
友達の恵子と
待ち合わせをしていました
自分の乗ってきた近鉄電車から
待ち合わせしている南海電車の方に
歩きながら、
思わず
「人多いなぁ～！」
と溜息をつきました。
それもそのはず、その日は
夏休みに入って初めての土曜日
駅周辺は沢山の人で溢れていて
前から来た人とすれ違いざまに
体が触れてしまうほどでした
私は専門学校を卒業して４年
毎日、鍼灸師として忙しく働いていたので
「学生さんは、土日は出かけないでほしいな」
なんてことを、先輩顔で思ったりしていました
今日は、私の彼氏と
彼氏の友達の森君
友達の恵子の４人で
先輩夫婦のお家に遊びに行くのです
先輩に「地元で夏祭りがあるから
みんなで遊びにおいで！」と
誘ってもらったのと
パートナーの居ない
森君と恵子を
引き合わせたかったのも
目的の１つでした
前に私が、
自分で浴衣を着た話をしていた時
先輩の奥さんに
「前は自分で着ていたのに、
すっかり忘れてしまったから、
着方を教えてほしいわぁ」
と言われていたのもあり
それぞれ浴衣を持って集まって
みんなで教え合いながら
着てみようという事になり
浴衣の用意をしてきました
すごい人なので、
私は浴衣の入った紙袋を
人に当たらないように体の前に抱え直し、
人の流れに逆らわない様に歩きました
待ち合わせ場所まであと少し
高島屋を過ぎた階段のところで
突然
後ろから服の裾を
グイっと引かれました
「えっ？」
と、思わず立ち止まり振り返ると
真後ろには誰も居ず
後方から来た人が
怪訝そうに私を見ながら
追い越して行きます
どこかに服を引っ掛けたのかな？
と思って見回しましたが、
服が引っかかりそうな場所も見当たらず
何だったんだろう・・・
と不思議に思いながら
私は、再び歩き出しました
１つ気になったことと言えば
引っ張られて振り向いた時に
私が中学の時に亡くなった
祖父の匂いがしたこと
でもそれは、
今紙袋に抱えている浴衣を
和ダンスから出す時にも感じたことで
きっとあの和ダンスや
中の着物には、
祖父の家の匂いが
染み付いていて
それでなのだろうと
納得しました
そう
この時は
そう思っていたのです…
続く
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