久しぶりの霊能者なおこシリーズウインク

 
 
 
 
 
森山さんに頼まれて押入れを開けると、
 
布団や収納ボックス、枕などが
 
整頓されてぎっしり入っていましたが
 
その中で、ポツンと
 
おたふく人形が
 
座ってこちらを見ていました
 
???おたふく???
 
 
箱に入って収納されているわけでもなく
 
押入れの中に正面を向いて
 
おたふく人形が座っていました
 
 
 
 
 
 
 
なんか変だよね???
 
どういう状況で、こんな風に
 
押し入れに置いてるんかな?
 
 
 
 
 
 
 
「森山さん、このお人形は・・・?」
 
 
 
 
 
 
と聞きかけた時、先に森山さんが言いました
 
 
 
 
 
 
「その、おたふくさんは、
      私のお母さん」
 
 
 
 
 
え?お母さん?
 
どういうことなんやろう・・・
 
と思いつつ、
 
「そちらへ、お持ちしましょうか?」
 
と伺うと、森山さんが嬉しそうにされたので
 
私はおたふくさんを抱っこして、
 
ベッドの側まで行きました
 
 
 
 
 
 
 
森山さんは、不自由な手で、
 
愛おしそうに、おたふく人形の髪をなでました
 
 
 
 
 
このおたふく人形がお母さん・・・
 
よく分からないけれど、
 
目を細めて人形の髪をなでている
 
森山さんを見て、私は言ってみました
 
 
 
 
 
 
「このお人形、押し入れやなくて
 
目につくところに置かれたらどうでしょう?」
 
 
 
 
 
すると、森山さんのお顔から
 
嬉しそうな表情は消え
 
 
 
「先生、おおきに。
 
また押し入れに戻しといてください」
 
とお答えになりました
 
 
 
 
どうして?
 
と思ったけれど、そこまで聞くのは
 
立ち入り過ぎかと思い
 
「はい」と返事をして
 
元の位置に戻しました
 
 
 
 
押し入れを閉める時に
 
おたふく人形が暗い中
 
独りぼっちになるのが
 
かわいそうだなと思いましたが
 
その日はそのまま後片付けをして
 
失礼しますと帰りました
 
 
 
 
 
 
 
 
次の週も、鍼灸の施術が終わると
 
「先生、押入れ開けて」
 
と言われました
 
 
 
 
私は、
 
はい、はい!待ってましたよ!
 
とばかりに押入れに行き、
 
おたふく人形を抱いて
 
森山さんの側までお連れしました
 
 
 
 
先週聞けなかったことが、
 
やっぱり気になって聞いてみました
 
 
 
 
 
「森山さんのお母様って、
 
おたふくさんに似ておられたんですか?」
 
 
 
 
 
 
返事はなく、長い沈黙になりました
 
 
 
 
聞いてはいけなかったのかも
 
どうしよう・・・と思っていると、
 
森山さんが静かに口を開きました
 
 
 
 
「小っちゃい写真しか残ってへんけど
 
私のお母さんは
 
おたふくさんよりずっとずっときれい。
 
お母さんは、私を産むために死んでしもた」
 
 
 
 
そう言いながら、森山さんはおたふくさんを
 
ゆっくりなでていました
 
 
 
 
知らなかったとはいえ、気づかずに
 
聞いてしまったことを謝ろうとして
 
「すみませんでした」と言いかけた私を遮り
 
森山さんは言いました
 
 
  
 
「先生、私な、お母さんの話したかってん。
 
お父さんがのうなって、
 
姉さんたちものうなって
 
もうずうっと、誰ともお母さんの話してへん。
 
聞いてくれる人出来て、嬉しわぁ」
 
 
 
 
 
この時も、私と森山さんの間には
 
2人で温かいものを分け合ったような
 
なんとも言えない空気が漂いました
 
 
 
 
その感覚が胸にじんわり滲みて
 
広がっていくのを味わっていると
 
ふと後ろに視線を感じました
 
 
 
 
視線を感じた方に目を向けると、
 
あの看護師さんの霊が
 
こちらをじっと見ていました
 
 
 
 
確実に今、眼と眼が合っている!
 
と思った瞬間に、霊の姿はサッと消え
 
玄関が開く音がして
 
お嫁さんが帰ってきました
 
 
 
 
 お嫁さんに見られたら、なんだか
 
今の状況は、怒れそう滝汗
 
という予感はしたのですが
 
 
 
 
案の定、部屋に入って来られたお嫁さんは
 
おたふく人形を見て、顔色を変えました
 
 
 
 
「おばあちゃん!
 
   また、その気味の悪い人形!」
 
 
 
と、まず森山さんに言い
 
くるっとこちらを向いて
 
 
 
「先生!おばあちゃんが言うこと
 
 なんでも聞かんといてください!
 
  もう人形出さんといてくださいね!」
 
 
 
 と私にも釘を刺しました滝汗
 
 
 
空気は一変
 
森山さんも、目を閉じて
 
黙ってしまいました
 
 
 
 
 
このお嫁さん、〝怖い〟
 
って感じでは無いのですが
 
逆らうと〝ややこしそう〟なので
 
私はさささーっと後片付けをして
 
ありがとうございましたー!
 
と、帰りました
 
 
 
 
 
この日、分かったことは
 
森山さんも、おたふく人形を
 
近くに置きたいけれど
 
お嫁さんの手前、仕方なく
 
押入れにしまっているということ
 
 
 
 
おたふく人形は、森山さんの
 
亡くなったお母さんの形見?
 
 
 
そして、あの看護師さんの霊は・・・
 
 
 
 
・・・続きはこちら
 
 
 
 

 

 

 

 

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