霊能者のブログをまた書いて欲しい!

 
と、ご要望をいただき
 
久しぶりの霊能者なおこシリーズウインク
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私が23歳の夏、鍼灸の出張治療で
 
色々なお宅に伺っていた時のこと
 
 
 
豪邸が立ち並ぶ静かな住宅街の一軒
 
寝たきりのおばあちゃんに
 
鍼灸をしてほしいと依頼を受けました
 
 
 
80代のおばあちゃん
 
お名前は森山さん(仮名)
 
数年前に、くも膜下出血で倒れ
 
受け答えはできるものの
 
自力で立ち歩くことは出来ず
 
オムツをしていました
 
 
 
 
お家に伺うと玄関に出て来てくれたのは
 
お電話で私を呼んで下さった、
 
この家のお嫁さん
 
年齢は50代後半?だと思う
 
初回の訪問で、お嫁さんは
 
この80代の姑の事が
 
好きではないのねと感じました
 
 
 
 
 
「年寄りは臭いし汚い」と
 
ご本人の前でも言うので
 
私はそれを言わせたくなくて、
 
お嫁さんが話し始めると
 
あらかじめ仕入れていた
 
週間天気予報の情報を、
 
事細かく長々と
 
説明することにしていました
 
 
 
 
 
お嫁さんは、私が天気の話をし始めると
 
つまらなそうに、「じゃあお願いね」と
 
お買い物に出かけて行かれます
 
 
 
 
 
お嫁さんが居なくなると、私は
 
解放された気持ちになり
 
さぁ、森山さん。着替えましょ。
 
と、森山さんのオムツを替えます
 
 
 
 
 
いつから取り替えていないのか?
 
ずっしりと重たくなったオムツの重み分
 
いつもなんだか切なくなり、
 
あまり返事が返ってこないのに
 
私はたくさん、たくさん  
 
森山さんに話しかけました
 
 
 
 
 
 
森山さんは、いつも
 
それをじっと聞いているだけで
 
返事も微笑みもしないのですが
 
オムツを替えた後、
 
申し訳無さそうに私を見る眼や
 
帰ると言うと、
 
肩を落とした様に感じる仕草に
 
きっと私を気に入ってくれているのだ
 
と感じていました
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
もう一つ、このお家の中で
 
いつも感じている事がありました
 
 
それは、コックさんの様な帽子を被った
 
女性看護師さんの霊がいた事です
 
 
 
 
どこの誰かは分からないけれど
 
少し離れた所から、じっと
 
こちらを見ている気配があり
 
不思議と怖い感じはしませんでした
 
 
 
 
そして、面白いことに
 
この霊が現れると
 
お嫁さんが鼻をムズムズさせて
 
「やだ、なんか消毒臭いわね」
 
と、言うのです
 
お嫁さんは、見えてはいないけれど
 
嗅覚では感じる人なんだなぁ
 
霊感も色々あるのねと、
 
興味深かったのを覚えています
 
 
 
 
 
 
ある日、こちらの都合で
 
毎週同じ曜日に決まっていた
 
森山さんの施術日を
 
変更していただきました
 
 
 
 
お家に伺うと、お嫁さんがいつもより
 
バタバタしていて
 
私の施術の後に、主治医の先生が
 
往診に来る日なのだと言いました
 
 
 
 
私はいつもより手早く施術を済ませ
 
森山さんに、では帰りますと
 
声をかけました
 
すると、森山さんは
 
小さな声で「くち・・・」と言うのです
 
なぁに?と耳を寄せると
 
「くちべに」と聞こえました。
 
 
 
 
最初は、口紅がどうしたのかと
 
さっぱり分からなかったのですが、
 
どうやら、主治医の先生が来る前に
 
口紅を塗りたいようでした
 
 
 
 
私は、へぇ!!
 
男の先生だから、おしゃれしたいんだ!
 
すてき!!と、嬉しくなり
 
じゃあ私が塗ってあげるね
 
と、森山さんの唇に
 
口紅を塗りました
 
 
 
 
塗り終わると、私のカバンに入っていた
 
小さい鏡を出して、ほらと
 
見せました
 
森山さんは、初めて
 
私の前で、にこりと笑いました
 
 
 
 
 
そこにお嫁さんが入って来て、
 
私が「おばあちゃん、すてきでしょ?」
 
と言いかけたところで
 
「なに?口紅なんて塗って!気持ち悪い!」
 
と、大きな声を出しました。
 
 
 
「すぐに拭き取って。先生に
 
  ご迷惑だし、恥ずかしいわ!」
 
 
 
というお嫁さんを、
 
私は、ぽかんと見ていました
 
お嫁さんは、怒って、
 
森山さんの口紅を
 
拭き取ってしまいました
 
 
 
 
その日は、そのまま
 
失礼しますと帰りましたが
 
 
 
 
私は、その後の森山さんの様子が、
 
気になって仕方ありませんでした
 
 
 
 
 
次の訪問予定日まで数日という日、
 
お嫁さんから、お電話がありました
 
 
 
 
先週私が帰った後から、
 
森山さんが全く食べなくなり、
 
入院したので、次回の施術は
 
キャンセルしたいという内容でした
 
 
 
 
私は急に動悸がしてきて
 
どうしよう?
 
が頭の中をぐるぐる回りましたが
 
実際にはどうすることも出来ませんでした
 
 
 
 
2週間後、
 
「義母が退院したのでまた来て欲しい」
 
とお嫁さんから連絡が入り
 
私は、口紅事件から
 
3週間ぶりに、お家に伺いました
 
 
 
 
 
痩せて一回り小さくなった
 
森山さんは、私の方を見もせずに
 
窓の外を向いて横になっていました
 
 
 
 
私は、鍼灸の施術の準備をしながら
 
 
1人で週間天気予報の話をしました
 
 
 
 
「今週はずっと雨だけど、
 
雨の日は緑がきれいですよね」
 
 
 
 
 
と、森山さんのお顔を覗き込むと
 
森山さんは、静かに涙を流していました
 
 
 
 
 
私は、その横顔を見ながら
 
「食べなくなったのって
 
お嫁さんに怒ってたんですか?」
 
と、気になっていたことを聞いてみました 
 
 
 
 
 
森山さんはハッとした表情になり
 
「先生は、なかなか賢いなぁ」
 
と、小さいけれど
 
しっかりした声で言いました
 
 
 
 
 
その時から、私と森山さんの間に
 
何かを共有している感覚が
 
生まれたのだと思います
 
 
 
 
森山さんは、急に
 
色々話してくれるようになり
 
その声や話し方は、
 
想像していたよりも、
 
ずっとお元気で、
 
なにもかもが良く分かって
 
おられる方のものでした
 
 
 
その日の施術後に、森山さんは
 
「先生、そこの押入れ開けて」
 
と、私に言いました
 
 
 
 
私が、ちょっと戸惑ったのは、
 
また勝手なことをして、お嫁さんに
 
怒られはしないか?という危惧と
 
その押入れの近くに、いつも
 
看護師さんの霊が居たからです
 
 
 
 
 
すぐに開けにいけず、
 
座ったままチラチラと
 
押入れを見ていましたが
 
森山さんから
 
「先生、頼んます」
 
と言われると、やはり断れず
 
立って開けに行きました
 
 
 
 
その時、看護師さんの霊は
 
見えなくなっていました
 
 
 
 
 
押入れを開けると、
 
布団や収納ボックス、枕などが
 
整頓されてぎっしり入っていましたが
 
その中で、ポツンと
 
おたふく人形が
 
座ってこちらを見ていました