中国の小学校英語の教科書を手に入れてからこっちの、日本の小学校英語との比較。続きです。
中国の小学校英語4年生のA巻は、英語の母音をきちんと教えています。短母音と長母音を整理して教えているのはとてもいいこと。日本の英語は「漫然と」リッスンアンドリピート。しかも発音に難のある英語教師のほうが多数という嘆かわしいありさまなので、本当に「漫然と」授業が進んで行ってしまうのが、日本の英語教育の最大の問題点です。話せもしない人から教えられる生徒もたまったものではありませんが、教師自身、自分でそのアイロニカルな状況に疑問を持っていないのはなんともいただけないことです。
そういうと、あわてて質の吟味もすることがなく「ネイティブにみえる」外国人講師を漁ってきて採用し、テープレコーダー代わりに使ったり、あるいは授業に「ネイティブの録音した」CDを使ったりするのも、知恵の無いことです。採用する側が「ネイティブ、あるいはそれに準ずる質を持っている教師」かどうかが判別出来ない場合があるのは仕方のないことですが、そこのノウハウを民間の会社に頼るのではなく、質はともかく員数合わせのためだけに人材派遣会社を使っているのも、私はどうかと思います。
話しが脱線してしまいましたが、小学校4年生のB巻は、比較級と最上級を勉強してこの学年を終わります。全体的な印象として、使われている英文が自然なことと、変に「留学生」が出てきたりして「アジア人っぽい英語」に終わっている例文などが無いことは評価されてしかるべきだと思います。
続きます。
中国の小学校英語の教科書をゲットしたことから、その総覧のお話し。続きです。
3年生が終わって、ということろで、おっと、日本の小学校6年生対象の「小学校必修英会話」のテキストブック「英語ノート2」についても見ておきましょう。
6年生最初の授業、トピックは「アルファベットで遊ぼう」。見開きいっぱいのイラストのページです。絵の中からアルファベットAからZの文字を見つけよう。というもの。
うーん。もうあと一年で中学校に入る子どもたち。しかも学校の中ではことあるごとに「最上級学年として」しっかりやれと言われている子どもたちへのこのカリキュラム。このままアレンジ無く教えるべしという制約があるなら、私は正直、盛り上がる授業が出来る自信がありません。自分でやって「楽しい」と感じられるものでなければ、楽しいよ、と教えることは出来ないからです。
幸いなことに、この英語ノートは「必ずこれを用いて履修させるべき教科書」ではなく、あくまで副教材。ですからトピックと単元の趣旨を押さえれば、この通りに授業を進める必要はありません。ですから、その子どもたちの年代に合った題材を使って授業が進められるのです。
酷評しているようで恐縮なのですが、先にも申し上げたとおり、私は英語ノート擁護派です。廃止というのは、年間35時間という「英語」の時間を、カリキュラムも渡さずに現場に丸投げということ。それはあまりにも無責任なことだからです。
ところで、私がこの英語ノート2の最初のトピックに強い違和感を感じるのには理由があります。英語の表記にはまだ初めて触れるに等しいという想定の子どもたちですが、(実生活では何らかの知識があるほうが多数ですが)国語の授業の中で、日本語の表記にアルファベットを使ういわゆる「ローマ字」は、4年生でとっくに履修済みです。ローマ字と英語の表記はルールが違うので、例えばかんたんな挨拶の[Hi!]ですら、習ったローマ字と違うじゃないか、と不信をあらわにする生徒さんも、過去にはいらっしゃいました。そうでなくても、説明されないままで「なんかわけわかんない!」となり、「英語はむずかしい・・・」となってしまうお子さんも、残念ながら。でも、その子たちの疑問に答えることって、時間の制約もあり、読ませないという原則を提示された中ではとても難しいのです。
読ませるためではなく、ゲームなどで順番を表すためなどに英語を書いているのですが、そこでいくらなんでもローマ字やカタカナ表記は出来ません。異文化理解という趣旨も、小学校英語には大切なポイントだからです。
外国語教育となると、急に高揚したりするのは日本人の弱点。弱点は、本当は克服してこその弱点で、ピンチはチャンス、なのだと、「日本一英語がキライ(笑)」な英語講師の私は思うのですが・・・。
続きます。
3年生が終わって、ということろで、おっと、日本の小学校6年生対象の「小学校必修英会話」のテキストブック「英語ノート2」についても見ておきましょう。
6年生最初の授業、トピックは「アルファベットで遊ぼう」。見開きいっぱいのイラストのページです。絵の中からアルファベットAからZの文字を見つけよう。というもの。
うーん。もうあと一年で中学校に入る子どもたち。しかも学校の中ではことあるごとに「最上級学年として」しっかりやれと言われている子どもたちへのこのカリキュラム。このままアレンジ無く教えるべしという制約があるなら、私は正直、盛り上がる授業が出来る自信がありません。自分でやって「楽しい」と感じられるものでなければ、楽しいよ、と教えることは出来ないからです。
幸いなことに、この英語ノートは「必ずこれを用いて履修させるべき教科書」ではなく、あくまで副教材。ですからトピックと単元の趣旨を押さえれば、この通りに授業を進める必要はありません。ですから、その子どもたちの年代に合った題材を使って授業が進められるのです。
酷評しているようで恐縮なのですが、先にも申し上げたとおり、私は英語ノート擁護派です。廃止というのは、年間35時間という「英語」の時間を、カリキュラムも渡さずに現場に丸投げということ。それはあまりにも無責任なことだからです。
ところで、私がこの英語ノート2の最初のトピックに強い違和感を感じるのには理由があります。英語の表記にはまだ初めて触れるに等しいという想定の子どもたちですが、(実生活では何らかの知識があるほうが多数ですが)国語の授業の中で、日本語の表記にアルファベットを使ういわゆる「ローマ字」は、4年生でとっくに履修済みです。ローマ字と英語の表記はルールが違うので、例えばかんたんな挨拶の[Hi!]ですら、習ったローマ字と違うじゃないか、と不信をあらわにする生徒さんも、過去にはいらっしゃいました。そうでなくても、説明されないままで「なんかわけわかんない!」となり、「英語はむずかしい・・・」となってしまうお子さんも、残念ながら。でも、その子たちの疑問に答えることって、時間の制約もあり、読ませないという原則を提示された中ではとても難しいのです。
読ませるためではなく、ゲームなどで順番を表すためなどに英語を書いているのですが、そこでいくらなんでもローマ字やカタカナ表記は出来ません。異文化理解という趣旨も、小学校英語には大切なポイントだからです。
外国語教育となると、急に高揚したりするのは日本人の弱点。弱点は、本当は克服してこその弱点で、ピンチはチャンス、なのだと、「日本一英語がキライ(笑)」な英語講師の私は思うのですが・・・。
続きます。
北京でゲットした、中国の小学校英語の教科書について。続きです。
小学校2年生のA.B巻も基本は前年のレッスン内容を踏襲して、語彙や表現が増えていきます。時間数の累積もあるので、レッスンは簡単ではありませんが、テストでは1年と同様、ディクテーションで答えの数字を書いたり絵で答えを書かせるなどの工夫がしてあります。このテキストでは最初の2年間は英語を読むことはあっても子どもたちは英語を書くことはないようです。
ページの最初の導入部に書かれている会話が面白い。空に上がる凧を見上げながら、
[Look at that Kite! It's on the shape of a dragon.][That's cool!]
そうですね。アメリカ人なら[cool](カッコイイ!)と表現しそうなシチュエーション。でも、日本の英語活動にそんな「カジュアルな」表現はありません。
2年生のA巻は、ジョージという男の子が粘土でこさえた[a little dough man](粘土マン)が走って逃げていくというお話し。1単元まるまる6時間、この冒険に付き合うことになります。
B巻の最後では、Goldilocks という金髪の女の子が反意語を教えてくれます。
3年生は打って変わって、アルファベットを書く練習から。28時限かけて、すべてのアルファベットを学びます。
ひとたび書き文字の使用が始まると、教科書も記入する場所が多いワークブック形式に。B巻の内容は、日本の中学一年の英語の教科書に似ている感じ。この学年の最後の単元は三匹のこぶたのお話し。
[Little pig, little pig, open the door and let me in.]と猫なで声のオオカミに
[No, I won't.]と答えていますよ。
いずれはオックスフォードに、という野望のある方なら顔をしかめる英語なのかもしれませんが、アップデートされたアメリカの英語ですね。日常で良く使うわりに、日本人が苦手なletを使った表現と、won'tを使った表現なので注目してしまいました。外国語の勉強では、古い表現と丁寧さはどこに焦点を定めるべきか、本当にいつも気をつけなくてはいけない問題です。この教科書は今現実にアメリカで使われている英語表現がきちんと使われており、そこには好感を持ちました。
私は英語圏はアメリカの、しかもカリフォルニアにしか住んだ経験がありませんので、アメリカで話されているような英語を基本としてしか人に英語を教えることは出来ません。アメリカの、しかもカリフォルニアの英語って、最大公約数に通じるために基本的にとてもシンプルな英語。世界中から集まってくるIT技術者などは英語が母語でない人も多いですし、そもそもヒスパニック系の人口の割合が多いカリフォルニアは、公文書も英語とスペイン語の両方が公用語として使われている土地柄です。でももちろん基本は英語。公教育が英語で行われているわけですから、当たり前の話ですが。
ではせっかくここまでお付き合いいただいたので、順に6年生のカリキュラムまでもう少しお付き合いいただけると嬉しいです。続きます。
小学校2年生のA.B巻も基本は前年のレッスン内容を踏襲して、語彙や表現が増えていきます。時間数の累積もあるので、レッスンは簡単ではありませんが、テストでは1年と同様、ディクテーションで答えの数字を書いたり絵で答えを書かせるなどの工夫がしてあります。このテキストでは最初の2年間は英語を読むことはあっても子どもたちは英語を書くことはないようです。
ページの最初の導入部に書かれている会話が面白い。空に上がる凧を見上げながら、
[Look at that Kite! It's on the shape of a dragon.][That's cool!]
そうですね。アメリカ人なら[cool](カッコイイ!)と表現しそうなシチュエーション。でも、日本の英語活動にそんな「カジュアルな」表現はありません。
2年生のA巻は、ジョージという男の子が粘土でこさえた[a little dough man](粘土マン)が走って逃げていくというお話し。1単元まるまる6時間、この冒険に付き合うことになります。
B巻の最後では、Goldilocks という金髪の女の子が反意語を教えてくれます。
3年生は打って変わって、アルファベットを書く練習から。28時限かけて、すべてのアルファベットを学びます。
ひとたび書き文字の使用が始まると、教科書も記入する場所が多いワークブック形式に。B巻の内容は、日本の中学一年の英語の教科書に似ている感じ。この学年の最後の単元は三匹のこぶたのお話し。
[Little pig, little pig, open the door and let me in.]と猫なで声のオオカミに
[No, I won't.]と答えていますよ。
いずれはオックスフォードに、という野望のある方なら顔をしかめる英語なのかもしれませんが、アップデートされたアメリカの英語ですね。日常で良く使うわりに、日本人が苦手なletを使った表現と、won'tを使った表現なので注目してしまいました。外国語の勉強では、古い表現と丁寧さはどこに焦点を定めるべきか、本当にいつも気をつけなくてはいけない問題です。この教科書は今現実にアメリカで使われている英語表現がきちんと使われており、そこには好感を持ちました。
私は英語圏はアメリカの、しかもカリフォルニアにしか住んだ経験がありませんので、アメリカで話されているような英語を基本としてしか人に英語を教えることは出来ません。アメリカの、しかもカリフォルニアの英語って、最大公約数に通じるために基本的にとてもシンプルな英語。世界中から集まってくるIT技術者などは英語が母語でない人も多いですし、そもそもヒスパニック系の人口の割合が多いカリフォルニアは、公文書も英語とスペイン語の両方が公用語として使われている土地柄です。でももちろん基本は英語。公教育が英語で行われているわけですから、当たり前の話ですが。
ではせっかくここまでお付き合いいただいたので、順に6年生のカリキュラムまでもう少しお付き合いいただけると嬉しいです。続きます。