北京でゲットした、中国の小学校英語の教科書について。続きです。
小学校2年生のA.B巻も基本は前年のレッスン内容を踏襲して、語彙や表現が増えていきます。時間数の累積もあるので、レッスンは簡単ではありませんが、テストでは1年と同様、ディクテーションで答えの数字を書いたり絵で答えを書かせるなどの工夫がしてあります。このテキストでは最初の2年間は英語を読むことはあっても子どもたちは英語を書くことはないようです。
ページの最初の導入部に書かれている会話が面白い。空に上がる凧を見上げながら、
[Look at that Kite! It's on the shape of a dragon.][That's cool!]
そうですね。アメリカ人なら[cool](カッコイイ!)と表現しそうなシチュエーション。でも、日本の英語活動にそんな「カジュアルな」表現はありません。
2年生のA巻は、ジョージという男の子が粘土でこさえた[a little dough man](粘土マン)が走って逃げていくというお話し。1単元まるまる6時間、この冒険に付き合うことになります。
B巻の最後では、Goldilocks という金髪の女の子が反意語を教えてくれます。
3年生は打って変わって、アルファベットを書く練習から。28時限かけて、すべてのアルファベットを学びます。
ひとたび書き文字の使用が始まると、教科書も記入する場所が多いワークブック形式に。B巻の内容は、日本の中学一年の英語の教科書に似ている感じ。この学年の最後の単元は三匹のこぶたのお話し。
[Little pig, little pig, open the door and let me in.]と猫なで声のオオカミに
[No, I won't.]と答えていますよ。
いずれはオックスフォードに、という野望のある方なら顔をしかめる英語なのかもしれませんが、アップデートされたアメリカの英語ですね。日常で良く使うわりに、日本人が苦手なletを使った表現と、won'tを使った表現なので注目してしまいました。外国語の勉強では、古い表現と丁寧さはどこに焦点を定めるべきか、本当にいつも気をつけなくてはいけない問題です。この教科書は今現実にアメリカで使われている英語表現がきちんと使われており、そこには好感を持ちました。
私は英語圏はアメリカの、しかもカリフォルニアにしか住んだ経験がありませんので、アメリカで話されているような英語を基本としてしか人に英語を教えることは出来ません。アメリカの、しかもカリフォルニアの英語って、最大公約数に通じるために基本的にとてもシンプルな英語。世界中から集まってくるIT技術者などは英語が母語でない人も多いですし、そもそもヒスパニック系の人口の割合が多いカリフォルニアは、公文書も英語とスペイン語の両方が公用語として使われている土地柄です。でももちろん基本は英語。公教育が英語で行われているわけですから、当たり前の話ですが。
ではせっかくここまでお付き合いいただいたので、順に6年生のカリキュラムまでもう少しお付き合いいただけると嬉しいです。続きます。