新聞に載っている、ライターが書いた追悼記事には、アフリカ系アメリカ人の、特に女性として、彼女が果たしたアイコン的な役割と、その人生のまぶしい光の後ろにあった暗い影のことが書かれていて、どれも胸を打つものがあります。
生前の元気だったころのインタビューで、Diva(歌姫)と呼ばれることについてはどう思う?との質問に、私はDivaではない、Whitneyよ。Divaはたくさんいるけど、もし私のことをその中の一人として扱うのだったら、それはイヤ。一番のDivaというのでなければ。と答えていた自信のあふれる様子には、その後の彼女のたどった人生が重なり、粛然とさせられる気持ちがしました。
美しい歌声と、その声を包む肉体の美しさ。根底にキリスト教の思想があるアメリカ人は、これを神がその人に与えてくださったもの、と考えます。もちろん生まれつき美しい人でも、それを維持して人を魅了するには努力も必要ですし、歌にも練習は不可欠ですが。基本は神が与えてくださったもの。日本人は儒教精神のゆえでしょうか、「天才児」を「育てた」親(時にはコーチや指導者)への称賛の割合が大きくなるようですね。
ところで今日はバレンタインズデー。そのためにもらったものでは残念ながら無いのですが、少し前に家族が中国で買い求めてきてくれたチョコレート。アメリカの菓子メーカー、マーズ社のブランド「Dove」の、中国国内販売用の商品です。漢字の表記は「徳芙」。音をそのままなぞっているようですね。

Dove とは色が白っぽい小鳩のこと。古くはノアの方舟に、オリーブの小枝を持ち帰ったとされる鳥。よく屋外でのセレモニーで一斉に放たれたり、手品でもよくつかわれる愛らしい鳥です。
お気づきになりましたか?日本でもヘアケア商品で同じ名前のシリーズがありますよね。あれもアメリカ本国と同じ商品名。他にも、アイスクリームだの石けんだの、身近な商品の名前によく採用される、アメリカでは非常に身近にイメージを掻き立てられる象徴的な鳥です。
日本では覚えやすいようにということでしょうか、シャンプーの名前は「ダヴ」だそうですが、それはあくまで日本向け。この白い小鳩さんのことを「ダヴ」と言っても、アメリカ人には聞きかえされるのが落ちですので、発音には気を付けて。
なんだかとりとめないお話になってしまいましたが。
大歌手として生き、わずか48歳で亡くなったホイットニーの魂を、ことのほか彼女を愛してたくさんの才能を惜しまずお与えになった神様のところまで、Doveよ、送り届けてあげてください。R.I.P.
そして、今日も生きている私たちには、
Happy Valentine's Day!!