一日目の宿は長野の松本でとっていた。
インターで降りるとすぐに街があることや、
出発時刻から換算すると丁度良い時間に宿につくことができるからだ。
今までなら朝一でお店に集合してそのまま新潟を目指すところだが
それだと必ず寝不足になってしまう。
仕事が終わってから夜に出ることで宿代はかかるが途中で一泊することで煩わしい渋滞を避け、
ゆっくりと睡眠をとってPOINTに向かうことができる。
建前はそんな感じだが一日多く宴が出来ることが最大の理由だった。
予約したHOTELは繁華街にあった。
更にHOTELと同じビルの下の階には居酒屋が数店はいっている。
一日目の宿としては手っ取り早く、ことをこなせるはずだ。
今日皆で飲むことでバラバラの生活を送る皆の気持ちのベクトルを同じ方向に向かわせることできるだろう。
皆、今夜の宿を予約した時の俺の気持ちを察したのか、宿についてすぐに居酒屋に向った。
酒が飲めれば何処でもいいぞとばかりに最初に目に入ったのれんをくぐる。
HOTELについてから携帯でサイトを見ていたKIMだけが落ち着きがなかった。
“店長、ちょっと待ってください・・・この近くにクチコミ3.9の居酒屋がありますよ”
“うるせいよ。BEERが飲めればどこでもいいんだよ!このおたく野郎”とKT8がたしなめる
“KT8さん!BEERがあればかつやでもいいんすか?”
車で睡眠をとって快調なBAKABAYASIが舐めた口を聞く。
KT8はパーンとBAKAの頭をたたくと出てきた店員さんに“5人と猿一匹”と叫んだ。
程なくしてジョッキ6杯が俺たちに挨拶する。
この6人だけで酒を交わすのは、はじめてだ。
慣れてないからか、地元ではないからなのか、ぎこちない時間が続く
くだらない会話に肴を少々。
イケてる女が通るたびに小さく奇声をあげるのはいつもと変わらない。
ただ漂う空気がいつもと違っていた。
AWAYな空気感は人間が本来持つ野生の感覚なのか。
皆は本来の無敵な獅子に戻るためにハイペースで酒を食らった。
他人の領土に踏み入れてしまったおびえた感覚は数杯のBEERで麻痺していった。
体調不良のSUNNYが心配だ。
風邪がひどくなったのか目がとろんとして生気を失っている。
そんなSUNNYをよそに酒の力を借りながら横浜のVISITORどもはカメレオンのように松本の夜町に同化していった。
小一時間飲むとBAKABAYASIがぼそっと口にする。
"実は会社で上手くいってなくて・・・・俺・・何もかも中途半端で・・・”
涙目で今の現状を話すBAKABAYASIに俺たちはまるで聞こえていないかのように黙ってジョッキを傾ける。
BAKAは数分かけて全てを話を終えると、ビールを一気に口に流し込み店員を呼ぶベルを小さな力で押した。
KT8の口からたまらず魂が溢れ出す
“おいHRBYS、お前はなんだ・・・エリートか・・・バカは考えるんじゃねえよ~
バカはなあ・・・頭を使わず体を動かせばいいんだよ!
お前は、お前なんだよ、BAKABAYASI。何も変える必要はねえよ・・・
俺たちはなあ・・・天才はきれえだよ~。
なんでか知ってるか?BAKABAYASI~俺たち全員バカヤロウだからだよ~”
“俺たちバカはなあ、飲むしかねえよな~・・・”
そういうとジョッキを一気に飲み干した。
KT8の放った魂は目にたまったBAKABAYASIの湖のダムを決壊させた。
"あり・・が・とう・・KND・・さん・・・
俺は・・・バカだから・・飲む・・しかで・・きま・せん。今日・・は飲ませ・・て・・ください”
今まで聞いてもいないように見えたKIMが通りかかったアルバイトを大きな声で呼び止める
"すみません・・・・麦焼酎ボトル、グラス5つ、水割セットで・・・大至急ね!”
すると41がたしなめる"ウーロン茶セットにしてね!”
とろんとした目に涙をためて、たまらなくなったSUNNYも参戦した。
“店員さん、グラス6つにして!・・・ちくしょうバカヤロウども、俺は風邪なんかひいてねえよ。アセロラなんて飲んでられるか・・・
最初のPOINTがある新潟の海までおよそ150KM。
この調子じゃ明日の朝、酒が残らず波チェックできる確率は10%もないだろう。
期待と不安を乗せた前夜祭の夜はKT8が船頭になり暴走列車のように突っ走っていくのだった。
続く
