2005 9①
岡山に戻ってきて1ヶ月がたった。
無事免許も取得し、ダラダラと暇な毎日。
帰省終了予定日は9/17。
あと1週間だ。
ブォンブォン
携帯のバイブが鳴る。
メール受信 ゆきちゃん
携帯の小さな画面にはそう表示されていた。
暇を持て余していた私はすぐにメールを開く。
そろそろ帰省から戻るって言ってたよなぁ?
ちゃんと彼氏紹介してほしいし愛とかも誘って遊ぼうよ
ゆきちゃんらしい内容だった。
正直ゆきちゃんは男好きなとこがある。
顔はそんなにかわいいわけではないが(失礼)小さくて愛嬌のあるゆきちゃんは男友達も多い。
高校時代に1人彼氏がいたらしいが、その人には告られて付き合い始めたらしい。
私から見てあまりもてるタイプな気はしなかったが、どうも男の目と女の目は違う。
結構ベタぼれされてたらしく、ゆきちゃんに自信をつけさせるには十分だったようでゆきちゃんは男に対して臆することがない。
私はあまり自信がもてないタイプなので少しうらやましいくらいだ。
そして今回のメール。
愛も誘って遊ぶならゆっき以外にも男を誘わないとバランスが悪い。
多分出会い目的だな、とか思ってしまう。
いいよ。いつにしようか?まだバイトのスケジュール出してないから今ならいつでも大丈夫だよ
ぽちっと返信する。
ゆきちゃんは割とすぐ返事をくれるタイプだ。
私は暇な時しか返さないので寝る前に一気に返したりすることが多いが。
じゃあ来週の木曜日にしよ
その日なら私もバイトないし
平井君が都合悪かったら教えて

案の定、すぐに返ってきた。
了解、と返事をして今度はゆっきにメールをする。
ゆっきとは1日1回しかメールをしてない。
まず向こうが返すのが遅いのだ。
そして私も乗り気じゃないからあまり返さない。
結果、1日1回になっている。
なんか聞いてたのと全然違うカップルになっちゃったなぁ…。
とりあえず来週の木曜日の都合を聞いた。
どうせすぐ返ってこないだろうと携帯を放り出し、テレビを見だした。
返事は寝ようとした夜11時半に返ってきた。
ごめん、バイトじゃった。その日もバイトじゃけぇ、
時くらいまでなら大丈夫だよ
むしろその方が都合いい、と思った。
途中で帰ってくれれば2人きりにならずに済む。
ゆっきに岸和田君達も誘うよう頼み、布団に入った。
無事免許も取得し、ダラダラと暇な毎日。
帰省終了予定日は9/17。
あと1週間だ。
ブォンブォン
携帯のバイブが鳴る。
メール受信 ゆきちゃん
携帯の小さな画面にはそう表示されていた。
暇を持て余していた私はすぐにメールを開く。
そろそろ帰省から戻るって言ってたよなぁ?
ちゃんと彼氏紹介してほしいし愛とかも誘って遊ぼうよ
ゆきちゃんらしい内容だった。
正直ゆきちゃんは男好きなとこがある。
顔はそんなにかわいいわけではないが(失礼)小さくて愛嬌のあるゆきちゃんは男友達も多い。
高校時代に1人彼氏がいたらしいが、その人には告られて付き合い始めたらしい。
私から見てあまりもてるタイプな気はしなかったが、どうも男の目と女の目は違う。
結構ベタぼれされてたらしく、ゆきちゃんに自信をつけさせるには十分だったようでゆきちゃんは男に対して臆することがない。
私はあまり自信がもてないタイプなので少しうらやましいくらいだ。
そして今回のメール。
愛も誘って遊ぶならゆっき以外にも男を誘わないとバランスが悪い。
多分出会い目的だな、とか思ってしまう。
いいよ。いつにしようか?まだバイトのスケジュール出してないから今ならいつでも大丈夫だよ

ぽちっと返信する。
ゆきちゃんは割とすぐ返事をくれるタイプだ。
私は暇な時しか返さないので寝る前に一気に返したりすることが多いが。
じゃあ来週の木曜日にしよ
その日なら私もバイトないし
平井君が都合悪かったら教えて

案の定、すぐに返ってきた。
了解、と返事をして今度はゆっきにメールをする。
ゆっきとは1日1回しかメールをしてない。
まず向こうが返すのが遅いのだ。
そして私も乗り気じゃないからあまり返さない。
結果、1日1回になっている。
なんか聞いてたのと全然違うカップルになっちゃったなぁ…。
とりあえず来週の木曜日の都合を聞いた。
どうせすぐ返ってこないだろうと携帯を放り出し、テレビを見だした。
返事は寝ようとした夜11時半に返ってきた。
ごめん、バイトじゃった。その日もバイトじゃけぇ、
時くらいまでなら大丈夫だよ
むしろその方が都合いい、と思った。
途中で帰ってくれれば2人きりにならずに済む。
ゆっきに岸和田君達も誘うよう頼み、布団に入った。
2005 8⑨
花火(の予定だった日)の次の日。
私とゆっきは夜会う約束をしていた
ちなみに花火は結局話が盛り上がりすぎて夜中になってしまい、延期になった(笑)
ただの談笑会になってしまった
お昼の一番忙しいランチタイムだけバイトして、汗でべたつく身体をシャワーで流す。
約束は夜の9時。
夜ご飯を家で食べて歯を磨く。
9時にメールの受信音。
今から出るから外出といてな

どこに行くのかも知らない。
遊びに行くことをバイト先のフリーターのマネージャーに言ったら、からかわれた。
「今日が初夜なんじゃないの?」
にやりと笑うその人はかなりセクハラちっくな男で、まだ27かそこららしいが頭は少し薄くなっている。
他の新人クルーからもいい噂を聞かない。
(マックではバイトの従業員をクルーと呼び、バイトのマネージャーをスウィング(SW)と呼ぶ)
特に入ってすぐ仲良くなった同い年のクルーの由美ちゃんにいたってはめちゃくちゃに嫌っている。
由美ちゃんは学部は違うものの大学も一緒で、出身は広島だった。
高校の時の彼氏と遠距離恋愛をしていて、彼氏一筋なのでセクハラとかもってのほからしい。
そりゃ私も嫌だけど。
考えを巡らせながらぼうっと立っていると自転車に乗ってゆっきが現れた。
「昨日ぶり
」
さわやかにそう言う彼を見ていると、セクハラSWの嫌な顔は一気にふっとんだ。
「どこいくの?」
そう言って私も自転車を出す。
「ちょっと行きたかったとこがあるんよ」
自転車をゆっくり漕ぎ出したゆっきの後を追う。
高校の時から使っているというゆっきのシルバーの自転車は、少し軋んだ音がしている。
あまり慣れない外での夜遊びにドキドキしてるのか、再びSWの言葉を思い出して変な気持ちになっているのか、落ち着かない気持ちに軋んだ自転車の音が拍車をかける。
見慣れない細い道を通り抜けると川が見えた。
「紫川。知っとるよな?」
小倉で一番大きな川。
市街地にある太陽の橋や風の橋など、一風変わった橋がかかっているのは見に行ったことがあった。
その川がこんな田舎まで続いている。
河原に自転車を停めてベンチに腰掛けた。
もう8月なのに夜風は涼しくて気持ちが良かった。
「明日、広島に帰るんよね?」
「うん」
「私も明日にすれば途中まで一緒に帰れたのにね」
「そうじゃな」
明日から1ヶ月以上、帰省で会えない。
私は明後日から帰省する。
ちょうど岡山のコで今博多に住んでるコが明後日帰省するということで一緒に帰ることにしているのだ。
岡山で免許をとってから戻ってくるつもりなので、どうしても1ヶ月くらいかかってしまう。
「次会う頃にはもう2ヶ月記念日も過ぎてるね」
軽く笑って言うと
「ほんまじゃな」
ゆっきもほほえんでくれる。
胸がきゅうんってなって、寂しさがこみ上げてくる。
自然とお互いの手が重なった。
このまま、時がとまればいいのに。
よくマンガで見る言葉が私の脳内をよぎった。
あぁ、恋すると本当にこんな気持ちになるんだ。
ありきたりなセリフだと思ってたけど、これ以上今の気持ちを表せられるような言葉はない。
手を握り合ったまま、他愛のない話を続けた。
気づいたら川の向こうは明るみ始めていた。
夜明けが近い。
ゆっきは新幹線に乗らなきゃいけない。
「帰ろうか」
ぽつりとゆっきが言う。
私はうん、と答えてゆっくり立ち上がった。
20時間近く起きてる身体は、疲労で重たくなっている。
不思議とあまり眠くはない。
立ち上がって名残惜しくてそのまま見つめ合う。
もっかい手握りたいな。
そう思ってたらゆっきの手が伸びてきた。
え?と思った瞬間、両手とも私のそれぞれの二の腕あたりに置かれた。
なんだろう、急に恐怖を感じた。
ゆっきの目が真剣で逃げたい気持ちでいっぱいになってきた。
「なんか怖い…っ」
ぼそっと言ったのも束の間、それを遮るかのように唇を塞がれた。
自転車をこいで、再び来た道を戻っていく。
その間も重たい頭でいろいろと考えていた。
嫌だった
怖かった
あんなにゆっきを愛しく思ってたはずなのに何で?
初めてだから?
急に眠気が襲ってきて、思考が停止した。
また後で考えよう…
私のマンションにつくと駐輪場には一人の人影があった。
ゆきちゃんだった。
ゆきちゃんは二階に住む他学部の女の子。
私と同い年で、明るくフレンドリーなコだ。
引っ越しの挨拶に行った時も初対面なのにも関わらず家の中にいれてくれた。
それからというもののちょいちょいお互いの家で遊んだり、愛と三人でご飯食べに行ったりしている。
「もしかしてこの前言ってた彼氏
」
ゆきちゃんは嬉しそうな声を出した。
「結構かっこいいことない?ちょっとえりちゃん、うらやましいわぁ」
愛媛出身のゆきちゃんは聞き慣れない方言でしゃべるが、なんだか近所のおばちゃんっぽい話し方をする。
それも親しみやすいポイントなのかもしれない。
「平井君だっけ?宮野ゆきって言います
よろしくね」
いつもの笑顔でそう挨拶すると、ゆっきも愛想笑いを返してよろしく、と言った。
「ちょっと今から出かけるからまたね」
ゆきちゃんと話すとたいがい長くなるのだが、今回はそうならずに済んだ。
ゆきちゃんを見送ってすぐ、ゆっきもまたなといって、去っていった。
私とゆっきは夜会う約束をしていた
ちなみに花火は結局話が盛り上がりすぎて夜中になってしまい、延期になった(笑)
ただの談笑会になってしまった

お昼の一番忙しいランチタイムだけバイトして、汗でべたつく身体をシャワーで流す。
約束は夜の9時。
夜ご飯を家で食べて歯を磨く。
9時にメールの受信音。
今から出るから外出といてな


どこに行くのかも知らない。
遊びに行くことをバイト先のフリーターのマネージャーに言ったら、からかわれた。
「今日が初夜なんじゃないの?」
にやりと笑うその人はかなりセクハラちっくな男で、まだ27かそこららしいが頭は少し薄くなっている。
他の新人クルーからもいい噂を聞かない。
(マックではバイトの従業員をクルーと呼び、バイトのマネージャーをスウィング(SW)と呼ぶ)
特に入ってすぐ仲良くなった同い年のクルーの由美ちゃんにいたってはめちゃくちゃに嫌っている。
由美ちゃんは学部は違うものの大学も一緒で、出身は広島だった。
高校の時の彼氏と遠距離恋愛をしていて、彼氏一筋なのでセクハラとかもってのほからしい。
そりゃ私も嫌だけど。
考えを巡らせながらぼうっと立っていると自転車に乗ってゆっきが現れた。
「昨日ぶり
」さわやかにそう言う彼を見ていると、セクハラSWの嫌な顔は一気にふっとんだ。
「どこいくの?」
そう言って私も自転車を出す。
「ちょっと行きたかったとこがあるんよ」
自転車をゆっくり漕ぎ出したゆっきの後を追う。
高校の時から使っているというゆっきのシルバーの自転車は、少し軋んだ音がしている。
あまり慣れない外での夜遊びにドキドキしてるのか、再びSWの言葉を思い出して変な気持ちになっているのか、落ち着かない気持ちに軋んだ自転車の音が拍車をかける。
見慣れない細い道を通り抜けると川が見えた。
「紫川。知っとるよな?」
小倉で一番大きな川。
市街地にある太陽の橋や風の橋など、一風変わった橋がかかっているのは見に行ったことがあった。
その川がこんな田舎まで続いている。
河原に自転車を停めてベンチに腰掛けた。
もう8月なのに夜風は涼しくて気持ちが良かった。
「明日、広島に帰るんよね?」
「うん」
「私も明日にすれば途中まで一緒に帰れたのにね」
「そうじゃな」
明日から1ヶ月以上、帰省で会えない。
私は明後日から帰省する。
ちょうど岡山のコで今博多に住んでるコが明後日帰省するということで一緒に帰ることにしているのだ。
岡山で免許をとってから戻ってくるつもりなので、どうしても1ヶ月くらいかかってしまう。
「次会う頃にはもう2ヶ月記念日も過ぎてるね」
軽く笑って言うと
「ほんまじゃな」
ゆっきもほほえんでくれる。
胸がきゅうんってなって、寂しさがこみ上げてくる。
自然とお互いの手が重なった。
このまま、時がとまればいいのに。
よくマンガで見る言葉が私の脳内をよぎった。
あぁ、恋すると本当にこんな気持ちになるんだ。
ありきたりなセリフだと思ってたけど、これ以上今の気持ちを表せられるような言葉はない。
手を握り合ったまま、他愛のない話を続けた。
気づいたら川の向こうは明るみ始めていた。
夜明けが近い。
ゆっきは新幹線に乗らなきゃいけない。
「帰ろうか」
ぽつりとゆっきが言う。
私はうん、と答えてゆっくり立ち上がった。
20時間近く起きてる身体は、疲労で重たくなっている。
不思議とあまり眠くはない。
立ち上がって名残惜しくてそのまま見つめ合う。
もっかい手握りたいな。
そう思ってたらゆっきの手が伸びてきた。
え?と思った瞬間、両手とも私のそれぞれの二の腕あたりに置かれた。
なんだろう、急に恐怖を感じた。
ゆっきの目が真剣で逃げたい気持ちでいっぱいになってきた。
「なんか怖い…っ」
ぼそっと言ったのも束の間、それを遮るかのように唇を塞がれた。
自転車をこいで、再び来た道を戻っていく。
その間も重たい頭でいろいろと考えていた。
嫌だった
怖かった
あんなにゆっきを愛しく思ってたはずなのに何で?
初めてだから?
急に眠気が襲ってきて、思考が停止した。
また後で考えよう…
私のマンションにつくと駐輪場には一人の人影があった。
ゆきちゃんだった。
ゆきちゃんは二階に住む他学部の女の子。
私と同い年で、明るくフレンドリーなコだ。
引っ越しの挨拶に行った時も初対面なのにも関わらず家の中にいれてくれた。
それからというもののちょいちょいお互いの家で遊んだり、愛と三人でご飯食べに行ったりしている。
「もしかしてこの前言ってた彼氏
」ゆきちゃんは嬉しそうな声を出した。
「結構かっこいいことない?ちょっとえりちゃん、うらやましいわぁ」
愛媛出身のゆきちゃんは聞き慣れない方言でしゃべるが、なんだか近所のおばちゃんっぽい話し方をする。
それも親しみやすいポイントなのかもしれない。
「平井君だっけ?宮野ゆきって言います
よろしくね」いつもの笑顔でそう挨拶すると、ゆっきも愛想笑いを返してよろしく、と言った。
「ちょっと今から出かけるからまたね」
ゆきちゃんと話すとたいがい長くなるのだが、今回はそうならずに済んだ。
ゆきちゃんを見送ってすぐ、ゆっきもまたなといって、去っていった。
2005 8⑧
「こんばんわー」
相変わらず美穂ちゃんはほわほわしている。
それは中身だけじゃなくて外見もそんな感じだ。
髪がくせ毛が強く、ふわふわした感じになっている。
色も染めてないのに茶色っぽい。
決してさらさらな感じではないが、綿菓子みたいで何だかかわいい。
コンタクトを普段つけているが、よく目の調子が悪くなるらしく、今日もメガネだった。
「まず花火買わんとあかんよな?」
美穂ちゃんが座るなり愛が言った。
「ふふふ…」
岸和田君は奇妙な声で笑うと、ベッドの影からビニール素材の大きな袋に入った花火を取り出した。
「準備してくれてたの?」
美穂ちゃんが言った。
ビニールの袋の中には、打ち上げらしい大きな筒から吹き出し花火、手持ち花火、そして線香花火も見えていた。
よくスーパーで売ってる感じのやつだ。
しかしまだ外は明るいので暗くなるまで他愛のない話が始まった。
「え、木下君ってもう免許もってるん
」
「もっとるでー」
おもむろに木下君はポケットから財布を取り出した。
中からでてきたのは一枚の免許証。
「いつとったの?」
心なしか美穂ちゃんの目は輝いている。
「5月に帰省したときに学科受けてきてん」
美穂ちゃんと木下君が会話してる中、私と愛は免許証をのぞきこむ。
写真の木下君はうすら笑いを浮かべていた。
元々あっさりした顔立ちをしているが、写真になるとその中でも眉毛が濃いのがすごく目立っている。
心なしか写りが暗かった。
「なんか木下君の写真って感じやんな(笑)」
「た、確かに…(笑)」
「あれ?」
突然愛が調子の違う声を出した。
「木下君って浪人?」
「えっ
」
私たちは昭和61年生まれ。
しかしその免許証には昭和60年と書かれていた。
「そやで。仮面浪人しててん」
私たちの会話が聞こえたらしく、木下君が答えてくれた。
「仮面…?」
なんか聞いたことある言葉ではあったが、私には意味が分からなかった。
「別の大学に通いながら浪人してることだよ。私とか平井君は予備校に一年いたけど、木下君は姫路の大学に一年通いながら受験勉強してたんだって
」
美穂ちゃんが答えた。
そう、ゆっきと美穂ちゃんも浪人で1つ年上なのだ。
前に2人からは聞いたことがあったが何せ木下君とはほとんど話したことがなかったので知らなかった。
「じゃあこのメンバーは半数が年上なんやな」
愛が言った。
高校の時部活をやってなかった私は、あまり先輩というものと関わったことがなかった。
この人達ともし高校の時から知り合いだったなら敬語だったんだなぁと思うと不思議な感じだ。
「木下君と岸和田君は彼女いるの?」
気づいたら話題は変わっていたようで美穂ちゃんが質問をしていた。
木下君と岸和田君は顔を見合わせて
「俺らどっちも前の彼女が忘れられんのよ」
岸和田君が答えた。
「岸和田君は高校時代のってことだよね?木下君は前の大学?」
「いや、高3の時の彼女。1年付き合っててほんまに好きやったのに、受験に集中できひんからって僕からふってしまった」
なんじゃそりゃ
と正直私は思ってしまった。
それでも美穂ちゃんは質問を続ける。
そのやりとりを聞いて、今まで私がどれだけ恋愛から離れたとこで生きてきたのか、身にしみた。
恋バナなんて大学に入るまでほとんどしたことがなかった。
中学の時に好きな人はいたけどあまり人に言い切らなくて何もしないまま終わってしまったし。
やっと私も若者らしくなってきたかな?なんて(笑)
相変わらず美穂ちゃんはほわほわしている。
それは中身だけじゃなくて外見もそんな感じだ。
髪がくせ毛が強く、ふわふわした感じになっている。
色も染めてないのに茶色っぽい。
決してさらさらな感じではないが、綿菓子みたいで何だかかわいい。
コンタクトを普段つけているが、よく目の調子が悪くなるらしく、今日もメガネだった。
「まず花火買わんとあかんよな?」
美穂ちゃんが座るなり愛が言った。
「ふふふ…」
岸和田君は奇妙な声で笑うと、ベッドの影からビニール素材の大きな袋に入った花火を取り出した。
「準備してくれてたの?」
美穂ちゃんが言った。
ビニールの袋の中には、打ち上げらしい大きな筒から吹き出し花火、手持ち花火、そして線香花火も見えていた。
よくスーパーで売ってる感じのやつだ。
しかしまだ外は明るいので暗くなるまで他愛のない話が始まった。
「え、木下君ってもう免許もってるん
」「もっとるでー」
おもむろに木下君はポケットから財布を取り出した。
中からでてきたのは一枚の免許証。
「いつとったの?」
心なしか美穂ちゃんの目は輝いている。
「5月に帰省したときに学科受けてきてん」
美穂ちゃんと木下君が会話してる中、私と愛は免許証をのぞきこむ。
写真の木下君はうすら笑いを浮かべていた。
元々あっさりした顔立ちをしているが、写真になるとその中でも眉毛が濃いのがすごく目立っている。
心なしか写りが暗かった。
「なんか木下君の写真って感じやんな(笑)」
「た、確かに…(笑)」
「あれ?」
突然愛が調子の違う声を出した。
「木下君って浪人?」
「えっ
」私たちは昭和61年生まれ。
しかしその免許証には昭和60年と書かれていた。
「そやで。仮面浪人しててん」
私たちの会話が聞こえたらしく、木下君が答えてくれた。
「仮面…?」
なんか聞いたことある言葉ではあったが、私には意味が分からなかった。
「別の大学に通いながら浪人してることだよ。私とか平井君は予備校に一年いたけど、木下君は姫路の大学に一年通いながら受験勉強してたんだって
」美穂ちゃんが答えた。
そう、ゆっきと美穂ちゃんも浪人で1つ年上なのだ。
前に2人からは聞いたことがあったが何せ木下君とはほとんど話したことがなかったので知らなかった。
「じゃあこのメンバーは半数が年上なんやな」
愛が言った。
高校の時部活をやってなかった私は、あまり先輩というものと関わったことがなかった。
この人達ともし高校の時から知り合いだったなら敬語だったんだなぁと思うと不思議な感じだ。
「木下君と岸和田君は彼女いるの?」
気づいたら話題は変わっていたようで美穂ちゃんが質問をしていた。
木下君と岸和田君は顔を見合わせて
「俺らどっちも前の彼女が忘れられんのよ」
岸和田君が答えた。
「岸和田君は高校時代のってことだよね?木下君は前の大学?」
「いや、高3の時の彼女。1年付き合っててほんまに好きやったのに、受験に集中できひんからって僕からふってしまった」
なんじゃそりゃ

と正直私は思ってしまった。
それでも美穂ちゃんは質問を続ける。
そのやりとりを聞いて、今まで私がどれだけ恋愛から離れたとこで生きてきたのか、身にしみた。
恋バナなんて大学に入るまでほとんどしたことがなかった。
中学の時に好きな人はいたけどあまり人に言い切らなくて何もしないまま終わってしまったし。
やっと私も若者らしくなってきたかな?なんて(笑)
