えりの恋愛~初彼との別れと2つの出会い -2ページ目

2005 8⑦

夏休みが始まって1週間、ついに花火の日がやってきた。
夕方までバイトして急いで帰ってメイクを直す。
なんたってあれからゆっきに会ってない。
メールも1日1回。
前に彼氏いる友達に聞いた話では普通は恋人同士は常にメールしてるものだと聞いたことがあったので、何だか寂しい気がする。

ゆっきの家は近いので約束の10分前に家を出た。
駐輪場で愛と待ち合わせしている。
とはいってもどちらかが家を出たら音で分かるので、私が出ると愛もすぐ出てきた。

「一週間ぶりじゃね!!
「ほんま学校終わったら全然会わへんだな」
笑顔で会話しながらチャリを出す。

「あれから平井君とはどうなん?」
にやりともせずに愛が聞いてきた。
「1回家に遊びに行ったけど、向こうがすぐ寝ちゃった」
「なんか想像できるなぁ」
ゆっきんちの前にチャリを停める。

「オートロックやん!!何号室?」
「確か307…」

ピンポーン

愛が押した。
「はい」
インターホンからは岸和田君の声。
もうきてるのか、とドアが開いたので階段を登る。

がちゃ

相変わらず鍵はかかってない。
「なんでやねん!!
愛が鋭く突っ込んだ。
広いダイニングの扉を開けると男が3人いた。
ゆっき、岸和田君、木下君。
「早いな」
愛が言った。
「男だけで先に集まってたんよ」
岸和田君が答えた。
「美穂ちゃんはまだ?」
「うん」
私が聞くとゆっきが答えてくれた。
室内だからかゆっきはかなりラフな格好をしていた。
短パンに白のランニングシャツみたいなの。
なんか、格好良くはない…(笑)
岸和田君と木下君は自分ちじゃないだけあって、ちゃんとした格好?をしていた。
岸和田君はオレンジのTシャツに短パン。
木下君は真っ黒な長ズボンに白いTシャツ、その上に黄色の前開きのシャツを羽織っている。
私はあんまり短パンは好きじゃない。
あんなすね毛だらけの足を見せられてもあせる
でも木下の真っ黒なズボンもスーツみたいで微妙。
顔云々よりも服のセンスは私の中で重要!!
素材が良ければどんな服でも似合う。
だからこそそうでない人はセンスが必要だと思う。
自分に似合う服に流行を少し取り入れてくれると最高だ。

今の格好はともかく、ゆっきはこの3人の中では一番センスがいいと思う。
顔も3人の中では一番…って思うのは彼女だからかな?ガーン
それはさておき3人とも顔は中の上から中の中なので、もうちょいがんばればいいのになぁなんて。
上からもの言い過ぎ?あせる
彼氏いない歴18年だったくせに。

一番奥にゆっきが座っていてその手前に岸和田君、ベッドの上に木下君がいてマンガを読んでいた。
私は岸和田君の隣に座った。
その隣に愛が座る。

ぴんぽーん

その時チャイムがなった。
「あ、美穂ちゃんじゃない?」
私が言うと愛が立ってインターホンの受話器をとった。

2005 8⑥

カーテンからもれる光で私は目を覚ました。
重い腕を伸ばして携帯を開く。

7:30

お風呂に入っていない夏の身体はエアコンのかかった部屋にいたとはいえ気持ち悪い。
さすがに帰りたくなってきた。

「ゆっき」

肩をたたく。
いびきもかかずに安らかな顔で眠っている。
無理やり起こしてもいいものか。
ちょっと戸惑ったけど勝手に帰るわけにいかないので起こした。

「今なんじ…」
起きてすぐの言葉はそれだった。
「7時半過ぎだよ」
「そうか…」
右手を目の上にのせてゆっきは黙った。

また寝ちゃうのかな?

少し寂しい気もする。
疲れてるのは分かるけど、彼女が初めて家に遊びに来たっていうのに。

「シャワー浴びたい」
突然ゆっきが起き上がった。
「私もだよ」
苦笑して答える。
「入ってく?」
ゆっきがさらっと言った。
「えっあ、いや下着の替えもないし…」
「それもそうじゃな」
お風呂後も同じ下着ってのもね。
だいたい男の人の家でシャワーなんて…
なんかはしたない…(笑)

「今日はありがとう。とりあえず帰るわ」
私が言うと
「こちらこそ来てくれてありがとう」
ゆっきは立ち上がった。
そのまま私と一緒に玄関まで歩いてきた。

「もう明るいけど気を付けてな」
そう言って私の頭をポンポンした。
「うん!!
さっきまでの不満が嘘のように飛んでいった。
私って単純だなぁ。

こうして一応初めての朝帰りを果たした。

2005 8⑤

アクション映画が終わって画面はメニューに戻った。
電気をつけてDVDを片づけようとしたけど、PS2で観てたのでPS2の使い方がよく分からず、ゆっきを起こすことにした。

「ゆっき、終わったよ」
「んん…」

眉をしかめながらゆっきが目を覚ました。

「今何時?」
「もう2時だよ」

私が答えるとゆっきはまだ頭がぼぅっとしてるのか、何か曖昧な返事をしながら目頭を押さえた。
ちょっとしてすぐ立ち上がって、DVDをしまい始めた。

「これどうやった?」
「面白かったよ!!どきどきした!!
「ほんま。じゃあ俺も今度観よ。返却はしとくわ」
「ありがとう」

起きててくれたら感想とか話し合えたのになぁ。
ラブアクチュアリーも半分寝ながら観てたからあんまり覚えてないんだろうなぁ。
そんなこと思いながら遠くを見つめていると急にゆっきが立ち上がった。
ベッドを背もたれにして床に座っていた私の隣へと座り直した。
隣に座るのは美術史の授業で慣れてるはずなのに…急に緊張し始めた。
そっとゆっきは右腕を私の肩に回した。

「なんもしてこんなぁとか思ってた?」

意地悪い言い方でゆっきが囁く。

「そ、そんなこと…」

本当に何も考えてなかった私は戸惑う。
緊張で汗が出そうになる。
身体の中が、すごい、熱い。
こんなに冷房きいてるのに…

「明日バイトあるん?」
「え、あ、夕方から」
「そっか」

他愛のない話が始まった。
そのまま1時間くらいは会話してた気がする。
そういえばテスト前で、最近メールも会話もあんまりしてなかったからなぁ。
お互いのバイトの話とか、いろいろ近況を話してた。
まだ出会って4ヵ月。
知らないことがいっぱいある。
話は過去にさかのぼり始めた。

「予備校時代はどんなだったの?」
「いや、別に…。勉強ばっかじゃったしなぁ」
「出会いとか、なかったの?」
実は私はゆっきの恋愛歴を知らない。
私が何人めなのか、前の彼女とどんくらいあいてるのか…
私自身も言ったことはないが、どうやらゆっきは知ってるみたいだった。
多分、愛とメールしてたりして聞いたんだろう。

「全然なかったわ」

ゆっきがそう言った。
ってことは1年はフリーだったってことか。

話してるうちにゆっきがまたこっくりこっくりしだした。

「もう寝たら?」
「んー、恵理は?」
「まだ眠くないからテレビ見てる」
「分かった」

ゆっきはベッドにあがってそのままパタリと寝てしまった。
私は単に緊張して眠くなかっただけだったので、ゆっきが隣にいなくなった途端、眠くなった。
テレビっていってもどちみちこの時間じゃほとんどやってないし。
私は床に座ったままベッドに顔を臥して、そのまま浅い眠りについた。