蜜柑
日曜日、突然、夫の友達からお誘いの電話があり、夫は娘を連れて友達宅へ。
誘われたけど、丁重に断って、私ひとりーーーー!!!
バランコ区とミラフローレス区どっちに行こうかな。
ケネディ公園散歩して、ドーナツ屋さんで勉強しようかな、読書しようかな。
音楽は何にしよう。Avrilにしようかな、anything but ordinary.をエンドレスでリピート。
そんなふうに降ってわいた嬉しいひとり時間。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
勉強じゃなく読書を。
ここ数日、芥川の気分だったので電子書籍で芥川の「蜜柑」を読んでいました。
「蜜柑」は芥川の短編の中でも短く、読みやすく、中学生の教科書に載っていそうな
品行方正な短編だと思う。
ストーリーはとてもシンプルでひとりの男性が冬の日暮れに汽車に乗っていて、
向かい席に座った、とても野暮ったい13・4歳の小娘を不快に思いながらいる。
そのこれから汽車に乗って奉公先に出向くのであろう小娘がいきなり
汽車の窓を開け、ある貧しい町はずれのうらぶれた踏切を通ろうとするとき
その小娘の弟たちらしき男の子たち3人が汽車に向かって手を挙げ、声を上げると
その娘が5・6この蜜柑をその男の子たちに向かって投げるその「心を躍らすばかり
暖かな日の色に染まっている」「乱落する」「蜜柑」の光景がその男性の心にはっきり焼きつけられます。
ストーリーを要約してしまうと、あまり面白くなさそうでしょう?
でもこの短編を読むと完成された文章というものがどういうものなのか、その無駄のない
美しさと端正さにはっとします。
たとえば、この男性はきっと40代くらいの男性なんでしょう、冬の夕暮れの人影の少ない
寂しいプラットフォームが自分のそのときの心もちと、似つかわしく、彼の頭の中には
云いようのない疲労と倦怠があるとあります。
そういうとき、きっと誰でもあるでしょう?憂鬱でしょうがないとき、自分の存在があまりに
ちっぽけに感じて心が曇る時、人生に失望する時。
その男性は二等列車の席についているので貧しくもなく、かといって特別
裕福でもないんでしょう。多分、ある程度、教養のある男性で、だからこそ自分の今の境遇に
満足してないのかもしれません。
文中、こうあります、
「このトンネルの中の汽車と、この田舎者の小娘と、そうして又この平凡な記事に埋まっている夕刊と、
------これが象徴でなくて何であろう。不可解な、下等な、退屈な人生の象徴でなくて何であろう。」
そんな中貧しい町はずれの踏切を汽車は通るのです。
芥川は踏切で待つ小娘の弟たちをこう表現します。
「彼等は皆、この曇天に押しすくめられたかと思う程、揃って背が低かった。
そうしてまたこの町のはずれの陰惨たる風物と同じような色の着物を着ていた。」
曇天や貧しいうらぶれた町の風景も「陰惨たる風物と同じような色の着物」もまた
どうしようもない憂鬱の象徴だと思うのですがそこに娘の投げる
「心を躍らすばかり暖かな日の色に染まっている蜜柑が」「子供たちの上へばらばらと空から
降って来た」(私はこの空から降って来たという表現もすごくいいなと思いました。)
曇天のような憂鬱な暗い色と乱落する鮮やかな蜜柑の色の対比。
それは薄暗い心に射すひとすじの光みたいに。
思いがけず空から降った救いみたいに。
***
誰だっていつでも心に希望を抱いて、前向きに生きれたらいいけれど
そうじゃない時がありますよね。
それは誰でも。たとえ人から成功者とかエリートに見られている人でも。
でもそんなときにふっと心掴まれる場面や風景を見つけられるときがあるでしょう?
「私の心の上には、切ない程はっきりと、この光景が焼きつけられた。」
大人になっていくってことは明と暗を、清と濁を知っていって
それを受け止めていくことだと思う。
でもだからこそ、どうしようもなく寂しいのだし、孤独なんだと思う。
それは失ってしまったイノセントをもう取り戻せないことを知っているから。
それでもあるふとした瞬間、その失ってしまったイノセントが場面として
風景として、自分の前に現れるときがある。
そしてその場面を切り取って一つの短編にしたのがこの「蜜柑」
失われたイノセントが「切ない程はっきりと」 この男性の心に焼きつけられた。
この短編はこのように締めくくられます。
「私はこの時始めて、云いようのない疲労と倦怠とを、そうして又不可解な、下等な、退屈な
人生を僅かに忘れる事が出来たのである。」
Bar & Restaurante con mis amigos 3
甲府に転勤した友達が連れて行ってくれたBar??
甲州ワイン、辛くて酸味が強めですっきりしてて美味しかった。
甲州ワインにあう、イタリアン風の創作料理も美味しかったです。
若い頃は醸造酒はほとんど飲めなくて(つまりワインや日本酒)
蒸留酒、専ら焼酎ばっかり飲んでいたんですが、いつの間にか醸造酒もしっかり飲めるように
なりました。
だからワインも楽しめるようになったんだけど、なんせ横文字に弱いから
美味しいワイン飲んでも名前を覚えられないです・・・・。
この日はとても遠いところにすんでいる友達とも合流して、10年ぶりの再会。
とても楽しい夜でした。ありがとう。
10代のころに友達になった人々なので気持ちが10代のころに
戻るみたい。はしゃぎすぎてしまうし、懐かしいし嬉しいし
そして、そうですね、10代のころより大人になった分、彼女たち魅力が増していると思います。
みんな年とともに優しく親切になるし、若いころより円くなる一方ますます鋭く辛くなっているというか。
いつも、女の人の魅力はお酒(日本酒に限らずアルコール全般)みたいと思います。
千差万別で色も香りも味もみんなそれぞれ違って、それぞれの魅力を持ち
若いお酒は、みずみずしくすっきりして飲みやすく、熟成したお酒は辛かったり
酸味が強かったりするけれど深くしみじみと味わいがあって辛い中にほのかな甘さがあったりして。
熟成したお酒が味わい深くなるように私たちも成熟していけるといいね。
***
友達が連れて行ってくれたBar.
狭くて活気があって、いい雰囲気のバーでした。
ワインがたくさんあったけど、ジントニックを。
久々に美味しいジントニック飲めました。
そしておつまみに牡蠣のグラタンを。
牡蠣が丸ごと一個入っていてとっても美味しかった♡
ハシゴして恵比寿の立ち飲みバーQへ。
ここもお友達のおすすめ。
この辺りになると飲み過ぎてて、会話もところどころ抜けています。
飲み過ぎハイになってて、少しはしゃぎ過ぎていたかも??
ここではアマレットソーダを。
久しぶりに美味しいアマレットソーダ飲みました。
友達によると食べ物もとてもおいしいらしいのだけれど
全然お腹がすいてなくてお酒だけを。ぜひ今度は食べ物も!
友達のうちに泊めてもらえるので終電を気にせずに飲めて
こんな深夜に街にいるの?私?と嬉しかったのでした。
(ペルーでは夜は外出しないと自分のルールで決めているので、
それでなくても、子供が小さいので夜、出れないですけれどね。)
御馳走様でした。
愉しい夜をありがとう。
再びya no queda nada
相変わらず進歩しない私のスペイン語。
今日も語学の先生に
「もっと話す練習したほうがいい。」
と言われ、
「どうやって話す練習したらいいと思います?」
と聞いたら
「ラテン音楽を聞く。」
と先生、即答でした。
そんなわけで再びコロンビア人グループANGELESのya no queda nada
でも聞きますか。
私のスペイン語の問題はラテン音楽にもラテン文化にもペルーにもペルーの歴史にも
ほとんど興味がないっていうのが問題なんじゃないかと思う今日この頃です。
これらのものにもうちょっと興味があれば、スペイン語の上達具合も変わってくる気がする。
あんまり興味がないラテン音楽ですが
サルサのリズムは好きです。
サルサの中でもアップテンポのものが好き。
このANGELESのya no queda nadaは歌手の声も歌詞もメロディも
アップテンポなサルサ(R&B,ヒップホップが入ったサルサというのもいいです)
で何度聞いてもいいと思えます。
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歌詞はそれぞれの解釈があると思いますがこの歌詞を
夫に手伝ってもらいながら和訳してみると
不実な恋人と別れると決めた男性の心情が歌われているのだと思います。
その歌詞の中でも好きなフレーズがこちら
me coloco entre la espada y la pared
直訳すると私は剣と壁の間に置かれている
ですが
entre la espada y la pared は成句で
「進退きわまる」
という意味。
だから「今僕が置かれてる状況は後にも引けないし
前にも進めない。」
このフレーズだけでこの恋の行き詰った感がでていて、ぐっときます。
そしてやっぱりいいのはサビの
me quedo sin ti, prefiero morir antes de que tu
regreses a mi, me quedo sin ti ohoho y ya no
queda nada de nada me quedo sin ti (ayohi ayohi)
prefiero morir (te burlaste de mi)
でしょうか。ちょっと韻を踏んでいるようで、リズムとぴったりで
いつも耳に残ります。
この曲はよくバスの中で流れているので
バスの中でこの曲を聞きながら私は心の中で意訳するのですが
「ていうか何回俺を裏切れば気が済むんだよ
寄り戻すぐらいなら死んだ方がましだね。
もうお前に対しては(愛情や期待は)何にも残ってないから。」
彼が「ya no queda nada(もう何も残ってない)」
って言い切りながらも、
最初に「sus besos me hicieron causar
mucho miedo..(彼女のキスが怖い)」
*このフレーズは色々な解釈があると思うけど私は彼が彼女にキスされると
何でも許してしまいそうで怖い。つまりあまりに彼女が魅力的という意味で解釈しました。
や「me coloco entre la espada y la pared (今僕が置かれてる状況は後にも引けないし
前にも進めない)」
と言っているので、「別れる、より戻すくらいなら死んだ方がまし」
というのもなんだか強がりに聞こえて、
人は涙をのみながら、何かを決めるときがあるでしょう?
何かにとても執着しながら、一方でそれが自分に悪影響だとわかっているとき
それでも執着して後にも前にも行けないとき。
でも決めなくちゃいけなくて、捨てなくてはいけなくて
その揺れ動く、切ない気持がすごくうまく表現されてる歌だなぁって。
あとね、ここも切ないんです。
何も残ってないっていいながら、そのあとにこういう歌詞も出てきます。
「se supone que estuviera yo llorandote
pero no..。」
「ぼくは君のためにずっと泣くであろうと想定してた、でも・・・。」
***
歌詞全文です。
ya no queda nada
Me enamoro y se apodero de mi
sus besos me hicieron causar
mucho miedo.. yo le dije si
me coloco entre la espada
y la pared en ella creia y daba mi vida
yo le tenia fe
(coro 1)
y ya no queda nada que yo fui su amor
eso no fue cierto lo que tu me diste
fue mucho irrespeto y ya no queda
nada de nada
y ya no queda nada yo confiba en ti y yo me
creia, lo que tu me dabas era fantasias y ya no queda
nada de nada nooooo...
me ilusiono y su mano puso en mi sus besos
me hicieron causar mucho miedo
yo le dije asi..
que ya no queda nada que yo fui tu amor eso
no fue cierto lo que tu me diste fue mucho irrespeto
que ya no queda nada de nada
y ya no queda nada yo confiba en ti y yo me
creia, lo que tu me dabas era fantasias y ya no queda
nada de nada nooooo...
me quedo sin ti, prefiero morir antes de que tu
regreses a mi, me quedo sin ti ohoho y ya no
queda nada de nada me quedo sin ti (ayohi ayohi)
prefiero morir (te burlaste de mi)
y esto son los angeles
se supone que estuviera yo llorandote
pero no..。 *toy gozando con los angeles
son cris jhon majon y mike con el
caballo puro soye es lo que hay
no cojas lucha a ti ya te olvide no
pongas cartas mami en mi e-mail
lo tuyo y lo mio es peridico de ayer
no cojas lucha que el
caballo es junior jein
一期一会のお皿-Bar&restaurante con mis amigos-
「美味しい物を食べるときは、いっしょに食べる相手も大事」
と友達が言ってたけど、本当ですよね。
美味しいものを「おいしいーー」って言いながら楽しい会話しながら
食べると美味しいものがさらにおいしい
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
食べた事のある外国料理のなかではフランス料理がいちばん好きです。
フランス料理のバターやワインや果実をたっぷり使った贅沢なソースの
味も好きだし
なんといっても食べる前に感嘆をあげてしまうような美しさが好きです。
地元に帰ったら必ず行きたいレストランブーケ・ド・フランス
ここは本当に美味しい。なおかつ、お値段が良心的です。
前菜はフォアグラのパテ。
スープはさつまいものスープでこっくりしててほのかに甘くて温まりました。
メインは魚を選びました。ぱりっと焼いたヒラメにエビのムースが中に詰められていて
その組み合わせがほんと美味しかったです。
デザートもまた美味!!うすーい味のコーヒーゼリーに
マスカルポーネのゆるいムースがかけられていてその上に少しだけ林檎のジャム。
斬新な組み合わせだったけど、不思議にとても調和していてそれぞれの味を
引き立てていました。
見た目も本当にきれいで目にも嬉しかったです。
フランス料理を食べるとき、こっちがびっくりするような創意工夫と美味しさと
見た目の美しさに出会えるのでいつもなんだか涙が出そうになるんですよね。
大袈裟じゃなく本当に。
この一皿に会えて本当に幸せって思いながら食べました。
ミシュランで3つ星をとったレストランなのだそう。
前菜はマッシュルームのムースと野菜を挟んだミルフィーユ。
メインは子牛の煮込み。
小菓子とコーヒーにデザートのケーキ。
デザートのケーキにさりげなくレストラン名のcapriceっていう文字がはいってます。
ところで写真には写ってないのですが
驚いたのが子牛の煮込み。
ペルー料理のセコ・デ・カルネにそっくりな味付けで
驚きました。まさかここでペルー料理風のフランス料理を食べるとは・・・。
しかもインゲン豆のペーストが添えられてあって、ますます
セコそのものねって思いました。
私は、どちらかというと果物やワインやバター生クリームをたっぷり使った甘い、
濃厚なソースが好きなのだけれど
ここはあんまり甘みを入れないみたいです。
数多くのレストランに行ったことがあるわけではないけれど
行ったことのあるレストランの中では銀座のL'odorante と似てる味だなぁって思いました。
(ヒィーーー生意気な感想ごめんなさい)
あ。そうだ。私といっしょに食事するひとは私が写真撮るまで料理に手をつけないで
待っててくれたりするんですが、どうぞ気にしないでください、食べかけの写真も
自然ですごくいいと思うから。
気を使わせてごめんなさい。この場をかりてお詫びします。
Bar & Restaurante con mis amigos
日本に帰った時、みんないろいろ美味しいところに連れて行ってくれましたよ。
私自身は全然美味しいお店を知らなくて、いつも連れて行ってもらうだけです。
あとは何々が食べたいっていうリクエストを受けてくれたり、御馳走してもらったり、
多めに払ってもらったり、本当にすみません、ありがとうございます。
いつもいつもありがとう~。
***
日本ではいろいろなものを食べました。手作りの料理もレトルト食品もコンビニスイーツも
レストランやカフェやバーでの外食も。どれも美味しかったです。
(それにしてもレトルト食品とコンビニスイーツの進化がすごい・・・。)
食べ物自体も美味しかったし、やっぱり親しい楽しい人たちとたくさん笑いながら食べたから
美味しかったんだと思う。
みんなとごはん食べて気づいたのだけど、私は日本の食べ物にも飢えていたけれど
自分が思っている以上に会話に飢えていたんだと思う。
家族と暮らしてはいるけれど、夫は多忙で不在のことが多いし、娘は幼くてなかなか会話が成り立たない。
また夫がいるときでさえ、話が熱くなってくると、娘が嫉妬??して私たちの会話の邪魔をしてくる。
そんなわけで、我が家の食卓は会話もぽつぽつというかほぼ会話がないと思う。
娘の系統だたない言葉や、食事中の行儀を注意したり、そういうのが中心。
私のように小さいお子さんを持つ親御さんは食事の時間どうしてるんだろう?
こどもとの食事の時間楽しめてますか?私はだめだなぁって思いつつ食事中はイライラしっぱなしで
怒るとさらにイライラするのは経験済みなので、ふざけて食べる娘に落ち着いた口調で注意しようと
怒りをぐっと抑え込むんです。
ちっともごはんが美味しくなくて、たまに後でひとりで摂る食事にほっとしたりします。
私は自分で自分は孤独に強い方だと思っていたのだけど、みんなと会っていっぱい話してたら(やっぱり
スカイプじゃダメで会うのが大事なんだと思う!)自分がすごく飢えていることに気づきました。
砂漠に水がしみ込んでいくみたい。がさがさしてたのがみるみる潤っていく、満ちていくのがわかりました。
こういう時間を持てたことを大好きなみんなに、そして行かせてくれた夫や娘や夫の家族に感謝します。
*
友達に連れて行ってもらったレストランやバーのことを書こうと思ったのに
自分のつぶやきが長くなっちゃいました。
冒頭の写真は友達が連れて行ってくれた恵比寿にあるエビスバル。
彼女はいっつも美味しいお店に連れて行ってくれます。
仕事を持ってる友達に平日に会うという・・・・本当にごめんなさい。
ここは火曜日は1000円で3種類のワインを飲み放題らしく
その日のワインはすっきりした白ワイン、スパークリングと赤ワイン
私は赤ワインは試さず白とスパークを2杯ずつぐらい。
お料理はラタトゥユとパテと赤ワインの牛筋煮込み(これは絶品だった)
どれも美味しかった。
友達は可愛いし優しい。可愛い人といるとテンションあがりますよね。
私と違って理系の人なので
また物事の解釈や視点が私とは違っててでも基本的なものの考え方はたぶん
似てて、いろいろ話せて楽しかったな。
遅くまで飲んじゃったリマでは私は夜は出ない、遅くても9時までには家に入ると決めてるので
(治安のことを考えて、自分で勝手に決めてるルールなんです。だからたまに友達に誘われても
基本的に断ります。)
夜、ふつうに街にいれることが嬉しかったです。