#5 Understanding the Effects of Forest Uses
5.森林の効用を理解する
 このアクティビティでは、生徒は世界の森林のさまざまな利用が与える影響を分析し、ある定義に従えば、どれが持続可能ではない使い方かを決定します。

Subjects 科目
 社会、科学、国際理解(International Studies)

Searchable Key Words 検索語
 林産物、森林の効用、森林の利用、木製品、木材の利用

Concepts 概念
 2.6 資源を節約し環境を守ることへの国際協力は、人間の健康および他の生命体にとっての健全性を生み出します。
 2.11 すべての人は製品を消費することによって再生可能および再生不可能な自然資源の有効性に影響を与えます。
 4.3 地球を一つの生態系システムとして調べられるとき、スケールにかかわりなくすべての行動は何らかの方法で生物圏に影響を与えます。

Skills スキル
分析する、評価する、中心となる考えを同定する

Materials 準備物
生徒用ページのコピー

Time Considerations 必要な時間
準備:15分
アクティビティ:50分×1コマ

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 Far Reaching Decisions(「私たちの住む場所」)
 A vision for the Future(「私たちの住む場所」)

Objectives ねらい
➢ 生徒が、便益や正負の効果の観点から、様々な森林の利用法を分析する。
➢ 生徒が、どの利用法が持続可能かを決定する。

Assessments 評価
➢ 生徒用ページ「どのような結果になったか?」の回答を用いて、様々な森林利用による長期的及び短期的な結果、便益と正負の効果、持続可能性についての生徒の理解度を判定する。多くの質問が一つの「正しい」答えを有しているわけではないことに留意する。例えばケースAでは、質問8の答えには別の場所から葉を持ち込む、肥料になる別のものを見つける、人の数を少なくする、などの答えが考えられる。
➢ 生徒に、次の質問に対する回答を書かせる;「それぞれのケースの持続可能性を高めるために、あなたは何をしますか?どのようにしますか?」

Background 背景
 人間による森林の利用法は、森林のタイプや場所、所有形態や生産性などによって、時間とともに変化してきました。伝統的に-そして今日の多くの発展途上国では-、人々は実に多様な有用な生産物を生み出すために森林を利用しています。彼らは、動物の狩猟、果実や木の実の採集など、食料を得るために森林に頼っています。木の葉を家畜の飼料にしています。調理のための燃料や建築の材料にするために、木を伐ります。衣類や住まいとして利用するために様々な繊維を加工したり、薬や道具にするための原材料を手に入れたりします。かつて森林は、これらの多様な利用形態を長期にわたって支えてきましたが、世界の人口が増加するに従って、森林への圧力も高まってきました。
 薪と木炭の燃料材としての利用は、人間の、森林に対する増加する圧力の一例です。世界のほぼ30億人の人々-発展途上国の世帯の約80%-が、調理、採暖、照明を森林から得た燃料に頼っています。エネルギー源として、木材は多くの地方で姿を消しつつあります。家や村から近い場所の薪炭材が枯渇するにつれて、女性(と少女)はこの基本的なニーズを満たすためにより多くの時間を使うようになっています。例えばネパールでは、女性は薪を集めるために、一日に平均三時間を費やしています。
 日本やヨーロッパ、北アメリカなどの先進国では、木材は通常、家庭でのエネルギーとして直接使われることはありません。代わりに人々は、水力、天然ガス、石炭その他の資源を使用します。オーストリア、フィンランド、スウェーデンでは、国の一次エネルギー供給の12~18%を木材のエネルギーで賄っています。

(P.66)
 先進国では、森林は主に建築用材、紙、梱包用材として使用され、燃料生産ではなく木材生産を目的として集約的に管理されています。他の選択肢もあるため、これらの国々では森林やレクリエーションや野生生物の保全の目的でも重要視されてきており、森林植生の増加がみられる地域もあります。それでも、林産物の供給は需要を満たしておらず、先進国の多くは自分たちの需要を満たすことができず、他国から林産物を輸入しなければなりません。
 先進国では、エネルギーとして利用される木材でなく、林産物としての需要が多くを占めています。例えば、北アメリカとヨーロッパの国々、そして日本は、世界の人口の6分の1しか有していませんが、世界の紙・板紙の3分の2、産業用木材の半分を消費しています。さらに、林産物に対する需要は、更なる薪炭材の需要とともに発展途上国でも増加しつつあります。
 人間はどうすれば世界の森林を維持することができるでしょうか。その答えは決して単純ではありませんが、この疑問に答えるために多くの国際的な取り組みが導入されてきました(その複雑さを内包する一例として、以下のコラム「森林での昼食はタダじゃない」を参照のこと)。その重要な最初の一歩として、持続可能性とは何かを定義し、維持されなければならない重要な森林の側面を明らかにする取り組みがなされてきました。これらの取り組みについて詳しく知りたい場合は、「Activity 6.持続可能性を求めて」を見てください。
 「森林と持続可能な開発に関する世界委員会報告書」の執筆者たちの説明では、「持続可能な開発とは、次の二つの概念を含みます。ニーズの概念と限界の概念です。現在世代と将来世代のニーズは人類の叡智に支援によって満たされなければなりませんが、それは安定的な生物圏の範囲内でなければなりません。森林についていうと、森林から原材料やサービスなどの便益を得たいのならば、その生態学的な機能を損なわないような方法でなされなければならない、ということを意味します。森林と開発の双方が維持されなければいけないのです。

脚注

(コラム) 「森林での昼食はタダじゃない」
 コパイバのハンドローションやレインフォレストクッキーのような生産物がアマゾンの熱帯雨林を保全するのに役立つことを消費者に納得させることは、アメリカや他の国々においてマーケティング戦略として成功し続けています。
 しかし、執筆者の一人が説明するように「木は切られていないし、森林は破壊されていないといえばその通りだが、熱帯雨林から果実や油をとるための種子、ゴムなどを商業的な量で採集することは、全体的にみて持続可能だとはいえない。実際には、これらの活動は最終的に森林を害することになるだろう。」この潜在的な危害は、大きくて生産性の高い木が永遠に生き続けるわけではなく、絶えずより若い木に入れ替わっていく必要があるために生ずるものです。この事実を考えないで果実や種子を採り続けることは、その種にとって非常に有害です。例えば、ブラジルの木の実を栽培する畑では苗木や若木が不足し、その種が既に過剰に搾取されてしまったかもしれないということを示しています。
 天然の熱帯雨林の樹木はあまり密集していないところで育つので、種子や果実を持続的に収穫することも難しくなっています。温帯林では、大面積の森がわずか一種か二種の樹木で構成されていることもありますが、それとは異なり、熱帯雨林にはある特定の種が1エーカーあたりわずか2~3個体しか存在しないのです。このような種の密度の低さのために採集者は特定の果実や木の実、その他の資源を商売できるだけの量集めるために、何百エーカーもの森林を踏破しなければならないのです。それはまた、最も行きやすい森林が、同時に繰り返し収穫される地域でもある、ということを意味します。
 同じような問題は世界中の他の森林でも起こっています。例えばアメリカの太平洋岸北西部では、コケやキノコのような林産物を採集することは、木を切るよりは森林にとってよいことだと多くの人が思い込んでいます。しかし、コケは栄養分を吸収したり、湿度や水の流量を調節したりするうえで重要な役割を果たしていることから、大規模にわたってコケをはぎ取ることは森林の仕組みにとって非常に有害ですし、キノコの供給が限られてくると、採集者の間では時に暴力的な口論になることもありました。

(P.67)
準備する
 生徒用ページをコピーする。

アクティビティの進め方
1. 生徒に次の質問をしてアクティビティの導入を行う。
 世界の人口の何%が、調理、水の温め、暖房のために木を使っていると思うか?[答え:約40%]
 世界中の多くの世帯で、家族の一人が毎日一時間かけて調理に必要な薪を探し集め、家に運んでいる。調理用の薪をとるためだけに毎日ほぼ一時間を費やさなければならないとしたら、あなたの一日の生活にどのような影響があるだろうか?
 この基本的なニーズを満たすことは、森林にどのような影響を及ぼすだろうか?
 燃料用材に加え、世界の人々は森林をどのように利用しているだろうか(黒板に列記する。)?
 同様に、これらの利用は森林のどのような影響を及ぼすだろうか?
 森林により大きな、あるいは小さな影響を及ぼすのはどの利用法だろうか?
2. クラスを二人組もしくは少人数のグループに分け、生徒用ページ「人々の森林利用」のコピーを配る。各グループでそこに記載されたケースのうちの一つを読み、生徒用ページ「どのような結果になったか?」の質問1-8に答えることにより、そのケースを分析させる。
3. 次の質問について議論する。
 それぞれのケースについて、なぜ森林をそのように利用するのかに対する、地元の人々の考え方はどのようなものか?
 各グループは「必須の」という言葉をどのように定義したか?利用の仕方が必須かどうかを決めるためにどのような判断基準を用いたか?
 短期的そして長期的な影響の点で、これらの利用法はどのように比較されるだろうか?
 ある行為が及ぼす影響の大小を決める条件は何だろうか?
 その影響を減少させるためには、どのようなことが考えられるだろうか?(生徒に、自分たちの回答を共通のカテゴリーに分類し、グループ化させる。)
 どのような追加の情報があればよかっただろうか?
4. 生徒たちで話し合わせたり、インターネットで調べたりして「持続可能な」という言葉の定義を考え出させる。各グループの定義を共有する。そして、共有された定義の核となる要素を明らかにさせる。「『森林の持続可能性』という用語は、どんな意味だろうか?ある森林の利用法が持続可能である場合、どのような条件が当てはまると考えるか?」と尋ねる。生徒の考えを黒板に書き出す。
5. 生徒用ページ「森林の持続可能性の三要素」のコピーを配る。それを読み、そこに書かれた森林の持続可能性についての考え方の長所と短所、そして自分たちが考え出した定義とどう違っているかを生徒に議論させる。

写真キャプション:グァテマラのエコツーリズム

6. 各グループに、もう一度自分たちのケースに戻り、生徒用ページ「どのような結果になったか?」の質問9に答えさせる。
7. 自分たちのケースについての各グループの結論をクラスで共有する。持続可能性は、概念としてはシンプルだが、実行するのは非常に複雑であることに生徒が気づくよう支援する。質問9に対する生徒の回答に着目し、ある要素を変更することが他の人々や資源にどのような影響を及ぼすかに生徒が気づくよう支援する。ある意味では生産物が持続的に収穫されているが、別の点で森林に影響を及ぼしているという、背景の項目からの例(コラム「森林での昼食はタダじゃない」を参照)を生徒に示す。
8. 以下の質問について議論する。
 持続可能性の三要素は、地域的な視点と地球規模の視点から検討される必要がある。自分たちのグループのケースでは、地域の視点は外部の者の視点とどのように違っているだろうか?
 地域の人々の考えと外部の人の考えが異なる場合、どんなことが起こると考えられるだろうか?
 どのような場合に、地域の人々は森林の利用法に関する完全な発言権を持つべきだろうか?どのような状況の下で、外部の人々は意思決定に加わるべきだろうか?
 発展途上国と先進国は木材を同じような割合で、しかし別の目的で使用している。発展途上国で最も多い利用は薪(木炭を含む)であり、先進国では紙である。与える影響の点から、これら二つの利用法を比較するとどうだろうか?
(P.68)
写真キャプション:グァテマラの材木

展開
 森林と持続可能性の問題を扱ったニュースの記事を探し、クラスに持ってきて他の生徒と共有させる。
 持続可能性の他のモデルを調査し、このアクティビティで実施したモデルと比較させる。例えば、教育者のMax Oelschlaegerは、持続可能性に関する6つの中核的な、相互に関連性のある変数を特定している。適切な技術、民主的な手続き、生態学的な健全性、経済効率性、人間の尊厳、社会的公正である。
 職業:生徒に、森林官、商店経営者あるいは、地域レベルもしくは国際的なレベルで森林の多様な利用の持続可能性に関係する地域の人々と話をさせる。生徒は、それぞれの人の(a)森林の持続可能性に及ぼす人間の影響を考慮に入れた持続可能性、(b)持続可能性は達成可能か、(c)どんな人々が持続可能性の達成に向けて働くことができるか、についての考えを尋ねる。

資料
関連メディア

(P.69)
生徒用ページ「人々の森林利用」

ケースA:インド・ヒマラヤ地方における肥料
 インド・ヒマラヤ地方の人々は、年二回の収穫期に頼って生存している。雨季の米とキビ、冬季の小麦である。集約的な農業が土壌から多量の栄養分を奪うので、農家の人々は森林から得た葉を使って、栄養分の不足を補っている。
 ヒマラヤの農家の、肥料としての葉の使い方は、根おおいとして直接畑に敷くことである。また家畜の牛や水牛に葉を飼料として与え、堆肥として土にすきこむための肥料に変えている。堆肥にすることに加え、農家は畑の耕作や、家族のために乳や肉を得ることを目的として家畜を利用している。
 インドの多くの地域では、森林は急峻な斜面や人が行けないような場所にわずかに見られるだけである。毎年、女性は葉を集めるためにより一生懸命働き、遠くまで出かける。このことは木の高いところで枝を切り落とすときや、重たい家畜の飼料を担いで長距離を歩くときなどに、彼女たちがけがをするリスクを高めている。時間を節約するために、彼女たちはしばしば近くにある木の葉を採取するが、葉を採り過ぎた結果としてそれらの木の寿命は短くなり、森林減少の加速を引き起こしている。

ケースB:コスタリカのエコツーリズム
 コスタリカの熱帯雨林は12,000を超える在来の植物種と、約300の動物種を擁する豊かで生命力にあふれた場所である。野生生物は非常に多様性に富んでいる。コスタリカは南北アメリカ大陸の架け橋になっているので、二つの大陸を行き来する多くの種をコスタリカで見ることができる。
 1960年代から1970年代にかけて、コスタリカの熱帯雨林は増大する人口のせいで危機にさらされていた。日々の暮らしの中で欠かせない作業と向き合う中で、地元の人々は農耕や放牧のための開墾と調理用の燃料材を得ることを目的として木を伐採していた。
 地元の人々に生活の糧を供給しながら、熱帯雨林を維持する方法を模索する中で、1980年代半ば、コスタリカはエコツーリズムの事業を開始した。エコツーリズムは旅行者に、自然環境について学び、楽しむことを目的としてその地域を訪れるよう勧める。エコツーリズムでは、ハイキングをしたり、ボートに乗ったり、森の中でバードウォッチングをしたりする。理論上は、木がそれ以上伐られることがなくなるため森が豊かになり、雇用と収入を得て地元の人々も豊かになるというwin-winの関係が成り立つ。これにより、手つかずの熱帯雨林が貴重な資源になる。1994年までにエコツーリズムは、コスタリカにとってバナナに次ぐ二番目の外貨獲得手段となった。
 エコツーリズムは熱帯雨林を守ったが、新たな問題も生じてきた。例えばエコツーリズムによって、多くの人を受け入れる設備-駐車場、遊歩道、あるいはネイチャーセンター-のない公園に、何千人もの観光客が押し寄せるようになった。ごみや歩道の浸食が問題となっている地域もある。多くの外国人観光客が訪れることにより、地域独自の文化が消滅するのではないかという懸念も生じている。

ケースC:コンゴ民主共和国の木炭生産
 木炭はコンゴ民主共和国において、調理や食料生産のための主要なエネルギー源である。何百年にもわたって彼らの文化の一翼を担ってきたものなので、多くの人々は木炭を好む。それらはエネルギーが集約された形態であり、薪よりも熱く、きれいに燃焼する。森林で得た肉は普通木炭によって調理され、珍味として扱われている。
 木からできているため、木炭は実は薪炭材の一種である。木炭生産は森林で始まっており、そこでは木が取り除かれ、伐られている。伐られた木は炭焼き釜に入れられ、酸素を制限した状態でゆっくり燃やされる。この過程で、木は最も基本的な炭素含有物に変えられる。
 木炭を生産することは地域の人々に重要な仕事をもたらし、また農作業と並行して行うこともできる。生産者は、原材料(天然林からの木材)を無料で使用し、需要の大きい、市場で売れる商品に変えることができる。しかし、コンゴ民主共和国では、木が再び成長するよりも早いペースで人々が木を伐るので、木炭生産は森林への大きな脅威でもある。この問題により森林面積は縮小し、木炭の価格は上昇した。木炭がこれまでにない長距離を輸送されるようになったため、その価格は着実に上昇している。この上昇により今度は、木を利用する小規模産業が打撃を受け、家計への圧力が高まってきた。さらに、木炭の使用により、地球温暖化の原因となる主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2) の排出量が増加している。
 これらの理由により、多くの人々が木炭生産は完全にやめるべきだと考えている。しかし、コンゴの人々は調理に木炭を使用したいと考えており、代替エネルギー源はより値段が高いので、木炭の生産あるいは使用を禁止する試みは、ほぼ不成功に終わってきた。

ケースD:韓国の高齢者向け住居
 韓国(以前の南朝鮮)はかつて、木々が青々と茂っていたが、何百年にもわたる過剰な利用、外国による占領、戦争などによって、1900年代までに森林がほぼ消失してしまった。1980年代になって、韓国は植林と保護林の設定を開始した。これらの森林が成熟するまで、韓国は建築その他に利用するすべての木材を輸入しなければならない。
 人口密度が非常に高く、資源が限られており、輸入木材に頼る小さな国の市民として、韓国の人々は非常に効率的に木製品を利用する術を身につけてきた。彼らが現在向き合っている課題の一つに、高齢者を持続可能かつ快適で健康的な生活環境の下で暮らせる住居をいかに提供するか、がある。韓国は2026年までに「超高齢化社会」つまり人口の20%が65歳以上になると予測されているので、この問題は非常に重要である。
 伝統的に、韓国の住居は建築材料として多くの木や石を使っている。今日、多くの韓国の世帯は、産業化された都市にあるセメントでできた高層のアパートやマンションに住んでいる。このタイプの住居の一戸一戸は一般的に、多世代が一緒に暮らすのを支えるには狭すぎるし高額すぎる。さらに、韓国の高齢者の多くは日照と木に満たされた、森林や山が見える住居を好む傾向がある。
(P.71)
 社会的、経済的、そして環境的なニーズを考慮した高齢者向け住宅を計画することにより、韓国は持続的な成長に向けた実現可能な解を見つけようとしている。この「緑の」アプローチでは、高齢者向け住居を都市の周縁部、汚染や騒音から隔離された自然に近い場所に配置することになっている。また、持続可能な手法で伐採され、効率的に生産された木質材料を用いる。これにより、他の方法に比べ断熱性が高く、エネルギー効率もよくなるとされている。

ケースE:ペルーのマホガニー-「緑の金」
 人々は、その美しい色と加工のしやすさ、丈夫さから、長い間マホガニーの木を大切にしてきた。中でもマホガニー材は高価な机、おもてなし用の設備、ギター、高級パネルなどに使用されている。一度加工されると、一本のマホガニーの木からつくられる製品の価格は10万ドルにもなる。そのため、数百万ドル規模のマホガニービジネスは、「緑の金」というニックネームで呼ばれてきた。
 マホガニーの木は中央アメリカと南アメリカの熱帯雨林で成長する。かつてはブラジルが最大のマホガニー輸出国であったが、違法伐採を厳重に取り締まるようになったため、今は多くのマホガニーはペルー産である。2002年、ペルーは45,000立方メートル(160万立方フィート)のマホガニーをアメリカの港向けに輸出しており、これは1992年の輸出量の20倍にあたる。
 成熟した木は、37メートル(120フィート)を超える高さになることもあるが、かつてはアンデス山脈東側のペルーの熱帯雨林じゅうにそびえ立っていた。伐採者たちはアクセスの容易な区域から木を伐り始め、今では熱帯雨林のより奥深いところまで移動してきている。インディアンのために留保された区域からも伐採されているし-国立公園や保護区からさえも伐採されている。
 ペルーはマホガニー伐採に関する国連のガイドラインを採択しているが、ペルー産マホガニーの90%は違法伐採されたものである。輸出業者は合法的に伐採された木であることの証明書を取得することとされているが、認証システムは汚職にまみれており、証明書はわずか120ドルで入手できる、あるいは簡単に偽造できる。

出典(略)

(P.72)
生徒用ページ「どのような結果になったか?」

自分たちのグループのケースについて、次の質問に答えなさい。多くの質問には「正しい」答えがあるわけではないことに注意しなさい。

1. どのケースを分析したか?
2. そのケースでは、森林はどのように利用されているか?
3. 人々はなぜ、そのように利用しているのか?
4. その利用法により、誰が利益を得ているか?
それぞれの受益者グループについて、この利用法はどのくらい不可欠なものか?(1=それほど必要ではない、5=生存に関わるほど重要)
5. この利用法が森林そのものに与える影響に点数をつけなさい。(1=影響は小さい、5=影響は大きい)
6. その影響は短期間(1年未満)、長期間(100年を超える)、あるいはその中間だろうか?
7. もしより多くの人々が同じように森林を利用したら、その影響はどうなるだろうか?
8. どうすればこの利用法による影響を軽減できるだろうか?
9. この利用法は持続可能だろうか?そうでないならば、持続可能性のどの要素が欠けているのだろうか?

(P.73)
生徒用ページ「森林の持続可能性の三要素」

 過去100年の間、人間は生態系、生物多様性、養分の循環、エネルギーの流れについて多くのことを学んできた。これらの新しい知見を得たにも拘わらず、私たちはいまだに森林を持続可能な形で利用する方法についてジレンマに直面している。
 森林の持続可能性は、将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現代に生きる世代のニーズを満たすように森林を管理すること、と定義できる。それは多くの場合、社会の森林に対する要求と、森林の健全性と多様性を保全するニーズとのバランスの問題として現れる。多くの人々は、三つの要素-経済、環境、そして社会-に注目することによって持続可能性を検討する「トリプルボトムライン」アプローチを用いている。
 これら三つの要素を考慮する一つの手法を図1に示す。各要素-経済的繁栄、環境保護、社会的幸福-は相互に依存しており、ある特定の状況においてはその程度が大きくなったり小さくなったりする。森林の持続可能性の究極の目標は、中央の影付きの部分に示す通り、全三要素の調和がとれることである。
 持続可能性の三要素について考えるもう一つの手法を図2に示す。この図が示すように、人間の経済は社会と社会的幸福に依存している。同様に、社会は大気、エネルギー、食料、工業原料などを与えてくれる環境に依存している。こうして、経済は社会に依存し、同様に社会は自然環境に依存していることになる。
 森林の持続可能性の本質的な考え方は、環境、社会、経済の論点や理想が、森林に影響を及ぼす決定や行動に含まれ、同時に将来と現在のニーズについても考慮されることである。

図1.持続可能性の要素
環境保護:森林自体が健全に機能すること
社会的幸福:森林に依存する地域社会が社会、文化、政治的に健全な状態
経済的繁栄:森林に依存する人たちの経済的繁栄
(中央)森林の持続可能性の目標はこれら三要素の調和である

図2.持続可能性の「トリプルボトムライン」 経済 社会 環境

出典(略)
#6 Seeking Sustainability : A Global Response
6.持続可能性を求めて:世界の責任
 このアクティビティでは、生徒は森林が持続可能であることを示す指標は何かを考え、森林の持続可能性をモニターする国際的な取り組みについて学びます。彼らは、地域で、そして他の国々で、森林が持続可能な方法で管理されているかどうかを判断するためになされてきたことを見いだすでしょう。

Subjects 科目
 政治(Government)、国際理解(International Studies)、科学、社会

Searchable Key Words 検索語
 アジェンダ21、モントリオール・プロセス、サンティアゴ宣言、森林原則声明、持続可能な森林経営

Concepts 概念
 2.6 資源を節約し環境を守ることへの国際協力は、人間の健康および他の生命体にとっての健全性を生み出します。
 2.11 すべての人は製品を消費することによって再生可能および再生不可能な自然資源の有効性に影響を与えます。
 4.3 地球を一つの生態系システムとして調べられるとき、スケールにかかわりなくすべての行動は何らかの方法で生物圏に影響を与えます。

Skills スキル
分析する、評価する、中心となる考えを同定する

Materials 準備物
 クレヨンもしくはマーカー、生徒用ページ「森林の持続可能性の三要素」(任意、アクティビティ5より)、合衆国農業省の持続可能な森林に関する2003年のレポート(任意、資料参照)

Time Considerations 必要な時間
準備:20分
アクティビティ:50分×1~3コマ、グループでポスターを製作するのに必要な時間

Related Activities in Other PLT Guides 他のPLTテキストに掲載された関連アクティビティ
 A Vision for the Future (「私たちの住む場所」)
 Far-Reaching Decisions (「私たちの住む場所」)
Tough Choices(「環境問題の探究:森林に焦点」)

Objectives ねらい
➢ 生徒が、森林の持続可能性を定義したり測定したりする際に、考えられる基準を明らかにする。
➢ 生徒が、自分たちが考えた基準と、モントリオール・プロセスに記載されているそれらとを比較する。
➢ 生徒が、地域レベルで持続可能性がどのように測定されたりモニターされたりしているかを発見する。

Assessments 評価
➢ 生徒に、アクティビティのステップ6に列挙された質問に対する答えを書かせる。
➢ モントリオール・プロセスと持続可能な状態に到達するうえでの同プロセスの重要性に関する生徒の理解の幅広さと深度の観点から、生徒の回答を評価する。

Background 背景
 森林は、多くの国々にとって環境分野における最優先の関心事であり、森林が直面する深刻化する課題を解決するために、国際的なレベルで大変な努力がなされてきました。国連の1992年リオデジャネイロ地球サミットにおいて、102ヶ国から集まった世界のリーダーたちは、世界の森林の重要性を強く訴える二つの国際的な宣言を採択しました。森林原則声明は、森林とその持続可能性に関する初めての地球規模の合意文書であり、またアジェンダ21は持続可能な開発に向けた国際的な行動計画です。
 リオデジャネイロでの会議以降、持続可能な森林経営に向けた進捗状況を評価するために、いくつかの国家レベルあるいは国際レベルでの取り組みが開始されました。それらの取り組みの中で最も包括的で、潜在的に最も遠大なものは、地域的かつ国際的な取り組みで、現在では100を超える国々が参加しています。
 モントリオール・プロセスは、これらの国際的な取り組みの一つです。それは、自発的に参加している各国が、自国の森林の持続可能性をモニターする方法の概要を述べています。それは持続可能な森林経営のための条件の基準や区分、それらの基準の指標や測定可能な兆候を定義しています。
 持続可能性に向けた国際的な努力のおかげで、地方の森林利用法のお膳立てができました。地域社会は森林の最も用心深く、最も軽率な世話係となりうるために、次第に森林の持続可能性における重要なパートナーとして認知されるようになりました。貧困や、短期的な利益の保証により、人々は森林を過剰に利用する可能性があります。同時に、地域社会は森林を直接的に信頼しており、長期にわたり、森林との密接な相互作用を通して進化してきた生態系についての知識も有しています。
 森林利用に影響を及ぼす多くの要素や複雑な関係性があるために、持続可能な森林経営を主張する人々は、その過程において、森林管理手法により多くの得失がある地域社会の人々を含む、全ての利害関係者が参画することを支持しています。

(P.76)
 2003年、アメリカ農業省は2003年版の持続可能な森林に関する国の報告書をつくりました。その中で、分析の基盤としてモントリオール・プロセスを活用し、現在の森林の状態と持続可能な森林経営という目標に向けた進捗状況の指標について述べています。この報告書、及び地域、国家及び国際レベルのあらゆる取組が、持続可能性へと向かう重要なツールになります。
 モントリオール・プロセスは、私的セクターやNGOが、森林がよい状態で管理されていることを認証するプログラムを開発するための基準設定の基礎を固めました。設計にあたってモントリオール・プロセスを活用した認証システムが、北アメリカに3つあります。アメリカン・ツリーファーム・システム、カナダ基準協会、持続可能な森林イニシアチブです。さらに、国家・地域レベルの基準を認証する包括的なプログラムであるPEFC認証プログラム(PEFC)、地球規模の認証システムである森林管理協議会があります。
 これらの基準は全て、生態学的または文化的に特別な場所の保護、危機に瀕した生物種や野生生物の生息地を保護するための管理戦略、持続可能な収穫のレベル、速やかな更新などの様々な課題を解決するための、モニタリング可能な必要条件を包含することによって、経済、環境、社会の価値を高めます。
 様々な認証プログラムが、団体にそのプログラムへの参加と、ある点で彼らの売る製品について認証された内容に関する主張を認めるために、多くの製品や推進のためのラベルを提案しています。だから、製品にみられるリサイクルの主張やラベルと同様に、紙であれ梱包材であれ、建築用材料であれ、認証された内容について主張することができます。これにより、消費者はよい状態で管理された森林からの製品を見分けることができるのです。
 このような認証基準が数多くあるにもかかわらず、世界の森林のわずか10%しか認証を受けていないことを知るのは重要です。FAOの2007年版世界の森林の現状によれば、「問題はとても単純である。熱帯での森林破壊の多くは、伐採ではなく他の土地利用への転換によって生じている。認証を受けるのは安くはない。導入に成功するには、確固とした制度・管理上のプラットフォームが求められる。さらに、消費者が認証された製品を購入するために、より多くを支払う意思を持つにはまだ至っていない。」

準備する
➢ 生徒用ページをコピーする。ステップ8のために、地元の州または地方の森林資源、自然資源、または都市の森林事務所に連絡を取り、見学、会議電話、ゲスト講師などの方法で、自分たちの地域で森林の持続可能性がどのように測定されているかについて生徒と話し合えるように調整する。
➢ アクティビティ5において生徒がまだそうしていないなら、生徒用ページ「森林の持続可能性の三要素」を読ませる。

(ページ下の表)
図によるまとめの例
行動 環境指標 社会指標 経済指標
木を植える ・木の密度
・林地の面積
…など ・雇用率
・地域社会の巻き込み
…など ・国内総生産
・地域経済への影響
…など

アクティビティの進め方
1. クラスを7つの小グループに分け、各グループに衣料品のような特定の製品を買うかどうかに影響を及ぼす要因をリストアップさせる。(要因としては、何が費やされているか、どこでつくられたか、流行に乗っているか、友人が気に入るかどうか、などが考えられる。)生徒がリストを作った後、それぞれのグループにその要因を社会的、経済的、そして環境的なものに分類させる。

(P.77)
2. グループのメンバーに、それぞれの分野に含まれる要因を共有させる。以下の質問について議論する。

 自分たちの考えた要因を分類するときに、どんな体験をしたか?
 他の要因と比べて分類が簡単だった、あるいは難しかったものはどれか?
 購入する品物という点から見て、どの分野が最も影響を及ぼしそうか?
 私たちが、ある製品を持続的に入手できることを望んだとしたら、どの要因に最も着目するだろうか?
 森林資源は、どんなところが他の製品に似ているだろうか?なぜ森林資源は持続的な管理が求められているのだろうか?

3. 各グループに、森林が持続的に管理されることを保証するために、国がしていると思うことを列挙させる。(例えば、公園として指定する、木を植える、伐採と森林利用に関する法律をつくる、など。)「国は、これらの行動をとることで実際にどんな違いが生じるかを、どのようにして知るのだろうか?」と尋ねる。
4. それぞれのグループに、自分たちが挙げた行動のうちの一つを選び、その行動によって持続可能性が向上していることがわかるような指標を見つけさせる。可能な限り具体的に考え、生態学的、社会的、そして経済的な指標を考慮させる。答えを準備するにあたっては、前ページの例のような図によるまとめを使うことが、グループにとっての一助となるだろう。
5. 生徒用ページ「モントリオール・プロセスの由来」を生徒に読ませる。読む中で、カギとなる言葉と考え方について調べる。モントリオール・プロセスが、(他の森林イニシアチブと同様に)持続可能な森林とは何かを定義し、ある特定の行動が持続可能かどうかを判断するための国際的な取り組みであることを伝える。各グループに検証すべきモントリオール・プロセスの7つの基準を割り当て、生徒用ページ「モントリオール・プロセスの基準と指標」のコピーを配る。
6. 各グループが、その基準の説明、指標のリスト、挿絵や写真を用いたポスターを作り、少なくとも3つの指標について詳しく説明することを伝える。作成の際には、次の点を考慮する。

 この基準は森林の持続可能性とどのような関係があるか?
 (ステップ4で)自分たちのグループが考えた指標と比べるとどうか?
 その指標はこの基準をどれだけうまく測定することができるか?
 抜けているものはないか?
 どの指標が測定しやすいか、またどれが難しいか?

写真キャプション:中央アメリカの熱帯雨林産の木材

7. 各グループに、自分たちのポスターをクラス全体に発表させる。全てのグループの発表が終わった後、次のことについて議論する。「モントリオール・プロセスの目的は何か?なぜ重要なのか?モントリオール・プロセスには何が含まれ、何が含まれていないのか?モントリオール・プロセス(及びその他の森林イニシアチブ)は、世界の森林を持続可能にするために、どのように役立っているだろうか?」
8. 地元の州または地方の森林資源、自然資源、または都市の森林事務所の代表者を招き、森林の持続可能性と、自分たちの住む地域でそれがどのように測定されているかについて、生徒と話をさせる(「準備する」を参照)。生徒に以下のことを考えさせる。

 森林の持続可能性は州レベルあるいは地方レベルで目標とされているだろうか?もしそうなら、それはどのように定義されているか?持続可能性はどのように測定され、モニターされているだろうか?
 どんな要素が、州もしくは地方事務所の森林の持続可能性の扱われ方に影響を及ぼすだろうか?
 地域の人々は、モントリオール・プロセスになじみがあるだろうか?もしそうなら、それはどのように活用されているだろうか?
 これらの人物や組織は、国際的に関連するプロジェクトに賛同しているだろうか。

(P.78)
写真キャプション:中央アメリカの製材所

展開
➢ 別の国あるいは森林地域におけるモントリオール・プロセスについて調べさせる。プロセスを進捗させるためになされていることを調査するために、インターネットや電話での聞き取りを活用する。調査している国や地域が別の森林イニシアチブに参加しているならば、それとモントリオール・プロセスを比較させる。
➢ モントリオール・プロセスや他の森林イニシアチブが、環境問題に関する国際的な議論にどのような影響を与えてきたかを調べさせる。
➢ 森林認証は、ある森林が特定の森林施業基準の下で管理・伐採されていることを認証することにより、持続可能な森林経営を促す仕組みとして推進されてきた。これらの森林で伐採された材は、認証された森林で産出されたことが消費者にわかるようにラベルづけされている。国内及び海外の異なる認証制度について、各制度の原則や基準、潜在的な弱みと強みなどを含めて、生徒に調査・比較させる。地域の企業で働く人々に、認証制度を利用、支持しているか、あるいは反対しているか、それはなぜなのかを尋ねさせてもよい。国連食糧農業機関(FAO)の林業ウェブサイト(http://www.fao.org/forestry/)で、認証制度についての情報へのリンクを調べさせる。
 アメリカにおける認証制度の比較には、家族経営の森林所有者向けのアメリカン・ツリー・ファーム・システム認証(http://www.treefarmsystem.org)、森林管理協議会(http://www.fscus.org)、持続可能な森林イニシアチブ(http://www.aboutsfi.org)、ISO14000として知られる認証手続きを定めた制度を提供している国際標準化機構(ISO、http://www.iso.org)などのウェブサイトを参照する。これらは全て第三者認証の制度である。
➢ 科学技術:モントリオール・プロセスや他の国際的な取り組みには、森林の変化を特定・評価できるように、モニタリングのための正確なデータが要求される。森林資源をモニタリング、管理、利用する際に人々が使用する科学技術について、生徒に調べさせる。森林モニタリング、森林ツール、木材テクノロジーなどのキーワードでインターネット検索させてもよい。
➢ 機会を見つけて、生徒がデータ収集を行う地域または地方の森林資源管理組織・団体とともに、モントリオール・プロセスにおいて欠落している部分を埋める仕事を体験できるようにする。

資料
関連メディア

(P.79)
生徒用ページ「モントリオール・プロセスの由来」

 森林は、世界の陸生動植物の少なくとも70%のすみかであるとともに、木材、薬品、食料、水、仕事などの必要不可欠なものを私たちに提供してくれています。森林はまた、私たちが呼吸している空気もきれいにしてくれます。湖や川からの汚染物質を濾過してくれます。洪水や地滑り、浸食から守ってくれます。森林は、豊かで、柔軟な生態系であると同時に、再生可能な資源でもあります。持続的に管理されていれば、私たちに財やサービスを供給し、動植物種を保全し、将来の世代のためにその環境を安定的に保つことができます。

写真キャプション:ブナの木

 国連の1992年リオデジャネイロ地球サミットにおいて、102ヶ国から集まった世界のリーダーたちは、世界の森林の重要性を強く訴える二つの国際的な宣言を採択しました。森林原則声明は、森林とその持続可能性に関する初めての地球規模の合意文書であり、またアジェンダ21は持続可能な開発に向けた国際的な行動計画です。
 リオデジャネイロでの会議以降、持続可能な森林経営に向けた進捗状況を評価するために、いくつかの国家レベルあるいは国際レベルでの取り組みが開始されました。それらの取り組みの中で最も包括的で、潜在的に最も遠大なものは、地域的かつ国際的な取り組みで、現在では100を超える国々が参加しています。これらの取り組みは、持続可能な森林経営のための条件の基準や分野とともに、それらの基準を判断する、測定可能な兆候である指標についても定めています。その取り組みを支持することで、各参加国は国内のすべての森林の持続可能な経営に向けて行動することを約束したのです。
モントリオール・プロセスは、これらの国際的取り組みの一つであり、世界の温帯林・亜寒帯林のほとんどをカバーする、地理的に最大のものです。1993年9月、亜寒帯林・温帯林の持続可能な開発に関する国際セミナーがカナダのモントリオールで開かれた際に開始されました。セミナーの後カナダは、熱帯林でない森林の基準と指標を開発するために南北アメリカ、アジア、環太平洋の国々を招集しました。地域として別の取り組みを進めるために選ばれたヨーロッパの国々は、汎ヨーロッパ森林プロセスを招集しました。類似の取り組みには、ヨーロッパの森林保護に関する閣僚会合、アマゾン流域国のためのタラポト提案、中央アメリカ、近東、乾燥帯アフリカの地域イニシアチブ、国際熱帯木材機関があります。
モントリオール・プロセスには5つの大陸の12か国が参加しています。アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、中国、日本、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ロシア連邦、アメリカ、ウルグアイです。世界の温帯林・亜寒帯林の90% (熱帯林もありますが)、地球上の全森林の60%、全人口の35%、木材及び木材製品貿易の45%を参加国が占めています。
1995年2月、これら12か国がチリのサンチアゴに集まり、政策担当者、森林経営者、一般の人々に向けた、温帯林・亜寒帯林の保全及び持続可能な経営における7つの基準と67の指標を決定しました。サンチアゴ宣言は、リオデジャネイロで合意された持続可能な森林経営の原則の導入に向けた重要な一歩とされています。
モントリオール・プロセスの基準と指標は、全ての森林の製品、価値、サービスを考慮し、持続可能な森林経営を包括的に捉えています。それらは国内の全ての森林で、全ての土地所有にわたって適用されるとされています。この基準と指標を支持することで、各参加国は、国内の全ての森林の持続可能な経営に向けて努力することを約束したのです。

(P.80)
この基準と指標は、持続可能な森林経営に必須の構成要素について説明するとともに、「森林にとって大切なことは何か?」という根本的な疑問に答えるための枠組みも提供しています。それらは森林を、幅広く、複雑で動的な環境及び社会経済的な便益とサービス群を供給する生態系だと考えています。森林の状態と森林経営における国の傾向のモニタリング・評価に用いられることで、基準と指標は持続可能な森林経営を促進する政策の組み立てに不可欠な情報を提供しているのです。

モントリオール・プロセスの基準
モントリオール・プロセスのワーキング・グループは、温帯林・亜寒帯林の持続可能な経営を特徴づける共通の定義を加盟国に提供する基準と指標の枠組みについて合意しました。モントリオール・プロセスの基準は、それによって森林経営の持続可能性が評価されるであろう条件とプロセスの集まりです。それぞれの基準は、変化が定期的にモニタリングされる、関連する一連の指標で特徴づけられています。これらの基準に関係づけられた67の指標は、変化や傾向を見つけ出すために、その基準を評価したり説明したりする方法なのです。
多くの指標は、国の森林被覆率のような、測定可能なものですが、森林計画、市民参加、投資・課税政策のようにより叙述的なものもあります。全ての指標は、現在の森林の状態についての情報を提供するとともに、長期的には森林の変化を知らせてくれるでしょう。

写真キャプション:アラスカのタイガ森林

同時に、モントリオール・プロセスの7つの基準と67の指標は、持続可能な森林に向けた生態系を基盤としたアプローチと、人間社会の役に立つというニーズを反映しています。それらは、世界の森林経営における国際協力に向けた重要な一歩を意味しているのです。

資料
 
(P.81)
生徒用ページ「モントリオール・プロセスの基準と指標」

 モントリオール・プロセスは、12の国々による持続可能な森林経営とは何かをよりよく理解・定義し、自分たちの進捗状況を測定するための基準を明らかにするための協調した取り組みです。これらの国々は、持続可能な森林経営において重要なことを明らかにした7つの基準とそれに向けた進捗を測定するための67の指標に合意しました。これらの基準と指標を使用するための合意は、自発的なものです。これまでに12ヶ国全てが事前評価を行いました。これらの12ヶ国は以下の通りです。
 アルゼンチン 中国 ニュージーランド
オーストラリア 日本 ロシア連邦
カナダ 韓国 アメリカ合衆国
チリ メキシコ ウルグアイ

基準1:生物多様性の保全
 生物多様性は、生態系の多様性、種間の多様性、種内の遺伝子の多様性の要素を含みます。

指標
生態系の多様性:
1.1 合計森林面積に対するタイプ別の森林面積
1.2 タイプ別、齢級もしくは遷移段階別の森林面積
1.3 国際自然保護連合(IUCN)もしくは他の区分制度によって定められている保護地域の区分におけるタイプ別森林面積
1.4 齢級もしくは遷移段階別の保護区域のタイプ別森林面積
1.5 森林タイプの細分化

種の多様性:
1.6 森林に依存する生物種の数
1.7 法律や科学的な評価によって決定された、生存・繁殖に適した個体数が維持されていない、危機に瀕する森林に依存する生物種の状態(絶滅のおそれあり、希少、危急、絶滅危惧、絶滅)

遺伝子の多様性:
1.8 以前に比べて生息域が小さくなっている、森林に依存する生物種の数
1.9 生息域全体で観察された、多様な生息地にすむ代表種の個体数レベル

基準2:森林の生産性の維持
 生産性とは、木材や他の生産物を生み出す森林生態系の能力のことです。

指標
2.1 森林面積及び木材生産に利用可能な森林の実面積
2.2 木材生産に利用可能な森林の、市場向きと市場向きでない樹種の蓄積
2.3 在来種と外来種の植栽面積と蓄積
2.4 適切とされる体積と比較した木製品の年間消費量
2.5 適切とされるレベルと比較した非木材林産品(例えば、毛皮取扱い業者、野イチゴ、キノコ、狩猟動物など)の年間消費量

(P.82)
基準3:森林生態系の健全性と生命力の維持
 森林生態系の健全性を維持することは、栄養分の循環や種子の散布のような基本的な生態系プロセスが、歴史的な変動の範囲内で営まれることを保証しています。

指標
3.1 歴史的な変動の範囲、例えば昆虫、病気、外来種がもたらす競争、火事、嵐、聖地、永続的な洪水、塩分そして家畜動物、を超えるプロセスや行為者によって影響を受ける森林の面積及び割合
3.2 特定の大気汚染物質(例えば、硫酸塩、硝酸塩、オゾンなど)あるいは森林生態系によくない影響をもたらす可能性のある紫外線Bにさらされている森林の面積及び割合
3.3 基本的な生態学的プロセス(例えば、土壌養分の循環、種子散布、受粉など)及び/もしくは生態学的な連続性(菌類、高木性の着生植物、線虫類、甲虫、スズメバチなどのような重要な機能を果たす種のモニタリング)の変化の指標となる生物的な構成要素が減少した森林の面積及び割合

基準4:土壌及び水資源の保全と維持
 この基準は土壌と水資源の保全をカバーしています。これらの資源を保護すると同時に生み出している森林の機能についても含みます。

指標
4.1 深刻な土壌浸食が起きている森林の面積及び割合
4.2 主に保護的な機能(例えば、流域、洪水からの保護、雪崩からの保護、水辺の区域など)を発揮するために管理されている森林の面積及び割合
4.3 流量や時期が歴史的な変動の範囲から大きく逸脱した森林の集水域にある河川長の割合
4.4 土壌中の有機物が大きく減少した、及び/もしくは他の土壌の化学的な性質が変化した森林の面積及び割合
4.5 人間活動の結果、土壌が大幅に圧縮されたもしくは物理的性質が大きく変化した森林の面積及び割合
4.6 歴史的な変異性の範囲からの生物多様性の大きな分散が生じている森林内の水域(例えば、河川長、湖の面積など)の割合
4.7 歴史的な変異性の範囲から、pH、水溶酸素、化学物質濃度(電気伝導性)、堆積作用もしくは温度の変化が大きく逸脱している森林内の水域(例えば、河川長、湖の面積など)の割合
4.8 残存有害物質の蓄積が生じている森林の面積及び割合

基準5:地球規模の炭素循環への森林の寄与の維持
 森林は、木の成長に伴って炭素を一時的に隔離(蓄積)してくれます。逆に、木が腐ったり燃えたりするときには炭素を大気中に返しています。

指標
5.1 森林生態系のバイオマスと炭素蓄積量の合計、もし適切ならば森林タイプ別、齢級別、遷移段階別の蓄積量
5.2 炭素(バイオマス、粗い木屑、泥炭、土壌中の炭素として存在)の吸収及び放出を含む地球規模の合計炭素収支への森林生態系の寄与
5.3 地球規模の炭素収支への林産物の寄与

(P.83)
基準6:長期的な社会経済便益の維持と増進
 この基準は、生産と消費、レクリエーションとツーリズム、森林分野への投資、文化的・社会的・精神的ニーズと価値、雇用と地域社会のニーズなどの、多様な社会的便益を含みます。

指標
生産と消費:
6.1 下流での加工による付加価値を含む、木材及び木製品の価値と生産量
6.2 非木材林産物の価値と生産量
6.3 人口あたりの消費量を含む木材及び木製品の供給量及び消費量
6.4 国内総生産(GDP;国によって生産された財とサービスの価値の合計)に占める割合としての、木材及び非木材産物の価値
6.5 林産物の再利用の程度
6.6 非木材産物の供給及び消費/利用

レクリエーションとツーリズム:
6.7 全森林面積に対する、一般的なレクリエーションとツーリズムを目的として管理されている森林の面積及び割合
6.8 人口及び森林面積に対する、一般的なレクリエーションとツーリズムに利用可能な施設の数と種類
6.9 人口及び森林面積に対する、レクリエーションとツーリズムに訪れた人日数

森林分野への投資:
6.10 森林の成長、森林の健全性と管理、植林、木材加工、レクリエーション及びツーリズムへの投資を含む投資額
6.11 研究、開発、教育への支出水準
6.12 新しいもしくは改良された科学技術の普及と利用
6.13 投資の還元率

文化的・社会的・精神的ニーズと価値:
6.14 全森林面積に対する、文化的・社会的・精神的ニーズと価値を保護することを目的として管理されている森林の面積及び割合
6.15 非消費的な森林の価値の利用

雇用と地域社会のニーズ:
6.16 森林分野における直接的・間接的な雇用及び全雇用に対する森林分野の雇用の比率
6.17 森林分野の主要な雇用業種における平均賃金及び災害率
6.18 先住民の社会を含む、森林に依存するコミュニティの経済状態を変えることに対する耐性と適応可能性
6.19 生存を目的として利用される森林の面積及び割合

基準7:森林の保全と持続可能な管理のための法的・制度的・経済的枠組み
 この基準は、信頼できる管理、市民意識、所有権その他の社会文化的機能を促進・保護する社会的合意を含みます。

指標
法的枠組み(法律、規則、指針):
7.1 所有権を明らかにし、適切な土地所有協定を提供し、先住民の習慣的・伝統的権利を認識し、正当な手続きによって所有にかかる紛争を解決する手段を提供する。
7.2 関連分野と調整しながら、森林の価値の範囲を評価する定期的な森林計画、評価、政策の見直しに備える。
7.3 森林及び情報へのアクセスに関する公的政策及び意思決定への住民参加の機会を提供する。
7.4 森林経営のベストプラクティスを推進する。
7.5 特別な環境的、文化的、社会的そして/あるいは科学的価値を保全するための森林経営手法を準備する。

制度的枠組み:
7.6 市民を巻き込む活動や市民教育・啓発・普及プログラムを用意するとともに、森林に関する情報を入手できるようにする。
7.7 分野横断的な計画・調整を経た定期的な森林の計画、評価、政策の見直しを保証し、導入する。
7.8 適切な専門分野にわたる人的資源の技術を開発・維持する。
7.9 林産物とサービスの供給を促進し、森林経営を支援する効率のよい物理的基盤を開発・維持する。
7.10 法律、規則、指針を施行する。

経済的枠組み:
7.11 投資及び課税政策と、長期的な投資の性質を認め、市場の予兆と市場を通さない経済的価値、森林からの財やサービスに対する長期的な欲求を満たすための公的政策決定に反応した森林分野への資本の流入及びそこからの流出を認める取り締まり環境
7.12 森林からの生産物の非差別的な貿易政策

変化を測定・モニターする能力:
7.13 基準1-7に関連する指標を測定したり説明したりするのに重要な最新のデータ、統計その他情報の入手可能性とそのレベル
7.14 森林の一覧、評価、モニタリング及び他の関連情報の範囲、頻度及び統計的な信頼性
7.15 指標の測定、モニタリング、報告における他国との共通性

(P.85)
研究・開発を実施、応用する能力:
7.16 森林生態系の特徴と機能の科学的理解の進展
7.17 環境的・社会的費用と便益を測定し、市場及び公的政策に統合する、また森林関連資源の枯渇と補給を国家会計制度に反映させる方法論の発展
7.18 新しい科学技術、及びその導入に伴う社会経済的な結果を予測する能力
7.19 森林への人為の介入による影響を予測する能力の増進
7.20 起こりうる気候変動による森林への影響を予測する能力

出典:(省略)
Appendix A. Glossary
あ~お
Agroforestry (アグロフォレストリー)— the intentional growing of trees on the same site as agricultural crops or livestock.
=農作物や家畜飼育用の土地における集約的樹木栽培のこと

注:耕地の遷移(succession of agricultural land)
人間が衣食住の資源を満たすために、原野や森林、湿原などを、栽培植物や家畜の生育乗って好適な環境に改変、維持管理しているのが農耕地の特徴であり、そこでの遷移(succession)は通常、人間の強い管理下に置かれる点で特的なものである。多くの農耕地では、栽培植物が優先するように、耕起、除草、被覆などによって遷移の初期段階あたりに維持管理されている。行き過ぎた管理は時には浸食による耕土の流出、塩害など遷移初期から生態的退行を生じさせ、不毛の地と化する場合もある。世界中の農業携帯の中には、遷移初期段階とはいえない農業携帯もあり、成熟した遷移系列と思われるような栽培技術もしばしば見られ、とくに熱帯地域ではアグロフォレストリーなどとよばれる。焼き畑は火入れによって一時的な遷移初期状態をつくり、数年間の栽培を行う。遷移が進行しにくくなると、自然の遷移進行に任せ森林を組成させ、再び伐採、火入れを行い栽培するという20~40年間の長い遷移系列のサイクルを繰り返してきた。このような長い休閑期を経た生態系を蘇生させ、一時的に遷移段階にもどし活用する伝統的なルールが、かつては各地にあった。このルールを無視すると、熱帯地域で生じているような森林破壊の元凶に焼畑が取り沙汰されてしまう不幸な事態に至る。(日鷹一雅「生態学事典」2003共立出版)


Subtropical (亜熱帯)— the latitudinal zone between 23.5° and 34.0° in either hemisphere, bordering the tropical zone; also the vegetation, organisms, and climate typical of this zone.
=両半球の熱帯に接する緯度23.5 °~34.0 °間における典型的な植生、生物、気候のこと

Intelligent consumption (インテリジェント・コンサンプション=知的消費?)— the process of making the best choices in products on the basis of information about their environmental and social costs, as well as monetary costs.
=金銭コストと同じように 環境的コスト、社会的コストに関する基本的情報にもとづいて製品の最良の選択の機会を行うプロセス。

Cloud forest (雲霧林)— a tropical forest at high elevations often cloaked by clouds.=熱帯で標高が高く雲で覆われた地帯の森林。
注:
1.山地においてつねに湿度が飽和に近い垂直分布帯を雲霧帯と言い、そこで発達する蘚苔類、シダ、ランなどの着生植物の多い森林のこと 「地理学辞典」
2.山地の雲や霧に覆われる頻度が高い地帯に成立する森林、また、そのような地帯を雲霧帯(cloud belt, cloud zone)という。…雲霧林は普通熱帯または亜熱帯の湿潤地域にあるが、低地に森林が成立し得ない乾燥地域でも、山地には地形性降雨によって成立することがある。(ガラパゴス諸島や東アフリカ)… 相場慎一郎「生態学事典」2003(共立出版)
3.山地において常に湿度が飽和に近い垂直分布帯を雲霧帯といい、そこで発達する。蘚苔類、シダ、ランなどの着生植物の多い森林のこと。主に熱帯山地にみられる。(谷 誠)「森林の百科事典」1996 丸善)

Ecosystem (エコシステム・生態系)— the interacting system of a biological community and its nonliving environment; the place where those interactions occur.
=生物群集および非生物的環境の相互作用システム。両者の相互作用が生じる場所。

Nongovernmental organization (NGO) — an international aid or advocacy group that is not part of any government but is funded by private donations.

Greenhouse effect (温室効果)— the absorbing of the sun’s radiation in the Earth’s atmosphere caused by carbon dioxide, methane, water vapor, and other greenhouse gases. This results in an increase in temperature at the Earth’s surface.
=二酸化炭素、メタン、水蒸気などの温室効果ガス(の増加)によって、大気中の太陽の放射線が吸収される。その結果として地球表面の温度の増加をもたらす。

Greenhouse gases (温室効果ガス)— gases in Earth’s lower atmosphere (troposphere) that absorb radiation. Examples are carbon dioxide, methane, nitrous oxide, and water vapor.
=地球の下層大気 (対流圏) のガス、例えば二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などは(地表からの)放射線を吸収する。

Temperate (温帯)— having a generally moderate climate; the temperate zone is the region between the Tropic of Cancer and the Arctic Circle, or between the Tropic of Capricorn and the Antarctic Circle.
=概して穏やかな気候帯で、北回帰線と北極圏の間、南回帰線と南極圏の間である。

か~こ
Sequester (隔離)— to take up and fix; to store. (See carbon sequestration.)
=炭素隔離を参照

Paper and paperboard (紙および板紙)— all types of raw paper, newsprint, sanitary and household papers, cardboard, and packaging materials.
=未精製の紙、新聞用紙、トイレットペーパーや家庭用の紙、段ボール、包装材料のすべてのタイプ

Global climate change (気候変動)— long-term changes in temperature, moisture, and air mass movements occurring globally.
=グローバルな規模での温度、湿気および空気の質量の動きの長期的な変化のこと

Economics (経済学)— the study of the production, distribution, and consumption of goods and services.
=生産、流通、商品やサービスの消費量に関する研究

Polar (極地)— the zones near or within the Arctic or Antarctic circles; also the vegetation, organisms, and climate typical of this cold, icy region, with average temperatures less than 10° C (50° F).
=北極圏または南極圏周辺および内側。平均気温10℃未満の気候で氷雪地帯の植生、有機体に特徴づけられる

Köppen-Trewartha (ケッペン・トレワーサ)— a classification system for the world’s climates first introduced by German climatologist Wladimir Köppen in 1928 and later modified by American geographer Glen Trewartha. The system divides the world into six major climate regions according to average annual precipitation, average monthly precipitation, and average monthly temperature. Each category is further divided into subcategories according to temperature and precipitation.
=ドイツの気候学者 W.ケッペンにより1928年に初めてもたらされ、後にアメリカの地理学者グレン・トレワーサによって修正された世界の気候分類の体系。この体系は年平均降水量、月平均降水量、そして月平均気温によって世界を6つの主要な気候地域に分ける。 各気候帯は、温度および降水量によって、サブカテゴリーに分けられる。

Primary forest (原生林)— relatively intact natural forest that has remained essentially unmodified by human activity for the past 60–80 years.
=過去60~80年間、人間の活動によって本質的に変更されないままの比較的完全な天然林。
(注:原始林、処女林ともいう。過去に人手が加わらず、重大な災害などの痕跡も残していない森林、その土地の極相の森林であるが、広義には、計画的に伐採されたことがなく、近年に重大な被害も受けていない森林であるといってよい。(只木 良也)「森林の百科事典」(1996)丸善)

さ~そ
Indigenous (在来種)— pertaining to plants, animals, or human cultures that are native to a particular region or country.
=特定の地域や国に固有の植物、動物、または人間文化に関係すること

Gross domestic product (GDP)— the total market value of all final goods and services produced in a country in a given year.

Subsistence (自給自足)— farming or forestry that supports the family without any surplus.
=生産物の余剰のない家族消費を中心とする農業や林業。
(注:自給的農業=subsistence agriculture 生産物を販売するのではなく、主に生産者の家族で消費するために営まれる農業のことで、商業的農業と対比される概念。(西脇保幸「人文地理学辞典」1997 朝倉書店)

Natural community (《植物》自然群落)— the assemblage of native plants and animals, many of which are interdependent, in a given ecosystem, often named for the principal type of vegetation (such as blue oak woodland community).
=しばしば主要な植生タイプ(例えばブルー・オーク群落など)にちなんで命名される特定の生態系における互いに相互依存関係にある植物や動物の集まり。

Sustainable forest management (持続可能な森林管理・経営)— managing forests to meet the needs of the present without compromising the ability of future generations to meet their own needs.
=将来世代の能力を損なうことなく、現在のニーズを満たすために森林を管理すること。

Commodity (商品)— a good or service that is exchanged for money.
=お金で交換できるモノやサービス

Evergreen (常緑樹)— a plant that has foliage that remains green and functional through more than one growing season.
=一成長期間以上を通して(年間を通して)、葉が緑色かつ機能している植物

Afforestation (植林・人工造林)— the planting of trees to create a forest on lands that were not historically forest.
=歴史的に森林でなかった場所にあらたに森林を造成すること
(注1.日本では裸地造林の語があてられ、植林は植栽による森林造成の俗称とされる(「森林の百科事典」共立出版
注2.植栽により森林を造成することの俗称。植林は森林状態でなかったところについて、森林を新たに造成する場合によく使われる。その場合は裸地造林ともいう。植林は造林に似た用語であるが、造林は天然更新も含み、すべての更新に使われる。また造林は更新と保育を合わせて森林管理全体について使われることが多いが、植林は植栽による更新に限って使われるのが普通である。(藤森隆郎)「森林の百科事典」(1996)丸善))

Fuelwood (薪炭材)— logs, branches, and other tree parts that have been harvested or removed for use as fuel for cooking, heating, or power production.
=料理、暖房あるいは動力源の燃料として使用のために収穫されたか削除された丸木、枝および木の部分。)

Conifer (針葉樹)— a tree that bears cones.
=球果をつくる木

Deforestation (森林消失)— the permanent removal of trees from a forested area.
=ある森林地帯から樹木が完全に除去されること

Forest cover (森林被覆・森林率)— the percentage of land that is covered by a forest’s tree crowns.
=森林の樹冠に覆われている土地の割合

Forest management (森林管理・経営)— the proper care and control of wooded land to maintain health, vigor, product flow, and other values (soil condition, water quality, wildlife preservation, and beauty) to accomplish specific objectives.
=健全、成長力、生産物およびそのほか (土壌条件、水質、野生動物保全と美しさなど)の価値といった、 特定の目標を達成するための樹林地の適切なケアと管理。

Forest resource (森林資源)— an unprocessed, raw material (such as logs or mushrooms) derived from a forest ecosystem.
=ある森林生態系から抽出される、加工されない前の原材料

Stewardship (スチュワードシップ)— the concept of responsible caretaking; the concept is based on the premise that humans do not own resources but are managers of resources and are responsible to future generations for their condition.
= 信頼できる世話(レスポンシブル·ケア)の概念。この概念は、人間は資源を所有しないが、資源のマネージャーであり、それらの状態について将来世代に対する責任があるという前提に基づく。

Industrial roundwood (製材)— logs, branches, and other tree parts that have been harvested or removed for all purposes besides fuel and that are still in their rough state; also one category of roundwood.
=丸太、枝、および燃料以外の目的のため、収穫または伐採された荒い状態の丸太。また、丸太の 1 つのカテゴリ。

注。製材業=「主として丸太(そま角、大割材などを含む)を原料として製材機械によって板、角材などの製材を行う」産業をいう。(日本標準産業分類)

Sawnwood (製材品)— wood from logs or branches that has been used to produce lumber, planks, beams, boards, rafters, and the like.
=材木、厚板、梁、板材、垂木などに加工されるために利用される丸太や枝などの木。

Ecological services (生態系サービス)— services that humans derive from environmental functions such as photosynthesis, oxygen production, water purification, and so on.
= 光合成、酸素の生産、浄水などのような環境上の機能から人間が引き出すサービス

Biodiversity (or biological diversity) (生物多様性・生物学的多様性)— the variety and complexity of species that are present and that interact in an ecosystem, plus the relative abundance of each.
=現存する種の種類および複雑さは、ある生態系、およびそれぞれの相対的存在量において相互作用する

Developed countries (先進国)— a term used for industrialized nations in which industry provides most of the national income.
=国民所得の大部分が産業で供給される工業国を指す用語

Open forest (疎林)— a classification of forest according to its density, in which 51–80 percent of the land is covered by tree crowns.
=土地に占める樹冠密度が51–80 パーセントの森林をさす用語
注:樹木のまばらに生えた明るい林。このような森林型は、半乾燥地や森林帯と草原帯の移行帯に見られる。森林ステップやサバナの一部に疎林がある。北米ロッキー山地南部では、山麓にイネ科草本を林床にもち、針葉樹の低木(3~10m)からなる疎林が広がる。シエラネヴァダ山脈の山麓にもマツとナラをまじえた疎林帯があり、これも大陸西部の半乾燥気候に基づくものである。(吉野みどり「地理学辞典」二宮書店)

Reforestation (造林)— renewing forest cover on a cut or burned forest area by seeding or planting.
=播種や植樹によって伐採あるいは火入れされた森林地帯を更新すること。
注1.造林(silviculture)
 林地における更新から保育、伐採にいたる一切の作業技術を含む森林管理の体系的概念。造林は植林と同一的な意味に使われることもあるが、植林が人工林造成の更新段階のみに当てはまる用語であるのに対して、造林は天然更新も含めてすべての更新に使われ、また更新のみでなく、森林の全生育過程を通して育成管理することに使われることが多い。植林は森林状態でないところに新たに森林を造成する場合によく使われるが、森林が伐採されたり、破壊されたあとに森林を更新させることを再造林という。植栽による更新という意味で、植樹造林という用語を使うこともある。(後略)(藤森隆郎)「森林の百科事典」(1996)丸善

た~と
Carbon cycle (炭素循環)— the circulation of carbon in nature. Plants absorb carbon dioxide from the air; by photosynthesis, they convert it to carbohydrates, giving off oxygen as a byproduct. Animals then eat the plants and return carbon to the air by exhaling and through decay.
=自然界における炭素の循環。植物は光合成により大気から二酸化炭素を吸収し、(水と結合し)炭水化物に変換し、副産物として酸素を出す。その後、動物は植物を食べ、呼吸と腐食によって大気に炭素をもどす。

Carbon sequestration (炭素固定)— the removal and long-term storage of carbon dioxide from the atmosphere through the use of natural carbon sinks, primarily in forest trees.
=森林の木の自然な炭素吸収源の活用を介して大気中の二酸化炭素を除去し長期保存すること。

Fragmented forest (断片化した森)— a mosaic of forest and nonforest land.
=森林や樹木のない土地のモザイク状態

Global warming (地球温暖化)— the observed increase in the average temperature of the Earth’s innermost atmosphere.
=地球の地表面近くの大気の平均気温についての観察から得られた変化。

な~の
Secondary growth (or secondary forest) (二次林)— a forest that has been logged or in which shifting cultivation has been practiced but that still contains indigenous trees or shrubs.
=伐採、あるいは焼畑耕作など人手が入った後、自生樹木や潅木からなる森林。
(注1.…天然生林と似た言葉に、二次林がある。二次林も、既往の森林が壊れた跡地が天然力で回復して成立している林だが、元の森林破壊の原因が伐採だけでなく、強風などによる一斉倒壊、土地崩壊、山火事などの災害や事故によるものの全体をいう、原生林が壊れたあとに成立、二次林が壊れたあとに成立、いずれも二次林と読んでいるが、一般にカンバ類やマツ類などのような陽性の樹木が一斉に揃った林の外観を呈するものが代表的で、一旦阻害された遷移の進行が、再び出発した二次遷移の途上の森林である。二次林であっても、その繊維が進んで陰性高木林に類似した段階にまで到達した天然生林に対しては、二次林の語が使われることはほとんどない。(只木 良也)「森林の百科事典」(1996)丸善

Perception (認識)— awareness or understanding.
=気づきや理解のこと

Tropical (熱帯)— lying in latitudes just north or south of the equator between the Tropic of Cancer and the Tropic of Capricorn; also the vegetation, organisms, and climate typical of this zone.
= 赤道の北および南回帰線のあいだの一帯;この一帯における典型的な植生、生物、気候をさす。

は~ほ
Developing countries (発展途上国)— nations in which agriculture provides most of the income and that are also developing the industries that produce manufactured goods for import.
=農業が大部分の収入を提供し、さらに輸入用製品を生産する産業を開発している国々

Habitat (ハビタット)— the area that provides an animal or plant with adequate food, water, shelter, and living space.
=動物や植物に、十分な食糧、水、避難所、および生活空間を供給できる範囲
注1.環境条件からみたある生物が生育している場所。その生物を見つけるにはどのような場所を探せばよいかということである。例えば、シュンランを見つけたい場合には、アカマツ林や落葉広葉樹林内の乾燥ぎみで土壌の深い場所、コクランは常緑広葉樹林中のやや湿った落葉の多いところや、海岸の乾いた砂地、スギ林の林縁などが、ハビタットである。日本中どこでも見られるような分布の広い種ではハビタットを簡潔に記載することが難しいが、分布の狭い種では容易である。(垰田 宏)「森林の百科事典」(1996)丸善

Pulp (パルプ)— a substance that is prepared by chemical or mechanical processes from wood and other materials and that is used in making paper and paper products.
=木や他の材料から化学的または機械的方法により調製された、紙や紙製品の製造に使用される物質。

Plantation (プランテーション)— an area in which trees are grown as a crop, and which was established by sowing or planting.
=木が作物として育てられ、播種や植栽によって確立された地域
注:本来的には西ヨーロッパ諸国の「植民集落」あるいは、熱帯・亜熱帯地域のエステート(企業的大農園)の意であったが、その後、西欧諸国の資本と技術が現地の安価な土地と労働力を組織し、海外市場向けに熱帯・亜熱帯作物を単一栽培する農業システムを意味するようになった。(「人文地理学辞典」1997朝倉書店)

Closed forest (閉鎖林)— a classification of forest based on its density in which 81–100 percent of the land is covered by tree crowns.
=土地の81–100パーセントは樹冠によって覆われる、密度に基づいての森林の分類。
注:林間の閉鎖度は枝葉量の多少によって変わり、日光をほとんど通さないような状態の林を閉鎖林という
注2. 林冠(canopy, leaf canopy, forest canopy)
樹木の枝と葉の集まりである樹冠が、隣接する樹木の樹冠と隙間なく連続している状態、つまり森林の群落表面をおおう枝葉層のことである。林冠の閉鎖度は枝葉量の多少によってかわり日光をほとんど通さないような状態の林を閉鎖林という。隣接樹との間がある状態は疎林冠という。(河原 輝彦)「森林の百科事典」(1996)丸善

Conservation (保全)— the use of natural resources in a way that assures their continuing availability to future generations; the intelligent use of natural resources for long-term benefits.
=将来世代へのそれらの持続的な有効性を保証する方法で天然資源を利用すること。長期的な便益のための天然資源の知的な活用。

Boreal (北方林)— a forest area of the northern and mountainous parts of the Northern Hemisphere.
=北半球の北部および山岳地の森林。
注:北方針葉樹林ともいう

ま~も
Roundwood (丸太材)— logs and other round sections of wood cut from trees and still in their rough or natural state.
=丸太やまだラフな状態で切り出された木材のこと。

Density (密度)— the number of organisms per unit of space.

Woodfuel (木質燃料)— logs, branches, and other tree parts that have been harvested or removed for use as fuel for cooking, heating, or power production.
= 料理、暖房あるいは動力源の燃料として利用するため、収穫または伐採された丸木、枝および木の部分

Wood-based panels (木質パネル)— wood that has been produced into veneers (thin sheets of wood), plywood, particleboard, or fiberboard.
= ベニヤ(木の薄板)、ベニヤ板、パーティクルボード、またはファイバーボードとして加工された木。

や~よ
Export (輸出)— (n) a commodity conveyed from one country or region to another for purposes of trade; (v) to sell or transfer a commodity to another country or region.)

Import (輸入)— (n) a commodity that is brought from another country or region for purposes of trade; (v) to buy or transfer a commodity from another country or region.

Nutrient (養分)— a substance required for growth and development. Plants, for example, need water and minerals in order to grow and reproduce.
One of the organic or inorganic raw materials required for the growth and survival of an organism; e.g., nitrogen, phosphorus, iron, or vitamins. Levin The Prinsceton guide to Ecology.(2009)
= 成長や発育に必要な物質。たとえば植物は、成長と再生産のために水とミネラルを必要とする。生物の成長と生存に必要な有機または無機物のひとつ。たとえば、窒素、リン、鉄やビタミン類

ら~
Watershed (流域・分水界)— the land area that delivers runoff water and sediment to a major river or stream and its tributaries.
=中心河川または流れやその支流に流出水と堆積物を提供する土地の範囲。

Forestry (林学・林業)— the principles and practices for managing, using, and enjoying forests. Forestry includes a broad range of activities: managing timber, fish, wildlife, range, and watershed; protecting forests and timber products from diseases, insects, and fire; harvesting, transporting, manufacturing, marketing, preserving, and protecting wood and other forest products; maintaining water and air quality; and maintaining the well-being of society as it is influenced by forests and other renewable natural resources and their derived products and values.

=森林の管理、利用、楽しむことなどのための理論と実践。林学には幅広い活動が含まれる。すなわち、木材、魚類、野生動物、山脈や集水域等の管理。森林や木の病害や虫害、そして山火事などへの備え。木や森林生産物の収穫、輸送、加工、マーケティング、保護と保全。水や空気の質の点検。森林やその他の再生可能資源と派生製品や価値観に影響され、社会の福利を維持します。

Canopy (林冠・天蓋)— the forest layer formed by the leaves and branches of trees or shrubs. There may be several canopy layers. When used to describe a specific vegetation layer, as in the rainforest, canopy refers to the tallest continuous or nearly continuous layer of leaves and branches.
=高木や低木の葉や枝の集まりである樹冠。そこではいくつかの樹冠の層がある。
熱帯雨林といった、特定の植生層について記述するために使われるとき、林冠(天蓋)は葉と枝の中で最も高い連続的またはほとんど連続的な層をさす。

注:樹木の枝と葉の集まりである樹冠が、隣接する樹木の樹冠と隙間なく連続している状態、つまり森林の群落表面をおおう枝葉層のことである。

Forest product (林産物)— a processed good (such as lumber or paper) made out of raw materials from a forest ecosystem.
=ある森林生態系のもとでの素材で加工された木材や紙などの製品

Forest type (林相)— groups of tree species commonly growing in the same stand because their environmental requirements are similar.
= 環境的な要求事項が類似していることによって、似たような土地で共通して成長する樹種グループ。
注:森林の示す全体像、森林を構成する樹種、作業種、林冠の状態、林齢など種々の要因によって異なる。森林に影響を与えた多数の要因の総合的な結果であって、しかも視覚的にとらえられる姿ということができる。(北村 昌美)「森林の百科事典」(1996)丸善 )