(P.53)
#4 Analyzing Patterns of Forest Change
4.森林の変化のパターンを分析する
自然の力と人間の活動が森林をさまざまに改変します。このアクティビティでは、生徒は森林を変化させる要因についてデータ、地図、その他の情報を使って分析します。彼らは、未来の気候条件について予測し、これらの要因が21世紀の森林をどのように変えて行くかを探ります。
Subjects 科目
地理、化学、社会
Concepts 概念
1.3 地球の大気、水、土壌、気候および地質は、地域ごとに多様で、その結果生物共同体について広範な多様性をもたらしています。
2.8 世界中の人間社会と文化は互いに作用し、それぞれが依存する自然システムに影響を与えます。
4.2 ある生態系における構造およびスケールは、土壌のちがい、気候、水との関係、および人間活動のような要素によって影響されます。
13.4 生態系は成長と継続のパターンを通して長い間に変化します。彼らはまた病気、昆虫、火、天気、気候および人間の仲裁のような他の現象によって影響を与えられます。
Skills スキル
分析する、批判的に考える、データを集めて分析する(Data Gathering and Analysis)、図示する(Graphing)、関係性やパターンを同定する、推論する、計測する、情報を整理する、報告する(Reporting)
Materials 準備物
「地球全体のつながり:世界の森林」ポスター(もしくは世界地図)
「世界の森林ツアー」カード(P.24-30)
生徒用ページのコピー
「世界の森林はどこ?」の図(P.16)のコピー
Appendix Eのコピー
注)コピーする代わりに、生徒用ページの電子データを共有したり、プロジェクターで投影したりしてもよい。
Time Considerations 必要な時間
準備:30分
アクティビティ:
パートA‐50分×2コマ
パートB‐少なくとも発表に50分×1コマ。調査の深度や発表の手法によって変わりうる。
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Mapping Your Community Through Time(「私たちの住む場所」)
Climate Change and Forests(「森林に焦点」)
Objectives ねらい
➢ 生徒が、森林に変化をもたらす様々な力を明らかにする。
➢ 生徒が、森林における地球規模の動向を調査する。
➢ 生徒が、気候変動が地域的にも地球規模でもどのように森林に影響を及ぼすかを研究する。
Assessments 評価
➢ 生徒に、次の質問に対する回答を書かせる;「地球規模の気候変動は、あなたの住む地域の森林にどのような影響を与えているか。」
➢ 生徒に、自分たちの住む地域、地方、州における森林の変化を調査させ、その結果を小冊子、ポスター、スライドその他の手法を用いて視覚的に発表させる。
Background 背景
ある地域で見られる森林のタイプや大きさは、多くの自然の力によって決定されます。それらの力とは以下のようなものです。緯度、気候、地形、標高、土壌のタイプと水はけ、山火事の激しさと頻度、氷河の変遷、病虫害の流行、そしてハリケーン、地震、火山の噴火、地滑りその他その場所における自然災害の頻度。
人間も、何万年にもわたり直接的そして間接的に森林を変化させてきました。森林の周縁部で生活してきた狩猟・採集民が、樹木、潅木、草本の構成に影響を与えるために-もしかすると獲物を引きつけたり、移動を容易にしたりするために-火を利用していたことが、化石という証拠から推定されています。
この150年で、人間の活動は地球規模の気候変動に影響を及ぼしてきました。化石燃料の燃焼や森林伐採などの活動により、地球の大気における二酸化炭素(CO2)の量は、1850年から2010年までの間に35%増加しました。気候モデルによれば、CO2や他の温室効果ガスの増加は地球の大気を暖め、降水量や海面水位、気象パターンに変化をもたらすと予想されています。世界の森林やその他の生態系の位置や大きさ、構造の変化も予想されています。
科学者たちは、歴史を通じて世界中でどれだけの森林が人間活動によって減少してきたかを、様々な方法で評価しています。これらの評価によると、今日の森林の割合は、人間活動がなかったと仮定した場合の50‐80%に留まるとされています。
森林植生を直接減少させる活動
森林の破壊
森林からの樹木の永久的な除去は、様々な理由により生じます。人間が引き起こす森林破壊は、森林の農地や放牧地への転換、開発のための森林の切り開き、水力発電のために森林を水没させることなどが原因となります。世界の多くの地域で、貧困や失業、不公平な土地の分配といった条件により、森林破壊が生じる可能性があります。これらの条件により、土地を持たない農民はほかに生計を立てる手段がないため、農業や牧畜のために森林を切り開くことを余儀なくされるのです。そのほか、間接的な人間による森林破壊として、戦争、汚染、地球規模の気候変動が挙げられます。
(P.54)
森林火災
人間が引き起こす森林火災の件数と激しさは、自然に発生する火災を大きく上回っており、火災による影響に適応している森林生態系にさえ深刻な被害を及ぼす可能性があります。瓦礫を燃やしたり、森林の近くの牧草地や草原を切り開いたり、木材伐採の跡地を燃やしたり、火災の恐れを減らすために下草を一掃したり、一区画の森林を切り開いたりするために定期的に火を入れることによって、制御できなくなり、広範囲にわたる森林への被害を引き起こす可能性があります。定期的な火入れは、熱帯湿潤林における破壊の原因としてますます増加しています。熱帯湿潤林では、ある地域に最初に火を入れることが付加的な火災を引き起こしやすくなるのです。例えば、1980年代から1990年代にかけて繰り返された、インドネシアの人的な火入れによって、インドネシア国内だけでなく近隣のマレーシアやシンガポールにも甚大な環境面および経済面での被害が発生しました。
森林の断片化
道路や宅地の開発、その他の建設工事などにより、森林はより細かな生息地に切り分けられます。この断片化により、生息地の条件にとって好ましくない危機的な状態がしばしば生じるため、生物種の多様性が減少します。例えば、辺縁部では湿度の低下、日照の増加、風の威力の高まりによって、特定の植物種が生き延びることが困難になったり、動物たちが食料や隠れ家を見つけることが難しくなったりする可能性があります。また断片化によって移住の経路が途絶えたり、在来でない生物種の新たな侵入場所ができたりする恐れもあります。さらに、道路の建設によって狩猟や木材伐採、土地の開発その他の森林生態系を改変するような活動を行うための森林へのアクセスが、より容易になります。
森林植生を直接的に増加させる活動
森林再生
森林再生は、かつて森林が切り開かれたり燃やされたりした場所に、苗木や種子を植えることです。人々は、森林生産物のための造林といった商業的な目的で、森林の再生を決定することもあるし、レクリエーションや動植物の生息地保全のために、自然の森林を再びつくりあげたいと考えることもあるでしょう。ブラジル・リオデジャネイロのTijuca森林は、世界最大の都市型森林です。コーヒー栽培のプランテーションのために切り開かれ、浸食が深刻な脅威となった後、1800年代に再造林されました。
植林
植林は、かつて何もなかった場所に森林をつくっていくプロセスです。ウルグアイは、広範囲にわたる植林計画を有する国の一つです。利益率の良くない農業や牧畜を、利益率の高い代替策に転換することを目的として、ウルグアイの造林地は木材やパルプ用材(製紙用)、燃料材を供給しています。植林は通常、多くの人間の介入と管理を必要とします。
(写真キャプション)メキシコ・Coahuilaでの浸食防止のための森林再生活動
脚注
1. 世界資源研究所ほか 2000,91
2. 世界資源研究所ほか 2000,90-2
準備する
Part A
「世界の森林ツアー」カードをコピーし、切り離す。生徒用ページ「ケニアで木を植える」をコピーする(もしくは、関連メディアの項で代替物を探す)。
Part B
「世界の森林はどこ?」の図(P.16)、及び参考資料としてAppendix E、生徒用ページ「国別の森林の変化」をコピーする(www.plt.orgで、カラー版の地図が入手できる)。
Part C
生徒用ページ「世界の森林の変化」、「森林、気象と気候:予報とは何か?」、「地域的な傾向と予想」をコピーする。
(P.55)
アクティビティの進め方
Part A-森林の変化の原因を発見する
1. 生徒に「時間とともに森林はどのように変化するでしょうか?ある特定の地域の森林はどんな要因によって変化するでしょうか?」と尋ねる。二人一組にして、できるだけ多くの要因を表に書き出させる。
2. 二つのタイトル「自然の要因」、「人為的な要因」を黒板に示し、生徒に以下の質問をする。
表の中のどれが「自然の要因」に該当するか(黒板に生徒の考えを書き出す。降雨、山火事、昆虫、土壌などの要因が考えられる)。
どれが人為的な要因にあたるか(生徒の考えを書き出す。農業、木材伐採、都市開発、人口増加、植林、新しい公園の建設などが考えられる)。
どの要因が森林の変化に最も大きな影響を及ぼすか。
「自然」と「人為」の複合的な要因によって森林の変化が起こるケースはあり得るか。
3. 生徒を少人数のグループに分け、「世界の森林ツアー」カードを配る。カードを読み、そこに書かれた活動がどのように森林を変化させるかについて話し合わせる。ある特定地域の森林の構成や大きさを変えると思われる活動を明らかにさせる。その影響は大きいか小さいか、地域的なものか地球規模のものかを推測させる。
4. 生徒用ページ「ケニアで木を植える」を配る。二人の生徒にそのお話を朗読させる-一人はインタビュアー、もう一人はワンガリ・マータイ氏の役になる。(代わりに、インタビューのビデオを見せたり、音声を聞かせたりしてもよい。関連メディアの項目を参照のこと。)
5. 個人としてあるいはグループとして、地域社会や州の中で木を植え、守るためにどのように行動するか尋ねる。自分たちの住む地域の中で、グリーンベルト運動に類似した目的や活動を有している人々や組織を見つけさせる。
Part B-森林の変化を図化する
1. (Part Aより)森林がなぜ、そしてどのように時間とともに変化するかをもう一度考える。
2. 「世界の森林はどこ?」の図のコピーを配布する。ポスターあるいは世界地図上のそれぞれの国の位置を指摘させる。
3. 図に示された各国の森林が減少しているか、増加しているか、それとも同じくらいの広さを保っているかを生徒に考えさせる。クラスを少人数のグループに分け、それぞれの国に-(減少)、+(増加)、0(増減なし)の記号で自分たちの予想を記入させる。(わからなければ?をつけてもよい。)各グループの予想とその理由をクラス全体で共有する。
4. 各グループにリストの中から一つの国を割り当てる。生徒用ページ「国別の森林の変化」とAppendix Eのコピーを配る。Appendix Eの情報を利用し、生徒用ページの上半分を完成させる。その変化の割合をプラスかマイナスで確実に述べられるようになる必要があることを指摘する。生徒は、これらの情報と2.で行った予想とを比較する。
5. Appendix Eのコピーを使って、生徒グループの半分には最も森林面積を増やした国を、残りの半分には最も森林面積を減らした国を探させる。それぞれのグループは自分たちの「上位10か国」リストを作り、割り当てられた方に従って、減少や増加が小さなものから大きなものまで順位づけする。
6. 次に、増加と減少のグループ同士で組になる。テレビのゲーム番組のように、森林増加のグループからリストの国を低い方から順に一つずつ発表し、森林減少グループの生徒は次にどの国がくるか予想する。その後、今度は森林増加グループが減少グループの順位を予想する。
7. 自分たちの「上位10か国」リストと、生徒用ページ「国別の森林の変化」の地図とを比較させる。以下の点について話し合う。
集めた情報は地図の上に表現されているだろうか?(地図は、最も増加した国と減少した国を示しているが、「上位10か国」の体裁にはなっていない。)
(P.56)
この地図は各国の森林の減少と増加を正確に表していると考えるだろうか?
国の大きさ-あるいは地図上の影や色-は、見えているものにどんな影響を与えるだろうか?
これらの情報は、これと違った方法でどのように地図化あるいは可視化できるだろうか?
森林に関するこの種の情報を説明するのに図や表を用いることの利点と欠点は何だろうか?
写真キャプション:ケニアのアカシアの木
Part C-森林、気象と気候:予報ではどうなる?
1. 自分たちの住む地方の、典型的な冬と夏の状況について説明させる。彼らの答えを利用して、気象と気候の違いについて議論させる。気象は、気温や湿度、降水、雲の様子、風、気圧などの短時間での変化をいい、気候とは長期間にわたる平均的な気象を指すことを説明する。
2. 生徒用ページ「森林、気象と気候:予報ではどうなる?」を配る。典型的な冬と夏における自分たちの住む地域の森林の様子を想像させる。地域において、これらの季節が何月に始まり何月に終わるのかを決めさせ(例えば、11月から2月まで)、「現在の状況」のところに記録させる。地域の観光局、ニュース、アメリカ気象局のウェブサイトなどを利用して、この部分の残りの質問にも答えられるよう生徒を支援する。
3. 気象と気候の両方によって、森林は地域的そして地球的な規模で形作られること、未来に対してもこれらの要素はそうあり続けることを生徒に思い出させる。次の点について話し合う。
気象および気候が未来の森林にどのような影響を与えるのかを知ることが、なぜ重要なのだろうか?(どのように対処すべきか、計画を立てる助けになる。)
誰がこれらの情報を活用するだろうか?(政府、企業、個人、家族、そして森林を守る責任を有する様々な団体が、これらの情報を用いて環境、社会、経済といった異なる目的についての意思決定を行っている。)
日常生活の中で、どのような未来に関する予報や予想を用いているだろうか?(生徒は例えば、「来年卒業するつもりだ。」、「スポーツで自己ベストを記録する。」などというだろう。)
予想は、自分の意思決定にどのような影響を及ぼすだろうか?
未来に関する予想は常に信頼できるだろうか?(否)
どのような要素があれば、予想が正しい、あるいは妥当であるといえるだろうか?(事実の綿密な調査に基づく、誤りの可能性を考慮する、など。)
4. 生徒用ページ「地域的な傾向と予想」のコピーを配る。自分たちの住む地域の気象と気候に関する予想を、注意深く読ませる。生徒用ページ「森林、気象と気候:予報とは何か?」についてのこれらの情報の要約を「予想される未来の状況」の項に記録させる。(代わりに、グループ別にアメリカや世界の別の地域のことを調べさせてもよい。)
5. 少人数のグループに分け、「予想された未来の状況」と、「現在の状況」に書かれた情報を比較する。気象や気候の変化が、自分たちの地域の森林にどんな影響を及ぼすかについて、自分たちの考えを話し合わせる。例えば、山火事のリスクが高まることや、雪が少なくなること、野生生物の繁殖期が早まることなどが挙げられるだろう。出てきた考えを「森林への影響」に記録させる。
6. 生徒に「時間とともに起こるこれらの森林の変化を観測するためには、気温や降水量の変化に加えて、どのようなデータを収集すればよいだろうか?」と尋ねる。(例えば、川の流量と水位、鳥が渡ってきた日や花が咲いた日、葉っぱが高揚したときや初霜、初雪など。)これらの情報はどのように集めたらよいか、また、時間とともにどんなパターンが観測されるかについて話し合う。
展開
職業:地域の樹木園、野生生物保護区、研究林、科学センターなどから自然に関する仕事をしている人を招待し、年間の「生物種数」、降雨量その他の情報のような、地域の環境に関する長期間のデータを共有してもらう。生徒は、観測がどのように行われているか、集めたデータや歴史的な記録は信頼できるかどうか、どんなパターンが現れたか、そして未来の気象や気候の変化が地域の森林のどのような影響を及ぼすか、などを尋ねることができる。
地域の森林が地質学的な時間の中でどのように変化してきたか、生徒に調査させる。例えば、アリゾナ州中部は今、サボテンが点在する乾燥地域だが、2億2,500万年前はほぼ200フィートに達するような針葉樹がそびえる、青々と茂った森林だった。この地域はかつては赤道に近く、「パンゲア」という超大陸の南西端に位置していたが、それが分裂して現在の大陸になったのである。
森林歴史協会が開発した「もし木が話せたら-森林から農場・都市林へ」という生徒向けアクティビティを通して、長期間にわたる森林の変化を探究する。http://www.foresthistory.org/Education/Curriculum/Activity/activ6/activ6.htmlでダウンロードできる。
科学技術:「世界の森林ツアー」のカードを、似通った影響を与えるものでグループ分けし、森林に及ぼす共通の影響について説明するスライドショー、ビデオ、アニメーション、三次元模型などをつくる。
資料
読み物
関連メディア
(P.58)
生徒用ページ「ケニアで木を植える」
平和賞受賞者ワンガリ・マータイ氏との対話
2005年1月25日のNewsHourより(Jim Lehrer)
「私は、特に若い人たちにこの賞を励みにしてほしいと思います。どんな制約に直面しようとも、共益に奉仕する未来には希望があります。私が経験から教わったのは、他人に奉仕することで、他では得られない特別な報酬が得られるということです。(2004年ノーベル平和賞を受賞した際の、ワンガリ・マータイ氏のスピーチより)
Jeffrey Brown(JB):30年前、ワンガリ・マータイは一途な考えをもっていた。木を植えること。それは、彼女の母国ケニアと、アフリカや開発途上国の多くの地域の貧しい人々の生活に影響を及ぼす、次第に深刻化する問題(森林破壊、土壌の浸食、水不足その他の環境の悪化など)への答えだった。
マータイは奨学金を得てアメリカの大学に入学し、ケニアで生物学の博士号を取得した。1970年代、彼女はグリーンベルト運動を創始し、主に貧しい、地方の女性たちと一緒に活動し、彼女たちは在来種の苗木を植えることで少額ではあるが給与を与えられた。
彼女はしばしば、州が後ろ盾になった土地の開発や政府の汚職との戦いを先導し、20年以上にわたりケニアを支配したDaniel Arap Moiから、一時期「狂気の女性」と呼ばれた。彼女は数回にわたり暴力を受けたり逮捕されたりした。しかし、彼女の運動により3,000万本もの木が植えられ、何千もの女性に仕事と収入が与えられ、それがアフリカの他の地域へ、そして世界へと広がって行った。12月の始め(2004年)のノルウェー・オスロでの式典において、64歳のマータイはノーベル平和賞を受賞した初めてのアフリカ人女性になった。私たちは、彼女が先日ニューヨークを訪問した際に話をした。
あなたの名前が最初に発表された時、なぜ環境活動家が平和賞を受賞するのか疑問に思った人たちもいました。環境と平和とのつながりはどこにありますか?
ワンガリ・マータイ(WM):そうですね、ノルウェーノーベル委員会が通常注視している分野ではないので、そのような疑問があるのは驚くことではありません。しかし、世界に目を向けたとき、彼らは本当に重要な転換を実行しました。人々はいったい何と戦っているのでしょうか?
彼らは水を巡って争っているのです。土地を巡って争っているのです。放牧地を、農地を巡って争っているのです。資源を巡って争っているのです。これらの資源の管理は、この地球ではそれらが限りあるものであるために非常に、非常に大切なことなのです。これらの資源を、特に国のレベルで公正に共有することは、非常に重要です。
JB:グリーンベルト運動について書かれたあなたの本を読んで心を打たれたことの一つに、あなたの活動が女性の毎日の生活に非常に深く結びついていることがあります。もはや近くに森林がないために、女性は薪をとりにより遠くまで歩かなければならない、ということに思い至りました。
WM:私が活動を開始したとき、そのようなビジョンを持っていたわけでもないし、今私たちが知らしめている目に見えるつながりを持っていたわけでもないということを、人々が理解することが重要です。
私は単に、1970年代初めの国民女性会議で、薪が、食糧が、土壌を安定させることが、柵をつくる資材が、建築資材が、家畜の飼料が必要だと、メンバーの女性に訴えていた、地方の女性たちのグループのニーズを満たす活動を始めただけです。
私たちのところでは、環境が悪化したとき、薪がなくなったとき、水がなくなったとき、食糧がなくなったとき、ふつうまず女性がそれに気がつくのです。
(P.59)
JB:あなたの社会では、女性により力を与えようとするこのような取り組みに対して、多くの抵抗がありませんでしたか?
WM:はい。驚いたことに、抵抗がありました。そして最終的に、抵抗がある理由は、これらの資源は実際のところ、国を支配しているわずかな人々の手にあるからだということを理解しました。
抵抗しているのは木材を利用する人たちでした。抵抗しているのは…森林を私有化したいと考える人たちでした。水を売ったり、統制したりする人たちでした。市街地や都心部に施設を所有する人たちでした。
JB:このことが理由で、あなたは環境に対するニーズから民主主義に対するニーズへとまっすぐに向かっていったのですね。
WM:その通りです。まさにその時、どのような場所であっても、政治がだめならば環境を守ることは非常に難しいということ、人々のニーズに応えられる政治が必要なこと、人々の声に耳を傾ける政治が必要なこと、に気がついたのです。しかしまた、指導者を恐れず、彼らに責任感をもたせることができ、環境が守られるよう要求することができ、人間の権利の中には、環境に関するものも含まれることを理解するくらい、十分な権限を与えられた人々、市民も必要なのです。
人は、清潔で健康的な環境を求める権利を有しています。きれいな水を飲める権利を有しています。新鮮な空気と、汚染されたり有害物質が入ったりしていない食料を摂取する権利を有しています…
JB:さて、私が読んだあなたに関する記事のすべてにおいて、あなたは常に「率直」で「頑固」だと書かれています。あなたの息子の一人は、あなたが「内なる火」をもっていると言いました。それはどこから来るのですか?
WM:そうですね、ほぼ5年半にわたりアメリカで勉強する特権を得たことによって、非常に励まされましたし、心に火がつけられたと考えています。自由を希求する思想を吸収しました。そして、私にとって国に帰ることは非常に難しいことでした。そこで私は、自分がアメリカで経験したことを伝えるとともに、自由を狭め、私が自分自身を表現したり、知っていることを共有したり教えたりすることを妨げようとする自国の人々と対峙しなければならなかったからです。
それは、私の内部から湧き上がる炎だと思います。私は自由というものをたっぷりと吸収しました。アメリカに住んで、自由なしで生きていくことはできないでしょう。
JB:活動を始めてから現在までの間に、大きな変化がありましたか?あなたの活動は効果があったと感じていますか?
WM:そうですね、もし政府の支援が得られていたなら、もしもそうできる自由と運動組織が与えられていたなら、この30年間でもっと多くのことを成し遂げることができたことは間違いないでしょう。しかし、私たちは確かに多くのことを達成しました。とりわけ、あなたは力をつけた人々をとりあげていますが、彼らは、自分たちの住む環境の中で周りにある資源を活用しながら、自分たちの生活を自分たちで変えることができると感じています。とても素晴らしいことです。このような変化、達成感や満足感が他の人々にも感じられるようになることは本当に素晴らしいことです。
JB:ワンガリ・マータイさん、あらためておめでとうございます。お話を聞かせていただいてありがとうございました。
WM:お招きいただいてありがとうございました。
音源(略)
(P.60)
生徒用ページ「国別の森林の変化」
「国別の森林面積とその変化」の表からの情報を使って、割り当てられた国に関する以下の情報を完成させなさい。
1. 国名
2. 2010年現在の森林面積(単位:1,000ha)
3. 年間変化率:
2005年~2010年に増加した/減少した森林面積(単位:1,000ha)
2005年~2010年の変化率(%)
4. 下の地図が表すものと比較してどうか。
(P.61)
生徒用ページ「森林、気象と気候:予報とは何か?」
現在の状況
冬
・何月から何月までが冬と考えられるか?
・これらの各月の最高/最低気温は何度か?
・これらの各月の最多/最小降水量はどのくらいか?
・この季節の森林はどんな様子か?
・この季節には、どんな森林レクリエーションが行われているか?
・この季節にはどんな気象現象(嵐、洪水、干ばつなど)が起こるか?
夏
・何月から何月までが夏と考えられるか?
・これらの各月の最高/最低気温は何度か?
・これらの各月の最多/最小降水量はどのくらいか?
・この季節の森林はどんな様子か?
・この季節には、どんな森林レクリエーションが行われているか?
・この季節にはどんな気象現象(嵐、洪水、干ばつなど)が起こるか?
(P.62)
予想される未来の状況
・あなたの住む地方
・予想の要約(生徒用ページ「地域的な傾向と予想」を参考に)
森林への影響
予想される気象や気候により、あなたの住む地方の森林はどんな影響を受け、あるいは変化するだろうか?
(P.63)
生徒用ページ「地域的な傾向と予想」
以下の傾向と予想は、アメリカ合衆国の各地方について、地球規模の気候変動で予想される影響をまとめたものである。
北東部:北東部の年平均気温は1970年以降2°F上昇した。冬はこの2倍の上昇である。温暖化によって、猛暑の日の増加、植物の成長期の長期化、激しい降雨の増加、冬の降雪の減少と降雨の増加、雪塊氷原の減少、湖や川の氷が溶ける時期の早まり、春の雪解けが早まったことによる川の流量増加の早まり、海水面温度の上昇、海水面の上昇といった、多くの気候にかかわる変化が生じている。このような傾向は今後も続くと予想され、低排出量シナリオに比べ、高排出量シナリオではより劇的なものになると考えられる。この地方で予想される気候の変化が拡大すると、地方の経済、景観、特性、生活の質を大きく変えてしまう可能性もある。
南東部:南東部の年平均気温は1970年以降2°F上昇した。冬の月の上昇が最大である。この地方のほとんどの地域で、秋の降水量が30%増加したが、南フロリダでは減少した。夏の降水量はほぼ地方全体にわたって減少した。中程度から大規模の干ばつがこの
地方で起こった割合は、この30年間で増加した。激しい降水は増加した。大西洋で発生したハリケーンの威力は1970年以降増大したが、これは海水面温度の上昇と関連づけられている。
グレートプレーンズ:この20~30年、グレートプレーンズ全体の平均気温は上昇してきた。冬の季節と、北部の州での上昇が特に大きい。相対的に寒い日が減少し、暑い日が増加してきている。将来的に、気温上昇は継続し、低排出量シナリオに比べ高排出量シナリオではより大きな変化をもたらすと予想される。グレートプレーンズ南部及び中央部では、冬よりも夏の気温上昇が大きいと予想される。降水量も、特に冬と春に変化すると予想される。大気の状態は北部ではより湿潤に、南部ではより乾燥すると予測される。熱波、干ばつ、激しい雨のような異常気象がより頻発すると考えられている。
中西部:中西部の平均気温はこの20~30年間上昇している。冬の気温上昇が大きい。主に春先の最後の霜の日が早まったことにより、霜のない、成長期間が一週間延びた。激しい降雨の頻度は100年前の2倍になっている。降水量は、夏も冬も過去30年間の平均を上回っており、この100年間で最も雨の多い時代である。中西部は、この15年間に記録的な洪水を二度も経験した。また、五大湖を含む湖の氷の量が減少した。1980年代以降、大規模な熱波の頻度は、1930年代のダストボウルの時期を除き過去100年間で最大になっている。現在観測されている気温上昇と降水量の変化のパターンは今後も継続し、高排出量シナリオではより大きなものになることが予想されている。
北西部:北西部の年平均気温は過去100年間で全体的に1.5°F上昇した。最大4°F上昇した地域もある。この地方の平均気温は今後100年間で更に3~10°F上昇すると予想されており、高排出量シナリオではこの範囲の最大値になると考えられている。気温の予測ほど確実性は高くないものの、冬の降水量増加と夏の降水量減少も多くの気候モデルで予想されている。雪塊氷原、河川の流量、海面水位、森林、及びその他北西部での生活の重要な側面における変化に関連する影響は、既に生じてきており、継続的かつ加速する温暖化に呼応して、今後10年間でより深刻なものになることが予想されている。
南西部:南西部における近年の温暖化は、この国の中で最も急速な部類に入る。春の雪塊氷原とコロラド川の流量の急速な減少である。将来の気候予測では、この地方での強力な温暖化が、低排出量シナリオに比べて高排出量シナリオではより激しく、継続することが述べられている。夏期の気温上昇はこの地方の年平均気温の上昇を上回り、拡大する都市のヒートアイランド現象により更に大きくなる傾向を見せている。さらにまた、水循環の変化も予想され、それは気温の上昇と結びついて、今後数十年~百年にかけての深刻な水供給の課題の前兆となっている。温暖化により今後干ばつがより深刻化するだろうという予測は、特に南西部がこの国の人口増加を引っ張っている地方であるだけに、重大な懸念となっている。
沿岸部:地球規模でみると海面水位は、温暖化が引き起こす海の拡大、世界の氷河の大部分で加速する融解、グリーンランドと南極の氷床の消失により既に上昇してきている。現在も海面水位は加速度的に上昇している。温暖化する気候により、今後100年からそれ以上にわたって更に海水面は上昇するだろう。海水面の上昇は既に沿岸部を浸食し、湿地を水浸しにし、家屋やビジネス、インフラを脅かしている。大西洋で発生する破壊的なハリケーンの可能性は、海水面の温度上昇に伴ってこの数十年間で上昇している。今後数十年間で、ハリケーンによる降雨と風速は、地球温暖化に伴って上昇することが見込まれる。沿岸部の水温が上昇し、海の生物種の分布も変化してきている。海水が二酸化炭素を吸収する結果生じる海の酸性化により、サンゴ、貝やその他炭酸カルシウムで殻や骨格が形成されている生物の生存が脅かされる。これらの影響は沿岸部に集中するとともに相互に関連しており、この地域を気候変動の影響に特に敏感なものにしている。
島嶼部:気候変動は、アメリカに関連する島々に独自の課題を突きつけている。小さな島は、海面水位の上昇、沿岸部の浸食、強烈な気象現象、サンゴ礁の白化、海の酸性化、海水の真水への混入の影響をもろに受ける。島嶼部はこの数十年間、、気温と海面水位の上昇を経験してきた。今世紀中の予測として、太平洋とカリブ海の双方で気温と海水表面温度の上昇が続き、カリブ海では降水量が減少し、ほぼすべての場所で激しい降雨の頻度が増加し、太平洋の島々では(平年の雨季である冬よりもむしろ)夏の降水量が増加するといわれている。ハリケーンの風速と雨量は温暖化の継続により増大するだろう。島の沿岸部は、海水面上昇や嵐による波のために浸水するリスクが高まり、沿岸部の地域社会、インフラ、野生生物の生息地、資源に大きな影響を及ぼすだろう。
アラスカ:過去50年間にわたり、アラスカはアメリカの他地域の2倍以上の割合で温暖化してきた。年平均気温は3.4°F、冬季は6.3°Fも上昇した。気温の上昇により、春の雪解けの早まり、海氷の減少、広範囲にわたる氷河の後退、永久凍土の温暖化などが既に生じている。観測されたこれらの変化は、この国の他地域よりもアラスカにおいて、特に冬に温暖になると予測した気候モデルに一致する。気候モデルはまた、アラスカにおける降水量の増加も予測している。しかし、気温上昇による蒸発量の増加が同時に起こるため、土壌中の水分が減少し、全体として乾燥化に向かうことが予想される。今世紀末までに、年平均気温は5~13°F上昇する。低排出量シナリオではこの範囲の下限、高排出量シナリオでは木の葉にの上限になると予測されている。
出典(略)
#4 Analyzing Patterns of Forest Change
4.森林の変化のパターンを分析する
自然の力と人間の活動が森林をさまざまに改変します。このアクティビティでは、生徒は森林を変化させる要因についてデータ、地図、その他の情報を使って分析します。彼らは、未来の気候条件について予測し、これらの要因が21世紀の森林をどのように変えて行くかを探ります。
Subjects 科目
地理、化学、社会
Concepts 概念
1.3 地球の大気、水、土壌、気候および地質は、地域ごとに多様で、その結果生物共同体について広範な多様性をもたらしています。
2.8 世界中の人間社会と文化は互いに作用し、それぞれが依存する自然システムに影響を与えます。
4.2 ある生態系における構造およびスケールは、土壌のちがい、気候、水との関係、および人間活動のような要素によって影響されます。
13.4 生態系は成長と継続のパターンを通して長い間に変化します。彼らはまた病気、昆虫、火、天気、気候および人間の仲裁のような他の現象によって影響を与えられます。
Skills スキル
分析する、批判的に考える、データを集めて分析する(Data Gathering and Analysis)、図示する(Graphing)、関係性やパターンを同定する、推論する、計測する、情報を整理する、報告する(Reporting)
Materials 準備物
「地球全体のつながり:世界の森林」ポスター(もしくは世界地図)
「世界の森林ツアー」カード(P.24-30)
生徒用ページのコピー
「世界の森林はどこ?」の図(P.16)のコピー
Appendix Eのコピー
注)コピーする代わりに、生徒用ページの電子データを共有したり、プロジェクターで投影したりしてもよい。
Time Considerations 必要な時間
準備:30分
アクティビティ:
パートA‐50分×2コマ
パートB‐少なくとも発表に50分×1コマ。調査の深度や発表の手法によって変わりうる。
Related Activities in Other PLT Guides 他のPLTテキストに掲載された関連アクティビティ
Mapping Your Community Through Time(「私たちの住む場所」)
Climate Change and Forests(「森林に焦点」)
Objectives ねらい
➢ 生徒が、森林に変化をもたらす様々な力を明らかにする。
➢ 生徒が、森林における地球規模の動向を調査する。
➢ 生徒が、気候変動が地域的にも地球規模でもどのように森林に影響を及ぼすかを研究する。
Assessments 評価
➢ 生徒に、次の質問に対する回答を書かせる;「地球規模の気候変動は、あなたの住む地域の森林にどのような影響を与えているか。」
➢ 生徒に、自分たちの住む地域、地方、州における森林の変化を調査させ、その結果を小冊子、ポスター、スライドその他の手法を用いて視覚的に発表させる。
Background 背景
ある地域で見られる森林のタイプや大きさは、多くの自然の力によって決定されます。それらの力とは以下のようなものです。緯度、気候、地形、標高、土壌のタイプと水はけ、山火事の激しさと頻度、氷河の変遷、病虫害の流行、そしてハリケーン、地震、火山の噴火、地滑りその他その場所における自然災害の頻度。
人間も、何万年にもわたり直接的そして間接的に森林を変化させてきました。森林の周縁部で生活してきた狩猟・採集民が、樹木、潅木、草本の構成に影響を与えるために-もしかすると獲物を引きつけたり、移動を容易にしたりするために-火を利用していたことが、化石という証拠から推定されています。
この150年で、人間の活動は地球規模の気候変動に影響を及ぼしてきました。化石燃料の燃焼や森林伐採などの活動により、地球の大気における二酸化炭素(CO2)の量は、1850年から2010年までの間に35%増加しました。気候モデルによれば、CO2や他の温室効果ガスの増加は地球の大気を暖め、降水量や海面水位、気象パターンに変化をもたらすと予想されています。世界の森林やその他の生態系の位置や大きさ、構造の変化も予想されています。
科学者たちは、歴史を通じて世界中でどれだけの森林が人間活動によって減少してきたかを、様々な方法で評価しています。これらの評価によると、今日の森林の割合は、人間活動がなかったと仮定した場合の50‐80%に留まるとされています。
森林植生を直接減少させる活動
森林の破壊
森林からの樹木の永久的な除去は、様々な理由により生じます。人間が引き起こす森林破壊は、森林の農地や放牧地への転換、開発のための森林の切り開き、水力発電のために森林を水没させることなどが原因となります。世界の多くの地域で、貧困や失業、不公平な土地の分配といった条件により、森林破壊が生じる可能性があります。これらの条件により、土地を持たない農民はほかに生計を立てる手段がないため、農業や牧畜のために森林を切り開くことを余儀なくされるのです。そのほか、間接的な人間による森林破壊として、戦争、汚染、地球規模の気候変動が挙げられます。
(P.54)
森林火災
人間が引き起こす森林火災の件数と激しさは、自然に発生する火災を大きく上回っており、火災による影響に適応している森林生態系にさえ深刻な被害を及ぼす可能性があります。瓦礫を燃やしたり、森林の近くの牧草地や草原を切り開いたり、木材伐採の跡地を燃やしたり、火災の恐れを減らすために下草を一掃したり、一区画の森林を切り開いたりするために定期的に火を入れることによって、制御できなくなり、広範囲にわたる森林への被害を引き起こす可能性があります。定期的な火入れは、熱帯湿潤林における破壊の原因としてますます増加しています。熱帯湿潤林では、ある地域に最初に火を入れることが付加的な火災を引き起こしやすくなるのです。例えば、1980年代から1990年代にかけて繰り返された、インドネシアの人的な火入れによって、インドネシア国内だけでなく近隣のマレーシアやシンガポールにも甚大な環境面および経済面での被害が発生しました。
森林の断片化
道路や宅地の開発、その他の建設工事などにより、森林はより細かな生息地に切り分けられます。この断片化により、生息地の条件にとって好ましくない危機的な状態がしばしば生じるため、生物種の多様性が減少します。例えば、辺縁部では湿度の低下、日照の増加、風の威力の高まりによって、特定の植物種が生き延びることが困難になったり、動物たちが食料や隠れ家を見つけることが難しくなったりする可能性があります。また断片化によって移住の経路が途絶えたり、在来でない生物種の新たな侵入場所ができたりする恐れもあります。さらに、道路の建設によって狩猟や木材伐採、土地の開発その他の森林生態系を改変するような活動を行うための森林へのアクセスが、より容易になります。
森林植生を直接的に増加させる活動
森林再生
森林再生は、かつて森林が切り開かれたり燃やされたりした場所に、苗木や種子を植えることです。人々は、森林生産物のための造林といった商業的な目的で、森林の再生を決定することもあるし、レクリエーションや動植物の生息地保全のために、自然の森林を再びつくりあげたいと考えることもあるでしょう。ブラジル・リオデジャネイロのTijuca森林は、世界最大の都市型森林です。コーヒー栽培のプランテーションのために切り開かれ、浸食が深刻な脅威となった後、1800年代に再造林されました。
植林
植林は、かつて何もなかった場所に森林をつくっていくプロセスです。ウルグアイは、広範囲にわたる植林計画を有する国の一つです。利益率の良くない農業や牧畜を、利益率の高い代替策に転換することを目的として、ウルグアイの造林地は木材やパルプ用材(製紙用)、燃料材を供給しています。植林は通常、多くの人間の介入と管理を必要とします。
(写真キャプション)メキシコ・Coahuilaでの浸食防止のための森林再生活動
脚注
1. 世界資源研究所ほか 2000,91
2. 世界資源研究所ほか 2000,90-2
準備する
Part A
「世界の森林ツアー」カードをコピーし、切り離す。生徒用ページ「ケニアで木を植える」をコピーする(もしくは、関連メディアの項で代替物を探す)。
Part B
「世界の森林はどこ?」の図(P.16)、及び参考資料としてAppendix E、生徒用ページ「国別の森林の変化」をコピーする(www.plt.orgで、カラー版の地図が入手できる)。
Part C
生徒用ページ「世界の森林の変化」、「森林、気象と気候:予報とは何か?」、「地域的な傾向と予想」をコピーする。
(P.55)
アクティビティの進め方
Part A-森林の変化の原因を発見する
1. 生徒に「時間とともに森林はどのように変化するでしょうか?ある特定の地域の森林はどんな要因によって変化するでしょうか?」と尋ねる。二人一組にして、できるだけ多くの要因を表に書き出させる。
2. 二つのタイトル「自然の要因」、「人為的な要因」を黒板に示し、生徒に以下の質問をする。
表の中のどれが「自然の要因」に該当するか(黒板に生徒の考えを書き出す。降雨、山火事、昆虫、土壌などの要因が考えられる)。
どれが人為的な要因にあたるか(生徒の考えを書き出す。農業、木材伐採、都市開発、人口増加、植林、新しい公園の建設などが考えられる)。
どの要因が森林の変化に最も大きな影響を及ぼすか。
「自然」と「人為」の複合的な要因によって森林の変化が起こるケースはあり得るか。
3. 生徒を少人数のグループに分け、「世界の森林ツアー」カードを配る。カードを読み、そこに書かれた活動がどのように森林を変化させるかについて話し合わせる。ある特定地域の森林の構成や大きさを変えると思われる活動を明らかにさせる。その影響は大きいか小さいか、地域的なものか地球規模のものかを推測させる。
4. 生徒用ページ「ケニアで木を植える」を配る。二人の生徒にそのお話を朗読させる-一人はインタビュアー、もう一人はワンガリ・マータイ氏の役になる。(代わりに、インタビューのビデオを見せたり、音声を聞かせたりしてもよい。関連メディアの項目を参照のこと。)
5. 個人としてあるいはグループとして、地域社会や州の中で木を植え、守るためにどのように行動するか尋ねる。自分たちの住む地域の中で、グリーンベルト運動に類似した目的や活動を有している人々や組織を見つけさせる。
Part B-森林の変化を図化する
1. (Part Aより)森林がなぜ、そしてどのように時間とともに変化するかをもう一度考える。
2. 「世界の森林はどこ?」の図のコピーを配布する。ポスターあるいは世界地図上のそれぞれの国の位置を指摘させる。
3. 図に示された各国の森林が減少しているか、増加しているか、それとも同じくらいの広さを保っているかを生徒に考えさせる。クラスを少人数のグループに分け、それぞれの国に-(減少)、+(増加)、0(増減なし)の記号で自分たちの予想を記入させる。(わからなければ?をつけてもよい。)各グループの予想とその理由をクラス全体で共有する。
4. 各グループにリストの中から一つの国を割り当てる。生徒用ページ「国別の森林の変化」とAppendix Eのコピーを配る。Appendix Eの情報を利用し、生徒用ページの上半分を完成させる。その変化の割合をプラスかマイナスで確実に述べられるようになる必要があることを指摘する。生徒は、これらの情報と2.で行った予想とを比較する。
5. Appendix Eのコピーを使って、生徒グループの半分には最も森林面積を増やした国を、残りの半分には最も森林面積を減らした国を探させる。それぞれのグループは自分たちの「上位10か国」リストを作り、割り当てられた方に従って、減少や増加が小さなものから大きなものまで順位づけする。
6. 次に、増加と減少のグループ同士で組になる。テレビのゲーム番組のように、森林増加のグループからリストの国を低い方から順に一つずつ発表し、森林減少グループの生徒は次にどの国がくるか予想する。その後、今度は森林増加グループが減少グループの順位を予想する。
7. 自分たちの「上位10か国」リストと、生徒用ページ「国別の森林の変化」の地図とを比較させる。以下の点について話し合う。
集めた情報は地図の上に表現されているだろうか?(地図は、最も増加した国と減少した国を示しているが、「上位10か国」の体裁にはなっていない。)
(P.56)
この地図は各国の森林の減少と増加を正確に表していると考えるだろうか?
国の大きさ-あるいは地図上の影や色-は、見えているものにどんな影響を与えるだろうか?
これらの情報は、これと違った方法でどのように地図化あるいは可視化できるだろうか?
森林に関するこの種の情報を説明するのに図や表を用いることの利点と欠点は何だろうか?
写真キャプション:ケニアのアカシアの木
Part C-森林、気象と気候:予報ではどうなる?
1. 自分たちの住む地方の、典型的な冬と夏の状況について説明させる。彼らの答えを利用して、気象と気候の違いについて議論させる。気象は、気温や湿度、降水、雲の様子、風、気圧などの短時間での変化をいい、気候とは長期間にわたる平均的な気象を指すことを説明する。
2. 生徒用ページ「森林、気象と気候:予報ではどうなる?」を配る。典型的な冬と夏における自分たちの住む地域の森林の様子を想像させる。地域において、これらの季節が何月に始まり何月に終わるのかを決めさせ(例えば、11月から2月まで)、「現在の状況」のところに記録させる。地域の観光局、ニュース、アメリカ気象局のウェブサイトなどを利用して、この部分の残りの質問にも答えられるよう生徒を支援する。
3. 気象と気候の両方によって、森林は地域的そして地球的な規模で形作られること、未来に対してもこれらの要素はそうあり続けることを生徒に思い出させる。次の点について話し合う。
気象および気候が未来の森林にどのような影響を与えるのかを知ることが、なぜ重要なのだろうか?(どのように対処すべきか、計画を立てる助けになる。)
誰がこれらの情報を活用するだろうか?(政府、企業、個人、家族、そして森林を守る責任を有する様々な団体が、これらの情報を用いて環境、社会、経済といった異なる目的についての意思決定を行っている。)
日常生活の中で、どのような未来に関する予報や予想を用いているだろうか?(生徒は例えば、「来年卒業するつもりだ。」、「スポーツで自己ベストを記録する。」などというだろう。)
予想は、自分の意思決定にどのような影響を及ぼすだろうか?
未来に関する予想は常に信頼できるだろうか?(否)
どのような要素があれば、予想が正しい、あるいは妥当であるといえるだろうか?(事実の綿密な調査に基づく、誤りの可能性を考慮する、など。)
4. 生徒用ページ「地域的な傾向と予想」のコピーを配る。自分たちの住む地域の気象と気候に関する予想を、注意深く読ませる。生徒用ページ「森林、気象と気候:予報とは何か?」についてのこれらの情報の要約を「予想される未来の状況」の項に記録させる。(代わりに、グループ別にアメリカや世界の別の地域のことを調べさせてもよい。)
5. 少人数のグループに分け、「予想された未来の状況」と、「現在の状況」に書かれた情報を比較する。気象や気候の変化が、自分たちの地域の森林にどんな影響を及ぼすかについて、自分たちの考えを話し合わせる。例えば、山火事のリスクが高まることや、雪が少なくなること、野生生物の繁殖期が早まることなどが挙げられるだろう。出てきた考えを「森林への影響」に記録させる。
6. 生徒に「時間とともに起こるこれらの森林の変化を観測するためには、気温や降水量の変化に加えて、どのようなデータを収集すればよいだろうか?」と尋ねる。(例えば、川の流量と水位、鳥が渡ってきた日や花が咲いた日、葉っぱが高揚したときや初霜、初雪など。)これらの情報はどのように集めたらよいか、また、時間とともにどんなパターンが観測されるかについて話し合う。
展開
職業:地域の樹木園、野生生物保護区、研究林、科学センターなどから自然に関する仕事をしている人を招待し、年間の「生物種数」、降雨量その他の情報のような、地域の環境に関する長期間のデータを共有してもらう。生徒は、観測がどのように行われているか、集めたデータや歴史的な記録は信頼できるかどうか、どんなパターンが現れたか、そして未来の気象や気候の変化が地域の森林のどのような影響を及ぼすか、などを尋ねることができる。
地域の森林が地質学的な時間の中でどのように変化してきたか、生徒に調査させる。例えば、アリゾナ州中部は今、サボテンが点在する乾燥地域だが、2億2,500万年前はほぼ200フィートに達するような針葉樹がそびえる、青々と茂った森林だった。この地域はかつては赤道に近く、「パンゲア」という超大陸の南西端に位置していたが、それが分裂して現在の大陸になったのである。
森林歴史協会が開発した「もし木が話せたら-森林から農場・都市林へ」という生徒向けアクティビティを通して、長期間にわたる森林の変化を探究する。http://www.foresthistory.org/Education/Curriculum/Activity/activ6/activ6.htmlでダウンロードできる。
科学技術:「世界の森林ツアー」のカードを、似通った影響を与えるものでグループ分けし、森林に及ぼす共通の影響について説明するスライドショー、ビデオ、アニメーション、三次元模型などをつくる。
資料
読み物
関連メディア
(P.58)
生徒用ページ「ケニアで木を植える」
平和賞受賞者ワンガリ・マータイ氏との対話
2005年1月25日のNewsHourより(Jim Lehrer)
「私は、特に若い人たちにこの賞を励みにしてほしいと思います。どんな制約に直面しようとも、共益に奉仕する未来には希望があります。私が経験から教わったのは、他人に奉仕することで、他では得られない特別な報酬が得られるということです。(2004年ノーベル平和賞を受賞した際の、ワンガリ・マータイ氏のスピーチより)
Jeffrey Brown(JB):30年前、ワンガリ・マータイは一途な考えをもっていた。木を植えること。それは、彼女の母国ケニアと、アフリカや開発途上国の多くの地域の貧しい人々の生活に影響を及ぼす、次第に深刻化する問題(森林破壊、土壌の浸食、水不足その他の環境の悪化など)への答えだった。
マータイは奨学金を得てアメリカの大学に入学し、ケニアで生物学の博士号を取得した。1970年代、彼女はグリーンベルト運動を創始し、主に貧しい、地方の女性たちと一緒に活動し、彼女たちは在来種の苗木を植えることで少額ではあるが給与を与えられた。
彼女はしばしば、州が後ろ盾になった土地の開発や政府の汚職との戦いを先導し、20年以上にわたりケニアを支配したDaniel Arap Moiから、一時期「狂気の女性」と呼ばれた。彼女は数回にわたり暴力を受けたり逮捕されたりした。しかし、彼女の運動により3,000万本もの木が植えられ、何千もの女性に仕事と収入が与えられ、それがアフリカの他の地域へ、そして世界へと広がって行った。12月の始め(2004年)のノルウェー・オスロでの式典において、64歳のマータイはノーベル平和賞を受賞した初めてのアフリカ人女性になった。私たちは、彼女が先日ニューヨークを訪問した際に話をした。
あなたの名前が最初に発表された時、なぜ環境活動家が平和賞を受賞するのか疑問に思った人たちもいました。環境と平和とのつながりはどこにありますか?
ワンガリ・マータイ(WM):そうですね、ノルウェーノーベル委員会が通常注視している分野ではないので、そのような疑問があるのは驚くことではありません。しかし、世界に目を向けたとき、彼らは本当に重要な転換を実行しました。人々はいったい何と戦っているのでしょうか?
彼らは水を巡って争っているのです。土地を巡って争っているのです。放牧地を、農地を巡って争っているのです。資源を巡って争っているのです。これらの資源の管理は、この地球ではそれらが限りあるものであるために非常に、非常に大切なことなのです。これらの資源を、特に国のレベルで公正に共有することは、非常に重要です。
JB:グリーンベルト運動について書かれたあなたの本を読んで心を打たれたことの一つに、あなたの活動が女性の毎日の生活に非常に深く結びついていることがあります。もはや近くに森林がないために、女性は薪をとりにより遠くまで歩かなければならない、ということに思い至りました。
WM:私が活動を開始したとき、そのようなビジョンを持っていたわけでもないし、今私たちが知らしめている目に見えるつながりを持っていたわけでもないということを、人々が理解することが重要です。
私は単に、1970年代初めの国民女性会議で、薪が、食糧が、土壌を安定させることが、柵をつくる資材が、建築資材が、家畜の飼料が必要だと、メンバーの女性に訴えていた、地方の女性たちのグループのニーズを満たす活動を始めただけです。
私たちのところでは、環境が悪化したとき、薪がなくなったとき、水がなくなったとき、食糧がなくなったとき、ふつうまず女性がそれに気がつくのです。
(P.59)
JB:あなたの社会では、女性により力を与えようとするこのような取り組みに対して、多くの抵抗がありませんでしたか?
WM:はい。驚いたことに、抵抗がありました。そして最終的に、抵抗がある理由は、これらの資源は実際のところ、国を支配しているわずかな人々の手にあるからだということを理解しました。
抵抗しているのは木材を利用する人たちでした。抵抗しているのは…森林を私有化したいと考える人たちでした。水を売ったり、統制したりする人たちでした。市街地や都心部に施設を所有する人たちでした。
JB:このことが理由で、あなたは環境に対するニーズから民主主義に対するニーズへとまっすぐに向かっていったのですね。
WM:その通りです。まさにその時、どのような場所であっても、政治がだめならば環境を守ることは非常に難しいということ、人々のニーズに応えられる政治が必要なこと、人々の声に耳を傾ける政治が必要なこと、に気がついたのです。しかしまた、指導者を恐れず、彼らに責任感をもたせることができ、環境が守られるよう要求することができ、人間の権利の中には、環境に関するものも含まれることを理解するくらい、十分な権限を与えられた人々、市民も必要なのです。
人は、清潔で健康的な環境を求める権利を有しています。きれいな水を飲める権利を有しています。新鮮な空気と、汚染されたり有害物質が入ったりしていない食料を摂取する権利を有しています…
JB:さて、私が読んだあなたに関する記事のすべてにおいて、あなたは常に「率直」で「頑固」だと書かれています。あなたの息子の一人は、あなたが「内なる火」をもっていると言いました。それはどこから来るのですか?
WM:そうですね、ほぼ5年半にわたりアメリカで勉強する特権を得たことによって、非常に励まされましたし、心に火がつけられたと考えています。自由を希求する思想を吸収しました。そして、私にとって国に帰ることは非常に難しいことでした。そこで私は、自分がアメリカで経験したことを伝えるとともに、自由を狭め、私が自分自身を表現したり、知っていることを共有したり教えたりすることを妨げようとする自国の人々と対峙しなければならなかったからです。
それは、私の内部から湧き上がる炎だと思います。私は自由というものをたっぷりと吸収しました。アメリカに住んで、自由なしで生きていくことはできないでしょう。
JB:活動を始めてから現在までの間に、大きな変化がありましたか?あなたの活動は効果があったと感じていますか?
WM:そうですね、もし政府の支援が得られていたなら、もしもそうできる自由と運動組織が与えられていたなら、この30年間でもっと多くのことを成し遂げることができたことは間違いないでしょう。しかし、私たちは確かに多くのことを達成しました。とりわけ、あなたは力をつけた人々をとりあげていますが、彼らは、自分たちの住む環境の中で周りにある資源を活用しながら、自分たちの生活を自分たちで変えることができると感じています。とても素晴らしいことです。このような変化、達成感や満足感が他の人々にも感じられるようになることは本当に素晴らしいことです。
JB:ワンガリ・マータイさん、あらためておめでとうございます。お話を聞かせていただいてありがとうございました。
WM:お招きいただいてありがとうございました。
音源(略)
(P.60)
生徒用ページ「国別の森林の変化」
「国別の森林面積とその変化」の表からの情報を使って、割り当てられた国に関する以下の情報を完成させなさい。
1. 国名
2. 2010年現在の森林面積(単位:1,000ha)
3. 年間変化率:
2005年~2010年に増加した/減少した森林面積(単位:1,000ha)
2005年~2010年の変化率(%)
4. 下の地図が表すものと比較してどうか。
(P.61)
生徒用ページ「森林、気象と気候:予報とは何か?」
現在の状況
冬
・何月から何月までが冬と考えられるか?
・これらの各月の最高/最低気温は何度か?
・これらの各月の最多/最小降水量はどのくらいか?
・この季節の森林はどんな様子か?
・この季節には、どんな森林レクリエーションが行われているか?
・この季節にはどんな気象現象(嵐、洪水、干ばつなど)が起こるか?
夏
・何月から何月までが夏と考えられるか?
・これらの各月の最高/最低気温は何度か?
・これらの各月の最多/最小降水量はどのくらいか?
・この季節の森林はどんな様子か?
・この季節には、どんな森林レクリエーションが行われているか?
・この季節にはどんな気象現象(嵐、洪水、干ばつなど)が起こるか?
(P.62)
予想される未来の状況
・あなたの住む地方
・予想の要約(生徒用ページ「地域的な傾向と予想」を参考に)
森林への影響
予想される気象や気候により、あなたの住む地方の森林はどんな影響を受け、あるいは変化するだろうか?
(P.63)
生徒用ページ「地域的な傾向と予想」
以下の傾向と予想は、アメリカ合衆国の各地方について、地球規模の気候変動で予想される影響をまとめたものである。
北東部:北東部の年平均気温は1970年以降2°F上昇した。冬はこの2倍の上昇である。温暖化によって、猛暑の日の増加、植物の成長期の長期化、激しい降雨の増加、冬の降雪の減少と降雨の増加、雪塊氷原の減少、湖や川の氷が溶ける時期の早まり、春の雪解けが早まったことによる川の流量増加の早まり、海水面温度の上昇、海水面の上昇といった、多くの気候にかかわる変化が生じている。このような傾向は今後も続くと予想され、低排出量シナリオに比べ、高排出量シナリオではより劇的なものになると考えられる。この地方で予想される気候の変化が拡大すると、地方の経済、景観、特性、生活の質を大きく変えてしまう可能性もある。
南東部:南東部の年平均気温は1970年以降2°F上昇した。冬の月の上昇が最大である。この地方のほとんどの地域で、秋の降水量が30%増加したが、南フロリダでは減少した。夏の降水量はほぼ地方全体にわたって減少した。中程度から大規模の干ばつがこの
地方で起こった割合は、この30年間で増加した。激しい降水は増加した。大西洋で発生したハリケーンの威力は1970年以降増大したが、これは海水面温度の上昇と関連づけられている。
グレートプレーンズ:この20~30年、グレートプレーンズ全体の平均気温は上昇してきた。冬の季節と、北部の州での上昇が特に大きい。相対的に寒い日が減少し、暑い日が増加してきている。将来的に、気温上昇は継続し、低排出量シナリオに比べ高排出量シナリオではより大きな変化をもたらすと予想される。グレートプレーンズ南部及び中央部では、冬よりも夏の気温上昇が大きいと予想される。降水量も、特に冬と春に変化すると予想される。大気の状態は北部ではより湿潤に、南部ではより乾燥すると予測される。熱波、干ばつ、激しい雨のような異常気象がより頻発すると考えられている。
中西部:中西部の平均気温はこの20~30年間上昇している。冬の気温上昇が大きい。主に春先の最後の霜の日が早まったことにより、霜のない、成長期間が一週間延びた。激しい降雨の頻度は100年前の2倍になっている。降水量は、夏も冬も過去30年間の平均を上回っており、この100年間で最も雨の多い時代である。中西部は、この15年間に記録的な洪水を二度も経験した。また、五大湖を含む湖の氷の量が減少した。1980年代以降、大規模な熱波の頻度は、1930年代のダストボウルの時期を除き過去100年間で最大になっている。現在観測されている気温上昇と降水量の変化のパターンは今後も継続し、高排出量シナリオではより大きなものになることが予想されている。
北西部:北西部の年平均気温は過去100年間で全体的に1.5°F上昇した。最大4°F上昇した地域もある。この地方の平均気温は今後100年間で更に3~10°F上昇すると予想されており、高排出量シナリオではこの範囲の最大値になると考えられている。気温の予測ほど確実性は高くないものの、冬の降水量増加と夏の降水量減少も多くの気候モデルで予想されている。雪塊氷原、河川の流量、海面水位、森林、及びその他北西部での生活の重要な側面における変化に関連する影響は、既に生じてきており、継続的かつ加速する温暖化に呼応して、今後10年間でより深刻なものになることが予想されている。
南西部:南西部における近年の温暖化は、この国の中で最も急速な部類に入る。春の雪塊氷原とコロラド川の流量の急速な減少である。将来の気候予測では、この地方での強力な温暖化が、低排出量シナリオに比べて高排出量シナリオではより激しく、継続することが述べられている。夏期の気温上昇はこの地方の年平均気温の上昇を上回り、拡大する都市のヒートアイランド現象により更に大きくなる傾向を見せている。さらにまた、水循環の変化も予想され、それは気温の上昇と結びついて、今後数十年~百年にかけての深刻な水供給の課題の前兆となっている。温暖化により今後干ばつがより深刻化するだろうという予測は、特に南西部がこの国の人口増加を引っ張っている地方であるだけに、重大な懸念となっている。
沿岸部:地球規模でみると海面水位は、温暖化が引き起こす海の拡大、世界の氷河の大部分で加速する融解、グリーンランドと南極の氷床の消失により既に上昇してきている。現在も海面水位は加速度的に上昇している。温暖化する気候により、今後100年からそれ以上にわたって更に海水面は上昇するだろう。海水面の上昇は既に沿岸部を浸食し、湿地を水浸しにし、家屋やビジネス、インフラを脅かしている。大西洋で発生する破壊的なハリケーンの可能性は、海水面の温度上昇に伴ってこの数十年間で上昇している。今後数十年間で、ハリケーンによる降雨と風速は、地球温暖化に伴って上昇することが見込まれる。沿岸部の水温が上昇し、海の生物種の分布も変化してきている。海水が二酸化炭素を吸収する結果生じる海の酸性化により、サンゴ、貝やその他炭酸カルシウムで殻や骨格が形成されている生物の生存が脅かされる。これらの影響は沿岸部に集中するとともに相互に関連しており、この地域を気候変動の影響に特に敏感なものにしている。
島嶼部:気候変動は、アメリカに関連する島々に独自の課題を突きつけている。小さな島は、海面水位の上昇、沿岸部の浸食、強烈な気象現象、サンゴ礁の白化、海の酸性化、海水の真水への混入の影響をもろに受ける。島嶼部はこの数十年間、、気温と海面水位の上昇を経験してきた。今世紀中の予測として、太平洋とカリブ海の双方で気温と海水表面温度の上昇が続き、カリブ海では降水量が減少し、ほぼすべての場所で激しい降雨の頻度が増加し、太平洋の島々では(平年の雨季である冬よりもむしろ)夏の降水量が増加するといわれている。ハリケーンの風速と雨量は温暖化の継続により増大するだろう。島の沿岸部は、海水面上昇や嵐による波のために浸水するリスクが高まり、沿岸部の地域社会、インフラ、野生生物の生息地、資源に大きな影響を及ぼすだろう。
アラスカ:過去50年間にわたり、アラスカはアメリカの他地域の2倍以上の割合で温暖化してきた。年平均気温は3.4°F、冬季は6.3°Fも上昇した。気温の上昇により、春の雪解けの早まり、海氷の減少、広範囲にわたる氷河の後退、永久凍土の温暖化などが既に生じている。観測されたこれらの変化は、この国の他地域よりもアラスカにおいて、特に冬に温暖になると予測した気候モデルに一致する。気候モデルはまた、アラスカにおける降水量の増加も予測している。しかし、気温上昇による蒸発量の増加が同時に起こるため、土壌中の水分が減少し、全体として乾燥化に向かうことが予想される。今世紀末までに、年平均気温は5~13°F上昇する。低排出量シナリオではこの範囲の下限、高排出量シナリオでは木の葉にの上限になると予測されている。
出典(略)