#6 Seeking Sustainability : A Global Response
6.持続可能性を求めて:世界の責任
 このアクティビティでは、生徒は森林が持続可能であることを示す指標は何かを考え、森林の持続可能性をモニターする国際的な取り組みについて学びます。彼らは、地域で、そして他の国々で、森林が持続可能な方法で管理されているかどうかを判断するためになされてきたことを見いだすでしょう。

Subjects 科目
 政治(Government)、国際理解(International Studies)、科学、社会

Searchable Key Words 検索語
 アジェンダ21、モントリオール・プロセス、サンティアゴ宣言、森林原則声明、持続可能な森林経営

Concepts 概念
 2.6 資源を節約し環境を守ることへの国際協力は、人間の健康および他の生命体にとっての健全性を生み出します。
 2.11 すべての人は製品を消費することによって再生可能および再生不可能な自然資源の有効性に影響を与えます。
 4.3 地球を一つの生態系システムとして調べられるとき、スケールにかかわりなくすべての行動は何らかの方法で生物圏に影響を与えます。

Skills スキル
分析する、評価する、中心となる考えを同定する

Materials 準備物
 クレヨンもしくはマーカー、生徒用ページ「森林の持続可能性の三要素」(任意、アクティビティ5より)、合衆国農業省の持続可能な森林に関する2003年のレポート(任意、資料参照)

Time Considerations 必要な時間
準備:20分
アクティビティ:50分×1~3コマ、グループでポスターを製作するのに必要な時間

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 A Vision for the Future (「私たちの住む場所」)
 Far-Reaching Decisions (「私たちの住む場所」)
Tough Choices(「環境問題の探究:森林に焦点」)

Objectives ねらい
➢ 生徒が、森林の持続可能性を定義したり測定したりする際に、考えられる基準を明らかにする。
➢ 生徒が、自分たちが考えた基準と、モントリオール・プロセスに記載されているそれらとを比較する。
➢ 生徒が、地域レベルで持続可能性がどのように測定されたりモニターされたりしているかを発見する。

Assessments 評価
➢ 生徒に、アクティビティのステップ6に列挙された質問に対する答えを書かせる。
➢ モントリオール・プロセスと持続可能な状態に到達するうえでの同プロセスの重要性に関する生徒の理解の幅広さと深度の観点から、生徒の回答を評価する。

Background 背景
 森林は、多くの国々にとって環境分野における最優先の関心事であり、森林が直面する深刻化する課題を解決するために、国際的なレベルで大変な努力がなされてきました。国連の1992年リオデジャネイロ地球サミットにおいて、102ヶ国から集まった世界のリーダーたちは、世界の森林の重要性を強く訴える二つの国際的な宣言を採択しました。森林原則声明は、森林とその持続可能性に関する初めての地球規模の合意文書であり、またアジェンダ21は持続可能な開発に向けた国際的な行動計画です。
 リオデジャネイロでの会議以降、持続可能な森林経営に向けた進捗状況を評価するために、いくつかの国家レベルあるいは国際レベルでの取り組みが開始されました。それらの取り組みの中で最も包括的で、潜在的に最も遠大なものは、地域的かつ国際的な取り組みで、現在では100を超える国々が参加しています。
 モントリオール・プロセスは、これらの国際的な取り組みの一つです。それは、自発的に参加している各国が、自国の森林の持続可能性をモニターする方法の概要を述べています。それは持続可能な森林経営のための条件の基準や区分、それらの基準の指標や測定可能な兆候を定義しています。
 持続可能性に向けた国際的な努力のおかげで、地方の森林利用法のお膳立てができました。地域社会は森林の最も用心深く、最も軽率な世話係となりうるために、次第に森林の持続可能性における重要なパートナーとして認知されるようになりました。貧困や、短期的な利益の保証により、人々は森林を過剰に利用する可能性があります。同時に、地域社会は森林を直接的に信頼しており、長期にわたり、森林との密接な相互作用を通して進化してきた生態系についての知識も有しています。
 森林利用に影響を及ぼす多くの要素や複雑な関係性があるために、持続可能な森林経営を主張する人々は、その過程において、森林管理手法により多くの得失がある地域社会の人々を含む、全ての利害関係者が参画することを支持しています。

(P.76)
 2003年、アメリカ農業省は2003年版の持続可能な森林に関する国の報告書をつくりました。その中で、分析の基盤としてモントリオール・プロセスを活用し、現在の森林の状態と持続可能な森林経営という目標に向けた進捗状況の指標について述べています。この報告書、及び地域、国家及び国際レベルのあらゆる取組が、持続可能性へと向かう重要なツールになります。
 モントリオール・プロセスは、私的セクターやNGOが、森林がよい状態で管理されていることを認証するプログラムを開発するための基準設定の基礎を固めました。設計にあたってモントリオール・プロセスを活用した認証システムが、北アメリカに3つあります。アメリカン・ツリーファーム・システム、カナダ基準協会、持続可能な森林イニシアチブです。さらに、国家・地域レベルの基準を認証する包括的なプログラムであるPEFC認証プログラム(PEFC)、地球規模の認証システムである森林管理協議会があります。
 これらの基準は全て、生態学的または文化的に特別な場所の保護、危機に瀕した生物種や野生生物の生息地を保護するための管理戦略、持続可能な収穫のレベル、速やかな更新などの様々な課題を解決するための、モニタリング可能な必要条件を包含することによって、経済、環境、社会の価値を高めます。
 様々な認証プログラムが、団体にそのプログラムへの参加と、ある点で彼らの売る製品について認証された内容に関する主張を認めるために、多くの製品や推進のためのラベルを提案しています。だから、製品にみられるリサイクルの主張やラベルと同様に、紙であれ梱包材であれ、建築用材料であれ、認証された内容について主張することができます。これにより、消費者はよい状態で管理された森林からの製品を見分けることができるのです。
 このような認証基準が数多くあるにもかかわらず、世界の森林のわずか10%しか認証を受けていないことを知るのは重要です。FAOの2007年版世界の森林の現状によれば、「問題はとても単純である。熱帯での森林破壊の多くは、伐採ではなく他の土地利用への転換によって生じている。認証を受けるのは安くはない。導入に成功するには、確固とした制度・管理上のプラットフォームが求められる。さらに、消費者が認証された製品を購入するために、より多くを支払う意思を持つにはまだ至っていない。」

準備する
➢ 生徒用ページをコピーする。ステップ8のために、地元の州または地方の森林資源、自然資源、または都市の森林事務所に連絡を取り、見学、会議電話、ゲスト講師などの方法で、自分たちの地域で森林の持続可能性がどのように測定されているかについて生徒と話し合えるように調整する。
➢ アクティビティ5において生徒がまだそうしていないなら、生徒用ページ「森林の持続可能性の三要素」を読ませる。

(ページ下の表)
図によるまとめの例
行動 環境指標 社会指標 経済指標
木を植える ・木の密度
・林地の面積
…など ・雇用率
・地域社会の巻き込み
…など ・国内総生産
・地域経済への影響
…など

アクティビティの進め方
1. クラスを7つの小グループに分け、各グループに衣料品のような特定の製品を買うかどうかに影響を及ぼす要因をリストアップさせる。(要因としては、何が費やされているか、どこでつくられたか、流行に乗っているか、友人が気に入るかどうか、などが考えられる。)生徒がリストを作った後、それぞれのグループにその要因を社会的、経済的、そして環境的なものに分類させる。

(P.77)
2. グループのメンバーに、それぞれの分野に含まれる要因を共有させる。以下の質問について議論する。

 自分たちの考えた要因を分類するときに、どんな体験をしたか?
 他の要因と比べて分類が簡単だった、あるいは難しかったものはどれか?
 購入する品物という点から見て、どの分野が最も影響を及ぼしそうか?
 私たちが、ある製品を持続的に入手できることを望んだとしたら、どの要因に最も着目するだろうか?
 森林資源は、どんなところが他の製品に似ているだろうか?なぜ森林資源は持続的な管理が求められているのだろうか?

3. 各グループに、森林が持続的に管理されることを保証するために、国がしていると思うことを列挙させる。(例えば、公園として指定する、木を植える、伐採と森林利用に関する法律をつくる、など。)「国は、これらの行動をとることで実際にどんな違いが生じるかを、どのようにして知るのだろうか?」と尋ねる。
4. それぞれのグループに、自分たちが挙げた行動のうちの一つを選び、その行動によって持続可能性が向上していることがわかるような指標を見つけさせる。可能な限り具体的に考え、生態学的、社会的、そして経済的な指標を考慮させる。答えを準備するにあたっては、前ページの例のような図によるまとめを使うことが、グループにとっての一助となるだろう。
5. 生徒用ページ「モントリオール・プロセスの由来」を生徒に読ませる。読む中で、カギとなる言葉と考え方について調べる。モントリオール・プロセスが、(他の森林イニシアチブと同様に)持続可能な森林とは何かを定義し、ある特定の行動が持続可能かどうかを判断するための国際的な取り組みであることを伝える。各グループに検証すべきモントリオール・プロセスの7つの基準を割り当て、生徒用ページ「モントリオール・プロセスの基準と指標」のコピーを配る。
6. 各グループが、その基準の説明、指標のリスト、挿絵や写真を用いたポスターを作り、少なくとも3つの指標について詳しく説明することを伝える。作成の際には、次の点を考慮する。

 この基準は森林の持続可能性とどのような関係があるか?
 (ステップ4で)自分たちのグループが考えた指標と比べるとどうか?
 その指標はこの基準をどれだけうまく測定することができるか?
 抜けているものはないか?
 どの指標が測定しやすいか、またどれが難しいか?

写真キャプション:中央アメリカの熱帯雨林産の木材

7. 各グループに、自分たちのポスターをクラス全体に発表させる。全てのグループの発表が終わった後、次のことについて議論する。「モントリオール・プロセスの目的は何か?なぜ重要なのか?モントリオール・プロセスには何が含まれ、何が含まれていないのか?モントリオール・プロセス(及びその他の森林イニシアチブ)は、世界の森林を持続可能にするために、どのように役立っているだろうか?」
8. 地元の州または地方の森林資源、自然資源、または都市の森林事務所の代表者を招き、森林の持続可能性と、自分たちの住む地域でそれがどのように測定されているかについて、生徒と話をさせる(「準備する」を参照)。生徒に以下のことを考えさせる。

 森林の持続可能性は州レベルあるいは地方レベルで目標とされているだろうか?もしそうなら、それはどのように定義されているか?持続可能性はどのように測定され、モニターされているだろうか?
 どんな要素が、州もしくは地方事務所の森林の持続可能性の扱われ方に影響を及ぼすだろうか?
 地域の人々は、モントリオール・プロセスになじみがあるだろうか?もしそうなら、それはどのように活用されているだろうか?
 これらの人物や組織は、国際的に関連するプロジェクトに賛同しているだろうか。

(P.78)
写真キャプション:中央アメリカの製材所

展開
➢ 別の国あるいは森林地域におけるモントリオール・プロセスについて調べさせる。プロセスを進捗させるためになされていることを調査するために、インターネットや電話での聞き取りを活用する。調査している国や地域が別の森林イニシアチブに参加しているならば、それとモントリオール・プロセスを比較させる。
➢ モントリオール・プロセスや他の森林イニシアチブが、環境問題に関する国際的な議論にどのような影響を与えてきたかを調べさせる。
➢ 森林認証は、ある森林が特定の森林施業基準の下で管理・伐採されていることを認証することにより、持続可能な森林経営を促す仕組みとして推進されてきた。これらの森林で伐採された材は、認証された森林で産出されたことが消費者にわかるようにラベルづけされている。国内及び海外の異なる認証制度について、各制度の原則や基準、潜在的な弱みと強みなどを含めて、生徒に調査・比較させる。地域の企業で働く人々に、認証制度を利用、支持しているか、あるいは反対しているか、それはなぜなのかを尋ねさせてもよい。国連食糧農業機関(FAO)の林業ウェブサイト(http://www.fao.org/forestry/)で、認証制度についての情報へのリンクを調べさせる。
 アメリカにおける認証制度の比較には、家族経営の森林所有者向けのアメリカン・ツリー・ファーム・システム認証(http://www.treefarmsystem.org)、森林管理協議会(http://www.fscus.org)、持続可能な森林イニシアチブ(http://www.aboutsfi.org)、ISO14000として知られる認証手続きを定めた制度を提供している国際標準化機構(ISO、http://www.iso.org)などのウェブサイトを参照する。これらは全て第三者認証の制度である。
➢ 科学技術:モントリオール・プロセスや他の国際的な取り組みには、森林の変化を特定・評価できるように、モニタリングのための正確なデータが要求される。森林資源をモニタリング、管理、利用する際に人々が使用する科学技術について、生徒に調べさせる。森林モニタリング、森林ツール、木材テクノロジーなどのキーワードでインターネット検索させてもよい。
➢ 機会を見つけて、生徒がデータ収集を行う地域または地方の森林資源管理組織・団体とともに、モントリオール・プロセスにおいて欠落している部分を埋める仕事を体験できるようにする。

資料
関連メディア

(P.79)
生徒用ページ「モントリオール・プロセスの由来」

 森林は、世界の陸生動植物の少なくとも70%のすみかであるとともに、木材、薬品、食料、水、仕事などの必要不可欠なものを私たちに提供してくれています。森林はまた、私たちが呼吸している空気もきれいにしてくれます。湖や川からの汚染物質を濾過してくれます。洪水や地滑り、浸食から守ってくれます。森林は、豊かで、柔軟な生態系であると同時に、再生可能な資源でもあります。持続的に管理されていれば、私たちに財やサービスを供給し、動植物種を保全し、将来の世代のためにその環境を安定的に保つことができます。

写真キャプション:ブナの木

 国連の1992年リオデジャネイロ地球サミットにおいて、102ヶ国から集まった世界のリーダーたちは、世界の森林の重要性を強く訴える二つの国際的な宣言を採択しました。森林原則声明は、森林とその持続可能性に関する初めての地球規模の合意文書であり、またアジェンダ21は持続可能な開発に向けた国際的な行動計画です。
 リオデジャネイロでの会議以降、持続可能な森林経営に向けた進捗状況を評価するために、いくつかの国家レベルあるいは国際レベルでの取り組みが開始されました。それらの取り組みの中で最も包括的で、潜在的に最も遠大なものは、地域的かつ国際的な取り組みで、現在では100を超える国々が参加しています。これらの取り組みは、持続可能な森林経営のための条件の基準や分野とともに、それらの基準を判断する、測定可能な兆候である指標についても定めています。その取り組みを支持することで、各参加国は国内のすべての森林の持続可能な経営に向けて行動することを約束したのです。
モントリオール・プロセスは、これらの国際的取り組みの一つであり、世界の温帯林・亜寒帯林のほとんどをカバーする、地理的に最大のものです。1993年9月、亜寒帯林・温帯林の持続可能な開発に関する国際セミナーがカナダのモントリオールで開かれた際に開始されました。セミナーの後カナダは、熱帯林でない森林の基準と指標を開発するために南北アメリカ、アジア、環太平洋の国々を招集しました。地域として別の取り組みを進めるために選ばれたヨーロッパの国々は、汎ヨーロッパ森林プロセスを招集しました。類似の取り組みには、ヨーロッパの森林保護に関する閣僚会合、アマゾン流域国のためのタラポト提案、中央アメリカ、近東、乾燥帯アフリカの地域イニシアチブ、国際熱帯木材機関があります。
モントリオール・プロセスには5つの大陸の12か国が参加しています。アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、チリ、中国、日本、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ロシア連邦、アメリカ、ウルグアイです。世界の温帯林・亜寒帯林の90% (熱帯林もありますが)、地球上の全森林の60%、全人口の35%、木材及び木材製品貿易の45%を参加国が占めています。
1995年2月、これら12か国がチリのサンチアゴに集まり、政策担当者、森林経営者、一般の人々に向けた、温帯林・亜寒帯林の保全及び持続可能な経営における7つの基準と67の指標を決定しました。サンチアゴ宣言は、リオデジャネイロで合意された持続可能な森林経営の原則の導入に向けた重要な一歩とされています。
モントリオール・プロセスの基準と指標は、全ての森林の製品、価値、サービスを考慮し、持続可能な森林経営を包括的に捉えています。それらは国内の全ての森林で、全ての土地所有にわたって適用されるとされています。この基準と指標を支持することで、各参加国は、国内の全ての森林の持続可能な経営に向けて努力することを約束したのです。

(P.80)
この基準と指標は、持続可能な森林経営に必須の構成要素について説明するとともに、「森林にとって大切なことは何か?」という根本的な疑問に答えるための枠組みも提供しています。それらは森林を、幅広く、複雑で動的な環境及び社会経済的な便益とサービス群を供給する生態系だと考えています。森林の状態と森林経営における国の傾向のモニタリング・評価に用いられることで、基準と指標は持続可能な森林経営を促進する政策の組み立てに不可欠な情報を提供しているのです。

モントリオール・プロセスの基準
モントリオール・プロセスのワーキング・グループは、温帯林・亜寒帯林の持続可能な経営を特徴づける共通の定義を加盟国に提供する基準と指標の枠組みについて合意しました。モントリオール・プロセスの基準は、それによって森林経営の持続可能性が評価されるであろう条件とプロセスの集まりです。それぞれの基準は、変化が定期的にモニタリングされる、関連する一連の指標で特徴づけられています。これらの基準に関係づけられた67の指標は、変化や傾向を見つけ出すために、その基準を評価したり説明したりする方法なのです。
多くの指標は、国の森林被覆率のような、測定可能なものですが、森林計画、市民参加、投資・課税政策のようにより叙述的なものもあります。全ての指標は、現在の森林の状態についての情報を提供するとともに、長期的には森林の変化を知らせてくれるでしょう。

写真キャプション:アラスカのタイガ森林

同時に、モントリオール・プロセスの7つの基準と67の指標は、持続可能な森林に向けた生態系を基盤としたアプローチと、人間社会の役に立つというニーズを反映しています。それらは、世界の森林経営における国際協力に向けた重要な一歩を意味しているのです。

資料
 
(P.81)
生徒用ページ「モントリオール・プロセスの基準と指標」

 モントリオール・プロセスは、12の国々による持続可能な森林経営とは何かをよりよく理解・定義し、自分たちの進捗状況を測定するための基準を明らかにするための協調した取り組みです。これらの国々は、持続可能な森林経営において重要なことを明らかにした7つの基準とそれに向けた進捗を測定するための67の指標に合意しました。これらの基準と指標を使用するための合意は、自発的なものです。これまでに12ヶ国全てが事前評価を行いました。これらの12ヶ国は以下の通りです。
 アルゼンチン 中国 ニュージーランド
オーストラリア 日本 ロシア連邦
カナダ 韓国 アメリカ合衆国
チリ メキシコ ウルグアイ

基準1:生物多様性の保全
 生物多様性は、生態系の多様性、種間の多様性、種内の遺伝子の多様性の要素を含みます。

指標
生態系の多様性:
1.1 合計森林面積に対するタイプ別の森林面積
1.2 タイプ別、齢級もしくは遷移段階別の森林面積
1.3 国際自然保護連合(IUCN)もしくは他の区分制度によって定められている保護地域の区分におけるタイプ別森林面積
1.4 齢級もしくは遷移段階別の保護区域のタイプ別森林面積
1.5 森林タイプの細分化

種の多様性:
1.6 森林に依存する生物種の数
1.7 法律や科学的な評価によって決定された、生存・繁殖に適した個体数が維持されていない、危機に瀕する森林に依存する生物種の状態(絶滅のおそれあり、希少、危急、絶滅危惧、絶滅)

遺伝子の多様性:
1.8 以前に比べて生息域が小さくなっている、森林に依存する生物種の数
1.9 生息域全体で観察された、多様な生息地にすむ代表種の個体数レベル

基準2:森林の生産性の維持
 生産性とは、木材や他の生産物を生み出す森林生態系の能力のことです。

指標
2.1 森林面積及び木材生産に利用可能な森林の実面積
2.2 木材生産に利用可能な森林の、市場向きと市場向きでない樹種の蓄積
2.3 在来種と外来種の植栽面積と蓄積
2.4 適切とされる体積と比較した木製品の年間消費量
2.5 適切とされるレベルと比較した非木材林産品(例えば、毛皮取扱い業者、野イチゴ、キノコ、狩猟動物など)の年間消費量

(P.82)
基準3:森林生態系の健全性と生命力の維持
 森林生態系の健全性を維持することは、栄養分の循環や種子の散布のような基本的な生態系プロセスが、歴史的な変動の範囲内で営まれることを保証しています。

指標
3.1 歴史的な変動の範囲、例えば昆虫、病気、外来種がもたらす競争、火事、嵐、聖地、永続的な洪水、塩分そして家畜動物、を超えるプロセスや行為者によって影響を受ける森林の面積及び割合
3.2 特定の大気汚染物質(例えば、硫酸塩、硝酸塩、オゾンなど)あるいは森林生態系によくない影響をもたらす可能性のある紫外線Bにさらされている森林の面積及び割合
3.3 基本的な生態学的プロセス(例えば、土壌養分の循環、種子散布、受粉など)及び/もしくは生態学的な連続性(菌類、高木性の着生植物、線虫類、甲虫、スズメバチなどのような重要な機能を果たす種のモニタリング)の変化の指標となる生物的な構成要素が減少した森林の面積及び割合

基準4:土壌及び水資源の保全と維持
 この基準は土壌と水資源の保全をカバーしています。これらの資源を保護すると同時に生み出している森林の機能についても含みます。

指標
4.1 深刻な土壌浸食が起きている森林の面積及び割合
4.2 主に保護的な機能(例えば、流域、洪水からの保護、雪崩からの保護、水辺の区域など)を発揮するために管理されている森林の面積及び割合
4.3 流量や時期が歴史的な変動の範囲から大きく逸脱した森林の集水域にある河川長の割合
4.4 土壌中の有機物が大きく減少した、及び/もしくは他の土壌の化学的な性質が変化した森林の面積及び割合
4.5 人間活動の結果、土壌が大幅に圧縮されたもしくは物理的性質が大きく変化した森林の面積及び割合
4.6 歴史的な変異性の範囲からの生物多様性の大きな分散が生じている森林内の水域(例えば、河川長、湖の面積など)の割合
4.7 歴史的な変異性の範囲から、pH、水溶酸素、化学物質濃度(電気伝導性)、堆積作用もしくは温度の変化が大きく逸脱している森林内の水域(例えば、河川長、湖の面積など)の割合
4.8 残存有害物質の蓄積が生じている森林の面積及び割合

基準5:地球規模の炭素循環への森林の寄与の維持
 森林は、木の成長に伴って炭素を一時的に隔離(蓄積)してくれます。逆に、木が腐ったり燃えたりするときには炭素を大気中に返しています。

指標
5.1 森林生態系のバイオマスと炭素蓄積量の合計、もし適切ならば森林タイプ別、齢級別、遷移段階別の蓄積量
5.2 炭素(バイオマス、粗い木屑、泥炭、土壌中の炭素として存在)の吸収及び放出を含む地球規模の合計炭素収支への森林生態系の寄与
5.3 地球規模の炭素収支への林産物の寄与

(P.83)
基準6:長期的な社会経済便益の維持と増進
 この基準は、生産と消費、レクリエーションとツーリズム、森林分野への投資、文化的・社会的・精神的ニーズと価値、雇用と地域社会のニーズなどの、多様な社会的便益を含みます。

指標
生産と消費:
6.1 下流での加工による付加価値を含む、木材及び木製品の価値と生産量
6.2 非木材林産物の価値と生産量
6.3 人口あたりの消費量を含む木材及び木製品の供給量及び消費量
6.4 国内総生産(GDP;国によって生産された財とサービスの価値の合計)に占める割合としての、木材及び非木材産物の価値
6.5 林産物の再利用の程度
6.6 非木材産物の供給及び消費/利用

レクリエーションとツーリズム:
6.7 全森林面積に対する、一般的なレクリエーションとツーリズムを目的として管理されている森林の面積及び割合
6.8 人口及び森林面積に対する、一般的なレクリエーションとツーリズムに利用可能な施設の数と種類
6.9 人口及び森林面積に対する、レクリエーションとツーリズムに訪れた人日数

森林分野への投資:
6.10 森林の成長、森林の健全性と管理、植林、木材加工、レクリエーション及びツーリズムへの投資を含む投資額
6.11 研究、開発、教育への支出水準
6.12 新しいもしくは改良された科学技術の普及と利用
6.13 投資の還元率

文化的・社会的・精神的ニーズと価値:
6.14 全森林面積に対する、文化的・社会的・精神的ニーズと価値を保護することを目的として管理されている森林の面積及び割合
6.15 非消費的な森林の価値の利用

雇用と地域社会のニーズ:
6.16 森林分野における直接的・間接的な雇用及び全雇用に対する森林分野の雇用の比率
6.17 森林分野の主要な雇用業種における平均賃金及び災害率
6.18 先住民の社会を含む、森林に依存するコミュニティの経済状態を変えることに対する耐性と適応可能性
6.19 生存を目的として利用される森林の面積及び割合

基準7:森林の保全と持続可能な管理のための法的・制度的・経済的枠組み
 この基準は、信頼できる管理、市民意識、所有権その他の社会文化的機能を促進・保護する社会的合意を含みます。

指標
法的枠組み(法律、規則、指針):
7.1 所有権を明らかにし、適切な土地所有協定を提供し、先住民の習慣的・伝統的権利を認識し、正当な手続きによって所有にかかる紛争を解決する手段を提供する。
7.2 関連分野と調整しながら、森林の価値の範囲を評価する定期的な森林計画、評価、政策の見直しに備える。
7.3 森林及び情報へのアクセスに関する公的政策及び意思決定への住民参加の機会を提供する。
7.4 森林経営のベストプラクティスを推進する。
7.5 特別な環境的、文化的、社会的そして/あるいは科学的価値を保全するための森林経営手法を準備する。

制度的枠組み:
7.6 市民を巻き込む活動や市民教育・啓発・普及プログラムを用意するとともに、森林に関する情報を入手できるようにする。
7.7 分野横断的な計画・調整を経た定期的な森林の計画、評価、政策の見直しを保証し、導入する。
7.8 適切な専門分野にわたる人的資源の技術を開発・維持する。
7.9 林産物とサービスの供給を促進し、森林経営を支援する効率のよい物理的基盤を開発・維持する。
7.10 法律、規則、指針を施行する。

経済的枠組み:
7.11 投資及び課税政策と、長期的な投資の性質を認め、市場の予兆と市場を通さない経済的価値、森林からの財やサービスに対する長期的な欲求を満たすための公的政策決定に反応した森林分野への資本の流入及びそこからの流出を認める取り締まり環境
7.12 森林からの生産物の非差別的な貿易政策

変化を測定・モニターする能力:
7.13 基準1-7に関連する指標を測定したり説明したりするのに重要な最新のデータ、統計その他情報の入手可能性とそのレベル
7.14 森林の一覧、評価、モニタリング及び他の関連情報の範囲、頻度及び統計的な信頼性
7.15 指標の測定、モニタリング、報告における他国との共通性

(P.85)
研究・開発を実施、応用する能力:
7.16 森林生態系の特徴と機能の科学的理解の進展
7.17 環境的・社会的費用と便益を測定し、市場及び公的政策に統合する、また森林関連資源の枯渇と補給を国家会計制度に反映させる方法論の発展
7.18 新しい科学技術、及びその導入に伴う社会経済的な結果を予測する能力
7.19 森林への人為の介入による影響を予測する能力の増進
7.20 起こりうる気候変動による森林への影響を予測する能力

出典:(省略)