罪をなすりつけられたにも関わらず、
全てを受け入れて裏切った相手を許すという意外なほどの気高い？
気持ちに至った過去生の私には、理由がありました。
牢獄でご一緒した現世恩人友のバアサマは、だいぶ以前に亡くなった女優の浦辺粂子さんに似た感じの、
小柄で可愛らしい感じの皺くちゃなおばあさん。
牢に入っている間に、いろいろ話すようになるのです。
そのバアサマが、
「恨むでない。決して恨むんでないぞ。
恨んでも何のいいこともない。」
と過去世の私を諭すのです。
高い能力ゆえに、人に嫉（そね）まれたり、陥れられたり、
散々ひどい目に遭ってきたバアサマの言葉は、重く胸に響きました。
夫子供と死に別れ、実家とも縁薄くなり、
孤独な身の上となった自分にとって、
誰にも言えない罪の一端を明かし、
力になってもらったバアサマは、
心から頼れるたった一人の人だったのかもしれません。
素朴な庶民に過ぎなかった私に、
悟りに近いものを導いてくれていたのは、バアサマの存在でした。
（つづく）
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