真実のノート -7ページ目

最終話『真実のノート』

それからの毎日は やけに楽しくなった。

家から学校のある駅迄は、電車で、1時間半程 かかる 俺は 朝イチの まだ 人もまばらな電車に 乗り込み駅で降りると、 あいつが いつも通る駅前の掲示板に 寄りかかりながら 佐奈を待った。
俺を見付けると 膨れっ面を見せるお前
「待てよ」そう言いながら先に スタスタ歩くお前をひたすら 追っかけた。 生意気な言葉を言いながら照れてるお前が 可愛く映る

「あたしは 1人でも 平気だもん」

そんな事を言ったお前に 俺は 「1人じゃないじゃん俺 いるじゃん 3日前からだけど…」

そう言って

そっと お前の手に触れた
その瞬間に 熱い物が込み上げて来て、はっきり解ったんだ。

俺は お前が 好きなんだって事が・・・


佐奈 俺達は あのかけがえの無い時間に

何を 語りあったのかな?

いつも お前の側にいると
俺は ドキドキしっぱなしでさ

情けない事に 何も 覚えて無いんだ。

だけど 忘れられない事があるよ

クリスマスの日 お前 俺に手編みのセーター くれたよな 酷い仕上がりだからって お前泣いて 俺が せっかく着たセーター 脱がせようとしただろ!?

冗談じゃねーよ って 思った

世界一 好きな女から 貰った プレゼント 脱がされてたまるかよ!! って 思ったよ

あの時 お前に渡した シルバーリング 安物だったけど 俺は あのリングに願いを込めたんだ。

ずっと 笑顔のお前の側にいれますようにって…

最終話『真実のノート』

なんて 説明したのかは頭の中がパニックだったから 良く覚えてない
ただ 止めなくちゃ そう思い 金網を乗り越えた。

佐奈の目の前に立つ俺

「ってか 何で そんなあぶねー所にいんの?趣味!?」(出来るだけ自然に)そう思いつい口から、飛び出した言葉だった…ってか、こんな 台詞で良かったのか?

そんな事を思いながら 俺は あいつに 手を差し伸べた。

何も言わない佐奈

側で見ると 瞳が 赤く 潤んでいる

(お前 泣いたのか?)

(なにが あったんだ!?)

両肩を 揺さぶりながら 聞きたくなったが それは 出来なかった。 だって 佐奈の俺を見詰める瞳が 今にも泣き出しそうに 揺れだしたから…

やがて、佐奈は その揺れる瞳に 見るからに 強がりな光を輝かせ

「趣味よ 悪い?」

そう言って 俺の手を 取ったんだ。

俺は そんな佐奈を 思わず抱きしめた。

そして こう言ったんだ

「お前 面白れーな 付き合おうじゃん!」って

佐奈は 抵抗もせず 俺の胸の中にいた。

心臓が やけに ドキドキ鳴り始めてきやがって
佐奈にばれそうで 焦ってた。 だけど あの時 俺はそんなお前に 3つの物を 見付けて欲しいと思ったんだ

1つ目は 友達

2つ目は 夢

3つ目は 愛

この3つが お前の その死んじまった瞳を 輝かせてくれると 思った。

そして 佐奈 今度は、お前の笑顔が 見たい

俺は その為なら どんな事でもする

そして、この気持ちが どこから くるのか?

ふと 自分に問いかけたが

その時は まだ良く 俺自信でも 解らなかった。



親なんてさぁ~
所詮、自分勝手でさぁ~
勝手に子供作って

勝手に産んで

勝手に見放すだけ

ただ それだけの生き物


ある日 学校の屋上で ふとお前は そんな事を呟いて風船ガムを 膨らませた。

俺は そんなお前の横で
黙って 寝転んで 鮮明に青く広がった空を見ていた。
佐奈の風船ガムが パンッと 弾ける

俺は 「きたねーな」そう言ったけど

本当は また お前を抱き寄せたくて しょうがなかった。

冗談まじりに キスをせがむお前

お前の気持ちが どうだったのかは 良くわからねー
だけど 俺は あの時 本気で お前にキスをした。

(守りたい!!)

もう そうとしか 思えなかった。

最終話『真実のノート』

更に 初めてづくしはまだ続く…

「何見てんだよ!!なんか文句あるんか!?」

取り敢えず、そう言ってみた俺に

「いえ 別に」
佐奈が 答えてくれたんだ
初めての会話成立って訳だ
ちゃんと 喋れるじゃねーか!
そう思うと 嬉しさと感動が 込み上げた。
だが そんな感動にひたっている状況では無く
気が付くと 佐奈は また 背を向けて 飛び降りようと している
(やべーっ!!)
俺は また 「いてててっ!!!!」

と 大声で叫んだ。

「ちょっと うるさいんだけど!!」

佐奈は かなり 頭にきてる様子
さあ この続きは 何て言おう… 俺を睨み付ける佐奈考える暇は 勿論なく
「群れから外された」
気が付くと 俺は そんな訳の解らない説明を 佐奈にしていた。