真実のノート -69ページ目

4話『忍びよる影』

仕事が、終わり・・・


今日の、おかずを入れた
スーパーの、レジ袋を、ぶらさげ、帰宅を急いでいると…



『・・・♪』


「…!?」



どこから…ともなく…


スローなテンポの…


素敵な、曲が 流れてきました。



ふと、振り返ると…


毎日、同じ道を 通ってるのに…気が付かなかった程…


小さな、喫茶店の扉が…
開き・・・


(これは、バラードでしょうか?)



中から、本当に 聞き惚れてしまう程の、素敵な曲が流れて来ます。




「ちょっ ちょっとだけならいいかぁ~」


私は足を止め、その喫茶店に入り…


「いらっしゃいませ!」


と、(ニコニコ)と 出迎えてくれた、白髪の 老人マスターに コーヒーを 注文し…


辺りを、見回すと、お客は誰も 居なかったので…

一番奥の、窓際の席に座りました。



そして、コーヒーが来るまでの間、私は、目を、静かに
閉じて…

その、曲に 耳を、傾け

聴き入りました♪









♪ 何も 知らなくていい


ただ…この空の下にいて…


何も…望んで居ないよ…


貴方と、繋がる以外は…♪


「………」




何故か・・・


涙が、頬を伝います。




私は、銀色のオボンに、注文した、コーヒーを乗せ…

「お待たせしました!」


と、テーブルに置く マスターに…


「この曲!何ていう 曲ですか? 誰の曲ですか!?」
と、けたたましく、訪ねました。



マスターは、一瞬、黒ブチの

眼鏡の奥から、(キョトン!?)

とした、目で 私を見てから…

(ニッコリ)優しく、笑い…



「ERiの ♪この空の下にいて…」


と、答えてくれました。

4話『忍びよる影』

ゴミ置き場の掃除をしていると…


「松下さん!」

と、同じアパートの一階に住む、(金子さん)に、
(ポンッ)と、肩を、叩かれました。



金子「松下さん!私、見たんだけど…この間、24~5才の男が、あんたん家の 部屋のドアの前、行ったり来たり!?…してたわよ!
アパート古いし 松下さん家 2階だから、何か…ギシギシ歩く音がして…大柄で…不気味そうな、男だったわよぉ~!」




「えっ!?」


私は、一瞬 言葉を失い! 愕然と、なりました!!


それと、同時に…足の爪先から…背中、 全身へと、 悪寒が、走ります。




金子「まぁ~ 知り合いなら、いいけど…気をつけなさいよ!あんたの所、女ばっかりなんだから…」


そう言い残し…去って行く金子さんに、頭を下げながら、はっきりと、 先程の
疑いが 【確信】へと、変わってゆきます。


(私、やっぱり、誰かに、見張られてる!!)









<ピピピ>

お昼休み…
大から…メールが、入りました。


大「お昼やでぇ~ 彩香 何食べてるん? 俺は、牛丼やでぇ~ ポツポツ雨が、パラついて、来やがった… 嫌な 天気やなぁ~ 」



「……」


私は、携帯を、手に持ち
一瞬…ストーカーの事を
相談しようと、思いましたが…


彩香「私は みんなと、パスタよぉ~ 」

と、送信。



「……」


辺りを見回すと…

薄暗い…休憩室の、室内
一緒に、食べる友達など、居ません。


私は、開けかけた、お弁当箱のふたを…

<パタン!>

と、閉め… 薄暗い…灰色の天井を、見上げ…



1人・・・



・・・・呟きました。



「彩香は…いいなぁ~」

第4話『忍びよる影』

11月6日(木曜日)

午前5時09分



<ピピピ…>


携帯に大から、おはようメールです。


「今日も1日 頑張ろう!」

私は、布団の中から…

「おはよう 頑張ろうね!」
と 送信します。


大は、この後、お風呂に入るので… 暫く返信は、来ません。


その間に、私は、まなと、りんの、朝食の支度を、します。


朝食の支度が、終わる頃、

<ピンポーン♪>


玄関の、チャイムの音に…

(誰だろう? こんなに朝早く?)

と、思いながら、エプロンで
手を拭い、「は~い」と
玄関のドアを、開けました。



「!!」

そこには、隣の部屋に住む
主婦(山本さん)が、ちょっと、不機嫌そうに、立っていました。


山本「松下さん!貴方の家のゴミだと思うけど、又、荒らされてるわよ!散らばっちゃって… 悪いけど、かたずけて、くれない?」
そう言うと、山本さんは、前で、腕組みをして見せた。

「すっ すみません…
すぐ、片付けます。」


そう言うと、私は、(ペコリ)と、頭を下げ…

怒りながら、去って行く
山本さんの、背中を見つめ… 頭を、抱えました。


家は、ゴミを、朝出すのは面倒なので、夜中に、出していたのですが…


何故か?

数ヶ月前から…家のゴミだけが、荒らされるのです。
それだけでは、有りません!!


私は、子供達を、たまに
実家の母に、預けてジムに行くのですが…


その帰り道… 何となく、誰かに付けられている様な!?

そんな、違和感を、感じていました。


(ストーカー?)


と言う 言葉が、一瞬 頭の中に、浮かびましたが…

(ううん…)

慌てて、私は、それを 打ち消しました。



(まさか…こんな、おばちゃんの事、狙う ストーカーなんて、居ないわ!)