真実のノート -65ページ目

7話『宏樹』

「あっ パパだぁ~!!」

奥の部屋から、まなと、りんが、宏樹を見つけ、嬉しそうに 駆けてきます。


「まなぁ~!! りん~!! 」

宏樹は そう叫ぶと、両手を いっぱいに広げて、まなと、りんを 2人同時に 抱き上げました。


「きゃっ スッゴい!!パパ!!」

はしゃいで、喜ぶ、子供達

(凄い!!同時に抱っこなんて…とても、私には 出来ません!)


愛しそうに、まなと、りんの、頬に 順番に すりすりする宏樹の、ニヤけた顔はパパそのものです。




もし…


子供達が… 居なかったとしたら?


宏樹との、今の繋がりは おそらく、無いでしょう…




・・・・・宏樹と出会ったのは・・・



宏樹が、25才

私が、21才…の時でした。

宏樹は、大手商社の サラリーマン… (今でも、そうですが…)


私は…出版会社で 働く、 普通のOL…

(今の彩香の土台には… 過去の私が居ます。)


お互いの、友達に誘われた言わゆる…合コンで 知り合い、恋に落ちました。

(そう… 今の 彩香と大の様に…)


若さ…


境遇…


どれを、取っても、何の 障害も無い 恋でした。

4年間付き合い…

宏樹が…29才

私が… 25才の時、 めでたく、ゴールイン!


・・その後、まなが 生まれ、私は、それまで努めていた、会社を 退職し…
専業主婦に、なりました。
その4年後…

下の娘、りんが、誕生し
本当に…

永遠に 続くかと、思われる程の 幸せな 家族の時間が、続きました。





・・・あの日



あの女と・・・



宏樹が・・・




出会うまでは・・・

7話『宏樹』

11時の約束まで、後 5分の所で 支度も 整い…

私は、化粧をしようと、鏡の前に、座りました。

「……」


鏡の中の… 化粧前の私は
何だか… 疲れきった顔で
所どころに、シミも増え
小じわも…少しずつ 目立ってくる様になり…


・・・まるで


おばさん! そのものです。


(大した、お手入れも して来なかった!その、結果でしょうか?)


・・・・悲し過ぎます。


しかし!?


そんな事を 考えている
暇など、今は 有りません!

急がなくては!!


後、5分で 宏樹が来ます!!


慌てて、(パタパタ) と
ファンデーションを 塗っていると!?


(カチャッ)


玄関の扉が 開き…

宏樹が、入って来ました。

そして、まじまじと、私を見つめ…


「お前も、年を取ったなぁ~」


・・・・と


軽く、ため息をつきました。




(余計な、お世話です!!!!)

第7話『宏樹』

午前10時

何故か!? 別れた夫『宏樹』から… 連絡が有りました。

「今日、休みだろう?たまには、近くの遊園地にでも行かないか?…子供達にも会いたいし…」


少し…遠慮がちな、宏樹の声に…

私は、壁の時計を、見上げ!?

「いいわねぇ~ 子供達も喜ぶわ!! 何時位に、こっちに来れる?」

と、聞き返すと!?


「うーん~じゃあ!11時位迄には、そっちに行くよ!」


と、弾んだ声が 返って来ました。


まなと、りんにとっては、世界で たった1人の、大好きな、パパです。


子供達は、きっと、喜ぶでしょう!


そう 思いながら、受話器を置くと… 私は、急いで子供達を 公園に迎えに
行きました。



「あちゃっ〓」


案の定… りんは、砂場で 泥だらけで、遊んでいます
まなは、同級生の『彩香ちゃん』 (私が、名前を貰った娘) と、ブランコに 揺られながら、楽しげに 話しを、していました。



「まなぁ~!! りん~!!
パパが、遊園地、行こうって!!!! 」

私が、大声で そう 叫ぶと…

まなの方は、彩香ちゃんに バイバイをし

「嬉しい!!本当に!?」

と 言いながら、こちらに駆けて来ました。


・・・・しかし


りんの方は!?


私の声が、聞こえないのか?

砂遊びに、夢中なのか?
全くの無視 状態だったので…


「はい!まな パパと、遊園地行こうね! りんは、お留守番ね!! 」と、わざと 大声で… 背中を向け まなの手を引き、立ち去ろうとすると!?

後ろから…


「待ってぇ~ りんも 行く!! 」

と、叫びながら、(パタパタ)と駆けて来る、足音が 聞こえたので…


私と、まなは、思わず 顔を 見合せ…


(クスッ)


っと、笑い合ってしまいました。