真実のノート -61ページ目

9話『彼女の存在』

11月17日(月曜日)

午前5時10分


(ピピピ♪)

大から…メールが届く…


「おはよう!今日も1日頑張ろう!!」


(………)


私は…布団にくるまり…




………静かに、目を閉じた。



…………そして



次に、目を開いた瞬間!!!!




『彩香』の怒りが 一気に



爆発する!!!!!!




彩香「大!!聞きたい事がある!!!!」


大「ん?なんやぁ!?」


彩香「女…いるよね!?」


大「何 ゆうてるんや!?」

彩香「じゃあ!土日のメールが無いのは何故!? 日曜日なんて、一通も無いじゃない!!!!」


大「たから…連れといるんやて…」


彩香「連れ!? 友達と居るんなら、私にメール位出来るよね!?」



暫く、途絶える大からの、返信…


お風呂だろうか!?

それとも何か、新しい 言い訳でも 考えているのだろうか!?



そして


(ピピピ♪)

大からだ!!



大「掘ってくるね~彩ちゃんそんなに俺と 切れたいの!?」


(なっ!!)

(開き直るつもりだろうか!?)


文字を打つ指先が、微かに震えだす…


彩香「貴方の事が、好きなのよ!!お願い!!ごまかさないで!!!!」


………そして


また、途絶える返信…



もう…答えは 決まっていた。



すると…大から…


大「俺は、彩香の事が好きだし…大事に思うとる」

と…返信。


(まだ、粘るの!?大!!)

強気の彩香が、とどめをさす!!


彩香「本当の事を教えて!!大!!!!」


そして…


また、途絶える返信…



『彩香』と 私は…

息を(ゴクリ)と 飲み込むと大からの、次の返信を待った。



『彩香』は…プライドをかけ
そして…私『ともえ』は…と
言うと…

情けないない事に、そんな『彩香』の後ろに、怯える様に…隠れていた。



そして…


(ピピピ…♪)


大から…返信が!!



大「ごめん…彼女居てますだけんど…これだけは、信じてや!! 彩香に対する、俺の気持ちに嘘はない!!
俺は…ほんまに彩香が 好きなんや… あかんか?
あかんよなぁ~ ごめんなわがままで…」



「……………」



(やっぱり…)


と思う…私の気持ちとは
裏はらに…


『彩香』は、傷付いていた。



彩香「ごめん…暫く 泣きます…」


そう…送信すると…

『彩香』は (ガクリ)と
膝を落とし…


(わぁぁぁん~!!!!!!)


と…子供の様に…泣き崩れた。



私『ともえ』は そんな


心の『彩香』を ただ、ぼーぜんと…


成す術もなく…見詰めている事しか、出来なかった。

9話『彼女の存在』

彩香「なぁぁんてね!冗談に決まってるでしょ!私がネガティブになる訳ないじゃん!!」


大「なんやぁ~? 彩香
冗談かてきついわぁ!メッサ心配したんやで!」


彩香「ごめん!ごめん! ねぇ~ そんな事より、私が大阪行った時、何処連れてってくれんの?決めてくれたぁ~? 」


大「う~ん まだ 決めとらん…」


彩香「んもぅ~ 考えて置いてよね!! 一応、初対面だし…初デートなんだから」


大「ハハハ… おっしゃあ!!まかしとき!考えとくわ! んでも 楽しみやなぁ~
イブの夜は…」



そんな会話を楽しみながら

やがて・・・


大からの返信は、 段々と遠のき…


ピタリと止まる



私は、いつもの様に…


15分待ち…



「お休み…大 泣ける程 愛してる…」


と 書き…


今日、最後の送信ボタンを押した。




それからの毎日は…

朝 昼 晩 と 何気ないやり取りを、楽しみ…


日々は 過ぎて行った。


そして、知り合ってから
2度目の 土日が やってくる…

私は、心の片隅では 分かっては いても…

彼からのメールを待ち続けた。

しかし…

やはり、その2日間 彼からのメールは ピタリと 途絶える…


(彼には、確実に彼女がいる!!)


「彩香…貴方は、明日の朝彼に対して、どんなメールを送るの?」


『…………』


一呼吸置いて…

彩香が、答える…



『決まってるわ…彼女の存在を…はっきりさせるのよ!!』

9話『彼女の存在』

その時!?

(ピピピ…♪)

メール音が鳴り…

携帯のディスプレイを開くと
「今、仕事終わった~
彩香 何しとん?」

(クスッ…いつものセリフだ…)

やはり、彼…大からです。
私は、調理の終わったばかりの、フライパンの火を止めると

「今、♪この空の下にいて…聴いてるの♪これ…私の歌だと思うから…」

と、打ち、送信しました。
大「♪この空の下にいて?誰の歌だっけ!?」


私「ERiの歌だよ♪ その歌詞、私の気持ちだから…」

大「分かった!ダウンロードして聴いてみる…」

・・そう


この歌は、『彩香』では無く…私(ともえ)の、大に対する気持ちだ…


(ピピピ…♪)


暫くすると、大から返信
「聴いたで…メッサいい歌やなぁ~ ってか、これ失恋の歌やんか!!」


(大…)


私は…次第に、潤んでゆく視界から…大に言葉を書き送信しました。


「そうだね…だけど、私と切れる時が来たら… その歌を聴く度…私を思い出して…」


大「何をゆうてるんや!? いつもの彩香らしくないでネガティブになったらあかんよ…彩香と俺は ずっと、一緒やで… 何か、心配事があったら、何でも言うんやで…」


(大…)


可愛い大… 私は 貴方の優しい言葉を、見るたびに…苦しく…切なくなってゆく…



いっそ…本当の事を、全て話してしまおうか!?


そんな、言葉が 頭の隅を撫でるように かすめては消えてゆく…



・・・・しかし


再び、送信ボタンを押した時



私は『彩香』になっていた!!