真実のノート -51ページ目

3話『開いてゆく心』

「パンッ!!」

風船ガムの弾ける音がして
あたしは、一気に回想モードから、現実へと 引き戻された。


又…後ろを向くと!?

今度は 大口を開けて 寝ている誠が居た。

(クスッ)

(大きい身体してる癖に
寝顔は…子供みたいに あどけなくて、可愛いい!)

あたしは、ただ1人の友達で 彼氏でもある 誠の赤いカチューシャを…そっと、取ると 自分の頭に、付けて見た。

バックから、鏡を取り出し映してみると!?

(うん、中々 似合うんじゃない…あたし!!)

そんな事を 心で 呟いて
(クスクス…)

笑った。


そして、相変わらず 青く澄んだ 雲1つない空を見上げ…

(いつ以来だろう!?笑ったの!?)

気がつくと ふと そんな事を、自分に問いかけてる、あたしが居た。







放課後…

風船ガムを、膨らませ…

あたしは、トロトロと

帰りの支度をしている誠を
教室のドアに、もたれかかりながら、待った。


「おっ!?」

誠は そんなあたしに、気付き!?

「お前…もしかして、俺を待ってた!?」

と ニヤケ眼で 聞いてきたので

(ムムム…)

あたしは、無性に、悔しくなって、持っていたカバンで 誠のケツを思いっきり
「バンッ!!!!」

と ひっぱたき、スタスタと歩き出した。


「いててっ… 狂暴な女だ!!」

そう言いながら…後を、付いてくる誠…


あたしは、そんな誠に振り返り

「ばぁぁぁぁか!」

そう言って、アッカンベーをした。

(アハハ…)

自然と笑みが 零れる

(ほらね…あたし…又、笑ってる!!)


笑顔を 忘れてなかった
自分に びっくりだ!!

3話『開いてゆく心』

(あの時…何で?誠は 屋上に、居たんだっけ!?)

誰も聞いちゃいない授業中あたしは、風船ガムを膨らませ、ふと、そんな事を思った。

後ろを振り返ると!?

ノートに、女の裸の落書きをしながら(ニタニタ)している誠が、居る。

(さいてー!!)

そう思い、又 前を向いたあたしは、4日前の、朝の学校の、屋上を思い浮かべ…微かな記憶を、たどった。






・・・・あの朝

あたしは、本気で 死ぬつもりで 屋上の金網を乗り越え、緩やかな風にスカートをなびかせながら…

下を…見ていた。

下をみながら…

(ここから、飛び降りたらちょうど、あの花壇のあたりに落ちるだろうな…)

そんな事を考えてた…

不思議と 怖さは無くて
むしろ、これでこの世からおさらば出来るんだ!

そう思うと 少し喜びにも似た感情が 私を支配し始める…

ゆっくりと、足を進めると上履きの爪先の下には
もう 何も無くて…

下の花壇が 遠くに重なった…


(これで…バイバイ…)

そう思うと 少しだけ 涙が零れた!


その時!?

「あ~!!ちくしょう!!!!」

突然!! 背後から大きい 叫び声が、聞こえた!!

「何!?」

振り返ると!?

「いてぇー !!!!」

お腹を押さえながら…
そう言って、転げ回る奴がいた。


…それが 誠だ。


誠は ぼーぜんとしているあたしを、見ると!?

「何、見てんだよ!!文句あるんか!?」

と (キッ)っと あたしを睨み付けた。

あたしは、(ハッ)っと 我に返り

「いえ…別に…」

そう言うと、又 前を向いた。

すると!?

「いててててっ…!!!!」
また、背後から 奴の叫び声が、聞こえた。


(カチンッ!!)
ときたあたしは、 転げ回ってるあいつに又、振り返り
「ちょっと!!うるさいんだけど!!!!」

と 力任せに、怒鳴った!!
すると、あいつは一瞬
びくっとした表情を除かせて

「なんだよぉ~ 俺 今日群れから外されて…おまけに殴られたんだぜ…」

そう…情けない、声で呟いた。

(ダサい奴…)

そう思ったが さすがに 可哀想になり…一応

「何で?」

と 理由を訪ねてやると

突然の 突風が あたしを襲った。

「わぁ~!!」

少し…よろけた身体
これから、飛び降りようとしてたのに、あたしは思わず、側の金網を掴んでしまった。

(情けない… 何やってんのあたし…)

あたしは、慌てて 掴んだ金網から、手を離した!
そんな、あたしを見て
あいつは

「ってか…何で そんな 危ねー所にいんの?趣味!?」

と聞きながら…金網をひょいっと、乗り越え、手を差し出して来た。


あたしは、そんな誠の手を振り払い

(ほっといてよ!!)

と 叫びたかったが…余りに ドラマっぽかったので…

差し出された手を取り

「趣味よ 悪い?」

と 答えた。

「あははは…!!!!」

途端に 誠が笑い出す。

(あたしの事、バカにしてる!?)

そう思い

「なっ 何よ!!」

と あたしが 手を振りほどこうとすると!?

誠は (ギュッ)っと あたしの手を強く掴み

「面白れーな お前 俺と 付き合おうじゃん」

そう言って、自分の胸に引き寄せて、 あたしをきつく抱き締めた。
「…」(何…こいつ!?)

そう思ったが 何故かあたしは、あいつの胸の中で 抵抗もせず…抱き締められていた。

なんか…温かくって 気持ちが良かった
(それだけの理由なんだけど…)

あの時…
確か…あいつは あたしに何か 囁やいた様な

そんな、気がするんだけどなぁ…
(何て言ったんだっけ!?)

風の音で 良く聞こえなかったせいかな!?

駄目だ… 思い出せない…

第3話『開いてゆく心』

翌朝… 駅の掲示板の前で
「よぉ!」と 片手を上げる 誠を、あたしは横目で促し ズタズタと学校に向かった

「おい!!又無視かよ!!冷めてーなぁ~ 」

そう言って 誠は あたしの後を付いてくる。


あたしは、好きで学校に行くんじゃない!!

『居場所が無い!!』
だから、仕方なく行くんだ
(まぁ~ どうでも いいけど…)


今日も 鮮明に澄んだ雲1つ無い、 青い空が 何故かバカ見たいで ムカつく!!



「しかし、今からじゃ、遅刻だんべ!」

背後から ふいに誠が呟いた。

「関係ないっしょ…」

そう言ってスタスタ歩くあたし


暫く、続く無言…



誠が、 あたしを駅の掲示板の前で待つ様になったのは、付き合い出した翌朝の3日前からだ…


「!?」

ふと、足を止め あたしは、奴に振り返った。

誠は、 腕時計の調子が悪いのか!? しきりに片腕を振りながら、こちらに歩いて来る。


私「ねぇ~誠…」

誠「あん?」

私「あんたん家…何処?」

あたしは、そう言うと、
風船ガムを(プウ~)っと膨らませた。


誠 「俺ん家聞いてどーすんの?」

誠が ニタニタと笑う…

(何、想像してんだ!こいつ…)

あたしは、急に馬鹿らしくなり…

「もう、いいよ!」

そう言うと、誠に(クルリ)と背を、向けた。


(何となく… 誠が 何処から この掲示板の前に 毎朝やって来るのか?)

ちょっと そんな事を知りたくなったのだ…

(まぁ~ どうだっていいかぁ~)


膨らませた 風船ガムが
(パチンッ)と 割れる。



「おいおい…こんな朝っぱらから、キスすんのか?」
そう言うと、誠は あたしの肩に、手を置いた。


「ちょっ なっ 何言ってんのよ!」


(こんな、商店街のど真ん中で、冗談じゃない!!)

あたしは、慌てて 顔を背けた!


「あー!! 赤くなってる佐奈!!」

そんなあたしを ニタニタしながら、覗き込む誠…


(マジ ムカつく!!!!)

「知らない!!!!」

あたしは、そう叫ぶと 小走りで商店街を、抜けた。

そんなあたしを…

「おい!!待てよ!!」

と 言いながら追いかけて来た誠は スローペースになった私の横に並び…

「お前…可愛い所あるじゃん!何時も そうしてたらもっと…好かれるぜ!」

そう言い、焦るあたしの顔を上から、覗き込み
再び、(ニタァ~)と笑った…

「べっ 別に、あたしは1人で平気だもん!」
そう言って…
あたしは、又 風船ガムを (プゥ~)っと 膨らませた
「佐奈…」そんなあたしの右手を誠は 突然掴み 引き寄せる

そして

「1人じゃ無いじゃん…
俺…居るじゃん…4日前からだけど…」

そう言って照れくさそうに…笑った。


(誠…!?)

しっかりと繋がれた手…
指先が じんじんと 熱くなる…

そのじんじんが、心にまで伝わってきて…

恥ずかしくなって あたしは、思わずそっぽを、向いた。

そして、再び横目で 誠を見ると…

同じ様に、誠もそっぽを向いていた。


(あの時…飛び降りなくて良かったのかなぁ~)

そんな事を ふと思ってしまう私…


(なんか…変だ… )

心臓が (トクン)と 一回 波を打つ…


私達は そのまま 手を繋ぎ
学校に、向かった。