最終話『真実のノート』
次の日の朝 俺は 母と職員室で 担任の水谷に 深々と頭を下げた。
「まあ 元々 椎葉は うちに来る様な生徒では 無かったしな…」
そう言ってため息をついた水谷に 俺は転校先は
誰にも言わないようにと口止めをお願いした。「わかったよ椎葉」小さく頷く水谷、その後
「まあ 頑張れよ!」
そう言って まるで励ますように、肩を ポンポンと 叩いてくれた。
「本当に お世話になりました。」
最後に もう一度 母と2人一礼すると 俺は うつ向いたままの母の肩に 軽く手を置き 職員室を後にした
携帯を見ると、朝 いつもの掲示板の前に俺の姿が 無い事に気付き佐奈からメールと 2回程の 着信が入っていた。
佐奈は 今頃 教室に居るのかも知れない
そう思うと ズキリと 心臓が痛んだ。
佐奈からのメールを開く勇気も無く そのまま閉じると 俺は 正門に待たせてある タクシーへと向かう。
これが 最後
不思議と心は 決まっていた。
ただ 佐奈の前から 何も言わず 去る事が 苦しかった
タクシーのドアが開き 母を先に 乗せると 後から俺も乗り込んだ。
その時
「まことっ!!!!」
微かに 俺の耳に 届いた声
見ると 向こうからこちらに 走って来る 佐奈の姿が見えた。
「運転手さん 早く 車を出して下さい!!」
俺は 身を乗り出し 運転手を急かした。
動き出す車
俺は 固く目を閉じた。
後ろを 振り返っては いけない
もし 今 振り返れば 俺は
間違いなく 車を停め
あいつの側に 駆け寄ってしまう
そして 力一杯に 抱き締めるだろう
けれど
その後 どうなる?
抱き締めたとしても 一瞬の事で
その後の 未来など
何も無い
俺達には 何の 未来もないんだ
涙が 噛み締めた唇に 零れ落ちた。
佐奈 俺は お前に出逢って
初めて 人を愛する事を 教えられた。
だからこそ
今は 逃げる
同じ 父を 持つ 俺達は きっと 何処かで この先
出逢うのかも知れない
その時迄には きっと お互い 忘れられる
この気持ちを 無にする事が出来る
あの時の俺は そう信じていた。
だが そんな思いも 虚しく
それから 一年が 過ぎても
俺の心の中には 佐奈 お前だけの 場所しか無かった。
「まあ 元々 椎葉は うちに来る様な生徒では 無かったしな…」
そう言ってため息をついた水谷に 俺は転校先は
誰にも言わないようにと口止めをお願いした。「わかったよ椎葉」小さく頷く水谷、その後
「まあ 頑張れよ!」
そう言って まるで励ますように、肩を ポンポンと 叩いてくれた。
「本当に お世話になりました。」
最後に もう一度 母と2人一礼すると 俺は うつ向いたままの母の肩に 軽く手を置き 職員室を後にした
携帯を見ると、朝 いつもの掲示板の前に俺の姿が 無い事に気付き佐奈からメールと 2回程の 着信が入っていた。
佐奈は 今頃 教室に居るのかも知れない
そう思うと ズキリと 心臓が痛んだ。
佐奈からのメールを開く勇気も無く そのまま閉じると 俺は 正門に待たせてある タクシーへと向かう。
これが 最後
不思議と心は 決まっていた。
ただ 佐奈の前から 何も言わず 去る事が 苦しかった
タクシーのドアが開き 母を先に 乗せると 後から俺も乗り込んだ。
その時
「まことっ!!!!」
微かに 俺の耳に 届いた声
見ると 向こうからこちらに 走って来る 佐奈の姿が見えた。
「運転手さん 早く 車を出して下さい!!」
俺は 身を乗り出し 運転手を急かした。
動き出す車
俺は 固く目を閉じた。
後ろを 振り返っては いけない
もし 今 振り返れば 俺は
間違いなく 車を停め
あいつの側に 駆け寄ってしまう
そして 力一杯に 抱き締めるだろう
けれど
その後 どうなる?
抱き締めたとしても 一瞬の事で
その後の 未来など
何も無い
俺達には 何の 未来もないんだ
涙が 噛み締めた唇に 零れ落ちた。
佐奈 俺は お前に出逢って
初めて 人を愛する事を 教えられた。
だからこそ
今は 逃げる
同じ 父を 持つ 俺達は きっと 何処かで この先
出逢うのかも知れない
その時迄には きっと お互い 忘れられる
この気持ちを 無にする事が出来る
あの時の俺は そう信じていた。
だが そんな思いも 虚しく
それから 一年が 過ぎても
俺の心の中には 佐奈 お前だけの 場所しか無かった。
最終話『真実のノート』
その日から 俺は 時々 学校を 休むようになっていった。
心配して 佐奈から なんども 携帯に連絡が 入る
曖昧な 返事で交わしながら 昔からの、友達の家を 転々とした。
酒を飲み ナンパした女と犯りまくる
だが どんな女と 犯っても最後に 浮かぶのは
やっぱり たった1人の姿だった。
真夜中 家に帰ると 担任から 学校に来ていないと 連絡を受けた母が 心配して俺の帰りを待っていた。
俺の 酔った姿を 見て 母は 何も言わずに肩を震わせ、 泣いていた。
やけに小さく見える
きしゃな身体…昔から余り体の丈夫な人じゃない…(何やってんだ 俺)
「ごめんな 母さん」
俺は、そう言うと 母に、頭を下げた。
母さんを 泣かせてどうするんだ
どうするのか?決めなきゃいけない
佐奈
もう 限界だ
俺は もう これ以上
お前の側には いられない
「母さん 転校するよ」
疲れきった俺は、呟くように 母に そう、告げた。
最後の日に お前と 久々に
歩いた 土手沿いの帰り道は
夕日が 綺麗で 何もかもが赤く 染まっていた。
お前は その帰り道で 突然
泣いたんだ。
近頃の俺の行動が 原因だと すぐにわかった。
だけど そんなお前を 気遣う余裕もなくて
(これが 最後)
そう思ったら 夢中で お前を抱き締め キスを繰り返していた。
訳が わからず そんな俺を突き放す佐奈
俺は ふいっと 佐奈に 背を向けた。
こんな俺 嫌いになれ
いっそ、嫌われた方が 楽だ
そう思った。
その時 佐奈の手が 後ろから 腰に回された。
背中に 感じる佐奈の体温
「誠があたしを好きでいてくれるなら、 全部 あげる」
背後から 聞こえた佐奈の声 腰に回された手が震えていた。たまらなく 愛しくて
悲しい言葉だった。
あの後 町外れのラブホ迄
何も言わずに 歩いたのは
お前を抱くつもりじゃなくて
もう少しだけ お前と 歩きたかったからなんだ
歩きながら 何も 言わずに 明日 お前の前から消える俺を お前は 多分 恨むんだろうな そんな事を考えていた。
身勝手で どうしようもない俺を 憎みながら
忘れてくれればいい
そして いつか
本当の恋を見つけて
笑ってくれればいい
ラブホに入ろうとする お前の手を引き寄せ
最後に 力いっぱいに 抱き締めた。
困惑する佐奈
そんな 佐奈に
「またな…」
そう言い残すと 俺は お前に背を向け
全速力で走り去った。
心配して 佐奈から なんども 携帯に連絡が 入る
曖昧な 返事で交わしながら 昔からの、友達の家を 転々とした。
酒を飲み ナンパした女と犯りまくる
だが どんな女と 犯っても最後に 浮かぶのは
やっぱり たった1人の姿だった。
真夜中 家に帰ると 担任から 学校に来ていないと 連絡を受けた母が 心配して俺の帰りを待っていた。
俺の 酔った姿を 見て 母は 何も言わずに肩を震わせ、 泣いていた。
やけに小さく見える
きしゃな身体…昔から余り体の丈夫な人じゃない…(何やってんだ 俺)
「ごめんな 母さん」
俺は、そう言うと 母に、頭を下げた。
母さんを 泣かせてどうするんだ
どうするのか?決めなきゃいけない
佐奈
もう 限界だ
俺は もう これ以上
お前の側には いられない
「母さん 転校するよ」
疲れきった俺は、呟くように 母に そう、告げた。
最後の日に お前と 久々に
歩いた 土手沿いの帰り道は
夕日が 綺麗で 何もかもが赤く 染まっていた。
お前は その帰り道で 突然
泣いたんだ。
近頃の俺の行動が 原因だと すぐにわかった。
だけど そんなお前を 気遣う余裕もなくて
(これが 最後)
そう思ったら 夢中で お前を抱き締め キスを繰り返していた。
訳が わからず そんな俺を突き放す佐奈
俺は ふいっと 佐奈に 背を向けた。
こんな俺 嫌いになれ
いっそ、嫌われた方が 楽だ
そう思った。
その時 佐奈の手が 後ろから 腰に回された。
背中に 感じる佐奈の体温
「誠があたしを好きでいてくれるなら、 全部 あげる」
背後から 聞こえた佐奈の声 腰に回された手が震えていた。たまらなく 愛しくて
悲しい言葉だった。
あの後 町外れのラブホ迄
何も言わずに 歩いたのは
お前を抱くつもりじゃなくて
もう少しだけ お前と 歩きたかったからなんだ
歩きながら 何も 言わずに 明日 お前の前から消える俺を お前は 多分 恨むんだろうな そんな事を考えていた。
身勝手で どうしようもない俺を 憎みながら
忘れてくれればいい
そして いつか
本当の恋を見つけて
笑ってくれればいい
ラブホに入ろうとする お前の手を引き寄せ
最後に 力いっぱいに 抱き締めた。
困惑する佐奈
そんな 佐奈に
「またな…」
そう言い残すと 俺は お前に背を向け
全速力で走り去った。
最終話『真実のノート』
(あっ そうだ…)
俺は 立ち止まり 佐奈に 昨日買ったCDを 手渡した
昨日 あの喫茶店で 何度も聞いた歌
ERiの♪この空の下にいて…だ
何故か 佐奈にも 聞いて欲しい そう思ったんだ。
不思議そうに CDの表裏をひっくり返しながら 見詰める佐奈
俺は そんな佐奈に
「もしもさ俺と佐奈が 離れる時が 来たらさ 例えば その先の 佐奈の事 俺は 何も知らない事になるだろう?」
そう問いかけた。
ビックリしたように 目を見開いて 俺を見る佐奈 そんな佐奈に、尚も俺は言葉を続ける
「だけどな 例え 何も 知らなくてもいいから 俺は この空の下で お前に笑ってて欲しい そう思うんだ」
最後の方は、声が震えていた。だけど、俺の 本当の気持ちだった
その時
「こんな CD 要らない!」
お前は 俺にそう叫んで CDを 投げつけたんだ
そして
「何で 離れるなんて言うの!? 誠が 居なくて どうして あたしが 笑えるんだよ!!」
そう 叫んだ。
(佐奈…)
俺は 思わず 佐奈の手を掴んだ
お前の言葉が 胸に響いて
苦しくて
悔しくて
お前を 力いっぱいに 抱き締めた。
何でだ!?
なあ 神様 何でだよ!!
どうして 俺達に こんな 残酷な 想いさせるんだよ
いけないと ブレーキを かけながらも
俺は 佐奈に強引に 唇を 重ねた。
「離れないって 約束して」
佐奈が 泣きながら 俺のシャツを 掴んだ。
離れたくない!!
こいつを 離したくない!!
どうしたらいいんだ!!
俺は まだ 迷い続けていた
だけど
苦し過ぎて
答えが 見つからない
まるで 出口のない
迷路に 迷いこんだ ようだった。
俺は 立ち止まり 佐奈に 昨日買ったCDを 手渡した
昨日 あの喫茶店で 何度も聞いた歌
ERiの♪この空の下にいて…だ
何故か 佐奈にも 聞いて欲しい そう思ったんだ。
不思議そうに CDの表裏をひっくり返しながら 見詰める佐奈
俺は そんな佐奈に
「もしもさ俺と佐奈が 離れる時が 来たらさ 例えば その先の 佐奈の事 俺は 何も知らない事になるだろう?」
そう問いかけた。
ビックリしたように 目を見開いて 俺を見る佐奈 そんな佐奈に、尚も俺は言葉を続ける
「だけどな 例え 何も 知らなくてもいいから 俺は この空の下で お前に笑ってて欲しい そう思うんだ」
最後の方は、声が震えていた。だけど、俺の 本当の気持ちだった
その時
「こんな CD 要らない!」
お前は 俺にそう叫んで CDを 投げつけたんだ
そして
「何で 離れるなんて言うの!? 誠が 居なくて どうして あたしが 笑えるんだよ!!」
そう 叫んだ。
(佐奈…)
俺は 思わず 佐奈の手を掴んだ
お前の言葉が 胸に響いて
苦しくて
悔しくて
お前を 力いっぱいに 抱き締めた。
何でだ!?
なあ 神様 何でだよ!!
どうして 俺達に こんな 残酷な 想いさせるんだよ
いけないと ブレーキを かけながらも
俺は 佐奈に強引に 唇を 重ねた。
「離れないって 約束して」
佐奈が 泣きながら 俺のシャツを 掴んだ。
離れたくない!!
こいつを 離したくない!!
どうしたらいいんだ!!
俺は まだ 迷い続けていた
だけど
苦し過ぎて
答えが 見つからない
まるで 出口のない
迷路に 迷いこんだ ようだった。