真実のノート -19ページ目

15話『暴かれる真相』

「椎葉君 なら 何故 佐奈に メールするの?佐奈は メールの相手が 椎葉君だとは 知らないんでしょ?」
私は 椎葉君に 聞いた。
「ああ あいつは メールの相手が 俺だとは 知らないメールをしたのは、離れた後 あいつが 幸せかどうか知りたかったからだ…
だけど…あいつは…」

再び、対抗車線から来る 車のライトが 椎葉君を 照らす

「なぁ 久保田 俺 お前に頼みが あるんだ…」

突然、そう言いながら 椎葉君が 私を見た

そして

「佐奈には 今日の事も メールの事も 全て 黙ってて欲しい!! そして 後 もう少しだけ あいつと、メールを 続けさせてくれ!! 勝手に あいつから、離れて置いて ワガママだって事は十分 解ってる!! だけど…」


「だけど? 何!? 椎葉君」

「どうしても、あいつから聞きたい言葉が 有るんだ勿論 俺は 二度と あいつの前に 姿を 見せるつもりもない!だけど ただ、あいつから、質問の答えを 聞きたいんだ! それを 聞いたら、消えるから それまでは、あいつと俺に メールを 続けさせてくれ!!」

椎葉君は 私を 真っ直ぐに見詰めて そう言った


私はね…佐奈

その時の 椎葉君の 瞳が 忘れられないんだよ
何を 佐奈から 聞きたいの? って 質問したかったけど… 何も 聞けない程 椎葉君は 真剣で 寂しい瞳をしていた。


だけど、ただ 1つだけ 分かった事は 椎葉君が 佐奈を 深く 愛してるって事 それだけは 痛い程 分かったんだ…

だから 私は 椎葉君に言われた通り、おば様やおじ様と、打ち合わせをして、通りすがりの人に助けて貰ったと佐奈に嘘をついた。悪あがきかも知れないけど、先の無い恋なら、 佐奈に 椎葉君を 忘れて欲しかった 椎葉君が 最後の質問を 佐奈にした時 佐奈が 笑って答えられる様に したかったんだ…

だけど…心の 何処かでは無理なんじゃないか!?って思ってた。
だって、佐奈と椎葉君の間に 有るのは、深い愛だったから…



「美紀」

佐奈が 潤んだ瞳で 私を 見詰めた。

掴んだ 佐奈の両手から 佐奈の 震えが 伝わってくる

「ごめんね 佐奈」

私は 佐奈を 思いっきり、抱き締めた。

そして 私は 最後に 見た椎葉君の背中を 佐奈に 伝える


「佐奈 去年の夏 コンサートの帰りに 私が 歩道橋の上で 泣いたのは…佐奈に背を 向けた 椎葉君の 背中が 震えていたからなんだよ…」

「誠の背中が?」

佐奈が 涙声で 私に聞く

私は 答えた


「あの時 佐奈に 背中を 向けて 椎葉君は きっと 泣いてたんだよ… それが分かったんだ… だから こらえ切れなくて私は、泣いたんだよ…」


「ああぁぁーっ!!!!」
私に しがみつき 泣き崩れる佐奈


「ごめんね!! ごめんなさい!!佐奈!!!!」


貴方に 全てを 話してしまった今

私には 貴方に 謝る事しか出来ない!

ただ、このままじゃ…
佐奈が 可哀想で
誰よりも 椎葉君に 愛されている佐奈が
何も 知らないまま 愛を 知らない人間に なってしまいそうで
怖かったんだ…

佐奈…


貴方は この真実を 知ってどんな 答えを 出すの!?
私は 泣きじゃくる佐奈を 抱き締めながら 心の中で そう問いかけた。

15話『暴かれる真相』

「嘘よ!!!!」

その時! 佐奈が 耳を両手で 塞ぎながら 首を、横に 激しく振った。

「佐奈 聞いて!まだ 話しは 終わってないわ!!」

私は 佐奈の耳を塞ぐ 両手を 強引に 外すと そう叫んだ!!

佐奈の瞳が ユラユラと左右に揺れている


「佐奈 椎葉君はね…」


私は 佐奈の両手を 掴んだまま 話しを 続けた。

15話『暴かれる真相』

「なぁ 久保田 異母兄妹って意味知ってるか?」

ずっと前を 見据えたまま椎葉君は 私に そう聞いた
「…………」
私は 沈黙のまま うつ向いた。

「俺は 佐奈の父親の愛人の実の息子だ… つまり 佐奈は 誕生日たった6ヶ月違いの、俺の血の繋がった妹なんだ」

(佐奈が 椎葉君の妹)

私は こらえ切れず 目を 固く 閉じる!
だって

そんな! 残酷な事!!



「俺も、知ったのは 高1の 終わりだったけどな…」
「えっ!?」

私は 突然の言葉に、顔を上げ 椎葉君を見た。

椎葉君は 私を見て微かな笑みを、浮かべる。

「椎葉君! まさか 椎葉君は それで 佐奈の前から 消えたの?」

私は 椎葉君に聞いた。


椎葉君は 再び 私から 視線を 反らし 前を向く。
そして

「俺達には なんの 未来も無い… 離れるしか 無いだろう 俺の存在は あいつを 苦しめるだけだ」

そう言った。