16話『愛だけを見詰めて』
全てを 知ってしまったから…
誠の言葉の意味が 今の私には 痛い程 わかる。
血の繋がり故に 私達は
強く、惹かれ合ってしまったのだろうか?
最後に たどり着いた 校舎の屋上で 緩やかな風に 髪を なびかせる誠の背中に私は 心の中で 語りかけた
この 屋上で 私達は 初めて 出逢った。
あの時 誠に 出逢わなければ…こんなに 辛い想いは多分 一生 しなかったのかも 知れない。
だけど… あの瞬間に 出逢わなければ…私が 今 ここに立つ事は無い。
多分…飛び降りて 死んでいたんだろう…
そして、誰かを 愛する気持ちが こんなに 幸せなんだって事も わからなかった。
誠
貴方は 今 何を 考えてる!?
聞きたいけど
聞けない…
怖いよ
誠
たまらなく 怖い
また 貴方を 失うんじゃないかって…
そう 思うと
不安で 怖くて
たまらない・・・
屋上に 一瞬の 春の突風が
吹き荒れた
肩にかかる 私のセミロングの 黒髪が 激しく 揺れる
私は 片手で 髪を 押さえた。
誠は この屋上に 来てから
ずっと 金網を 掴んだまま
黙っている
ねぇ 何か 言って
たまらずに そんな言葉が 出かかったけど…
やっぱり 怖くて
臆病な 私は 唾液と一緒に
言葉を 飲み込んだ。
「なぁ…佐奈 覚えてるか?」
その時 突然 誠が 私に
問いかけてきた
「何を?」
聞き返す 言葉が 震える
「お前と俺 初めて ここで キスしたんだぜ…」
(キス…!?)
誠の言葉に 安心して
口元が 思わず 緩んだ。
「勿論、覚えてるよ 私から 迫ったんだよね!」
「ああ… あの時 何気ない素振りで お前に キスしたけどさ 本当は すげぇ…ドキドキしてた」
「誠…」
胸が 一つ ドキンと 波をうつ
まるで 少女の頃に 戻ってしまった様な 感覚が 五感に 走り抜けた。
「俺は お前を 見る度 ドキドキしてた…」
私に…背中を向けたまま
誠が そう言った
「私もだよ 誠 貴方に 見詰められる度に ドキドキしてた」
言った後 恥ずかしくて
下を向いた
「それは 今も 同じだ」
誠が そう言いながら 振り向く
歩みを進め、私に 近ずいてくる
そして、目の前に立つと
「佐奈 お前 綺麗になったな 」
そんな言葉と 共に
私の片手を 持ち 自分の心臓の上に 置いた。
「なぁ…わかるか? 今も、ドキドキしてるの!?」
誠の 問いに 私は 手のひらに あたる 誠の心音を 感じた
ドキドキ 力強く 波打つ
心臓
「私もだよ 誠」
そう言って 私も 誠の手を心臓の上に 導く
この波打つ 心音だけが
真実
他には なにも いらないよ
何も 望まない
貴方が 居れば それだけで
私は 幸せだよ
「佐奈…俺達は これからどうするのか!? 答えを ださなきゃ いけない…」
頭上から 聞こえる誠の言葉に
「貴方が 居れば それで いい…」
私は そう 答えた。
「俺も 佐奈が 居れば それでいい」
誠が 答えてくれた。
「ずっと!?」
崩壊する 涙腺を 前に
私は 誠に 聞いた。
「ああ…ずっと」
頭上から 落とされた 誠の声を 私は ついに 崩壊した 涙腺で 受け止めた。
直後に、強く 抱き締められて
「一緒に 暮らそう」
そう 言われた時
貴方の腕の中で…私は 歓喜の夢の中にいた
そして、その後
私達は、 結婚を誓いあった
私達の結婚は
手続きも無い
神様の前では 誓う事の出来ない結婚だ
きっと 大切な人達を
泣かせてしまう結婚だから
だけど
それでも
諦められない
離れられない
どうか、解って下さい
屋敷に戻った私達は
お互いの 手を しっかりと
握り合いながら
パパと誠のお母様
駆けつけてきた ママの前で 頭を下げた
何も 言わないパパ
誠の お母様
ママ
暫くの 沈黙が 広い屋敷の中に 長蛇の様に 渦巻いた
「お前達は それで 幸せなのか?」
深い、沈黙を破り パパが私達に 聞いた
「はい」
誠が 答える
続いて 私も
「はい 幸せです」
そう答えた。
その後 パパが 誠を 書斎に呼んだので
リビングには 誠のお母様とママ 私の 3人が 取り残こされた。
私は 誠のお母様に
「すみませんでした」
そう言って 深々と 頭を下げた。
お母様は
「謝るのは 私の方です 佐奈さん…」
そう言って 泣き崩れた。
「どうか 貴方達を 苦しめてしまった私を 許してください…」
そう言うと、お母様は 私とママの前で
土下座をした
「辞めてください」
私は お母様を抱き起こし
ママと一緒に 抱き締めた
「恵子さん もういいんです 忘れましょう…」
ママが 言った
そして 私に視線を 向けると
「佐奈 それが 貴方の出した答えなら、ママには 何も言えないわ…ただ パパもママも 恵子さんも 出来れば 貴方達には 祝福される結婚を して欲しかったそれが 親の気持ちよ
それだけは 解ってちょうだい!!」
そう言って 涙を見せた
ママの言葉が 胸の奥に
突き刺さる。
「ごめんなさい!」
私は 2人を 前に 何度も そう 叫んで 頭を下げた。
誠の言葉の意味が 今の私には 痛い程 わかる。
血の繋がり故に 私達は
強く、惹かれ合ってしまったのだろうか?
最後に たどり着いた 校舎の屋上で 緩やかな風に 髪を なびかせる誠の背中に私は 心の中で 語りかけた
この 屋上で 私達は 初めて 出逢った。
あの時 誠に 出逢わなければ…こんなに 辛い想いは多分 一生 しなかったのかも 知れない。
だけど… あの瞬間に 出逢わなければ…私が 今 ここに立つ事は無い。
多分…飛び降りて 死んでいたんだろう…
そして、誰かを 愛する気持ちが こんなに 幸せなんだって事も わからなかった。
誠
貴方は 今 何を 考えてる!?
聞きたいけど
聞けない…
怖いよ
誠
たまらなく 怖い
また 貴方を 失うんじゃないかって…
そう 思うと
不安で 怖くて
たまらない・・・
屋上に 一瞬の 春の突風が
吹き荒れた
肩にかかる 私のセミロングの 黒髪が 激しく 揺れる
私は 片手で 髪を 押さえた。
誠は この屋上に 来てから
ずっと 金網を 掴んだまま
黙っている
ねぇ 何か 言って
たまらずに そんな言葉が 出かかったけど…
やっぱり 怖くて
臆病な 私は 唾液と一緒に
言葉を 飲み込んだ。
「なぁ…佐奈 覚えてるか?」
その時 突然 誠が 私に
問いかけてきた
「何を?」
聞き返す 言葉が 震える
「お前と俺 初めて ここで キスしたんだぜ…」
(キス…!?)
誠の言葉に 安心して
口元が 思わず 緩んだ。
「勿論、覚えてるよ 私から 迫ったんだよね!」
「ああ… あの時 何気ない素振りで お前に キスしたけどさ 本当は すげぇ…ドキドキしてた」
「誠…」
胸が 一つ ドキンと 波をうつ
まるで 少女の頃に 戻ってしまった様な 感覚が 五感に 走り抜けた。
「俺は お前を 見る度 ドキドキしてた…」
私に…背中を向けたまま
誠が そう言った
「私もだよ 誠 貴方に 見詰められる度に ドキドキしてた」
言った後 恥ずかしくて
下を向いた
「それは 今も 同じだ」
誠が そう言いながら 振り向く
歩みを進め、私に 近ずいてくる
そして、目の前に立つと
「佐奈 お前 綺麗になったな 」
そんな言葉と 共に
私の片手を 持ち 自分の心臓の上に 置いた。
「なぁ…わかるか? 今も、ドキドキしてるの!?」
誠の 問いに 私は 手のひらに あたる 誠の心音を 感じた
ドキドキ 力強く 波打つ
心臓
「私もだよ 誠」
そう言って 私も 誠の手を心臓の上に 導く
この波打つ 心音だけが
真実
他には なにも いらないよ
何も 望まない
貴方が 居れば それだけで
私は 幸せだよ
「佐奈…俺達は これからどうするのか!? 答えを ださなきゃ いけない…」
頭上から 聞こえる誠の言葉に
「貴方が 居れば それで いい…」
私は そう 答えた。
「俺も 佐奈が 居れば それでいい」
誠が 答えてくれた。
「ずっと!?」
崩壊する 涙腺を 前に
私は 誠に 聞いた。
「ああ…ずっと」
頭上から 落とされた 誠の声を 私は ついに 崩壊した 涙腺で 受け止めた。
直後に、強く 抱き締められて
「一緒に 暮らそう」
そう 言われた時
貴方の腕の中で…私は 歓喜の夢の中にいた
そして、その後
私達は、 結婚を誓いあった
私達の結婚は
手続きも無い
神様の前では 誓う事の出来ない結婚だ
きっと 大切な人達を
泣かせてしまう結婚だから
だけど
それでも
諦められない
離れられない
どうか、解って下さい
屋敷に戻った私達は
お互いの 手を しっかりと
握り合いながら
パパと誠のお母様
駆けつけてきた ママの前で 頭を下げた
何も 言わないパパ
誠の お母様
ママ
暫くの 沈黙が 広い屋敷の中に 長蛇の様に 渦巻いた
「お前達は それで 幸せなのか?」
深い、沈黙を破り パパが私達に 聞いた
「はい」
誠が 答える
続いて 私も
「はい 幸せです」
そう答えた。
その後 パパが 誠を 書斎に呼んだので
リビングには 誠のお母様とママ 私の 3人が 取り残こされた。
私は 誠のお母様に
「すみませんでした」
そう言って 深々と 頭を下げた。
お母様は
「謝るのは 私の方です 佐奈さん…」
そう言って 泣き崩れた。
「どうか 貴方達を 苦しめてしまった私を 許してください…」
そう言うと、お母様は 私とママの前で
土下座をした
「辞めてください」
私は お母様を抱き起こし
ママと一緒に 抱き締めた
「恵子さん もういいんです 忘れましょう…」
ママが 言った
そして 私に視線を 向けると
「佐奈 それが 貴方の出した答えなら、ママには 何も言えないわ…ただ パパもママも 恵子さんも 出来れば 貴方達には 祝福される結婚を して欲しかったそれが 親の気持ちよ
それだけは 解ってちょうだい!!」
そう言って 涙を見せた
ママの言葉が 胸の奥に
突き刺さる。
「ごめんなさい!」
私は 2人を 前に 何度も そう 叫んで 頭を下げた。
16話『愛だけを見詰めて』
駅前から、続く 賑やかな 商店街を 2人で歩いた。
「何もかもが、懐かしいな」
誠が 周りを見渡しながら呟く
「毎日 2人で 学校迄 話しながら 歩いたよね!」
「ああ…あの頃のお前 生意気なガキでさぁ~ 」
「何よ! 自分こそ、派手でさぁ~ 商店街のおばさん達 ビックリしてたわよ!!」
「お前こそ 髪の色 白銀だぜ! 今考えれば 信じらんねー」
「まぁ~そうだったけどさぁ~」
駄目だ 口では こいつにかなわない…
(悔しい!)
「バカ!」
私は 誠の尻に 蹴りを入れた。
「いて!! 何すんだよ 相変わらず 狂暴な女だな」
「あんたが 憎らしい事言うからよ!」
お尻を さする誠を 見て 笑い転げた。
ふと、見ると 商店街一角に 小さな、手芸屋さんが 軒を 並べていた。
誠への クリスマスプレゼントにと あの頃 私は この店で 毛糸を購入した
手編みのセーターなんて 編んだ事が 無くて
仕上がりは とても 酷い物だった。
でも
誠は そんな セーターを着て 笑ってくれたんだ…
うふふ…
思い出すと 自然と 目尻が下に 降りてくる
「あれ あのラーメン屋!?」
突然 誠が 叫んだ。
見ると… 赤い看板に 黒字で 『来来軒』と 書かれてある。
そう・・私達が ラーメンを食べた場所だ
「なぁ~ 腹減らねー?食べよーぜ!」
誠が そう言いながら 赤いのれんを くぐる
「ちょっと 待って」
私も 慌てて 誠の後に続きのれんを、くぐった。
「いらっしゃいませ!」
元気のいい 若いお兄さんの声が 聞こえる
「あの時の、 おじさんの息子かな!?」
誠が そんな事を 呟きながら 席についた。
続いて 私も 誠の正面の椅子を 引き 腰を降ろす。
「相変わらず ボロだな」
誠が 周りを 見回して 笑みを 浮かべる
「しーっ 聞こえるよ!」
私は 誠の口の前に 人差し指を たてた
その時
「ボロだけど 味は 保証しますよ!」
先ほどの声の主が テーブルに お冷やを 置きながら笑顔で 言った
(あちゃ~ 聞こえてるよ)
たじたじの私
「ラーメン2つね」
そんな私を気にも止めず、誠は なにくわぬ顔をして 注文をした。
(ったくぅ~)
私は 頬杖をつきながら 誠を 見詰める
「何だよ 佐奈!?」
誠が 少し照れた様に 私に聞いた。
「ううん 何でもないよ」
笑顔を 見せる私
(なんか やっぱり まだ 信じられないよ)
誠が 目の前に 居るなんてさ
「はい お待ちどう様」
やがて、ラーメンが
テーブルの上に 置かれた
割り箸を 割りながら
「あっ やべぇー!!」
誠が 叫ぶ
「何!?」
私が 聞くと
「お前 ネギ嫌いなんだよな」
そう言って 私のラーメンのネギを 取り始めた。
(誠、覚えて…くれてたの!?)
驚きと嬉しさで、又 涙腺が 刺激される
(ヤバい 泣きそう…)
慌てて、下を向くと 誠は
「おい お前も一緒に ネギとれよ」
そう言って 口をへの字に 曲げた。
そして
その後
私達は 通っていた 高校に向かった。
正門に 着くと 春休みなのか
正門にも 校舎の中にも
人の姿が 見えなかった。
「なぁ~ 裏口から 侵入しようぜ!」
誠は いたずらっ子の様に瞳を 細めると
裏口へと 走り出す
「ちっ ちょっと 待ってよ」
慌てて 後を 追いかける私
ったく…
あいつは なんちゃって大人だ…
真面目に そう思う…
見事 私達は 校舎の裏口から 忍び込むと
一年の時の 教室に 向かった。
教室のドアを ガラリと 開けると
あの頃 そのままの 教室内に 私達は 目を大きく 見開いた。
「すげぇー 何もかも そのまんまだ!!」
誠が はしゃぎながら、窓際の 一番後ろの席の椅子に腰を降ろす。
誠が あの頃 座っていた席だ
「懐かしいな…」
そう言うと 私も 誠の前の席に 腰を 降ろした。
窓際…一番後ろから2番目
私は あの頃 ずっと 誠に背を向けて 授業を 受けていた。
授業と言っても ほとんど
聞いて無かったけどね!
あの頃も…窓から 光が こんな風に 優しく差し込んで
私達を 包み込んで くれてたね…
「なぁ~佐奈…俺さ お前と過ごしたあの時が 一番幸せだったよ…」
ふと 気が付くと 誠が そんな事を 言いながら 私を見詰めていた。
「誠…私もだよ…あの時が今迄の中で 一番 ときめいた時間だった」
誠の視線を しっかりと 受け止めながら…私は 誠に気持ちを 返した。
本当に、あの頃程
自分の 後ろ髪を 気にした事は無い
貴方の視線を 背中に受けて
私の心臓は いつも ドキドキと 波を打っていた。
「あの頃に 戻れるかな?」
私は 誠に 聞いた。
「それは 無理だな…」
誠が 呟く…
「どうして?」
再度 聞いた私に 誠は 暗い瞳を浮かべて 答えた。
「もう 俺達は 全てを 知ってしまったから…」
・・・・・と
「何もかもが、懐かしいな」
誠が 周りを見渡しながら呟く
「毎日 2人で 学校迄 話しながら 歩いたよね!」
「ああ…あの頃のお前 生意気なガキでさぁ~ 」
「何よ! 自分こそ、派手でさぁ~ 商店街のおばさん達 ビックリしてたわよ!!」
「お前こそ 髪の色 白銀だぜ! 今考えれば 信じらんねー」
「まぁ~そうだったけどさぁ~」
駄目だ 口では こいつにかなわない…
(悔しい!)
「バカ!」
私は 誠の尻に 蹴りを入れた。
「いて!! 何すんだよ 相変わらず 狂暴な女だな」
「あんたが 憎らしい事言うからよ!」
お尻を さする誠を 見て 笑い転げた。
ふと、見ると 商店街一角に 小さな、手芸屋さんが 軒を 並べていた。
誠への クリスマスプレゼントにと あの頃 私は この店で 毛糸を購入した
手編みのセーターなんて 編んだ事が 無くて
仕上がりは とても 酷い物だった。
でも
誠は そんな セーターを着て 笑ってくれたんだ…
うふふ…
思い出すと 自然と 目尻が下に 降りてくる
「あれ あのラーメン屋!?」
突然 誠が 叫んだ。
見ると… 赤い看板に 黒字で 『来来軒』と 書かれてある。
そう・・私達が ラーメンを食べた場所だ
「なぁ~ 腹減らねー?食べよーぜ!」
誠が そう言いながら 赤いのれんを くぐる
「ちょっと 待って」
私も 慌てて 誠の後に続きのれんを、くぐった。
「いらっしゃいませ!」
元気のいい 若いお兄さんの声が 聞こえる
「あの時の、 おじさんの息子かな!?」
誠が そんな事を 呟きながら 席についた。
続いて 私も 誠の正面の椅子を 引き 腰を降ろす。
「相変わらず ボロだな」
誠が 周りを 見回して 笑みを 浮かべる
「しーっ 聞こえるよ!」
私は 誠の口の前に 人差し指を たてた
その時
「ボロだけど 味は 保証しますよ!」
先ほどの声の主が テーブルに お冷やを 置きながら笑顔で 言った
(あちゃ~ 聞こえてるよ)
たじたじの私
「ラーメン2つね」
そんな私を気にも止めず、誠は なにくわぬ顔をして 注文をした。
(ったくぅ~)
私は 頬杖をつきながら 誠を 見詰める
「何だよ 佐奈!?」
誠が 少し照れた様に 私に聞いた。
「ううん 何でもないよ」
笑顔を 見せる私
(なんか やっぱり まだ 信じられないよ)
誠が 目の前に 居るなんてさ
「はい お待ちどう様」
やがて、ラーメンが
テーブルの上に 置かれた
割り箸を 割りながら
「あっ やべぇー!!」
誠が 叫ぶ
「何!?」
私が 聞くと
「お前 ネギ嫌いなんだよな」
そう言って 私のラーメンのネギを 取り始めた。
(誠、覚えて…くれてたの!?)
驚きと嬉しさで、又 涙腺が 刺激される
(ヤバい 泣きそう…)
慌てて、下を向くと 誠は
「おい お前も一緒に ネギとれよ」
そう言って 口をへの字に 曲げた。
そして
その後
私達は 通っていた 高校に向かった。
正門に 着くと 春休みなのか
正門にも 校舎の中にも
人の姿が 見えなかった。
「なぁ~ 裏口から 侵入しようぜ!」
誠は いたずらっ子の様に瞳を 細めると
裏口へと 走り出す
「ちっ ちょっと 待ってよ」
慌てて 後を 追いかける私
ったく…
あいつは なんちゃって大人だ…
真面目に そう思う…
見事 私達は 校舎の裏口から 忍び込むと
一年の時の 教室に 向かった。
教室のドアを ガラリと 開けると
あの頃 そのままの 教室内に 私達は 目を大きく 見開いた。
「すげぇー 何もかも そのまんまだ!!」
誠が はしゃぎながら、窓際の 一番後ろの席の椅子に腰を降ろす。
誠が あの頃 座っていた席だ
「懐かしいな…」
そう言うと 私も 誠の前の席に 腰を 降ろした。
窓際…一番後ろから2番目
私は あの頃 ずっと 誠に背を向けて 授業を 受けていた。
授業と言っても ほとんど
聞いて無かったけどね!
あの頃も…窓から 光が こんな風に 優しく差し込んで
私達を 包み込んで くれてたね…
「なぁ~佐奈…俺さ お前と過ごしたあの時が 一番幸せだったよ…」
ふと 気が付くと 誠が そんな事を 言いながら 私を見詰めていた。
「誠…私もだよ…あの時が今迄の中で 一番 ときめいた時間だった」
誠の視線を しっかりと 受け止めながら…私は 誠に気持ちを 返した。
本当に、あの頃程
自分の 後ろ髪を 気にした事は無い
貴方の視線を 背中に受けて
私の心臓は いつも ドキドキと 波を打っていた。
「あの頃に 戻れるかな?」
私は 誠に 聞いた。
「それは 無理だな…」
誠が 呟く…
「どうして?」
再度 聞いた私に 誠は 暗い瞳を浮かべて 答えた。
「もう 俺達は 全てを 知ってしまったから…」
・・・・・と
16話『愛だけを見詰めて』
カーテンの隙間から 光が差し込み
朝が 訪れた事を 私は 閉じた瞼の裏で 感じた。
ゆっくりと 目を開けると
薄暗い部屋の壁に 桜の花弁の絵が かけてあるのに 気付いた。
綺麗な 薄ピンク色の花弁に ここが 自分の部屋ではない事に 気が付くと同時に 昨夜の記憶が 甦ってくる
(まこと)
私は 振り返った。
(良かった いた)
誠は、私の横で 微かな寝息を たてて 寝ている
寝顔は 高校時代と 変わらない やっぱり 可愛い寝顔だ
あの頃の誠は 金髪で ロン毛で 赤いカチューシャをしてて耳 鼻 瞼 にまで ピアスをしていた。
今の誠は… 黒髪で 前髪が少し瞼にかかり ピアスなんかしてない 少年を卒業した、普通の青年だ
それにしても、 憎らしい程 綺麗な顔立ちをしている
私は 人差し指の先で 誠の閉じた瞼に そっと 触れて見た
まだ 昨夜の事が 信じられないよ
徐々に 指先を 下に降ろしてゆく
その指先は 形の整った 誠の唇の上で 止まった。
この唇が 私の身体の隅々に迄 触れたんだ。
そんな事を 思うと 鮮明に身体に 感覚が 戻ってくる
(嫌だ 私ったら 何考えてんの!)
慌てて 誠の唇から 指先を外すと 私は 身をおこした
その瞬間 「きゃっ」
背後から 伸びてきた両手に 肩を捕まれ 私の身体はまた 白いシーツの上に、倒された
「何 触ってんだよ」
誠が 意地悪そうに口角を上に上げて聞く
「ひどい!!寝たふり!?」
私は 口を尖らせ、また 身体を 起こそうとした
その時
「おはようのキスは?」
そう言いながら
誠が 私の上に 覆いかぶさってくる
身動きが 出来ない私
「ちょっと 退いてよ」
足を じたばたと させて見た
「俺の言う事 聞けないの!? この布団、はいでもいい!?」
誠が 掛け布団に 手をかける
「やめてよ!そんな事したら…」
「そんな事したら…何!?」
「………」
「何って聞いてるんだけど!?」
「だから…そのぉ~」
誠が 布団を はがし始めた
「ちょっと 待って 私 裸なんだから!!」
思わず 叫んでしまった
叫んだ 直後に 恥ずかしくて 頬が 熱くなる
「可愛い 佐奈」
そう言った後 誠は 強引に 唇を 重ねてきた。
(意地悪だ 誠は…)
そう思いながらも 瞼は 自然に 閉じてゆく
「ああ 佐奈から おはようのキス 貰う予定だったのに…」
唇が 離れると 誠は そう言いながら 眉間にシワを寄せた後 微かな微笑を
浮かべた。
シャワーを浴びて 服を着て
ホテルから 外に出ると
鮮明に 広がる 青い空が
私達を 出迎えてくれた。
見上げながら 目を細める私の肩に そっと 置かれた誠の手
「アメリカ 行けなくしちゃったね」
そう言って 私は 横の誠を見上げた。
「ああ だけど…」
誠が 笑顔を浮かべ 私を見る
そして
「一番 欲しかった者を、手にいれたから いいや」
そう言った
「欲しかった者って何!?」
真顔で 私が 聞くと
「お前…ほんと 鈍感で バカだな…」
誠は 呆れた様に 笑って
私を 抱き締めてくれた。
その後
私達が 向かった先
それは
思い出の 駅前の掲示板
だった。
「よぉ!」
あの頃 誠は そう言って
片手をあげて
この場所で 毎朝 私を 待っててくれた。
そして 誠に 嫌われたと
携帯を 握りしめて
泣いたのも この場所だった。
だけど…今は 酷く懐かしくて
大切な場所
「よぉ!」
黒髪の誠が ふざけた様に 片手をあげて 笑う
また、あの頃に 戻れたんだね 私達
幸せで 息が止まりそうだよ 誠…
気が付くと 誠の指先が
私の 目下の 水滴を 弾き飛ばしていた。
「相変わらず 泣き虫だな佐奈は…」
そう言いながら・・・
朝が 訪れた事を 私は 閉じた瞼の裏で 感じた。
ゆっくりと 目を開けると
薄暗い部屋の壁に 桜の花弁の絵が かけてあるのに 気付いた。
綺麗な 薄ピンク色の花弁に ここが 自分の部屋ではない事に 気が付くと同時に 昨夜の記憶が 甦ってくる
(まこと)
私は 振り返った。
(良かった いた)
誠は、私の横で 微かな寝息を たてて 寝ている
寝顔は 高校時代と 変わらない やっぱり 可愛い寝顔だ
あの頃の誠は 金髪で ロン毛で 赤いカチューシャをしてて耳 鼻 瞼 にまで ピアスをしていた。
今の誠は… 黒髪で 前髪が少し瞼にかかり ピアスなんかしてない 少年を卒業した、普通の青年だ
それにしても、 憎らしい程 綺麗な顔立ちをしている
私は 人差し指の先で 誠の閉じた瞼に そっと 触れて見た
まだ 昨夜の事が 信じられないよ
徐々に 指先を 下に降ろしてゆく
その指先は 形の整った 誠の唇の上で 止まった。
この唇が 私の身体の隅々に迄 触れたんだ。
そんな事を 思うと 鮮明に身体に 感覚が 戻ってくる
(嫌だ 私ったら 何考えてんの!)
慌てて 誠の唇から 指先を外すと 私は 身をおこした
その瞬間 「きゃっ」
背後から 伸びてきた両手に 肩を捕まれ 私の身体はまた 白いシーツの上に、倒された
「何 触ってんだよ」
誠が 意地悪そうに口角を上に上げて聞く
「ひどい!!寝たふり!?」
私は 口を尖らせ、また 身体を 起こそうとした
その時
「おはようのキスは?」
そう言いながら
誠が 私の上に 覆いかぶさってくる
身動きが 出来ない私
「ちょっと 退いてよ」
足を じたばたと させて見た
「俺の言う事 聞けないの!? この布団、はいでもいい!?」
誠が 掛け布団に 手をかける
「やめてよ!そんな事したら…」
「そんな事したら…何!?」
「………」
「何って聞いてるんだけど!?」
「だから…そのぉ~」
誠が 布団を はがし始めた
「ちょっと 待って 私 裸なんだから!!」
思わず 叫んでしまった
叫んだ 直後に 恥ずかしくて 頬が 熱くなる
「可愛い 佐奈」
そう言った後 誠は 強引に 唇を 重ねてきた。
(意地悪だ 誠は…)
そう思いながらも 瞼は 自然に 閉じてゆく
「ああ 佐奈から おはようのキス 貰う予定だったのに…」
唇が 離れると 誠は そう言いながら 眉間にシワを寄せた後 微かな微笑を
浮かべた。
シャワーを浴びて 服を着て
ホテルから 外に出ると
鮮明に 広がる 青い空が
私達を 出迎えてくれた。
見上げながら 目を細める私の肩に そっと 置かれた誠の手
「アメリカ 行けなくしちゃったね」
そう言って 私は 横の誠を見上げた。
「ああ だけど…」
誠が 笑顔を浮かべ 私を見る
そして
「一番 欲しかった者を、手にいれたから いいや」
そう言った
「欲しかった者って何!?」
真顔で 私が 聞くと
「お前…ほんと 鈍感で バカだな…」
誠は 呆れた様に 笑って
私を 抱き締めてくれた。
その後
私達が 向かった先
それは
思い出の 駅前の掲示板
だった。
「よぉ!」
あの頃 誠は そう言って
片手をあげて
この場所で 毎朝 私を 待っててくれた。
そして 誠に 嫌われたと
携帯を 握りしめて
泣いたのも この場所だった。
だけど…今は 酷く懐かしくて
大切な場所
「よぉ!」
黒髪の誠が ふざけた様に 片手をあげて 笑う
また、あの頃に 戻れたんだね 私達
幸せで 息が止まりそうだよ 誠…
気が付くと 誠の指先が
私の 目下の 水滴を 弾き飛ばしていた。
「相変わらず 泣き虫だな佐奈は…」
そう言いながら・・・