最終章『真実のノート』
開くと
『佐奈が危ない!助けて!!』
の文字
一瞬、目の前が真っ白になった。
『どこだ、すぐ行く』
俺は、慌ててメールを返した。
その後、詳しい場所を知ると、ガレージにある父の車に乗り込み佐奈の元へと向かった。
メール相手が俺だとばれてしまうかも知れない!
…だが、そんな事に構っている暇は無かったんだ。
佐奈が危険なら、命懸けでも助けなきゃ!! そう思った。
現場に着くと、久保田が待っていた。
俺を見ると、目を見開く久保田
その久保田から、俺は佐奈の状況を聞き出すと金網を乗り越えた。
『佐奈!!』
叫んで佐奈を探す。
すると、ドサッという鈍い音と男達の異様な笑い声が聞こえた。
視線を声の方に向ける俺
そこには、倒れている誰かに、襲いかかろうとしている2人組の男がいたんだ。
暗くて、その倒れている誰かが佐奈だと確認する事は出来なかった。
だが、俺は
『佐奈!!』と叫んで、お前に駆け寄った。
気を失っているのか?
ピクリとも動かない佐奈
お前の傷ついた顔を確認した時
俺は、我を失った。
『お前、誰だよ!』
俺の胸ぐらを掴む男
殺してやる!!
佐奈を傷つける奴は、みんなぶっ殺してやる!!
本気で、そう思った。
最終章『真実のノート』
その後、佐奈とのメールでのやり取りは、続いていた。
佐奈が、今…どんな状況で、何に悩んでいて、何を求めているのか?
…そして、何故 夜の街を徘徊するのか…
良く、考えてみる。
だけど、答えは ただ1つ
あいつは、寂しいんだ。
幼い頃から、両親に見放され
愛にはぐれて、あいつは ここまで、ひねくれてきた。
だけど…そうさせたのは、俺達、親子の存在に他ならない。
俺達が居なかったら、きっと もっと 父さんは家庭を大切にしていたはず…。
佐奈が、あんなに暗い瞳になる事は、無かったんだ。
そして、この俺の存在も、佐奈を傷つけた。
何も知らせずに…突然、お前の前から消えた俺を、お前は 今…どう、思っているんだろう?
先程、俺は佐奈にメールを打った。
佐奈が、今 何をしているのか、知りたくて
佐奈は、案の定…今日も夜の繁華街にいた。
帰れとメールしても、聞くようなあいつじゃない。
今直ぐに、あいつの所に行って、その手を掴んで『いい加減にしろ!』と怒鳴りたくなる。
だけど…佐奈はきっと 俺を見たら こう、言うだろうな…
嘘つきだと
裏切り者だと
ののしって、俺を叩くだろう…
だけど
俺は、きっと そんなあいつを抱き締めてしまう。
抱き締めて、言ってはいけない言葉を囁いてしまう。
だから、会えない…。
苦しくて、胸が押し潰されそうになる。
「佐奈…」
口から、名前が零れた。
そして、そんな俺の耳に
メールの受信音が届く。


