前回の記事

 

‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その19(続・過酷な植民地経営 強行された土地調査令)‐

 

 

・「帝国主義経済」の中で施行された 『会社令』

 

上の方で、暴力的な土地略奪をすすめる一方、日本は朝鮮の「民族産業の近代的発展」をことごとく抑圧する手段に打って出た。

 

 

『初代朝鮮総督 寺内正毅』 (Wikiより)

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BA%E5%86%85%E6%AD%A3%E6%AF%85

 

1910年12月朝鮮における会社設立を、すべて「総督の許可制」とする『会社令』が公布された。朝鮮総督は、朝鮮における会社の「営業停止」「禁止」など、会社そのもの「解散」を命ずる権限まで持ち、これは当地における民族資本の形成・発展を大きく阻害し、日本資本を保護し、朝鮮日本資本主義の「食料・原料(直接材料)供給地」として、固定化することを意図したものです。

 

 

『1920년대 명동 거리. 조선총독부는 회사령으로 일본인 기업을 육성하면서 한국인들의 민족자본 형성을 억제하려다 많은 반발을 초래했다. [사진가 권태균 제공] <1920年代の明洞通り。朝鮮総督府は会社令により日本人企業を育成しつつ、韓国人(朝鮮人)たちの民族資本の形成を抑制し、多くの反発をもたらした。[写真家クォン・テギュン提供]>』 (『中央日報SUNDAY』より)

 

https://news.joins.com/article/6482629

 

欧米の「先進国」では、一握りの金融独占資本が形成され、その支配が、政治・経済あらゆる分野に浸透し、それと合わせて、彼らによる世界の領土的分割が一応「完了」しますが、さらなる植民地の独占的領有と再分割のための闘争が激化していきます。

 

「その理由」としては、前にもお話した通り、産業革命以後における「生産能力の飛躍的拡大」は、製品を作り出すための材料を膨大に必要とし、結果、加工のための「資源大量獲得」を目指し、同時にそれらの「消費先」を抑えることが優先されました。それは欧米列強の「植民地獲得競争」へと繋がり、グローバル規模の植民地経営の進展にともなって、成長する金融資本が母体にあります。

 

‐シリーズ・朝鮮近代史を振り返る その12(荒れ狂う帝国主義 清敗北後の中国分割と朝鮮)‐

 

こちらで触れたように、欧米列強をはじめとする帝国主義各国は、ブロック経済のもと、機械化により拡大した生産力の「はけ口」として、数多くの「植民地」を求めたこと。

 

それが20世紀初頭における日本でも、同様の政策が朝鮮半島に向けられました。

 

 

・企業経営者のほとんどを占めた日本人 これのどこが朝鮮人のため?

 

無論、民族資本の形成および発展「抑制する方針」は、併合以前から実施されており、朝鮮人による工業会社設立の申請が、1907年~1909年3年間総計117件もあったにも関わらず、そのうち「許可されたもの」が、わずか11件に満たなかったところに、はっきりと表れています。

 

朝鮮を植民地化した『会社令』以後は、このルールがますます強化され、1911年~1919年における8年間に、日本人の会社180も増加したが、朝鮮人のそれは36に過ぎませんでした。

 

※1920年代における日本人と朝鮮人の資本金増加グラフ 

赤線が日本人/青線が朝鮮人

 

『 조선 내 본점을 둔 회사들의 자본금 비교 도표(아래)에서는 1920년대 일본 자본이 한국 자본보다 월등하게 우위에 있었음을 알 수 있다. 이러한 현상은 1910년대에도 나타났으나<朝鮮国内に本店をかまえる会社等の資本金の比較図表では、1920年代に日本資本が韓国(朝鮮)資本より圧倒的優位に立っていたことが見れる。このような現象は、1910年代にもあらわれた。>』 (ZUM学習百科Betaより) 

 

http://study.zum.com/book/13264

 

この結果、何が起こったというと、以下の通りになります。

 

第一に、「朝鮮における工業の発展が著しく阻害」されたこと。

 

第三に、「精米・酒造・繰綿(くりわた)・紡績」など、「この時期の朝鮮工業の主要部分に、日本資本の進出が促進」されたこと。

 

第三に、「日本人経営が、朝鮮工業において支配的地位を占めた」こと。工業会社払い込み資本総額中、朝鮮人資本に占める比重は、1911年の17.2%から、1917年には12.3%へと減少するのに対し、日本人のそれは31.8%から79.6%へと跳ね上がった。

 

日韓併合の比重が、54.9%から3.9%へと激減していることも合わせて、朝鮮資本の「締め出し」が強行されているのは明らかでした。

 

日本人経営の工場は、ますます大規模化し、朝鮮人経営加速度的に零細化します。この他にも、産業発展の基盤ともいうべき、鉄道をはじめとする交通・運輸・通信諸機関などのインフラ設備は、「併合以前」から、すでに日本による独占化が完成されており、通貨発行権金融機関も支配下におかれていた。

 

さらに鉱業・漁業分野の侵出も、着々と進行しており、こうして民族産業発展のための「全条件」が、次々と奪いつくされた現状をみて、日本による朝鮮経済の「植民地的再編成」の本質を見ることができます。

 

 

<参考資料>

 

・『朝鮮の歴史 朝鮮史研究会編 編集代表 旗田巍』 三省堂

 

 

<ツイッター>

 

【歴史学を学ぶ大切さを伝えるブログ(ふーくん)】

 

https://twitter.com/XMfD0NhYN3uf6As

 

 

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