或る一日@書店もしくはギリギリデイズ
決意の下に出発した。
本屋巡りをしよう。
本屋へ行くにはかなりの決意を要する。
何故なら一旦本屋に行けば2時間や3時間では飽き足りないからである。
そして小腹が空いたら道くさを食ってたこ焼きをつっついたりなんかしちゃうので、ほぼ一日仕事であるからなのである。
お気に入りの本屋さんへ。
特別大きいわけではないけれど、明るくて本の並びが見やすい。
芸術関係の本や絵本のコーナーは規模の割に充実している。
こないだ足を運んでからそんなに間がたっていないのにもう雑誌のディスプレイが変わってる。
うむ。なかなか根性が入っておる。
最近全然本を読んでいなかったし、さあたくさん買うわよ。
あれ、籠。
スーパーとかコンビニに置いてあるみたいなあのプラスチックのカゴがないじゃない。
あーあー困った。
あれがなきゃ、手に何冊も抱えながら雑誌を立ち読みしたり、平積みされている単行本の上に自分の買う本を乗せたりしなきゃ、いけないじゃない!!
急上昇しそうな血圧をなだめつつ、まずはずっと欲しかった尾崎放哉の句集を手に取る。
俳句には全く詳しくないけれど放哉だけは好き。
出会ったのはいつであったか、中学だか何だかの教科書に載っていたのだったか。
その時掲載されていたのは、
こんなよい月を一人で見て寝る
という句だったかなぁ。
彼は自由律の俳句を詠む人で、掲載されていた俳句の中では異色だったと思うけれど、私はこの句に衝撃を受けて、ああ面白い、このリズムとても好きかもしれない。と思ったのだった。
確かその時隣に載っていた、同じく自由律の句を詠んだ種田山頭火の句も面白かったし好きだったけれど、放哉の句は特別、心に残っていた。
放哉の何が好きかって、リズムの心地良さももちろんあるけど、そりゃあもうしみったれたとこですね。
寂しい句が多い気がするし、明るく生命の力を感じるような句でも、どこかせつなさが漂っている気がする。
むつかしい季語を使っている俳句などは漢字も読めなかったりしてよくわからないことも多いけれど、彼の句は難しい言葉もあまり使われていないし、わかりやすい。
彼は明治生まれの人だけど、描かれている心情は現代の人にも近しく感じられるのではないかと思う。
昔知り合いに借りて読んだ「YASHA 夜叉」という漫画の文庫版が出ていたので買う。
遺伝子操作によって超人間的な能力を持って生まれた青年が主人公なのだけれど、初めて読んだ時、この漫画に描かれている世界はそう遠い未来のことではないのだろうな、と危機感を感じながら読んでいた。
それから何年も経ったけれど、今現在感じる危機感とその時感じていたものとのレベルが実感として、ほとんど変化していないということに驚く。
当時、数年後には世界はこの漫画にかなり近付いているのだろうと思っていたのに。
そして先日美容院で第1巻を読み衝撃を受けた「団地ともお」2巻。
この漫画凄い。
何が凄いって、まずタイトルが凄すぎる。
団地ともお
………脱力。
なんて素っ気ないの。
まるで読むなとでも言っているみたい。
宣伝する気ゼロ?
団地 って。どこの団地だよ。
ともお って。どのともお?
タイトルの通りとある団地に住む、とある小学生のともおの日常を坦々と綴ってゐる、馬鹿馬鹿しくて、でもせつなくてほろりとなってしまう漫画。
小学生の日常ってだけでもちょっと新鮮なんですけど、このともおがね、フツーーの子なんですよ。
勉強ができなくて、スポーツもできなくて、やんちゃで、でも特別な問題児でもないし、時折びっくりするようなかしこさとかやさしさを見せる子なんですけど、ほんと今時探してもいないんじゃないかっていうくらい、いい意味で普通なんです。
野球やるし、テレビゲームやるし、虫採りもするし冬でも半ズボンだしね。
それを敢えて主人公にしているところが衝撃的であった。
それとももうこんな子はノスタルジーの中にしか存在しないのか・・・ノスタルジー。
派手な事件を起こしてはらはらさせることは簡単だけど(逆にそれが今ではお決まりになってしまって、オリジナリティを出すことが難しくなっていることも事実だけれど)、ささいな日常に物語を見つけることは、こまやかな眼を持っていなければとても難しい、と思う。
漫画の中にともおの友達の「みつお」って子が出てくるんですけど、そんな似た名前出したらえ?ともお?みつお?って混乱しちゃうじゃないですか!!
等々つっこみどころも満載。
町田康の「きれぎれ」と「くっすん大黒」で迷う。
「くっすん大黒」といえば、このタイトルを私はずっと「くっすんオオグロ」だと思っていたのだが、文庫本の裏面のあらすじに「誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒云々」と書いてあるよーに「ダイコク」だよな。
オオグロって何だよ。大黒摩季?
それにしてもこの言葉の組み合わせ凄いな。
くっすん大黒 て。
嗚呼またオオグロて読んじゃった。くそう。
意味がわかんないくせに言葉の響きとかリズムで無理矢理人を引き込んでしまうタイトルには脱帽する。
他なら「半落ち」とかね。
町田康作品はエッセイ「へらへらぼっちゃん」がうちにある。
小説は高校生くらいの頃2冊程読んだことがあるのだが、当時読後私に残されたのはクエスチョンマークのみであった。
けれども町田氏は何故か気になる存在であり、成熟したこの感性(嘘)でもう一度読まなければ。と常々思っていたのだ。
「きれぎれ」の隣に松尾スズキの「ギリギリデイズ」が並んでいた。
今を時めくズッキーさんも、ギリギリデイズを送っていらっしゃるのねと思ったら何だかせつなくなった。
わかったよ鈴木さん、アタシも頑張る、頑張るからさ。だから鈴木さんも、負けないで。ね。
という訳で「くっすん大黒」を購入。
もう既に結構な金額になってしまったけど漫画ばっかりだ、漫画ってすぐ読めてしまうから悦なる時間があっという間に終わっちゃうから嫌、読んでる最中の時間が幸福なのに、これでは数時間で読み終わってしまう、活字総数が足りねえ!!
とぐずぐず迷っていたらもう閉店のアナウンス。
お姉さん、まだ迷ってる私を尻目に「有難うございましたー」って「もうアナタは本を選び終えてお帰りになるものと決定しております作戦」ね?!
アッタマきたから早く帰ろう。
続いてはツタヤへ。半額クーポン使えます♪
ここでも鈴木さん登場、「イン・ザ・プール」新作じゃなくなってる。これにしよう。
でも「東京ゴミ女」と「イサムノグチ」も捨て難い。
しかし愛するジョーオダギリ出演作とあらば総て観ねばなるまい。
まだ「アカルイミライ」と「パッチギ!」しか観ておらぬ。
えぇい、ままよ!と「インザプール」をカゴの中へ。
ここにはね、もちろん、カゴがあるんです。
CD。
誰よ今日こそ借りようと思っていた私の中森明菜スーパーベストを借りたのは!!
明菜とは私のカラオケ十八番が「飾りじゃないのよ涙は」であることと、前の携帯でAさんからのメールの着メロを「少女A」にしていた、そんな繋がりである。
仕方無く(ではないが)マドンナ、安藤裕子、Syrup16g、レディオヘッド~など借りる。
プラスチックをプラッチックって言う人なんでだろう。
雰囲気をふいんき って言う人なんでだろう。
終わり。