暑さ対策展の続きだ。
ここであまりにも意義のある展示会の様な気がしたので、出版社の頃の凄まじく優秀な大先輩にご連絡をしたら、「昨日その展示会行ったよ」と、やはり目の付け所は同じか。と、方向性は間違っていない事を確認。
ここからは、企業が研究開発し、実際に、今、民間で実用化されている技術を紹介していこうと思う。
↓東京工業大学とA&A(エーアンドエー)株式会社が共同研究開発したCAD設計の段階から、建設竣工後の温熱効果をシュミレーション測定出来るソフト「THERMORender(サーモレンダー)」というソフトの開発、既に設計や建設業界では結構使われているとのこと。
上記の他にも、劇場の音響効果再現ソフトや、建築における天空率(=高さ制限)計算、日影計算、照明、建物内の風の通り道、地形や地盤面積計算など様々な建築・土木設計のシュミレーションが出来るソフトのラインナップがある。
日本ヒートアイランド協会の太陽興業株式会社の技師(博士)さんは、
近赤外線という熱線・熱波を測定し、その熱線を人の居ない方向、(=つまり太陽光なら、その熱源を地球に向かって放射してきている太陽の方向に向けて)、熱線を反射させる「近赤外線復帰反射」という技術を使用した時の温度差を赤外線カメラ2台で測定し可視化する事で実証しこの新しい技術を啓蒙されていた。
(熱っせられたフライパンを太陽等の熱線を発する熱源に見立てて弾き返す熱量の差を赤外線カメラを使って説明して下さっている所。)
実際に、この「近赤外線復帰反射フイルム」の技術を「アルビート」というフィルム名で建設に応用しているデクセリアルズ株式会社という企業があった↓
その熱反射フィルム効果の程をライトを太陽に見立てて、実際に手で体感出来る実験。地上に見立てた下の段に手を差し入れるのだが、かなり熱反射しているフィルムと、熱反射していないフィルムで、体感温度がかなり違う事を実際に体験して不思議だった。
今後この技術は様々な建設業界に拡まり始めている様相も見聞きする事が出来た。
今回の展示会では、2020年のオリンピックに向けて都市開発・改良ブームが著しく現れていて、意外に道路や外壁施工の土木・建設業界関連の出展が多く見て取れた。
例えば道路や壁に断熱性の塗料を塗るヤハギ道路株式会社さんの様な企業があり、実際指で触った温度や質感の違いを比べさせて頂いた(プロの土木作業員さんではないので実際には解らないが)、
具体的な施工例↓
他の新聞社の記者さんは後日東京都に連絡をして、実際の工事現場の施工風景(↑上記写真)を取材しようと交渉されており、そこまでリアルを追求する事が出版社と新聞社の取材の仕方の違いだなと改めて勉強になる。(資金と時間の余裕があれば自分だって!!)
路盤材、床材、壁材に断熱材や排水性の高い物質を混ぜる技術を紹介する太平洋プレコン工業(←①「消費者偏」のワイン瓶の床もここ)等の路面舗装材企業では様々な材質の路面材がどのぐらいの断熱効果があるかを実測していた。都市開発や土木工事技術でこれら様々な路盤廃材を作りヒートアイランド現象等の温室効果を抑制するとのこと。
次は、
←37.1℃
「三州瓦」(「石州瓦」・「淡路瓦」と共に日本三大瓦の1つ)を使った株式会社鶴弥さんの瓦は断熱材を混ぜる事によって、それを使った時と使っていない時の温度差をミニチアのモデルを作成し、実際に体感温度として証明をする展示をされており、
現在この技術は既に、シンプル・イズ・ベストのデザインが共通項で今年60周年の盛り上がりを見せているミッフィー(・×・)のキャラクターでも有名なミサワホームさん等でこれらの新しい技術を先駆けて取り入れているらしい、わりと新しい技術を取り入れられる柔軟な発想も出来る企業なのかもしれない。
「断熱材等を混ぜた事による、例えば耐久性等に関しては如何ですか?」という質問にも「勿論、問題はありませんし、最今では瓦にフックを付けることによって、1枚1枚ではなく全体で、より補強出来るようにしています。よく台風等で瓦が飛んでいる画がTVやメディアの画面で放送されますが、あれは相当古い作りの昔の家屋で現代の技術ではそんなことはありません」との事を教えて頂き、我々が知らない様々な業界で、普段見えない技術が進歩しているという事を強く実感させられた。
国や都もブースを出し都市の再開発という事を前面に出して、暑さへの体感温度対策をしているので、画期的な土木・建設業界の技術や行為に助成金を出したりしている産学官連携の様を呈していた。
「交差点に木を植えたいが、実際には視角が悪くなる事での安全面の問題や、じゃあ、落ち葉の季節に誰が掃除をするのか?その維持費・管理費も馬鹿にならない、そこのバランスをどう取っていくか?人との問題が重要」と言われていた。
再開発で古き良き町並みを破壊し複合型総合私設ばかり建設する問題や(何処に行っても同じ店ではなく、ゴチャゴチャした中から新しい文化が生まれる事をジッと見てきているので)、新国立競技場ではないが公共投資の税金問題もあるし、都の設計をする人も様々な問題を抱えている気持ちも解らないでもなかったので、答えに窮して、話題を進め、「テーマパークやアーケードのような、緑のトンネルゲートが連なる道があったら夢がありますね」とアイデアを出し合ってみた。
複合企業の集合体でもある「緑のまちづくり支援機構」では、小岩金網株式会社という金網専門企業が「グリーンカーテンの金網は二重構造で、網の目が細かくない金網が蔓(ツル)が巻きつき易くてなるべくなら良い」と教えて下さった。
↓又、自然の土、土壌に勝る滞水性(保水性)はないそうだ。
(上記写真・右)据え置きエアコンに広告スペースを出す事も↑人の為になる広告なら有りかなと感じた。(プロのコピーライターさんの雇用を創れる。)
ここのブースは複数の企業が自分達の技術を出し合い、皆で何か新しい事を生み出していこうと今後はより動きを活性化と具現化をしていくとのことだった。
関西ペイントでは虫を寄せ付けない壁材というのを展開しようとしており、
既に熱帯気候のシンガポールやマカオ周辺では、マラリアやデング熱による心配により、この技術が使われているとの事で、それを日本でも少し改良を加え、この技術を販売展開に踏み切っていくのだとのこと。
塗装壁面やビニールクロス壁面に害虫に対してだけ効果のある無色透明の薬剤をハケで簡単に塗装することで、害虫だけが寄り付かなくなるという。
サイエンスホールでは暑さや熱中症関連のセミナーも開催期間は連日行われていたり↓
↑前日までの仕事がハード過ぎて、ースを回る体力を残しておかなければならなかったので聴講出来なかった。
企業のプレゼンテーションコーナーもあり、時間になると多くの来場者が集まって製品説明を聞いていた、様々なプレゼンテーションの仕方を見る機会にもなる。↓
クールスマイルさんの↓
まるで宇宙服の構造のように服の中に水の入った管を通し続ける事で冷却効果を促す宇宙服の技術を民用に応用化した様な作業用の空冷服もあった。
これを御自身で長い歳月をかけて研究開発し、実際に灼熱の中東で夜間(日中は暑過ぎて作業出来ないので夜)作業を行い、実験をしてみたとの事で性能を証明して市販している企業もあった。
「全ては現場で働く人々の為」という言葉をプレゼンテーションでも言われていた事が記憶に残った。
日本の技術という事でサムライというキーワードを前面に出して、尖がっているが、多少毛色が違くても、熱意が込もっていれば伝わる何かがある事を学び、実際に肌に密着させた時にその体感冷却温度は中々なモノで、現場の作業用に作られているという事だけあって、軽く、機能的にも動くのに適している気がした。
(本当に灼熱の場所で使える技術だなと思った。)
今後こういう宇宙服の技術の様な開発が民間へ出回る事によって更に進化していく事を感じて未来と現代人の距離をより近付ける瞬間を垣間見させて頂いた。
株式会社エヌ・エス・ピーは↓
薄手のジャンパーの内側に軽い扇風機を仕込んだ作業服があり、実際に試着させて頂いたが、これは凄まじく涼しく爽快で、しかも軽くて電池も長持ちするという事で、
これを付けていれば暑さで頭が朦朧として安全に注意しなければいけない作業でも、冷静な思考で自分の作業を自分のペースで進められるので、効率が良いのでは?と思わせてくれる作業服もあり、
扇風機は6段階にパワーを切り替えられる脱着式で服をクリーニングする事で清潔に保てるし(クリーニング屋さんの雇用も創れる)、扇風機を付け替えられるということは作業服の生地を変えるだけで↓
消防法に則った溶接などの火花の出る灼熱の危険作業にも対処出来る燃えにくい布地に変更する事も出来るので、その作業をする時は現場の所長さんへ貸し出し申請をして、扇風機を付け替えて涼しい環境の中、冷静な思考力で作業をする事で、事故や重大災害を防ぎ易くする効果があると感じた。(料理人の厨房や給食の調理等でも使ってみたいと思えた。)
↓惑星探査機「はやぶさ」で使われたのと同じような技術を町工場の人達が改良したという、まるで池井戸潤の「下町ロケット」の様な町工場に近い技術者集団が開発したという断熱素材の技術もあり、
上記の宇宙服のような技術と相まって宇宙開発で世間に認知され出した技術が私達消費者の身近に自然に応用されつつある事も感じられた。
今年度から国立研究開発法人と名称を変えて、より研究に特化をする団体となったJAXA(宇宙航空研究開発機構)には、最後の最後にいずれ研究成果が辿り着く未来の消費者へ還元と、参画出来る仕組み作りを、いつも最後の最後の念頭に置いていて欲しいと切に願う。
上手く言えないが100年後の子供達の為に。
会場を出ると、科学技術館だけあって、JAXA公認グッズ企業BCC(ビーシーシー)の宇宙開発関係グッズや宇宙開発関係のガシャポン、科学関係のグッズや玩具が売っていて、
水の中でも書ける「宇宙ペン」 H-ⅡAロケット・イプシロンロケットのジオラマと「はやぶさ」グッズ。
(自分はJAXAのH-ⅡA・NASAのサターン・ロスコスモス=ロシア=のソユーズのロケット型のペンを記念のお土産に買った、玩具かと思っていたが、ワリとオフィスでシッカリ使えるので驚いた!!)
JAXA関係のガシャポン NASAのアポロ計画関係のガシャポン
↑打ち上げたH-ⅡAのフェアリング(先端部分)の欠片の実物が入ったキーホルダー等、
今回の熱中症や環境に関する展示会でお披露目された新しい技術の数々が何故、科学技術館で行なわれたのかがやっと理解が出来た気がした。
上記瓦企業「鶴弥さん」の所でも書いたが、我々の知らない業界、業種で日夜開発と研鑽が行なわれ、時間や時代と共に世の中や技術は何か常に進化と進歩をしているという事を、この展示会を通じて自分の目で見て技術開発に触れる事が出来た。そこに気付いた時、胸の奥から込み上げてきた感動は業種と職種を越えて理解し合える人類共通のキーワードの様な気がした。
昔、あるトップクラスの団体の公務員の同期が飲食業から来た異業種の私と交流した事で気付いた事が「業種、職種が違っても仕事の基本は変わらない」と言ってくれた。
科学未来館を出ると、今度は来た時と違う道を通り駅へ向かう事にした旧江戸城の史跡をより観る為だった(同じ道は通らない事にしている)。
中々こういう景色は見ない。
真近に現れる櫓や石垣等を自分の手で触りながら、新しい技術と共に昔の土木設計施工技術で築いたこんな風景も何世紀(←扇谷上杉の太田道灌が1457年に最初に築城:別名・千代田城その後徳川家が改修→1957年の明暦の大火で天守閣を喪失。)も残っているという科学技術館を出て新旧を行き来する不思議な感覚で堀端を歩き、九段下の駅へ向かう、
その後、朝からペットボトルの水と、展示会ブースで飲ませて頂いた経口保水液しか口にしないで展示会場を回っていたので、神保町へ行って、「あさりカレー」を食べた。↓
むちゃくちゃ美味しかった。
(やはりカレーと餃子と本は神保町だな。この町もいつまでも残っていて欲しい。)
何か1つでも探す事が大切。