あらすじ
将来を期待される科学者の高倉宗一郎は、亡き養父である松下の会社で研究に没頭していた。早くに両親を亡くしずっと孤独だった宗一郎は、自分を慕ってくれる松下の娘・璃子と愛猫ピートを、家族のように大事に思っていた。しかし、研究の完成を目前に控えながら、宗一郎は罠にはめられ、冷凍睡眠させられてしまう。目を覚ますと、そこは30年後の2025年の東京、宗一郎は研究も財産も失い、璃子は謎の死を遂げていたー失って初めて、璃子が自分にとってかけがえのない存在だったと気づく宗一郎。人間にそっくりなロボットの力を借り、30年の間に起こったことを調べ始めた宗一郎は、ある物理学者にたどり着く。驚きの事実を知った宗一郎は、再び1995年へと時を超える。ただ、璃子を救うためにー
製作国:日本 上映時間:118分
監督
脚本
原作
主題歌/挿入歌
出演者
評価 ★★★★★★☆☆☆☆
つぶやき
映画『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』は、ロバート・A・ハインラインの名作SF小説をベースにしながら、日本独自のアプローチで再構築された作品です。
映画のストーリーは、天才エンジニアの高倉宗一郎(山﨑賢人)が、裏切りによって全てを失い、コールドスリープで未来へと逃避する決断から始まります。30年後に目覚め、愛する璃子(清原果耶)を救うために過去に戻るというタイムトラベル要素が中心です。この設定は非常に興味深く、タイムトラベルのパラドックスや未来を変えるための過去改変が巧みに描かれています。
ビジュアル面では、日本の現代的な風景にアメリカンスタイルを取り入れた建築や、未来のテクノロジーの描写が魅力的です。特に人間型ロボットPETE(藤木直人)のデザインと演技は見どころで、原作の猫のピートに代わる存在として物語にユニークな味わいを加えています。
山﨑賢人の演技は非常に魅力的で、特に彼が見せる感情の変化や、絶望から希望へと変わる姿が印象的です。また、清原果耶の璃子役も純粋で心を打つ演技を披露しており、2人のケミストリーが作品全体に温かみを与えています。
映画は技術進歩と人間関係の大切さをテーマにしており、未来は技術だけでなく、愛と信頼によって築かれるというメッセージを伝えています。この点は原作小説のエッセンスをしっかりと引き継いでおり、観客に深い感動を与えます。
『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』は、原作の魅力を活かしつつ、現代日本の視点を加えた素晴らしいSF映画です。タイムトラベルと純愛というテーマが見事に融合されており、感動的なストーリーと魅力的なキャラクターによって観客を惹きつけます。少々のプロットの急ぎ足感を除けば、全体として非常に楽しめる作品です。
この映画を通じて、技術と愛の力を信じることの重要性を再確認できるでしょう。観終わった後、未来に対する希望と信念を持つことの大切さを感じさせられました。