昨日の続きですが、『西太后』が登場する映画やテレビは多くございますね。

 

古くは『北京の55日』 これは西太后が義和団事件を起こし 
ヨーロッパ・アメリカ・日本など列強各国を中国から追い出そうとするお話でした。

 

また『ラスト・エンペラー』は清国最後の皇帝 宣統帝溥儀を扱った作品、
冒頭の一瞬でしたが、西太后が登場致します。

 

記憶に新しい所ではNHKでの浅田次郎さん原作 田中裕子さん主演の『蒼穹の昴』

これは私、紫先生の『西太后』の出演後でしたから 歴史と内容がよくわかり
面白く見る事が出来ました。

 

見ていた当時のブログが、いくつかございますので、興味のある方は
読んでみてください。 「蒼穹の昴」 「二人の安徳海」

 

この紫先生の『西太后』ですが、2003年11月、博多座公演の時に、
初演では村井国夫さんが勤められた 恭親王として登場されたのが猿翁旦那でした。


紫先生のライフワークの一つ『西太后』ではございましたが、
猿翁旦那が出演されましたのは この時が初めての事でした。


舞台稽古の日、プロ野球日本シリーズに阪神タイガースを破って
優勝したダイエー・ホークスの凱旋パレードがちょうどありました。

 

博多座前を通る時 恭親王の扮装をされた猿翁旦那 西太后の紫先生以下 
私たちが博多座のバルコニーへ出て王監督以下 選手の人たちが乗る車に
舞台で使う花吹雪を舞わせてもらいました(笑)

 

王監督が大変喜んで下さって、私たちに手を振って下さったのが今でも思い出されます(笑)
写真、撮りましたのは覚えておりましたが、果たして残っているか。


家人のお休みの日を待ちまして 探してもらいましたら、瞬時に見つけました。

・・・あったんだ、感動!

 

 

旦那も小さく写っておりますね。

 

 

公演も大入りを続けていた17日、思いがけない事が起こりました。

 

1幕の終わりに私は猿翁旦那の恭親王について出る安徳海のお役でしたが
旦那の台詞 あきらかに呂律がまわっていないのです。

 

私は驚きましたが、猿翁旦那は気づいておられず 終演後にある方が
「今から病院へ行ってください、」
旦那は「え? 僕 なんともないよ。」とおっしゃられて居りました。 
「何にもなければそれに越したことはありません ですが病院へ行って下さい。」
と 強くおっしゃって下さいました。

私たち弟子が申し上げてもおそらく 旦那は「うん」とは云われなかったでしょう。

 

結果、猿翁旦那は初期脳梗塞と診断され即刻緊急入院 博多座休演となりました。

私の父も脳梗塞を患いましたが、猿翁旦那ご本人も本当に気が付かないんだ、と
病気の恐ろしさを感じました。



次の日から光緒帝のお役だった右團次さんが恭親王に
右團次さんのお役 光緒帝に一門の弟弟子 喜猿さんが抜擢されました。

 

喜猿さん この時まだ名題下さんでしたが 実を云いますと、
幹部 名題他 ほとんどの人がみんな大きなお役を勤めておりましたので
光緒帝の代役を勤められる人がおりませんでした。

 

抜擢された喜猿さん 突然の事で大いに戸惑っていたのですが
そこは持ち前の度胸で 難なく勤められましたが、本人曰く
「毎日 緊張しっぱなしで いいお役をさせて頂いたと云う実感もなかったです。」と
後日に語っておりました(笑)

 

わかります。私も何回も急な代役を仰せつかった事はありますから・・・(笑)

 


その翌年にはこの二人が本役となり紫先生の『西太后』
中日劇場、新橋演舞場と再演が続きました。
旦那との共演は残念ながら、再演は叶いませんでした。
最初で最後、わずか二週間の共演でした。

 

紫先生のような大きな女優さんが今後出られない限り 
この『西太后』と云う演目は再演される事はないでしょうか?

 

ただ、この『西太后』を演じられている時の紫先生は本当にお元気で、
毎日 驚くほどの食欲でした(笑)

楽々演じられているように見えて やはりかなりのエネルギーを
消耗されていたのですね。

 

紫先生、おそらくみな様の持っておられるイメージとは、少し違うと思います。
紫先生は とっても庶民的な方でした。

 

スーパー歌舞伎などのお稽古の時に 色々と差し入れを下さるのですが、
それが大量の菓子パンだったり、お菓子だったり(笑)

 

地方公演の時は、本当に大量のパック入りお惣菜を買って来て下さり、
「みんな好きに持って帰りなさい」と言って下さったり。
ホテルで夕飯派の私たちにとりましては 本当にありがたい(笑)

軽井沢でたこ焼きを召し上がっていた姿も 印象に残ってます。



早いもので、来年は藤間紫先生の十三回忌ですか?

先生の舞踊とお芝居を間近に見せて頂けて事は 私の何よりの宝物です。 


そして、もう一つの宝物。
先生との写真。

 


こちらの写真も、もうどこに行ったのかわからないかなと
思っていた写真です。


17年も前のものですから、とっても荒いのですが。
初期のデジカメのものですね。

ちゃんと整理して、データ化しておくのが大切ですね。


・・・私は出来ませんけど・・・(笑)