朽ちて尚も美しく | MK from ASOVOYAGE

MK from ASOVOYAGE

その時その瞬間に感じたことをありのままにそのままに。素直に表現。
遊び場 Viva 楽しむ Vida 
"いざ参ろう あそVibaへ"

活発なあそ坊の日記

それは悲しい物語になりそうなはじまりの文句ね。

 

彼女はどこか嬉しそうに、少し茶目っ気まじりにそう言った。

 

「どこがですか?」

「どこがって全部よ。あなたが今私に話してくれたこと」

 

一瞬、僕は彼女に何を言っただろうかと考える。

 

取るに足らないことを言ってみたはずだ。

取るに足らないことでも、彼女に話せばどこか足るに至る気がしたからだ。

 

「あなたの人生がもしも”死がない”のなら、それは人類初の快挙よ。私には想像もつかないわ。私には"死があるもの"きっと。」

 

「あ、その死ではないです。」

 

「あら、詩(うた)の方だったかしら」

 

「そっちの詩は僕には無縁です」

 

「あら残念。それはお気の毒に」

 

「毒ですかね?」

 

「"死がない"あなたには必要かもね」

 

「毒がですか?」

 

「そうよ。ドックンドックンする毒がね」

 

「よくわからないです」

 

「そうよ。所詮その程度のことなのよ。悲しい物語が始まりそうでしょ?」

 

彼女はまた少し茶目っ気まじりにそう言った。