「心が苦しいのかい?」
どうやら彼は僕に聞いているらしい。
今、僕の前の椅子に腰掛け、こちらを向いて問いてくる人は誰だろう?と考える。
そうか、そうだった。どうやら僕はボォーっとしていたらしい。
あれだ。”心ここにあらず”というやつだ。
落ち着かないんだ。自律神経が乱れているのはわかる。
集中して何かに没頭したいが、それが難しい。
自由が"故"にだろう。忙しくすればいいのだが。
物理的に環境を変えるか?
しかし、根本的な解決にはならない。
また同じ場所に帰ってくることになるだろう。
表現。ありのままに。素のままに。
取り繕う必要はない。
いらないものはこの際、一気に処分する。
軽くする。スペースを設ける。
もっと。もっと。シンプルに。
感謝。
日々、少しずつでも。より良く。動く。
アクションがかかったら、カットが聞こえるまで動く。
でももう、何が現実で虚像なのか、曖昧だ。
はっきりさせたいけど、考えられない。止まっている。
何かが頭の中にモヤをかける。
白いモヤだ。思考がうわべになる。
深く潜れない。
この苦しみを拭えない。
汗がジワーッと広がる。
それでも、僕は日々もがいている。
改善に努めている。動いている。動けている。
感謝。
何か、少しでも、一つでも、足跡を。悪あがきを。
まだまだこれから。終わりじゃない。
始まってすらいないのかもしれない。
「心が苦しいのかい?」
彼はもう一度、聞いてくる。
「感謝はするようにしています」
「やっと、口を開いたね」
「はじめから閉ざしているつもりはありません」
「重いかい?」
「はい、へばりついていません。」
「クリーニングが必要だね」
「根本的に汚れない方法が知りたいです」
「それは終わりを意味するよ」
「真っ暗ですか?」
「それは誰にもわからない。ピカピカネオン煌めくダイヤかも」
「すいません。おっしゃる意味がわかりません」
「Mr.Siri」
「この会話にケツなありますか?」
「終わらせたい?」
「没頭したい」