なにもわからない
わかろうとすら最近ではしない
理解する力がもうない
起きているだけで精一杯だ
体が言うことを聞かない
頭だけが懸命にもがく
見ていて苦しくなる
まるで熱にうなされて飛べることができなくなった鳥が、それでも飛ぶことしかできず、なぜ飛べないのかも考えることなく地面に腹をつけて懸命に羽を上下に動かしているだけのように、脳だけが無意味に思考を展開している。
しかし、そこには発展はない。同じところをいったりきたりする単純作業だ。それだけでも確実に体力は奪われている。
さて、どうしよう。
そんな疑問も不問だ。
冷静に考える余裕なんてものはない。
わからない
わからない
わからない
なにもわからない
なんで自分なんだ
なんでここなんだ
なんでこうなった
どこからくるった
うまれたときからか
体が浮遊する
木が風に揺さぶられ葉が落ち、風の怒りを呼び、さらには枝がはじけ飛ばされる。四股を失った木は見るからにみすぼらしい。誰も助けにいかない。助ける術もしらない。
それよりも自己防衛だ。秩序を嫌悪し、秩序を誠実に守る。
矛盾に溢れた世界だ
どうせは口だけ
自分を誇張し、さぞかし活き活きと生きていますよと語る奴ほど信用できない。素朴に素朴に。
それでも一つの生き方。批判はしない。
いや、関わりたくないというのが本心か
が、こうやって持ちかえって考えているだけで関わっているのかもしれない。なんとも悲しい。なんとも悲しい。
思考が追いつかない。もっともっともっと
変化が欲しい。想像を超えろ
すべてを覆せ。もっともっともっと早く早く早く
これじゃ足りないんだ。すべて追いつかれる
想定内の範囲から出れていない。
どうすればいい
どうすればいい
本能から理性
理性から本能
飛躍
柵を飛び越える策を練る
その策をさらに覆す策を練る
またさらにそれの繰り返し
どれだけ練っても考えてできた策は必ず想定内の範囲に位置する
ジレンマから抜け出せない
どちらにしても結果は同じ
赤い赤い赤い真っ赤なリンゴ
こんなリンゴは見たことがない
まるで聖者が一生をかけて清めた自身の体の純血を塗りたくったみたいな不思議な神聖さをこのリンゴから感じる
または純血を守ってきた聖女の処女をむりやりぶち破り流れ出る血で塗りたくったみたいな背徳感をも感じることもできる
食べてみたい。本能がそう急かす
食べるべきではない。理性が警鐘をならしている
鼻に着くにおいがする
気が付くと袖が濡れている
前かがみに息が荒れている
よだれを飲み込んだ時点で正気に戻る
まるで獣のようにリンゴを欲している
本能の塊。理性のかけらもない
欲しいものが目の前にある
ただそれだけ。なんも考えていりゃしない
彼は笑うように殺し
泣きながら自粛行為をする
まるで自粛することで自分の生命の一部を失うかのように。
彼は誰だ
彼は自分だ
そう気づくのに時間はあまりかからなかった
ただ認めようとしていなかった
受け入れるには犠牲が大きすぎた
自分の中に確実に存在する変質者を受け入れることができず、他人だと錯覚することで、この生を保ち続けてきた。
もう限界だ
すべてが遅すぎる。救いがない。
どうすればいい
どうすればいい
本能から理性
理性から本能
飛躍
柵を飛び越える策を練る
その策をさらに覆す策を練る
またさらにそれの繰り返し
どれだけ練っても考えてできた策は必ず想定内の範囲に位置する
ジレンマから抜け出せない
どちらにしても結果は同じ