開脚で足抜きができるとかっこいいですよね。私もできたらいいな、と思っている方も多いのではないでしょうか?でも、開脚をすると内ももの筋肉が突っ張って痛い、やっぱり筋肉が硬いから、私には無理なのかな、筋肉をゆるめればできるのかな、など最初の壁が立ちはだかります。でも、これは筋肉の正常な働きを理解すれば一歩踏み出すことができます。
股関節の可動域は人それぞれ、広い人から狭い人までいます。広い人は開脚から足抜きを気持ちよくおこなうことができます。狭い人は開脚すると内ももの筋肉が突っ張って、それ以上足が開きません。これは筋肉が硬いから、股関節が硬いのだと考えがちですが、そうではなく、股関節の可動域が狭いから、それ以上足が開かないのです。筋肉が突っ張るのは正常な体の反応なのです。それ以上足を開いて壊れてしまわないようにする防御反応なのです。
筋肉は収縮して関節を動かします。そして動作の中では、収縮-伸張、つまり伸び縮みするのが正常な筋肉の働きです。そして、筋肉が切れないようにする反射は伸張反射といいます。ですから股関節の可動域の狭い人が開脚をすると内ももが突っ張って、筋肉が縮もうと身体が防御する仕組みになっているのです。一般に突っ張る筋肉が硬いと考えてストレッチをしてしまいます。しかし、筋肉が伸張するのは正常な反応なのに、筋肉をやわらげようと、ストレッチをつづけてしまい伸張反射を抑制してしまいます。そうすると、咄嗟の動作の瞬間に伸張反射が働かず、故障の原因になってしまいます。また伸張反射は跳躍力として働きますが、伸張反射を抑制してしまうことで、足の筋肉の張りは失われていきます。突っ張る筋肉は伸張しています。伸張した筋肉は、どのように扱えばいいのでしょうか?答えは、伸張から収縮へトレーニングすればよいのです。それが開脚足抜きのスタートです!
正常な反応
伸張反射抑制
開脚足抜きのやり方
スポーツをしていると怪我をすることがあります。いつの間にか気にならなくなっている怪我から、医療機関で治療を継続していてもなかなか治らない怪我まで、その程度は様々です。当院に来院される方の中にも、年中故障を繰り返しているという方も少なくありません。競技をされている方で、これまでに10回以上肉離れを繰り返していて、全力疾走が怖くてできない、という方もいます。
一般的に、肉離れの原因は、急に動作をしたとき、蹴り出して走る人に多い、と言われています。そして、筋肉は伸張性収縮のときにちぎれることが多いといわれています。また、肉離れをする箇所は、ハムストリングス、ふくらはぎ、などの筋肉の筋腱移行部で多発します。
肉離れの治療は、怪我をしたばかりの時期、RICE(ライス)「安静、冷却、圧迫、拳上」が原則です。その後、様子をみて、ストレッチ、負荷をかけるリハビリが一般的です。これらの治療で治る場合は、怪我の程度が軽度だと考えられます。しかし、10回以上肉離れの再発を繰り返している場合は、治療方法を考え直さなければなりません。このような重度の肉離れの原因について、私の経験では、「伸張反射が動作で発動しない状態」だと考えています。
伸張反射は筋肉が伸張して収縮するゴムの性質のような反射です。スポーツ競技の動作では、特に跳躍をするときに必要な反射です。一方で、筋肉が伸張し、めいっぱい筋肉が伸びるとちぎれてしまいますから、生体防御的な反射として収縮する、という見方もできます。伸張反射で働く筋肉は、
下肢
大腰筋
大臀筋
大腿四頭筋
ハムストリングス
下腿三頭筋
などがあります。
そして、伸張反射を発動させるのに、伸張してはいけない筋肉があります。それは、
前脛骨筋
長母趾屈筋
長趾屈筋
です。これらの筋肉は伸張反射の土台となる筋肉です。
正常な筋肉は「収縮-伸張-収縮-伸張-収縮」で働きます。このように筋肉が働いていれば何の問題もありません。しかし、肉離れをする場合は、伸張のタイミングで収縮が重なって伸張反射が起こらず、筋肉が、ちぎれてしまうのだと考えています。ですから、急な動作で肉離れが多いのですが、筋肉が正常に働いていれば、本来何の問題もないはずです。その場合は、筋肉が正常に働いておらず、伸張反射が動作で発動しない状態だと考えます。また、蹴り出す走り方は、筋肉が伸張性収縮で働きますので、肉離れを起こしやすいのだと考えられます。
筋肉が正常に働かない原因について、私はストレッチの副作用だと考えています。筋肉は「伸張-収縮」で働くのが正常ですが、ストレッチの伸張の入力が協調され続けることで、筋肉の正常なリズムが崩れ、故障につながる恐れがあります。また、関節の連動に問題がある場合も筋肉が正常に働きません。例えば足関節と膝関節の関節の運動方向が、そろっていないと、筋肉の起始停止部がそれてしまいますから、肉離れに限らず、故障につながります。
ふくらはぎは下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)といって膝の上から踵のアキレス腱に付着する筋肉です。作用は、足関節の底屈、膝関節の屈曲です。ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)は、骨盤の坐骨結節から膝の下の脛の骨に付着する筋肉です。作用は、股関節の伸展、膝関節の屈曲です。これらの筋肉の作用の仕方は、肉離れを繰り返している場合ですと、
ふくらはぎ:足関節の底屈
ハムストリングス:膝関節の屈曲
に働いていて伸張反射が動作で発動しません。正常な場合ですと、
ふくらはぎ:膝関節屈曲
ハムストリングス:股関節伸展
に働いて伸張反射が動作で発動しますので何の問題もありません。
リハビリは、伸張反射が動作で発動する状態にすることが必要です。まずは、伸張反射の土台作りが欠かせません。牧神の蹄を使って足の感覚を回復し、足指トレーニングで、
前脛骨筋
長母趾屈筋
長趾屈筋
を動作で収縮できるようにします。そして、
ふくらはぎ:膝関節屈曲
ハムストリングス:股関節伸展
を伸張反射が動作で発動できるようにしていくことが必要です。まとめると、蹴り出す動作は怪我のリスクがあります。もし、ストレッチが必要な場合は、専門の医療機関の指示のもとでおこなうこと。私はこれらの危険性を秘めているため、ストレッチをすすめていません。故障している方が全力疾走できるよう願っております。
【肉離れ①】
【肉離れ②】
【骨盤前傾スクワット】



