股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座 -22ページ目

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

大きく足を開いて綺麗な開脚がしたい。開脚を広げる方法には2種類あります。一つ目は、ストレッチで筋肉を伸ばす方法、2つ目は股関節の可動域を広げる方法です。一般的には、ストレッチで筋肉を伸ばして開脚を広げる方法が主流ですが、構造動作で行う股割りは、股関節の可動域を広げる方法です。筋肉は収縮することで力を発揮し関節を可動させる働きをします。股割りは股関節の運動に作用する筋肉を使えるようにして可動域を広げていく方法です。ストレッチは筋肉の収縮を抑えて開脚を広げていく方法ですから、この方法の質は全く異なるものとなります。
 
股割りは使える股関節の可動域を広げるトレーニング方法ですので、スポーツ競技の動作や根本的な動きの質を高めパフォーマンスを向上させるのに優れたトレーニングです。股割りの開脚は股関節の運動に作用する筋肉の収縮率を上げていきます。これは股関節の動作のトレーニングです。①足を大きく開いたポジション(股関節外転、外旋)からスタートします。②前方へ重心を移動させ(股関節屈曲)骨盤を完全に前傾します(床に恥骨、下腹、お臍が接触)。③股関節を切り返し伸張反射を発動します(股関節内旋、内転、伸展)。
 
このように動作で使える股関節の可動域を広げて綺麗な開脚をできるようにするためには、解剖学、運動学、生理学を基に動作を分析してトレーニングをすすめることが大切です。解剖学は体の構造を学ぶ学問です。運動学は人の運動を学ぶ学問です。運動生理学は身体運動の生理学を学ぶ学問です。解剖学では基本的な筋肉の作用を示していますが、実際の運動では、それだけで説明できません。例えば、解剖学で内転筋は股関節の内転作用ですが、運動学の内転筋は股関節の外転以外ほとんどの運動で作用します。ですから、解剖運動学で分析する必要があるのです。さらに股割りの開脚前屈動作は伸張反射を発動しますので運動生理学の観点からの分析が必要です。
 
股割りの基本姿勢は骨格位置を定めます。骨格位置は様々な形状の各骨が力学的に最も強度を発揮する位置を定めます。これは筋肉の起始停止部をそろえるため、また股関節をはじめ各関節の位置を定めるためです。筋肉の起始停止部をそろえることで筋肉の収縮率を上げやすくします。これがそろっていないと筋肉が上手く作用しません。また各関節の位置を定めることにより関節運動を円滑におこなうことができます。これが定まっていないと上手く関節運動をおこなうことができません。股割りの開脚前屈は動作ですから、運動とは重心が移動すること、つまり重心移動で股関節を可動させ可動域を広げていきます。逆にストレッチの方法は重心移動がありませんので筋肉は伸びても股関節が動かないのです。
 
開脚動作での筋肉の作用は手足末端まで注力します。まず基本姿勢で椅子のパイプを握る手指は長母指屈筋と深指屈筋を作用させます。肘関節は回内外中間位で腕橈骨筋を作用させます。重心移動で肘関節屈曲から伸展は上腕二頭筋と上腕三頭筋を作用させます。重心移動を円滑にし股関節の可動域を広げるためには体幹と下肢を安定させ動作をおこなう必要があります。体幹は頭部と腕と共に僧帽筋、広背筋、最長筋、腸肋筋、多裂筋を作用させて安定して動作をおこないます。下肢は足指と足関節は安定した固定力が欠かせません。足指は長趾屈筋と長母指屈筋、足関節は前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋、第三腓骨筋の作用で背屈キープします。以上の筋肉で股割りの基本姿勢をキープして重心移動を円滑に開脚前屈動作をおこないます。
 
【股関節の外転】
中殿筋
小殿筋
大臀筋
大腿筋膜張筋
 
【股関節の外旋】
外旋六筋
腸骨筋
長短小内転筋
大腿二頭筋
臀筋
 
【股関節屈曲】
大腰筋
大腿直筋
恥骨筋
 
【股関節の内旋】
小殿筋
半腱様筋
半膜様筋
大内転筋
 
【股関節の内転】
恥骨筋
内転筋群
 
【股関節の伸展】
大臀筋
ハムストリングス
大内転筋
 
伸張反射の発動は、股関節屈曲から完全骨盤前傾で大内転筋、ハムストリングス、大臀筋、下腿三頭筋の伸張をキープして、股関節の切り返しで一気に収縮方向へ解放します。このように動作で使える股関節の可動域を広げ、綺麗な開脚をできるようにしていきます。
 
 

筋肉学(解剖学)

 

内転筋

 

大内転筋

 

1月20-21日、構造動作トレーニング・東京教室のレポートです。Takahiroラボは新体操指導者の方の柔軟性を検証、所有感覚メソッドは牧神の蹄に乗って手足指先から骨格位置の見直し、股割りチャレンジ教室は股関節の屈曲を見直し、構造動作トレーニング入門は深部感覚ペアワークで姿勢の中に骨格を入れました。全4講座、ご参加くださった皆さまありがとうございました。

 

 

21日の構造動作トレーニング入門は、膝関節半月板・靭帯損傷、ヘバーデン結節、五十肩、腰痛、頭痛、骨折などによる不調症状を改善、太極拳や中国拳法など武術をするための体づくり、テニスやランニングなどスポーツ競技のための体づくり、など、様々な目的で参加されていました。構造動作トレーニングは、私が営む治療院の現場から20年以上かけて現在の形に発展してきています。これは臨床現場の経験、私自身の末梢神経麻痺からの回復の経験、私自身のトレーニングの実感を基に、常に最新版へアップデートしているトレーニングです。

 

 

このトレーニングは、故障後のリハビリの運動療法、スポーツ競技のフィジカルトレーニング、健康を増進するための体づくりに絶大な効果を発揮します。ただし、効果的なトレーニングをするためには、自身の体の状態と体の仕組みを理解する必要があります。そして、自分の体の状態に必要なトレーニングを積み重ねてください。ぜひ、参加されている皆様にはご自身の体を変えて目標を達成できるまで自分の体と向き合ってほしいと思います。

 

 

深部感覚ペアワークは、姿勢の中に骨格をセットし固有感覚を高めるトレーニングです。固有感覚が高まることによって、その姿勢は、強く安定し、すみやかに次の動作へ移ることができる実践的な動的姿勢を手に入れることができます。固有感覚が高まる条件は、様々な形状の各骨に対して、その骨が力学的に最も強度を発揮する位置をセットすることです。そして、具体的にその強度を実感することを重ねることで、固有感覚という体の中の無意識の感覚の流れが流通するのです。これまでに骨で立つことをイメージや意識のみで実現しようと試みてきた方は、具体的な骨の強度を実感することで、骨で立つということを見直してみてはいかがでしょうか。

 

私は20年以上、構造動作トレーニングを実践しています。トレーニングの内容は、固有感覚を高める、骨格位置を定める、関節の運動方向を捉える、筋肉を作用させる、重心移動を円滑におこなえるようにする、伸張反射を発動できるようにする、神経系統を構築する、などです。トレーニングの内容を効果的に実現させるために、股割りの開脚前屈動作、フルスクワット動作のメカニズムを分析しつつ、実践研究をしています。

 

 

私は参加者から体がやわらかい人と思われています。しかし、私自身は体がやわらかいとは感じず、むしろ硬いと感じています。けれど関節の可動域は増してきているというのが実感です。体が硬い人もやわらかい人も、体に柔軟性が必要だといいます。体の柔軟性とは、いったい何を示すのでしょうか?そして柔軟性があるといいのでしょうか?

 

 

180度開脚ができると柔軟性があり体の硬い人は羨ましく思われますが、180度開脚ができても、自分は柔軟性がないと感じ、問題を抱えている人もいます。具体的に関節可動域を獲得する、伸張反射を発動する、ということを目的にトレーニングをすることが必要です。180度開脚ができたとしても、股関節の屈曲や外旋可動域が少ない、ストレッチで筋肉を伸張し過ぎて伸張反射を抑制され発動しない、というような状態は実践動作では怪我をしやすくなります。硬い人もやわらかい人も体に柔軟性が必要だと思ってきましたが、柔軟性とは実践動作とは無関係で、体の曖昧な感覚表現なのです。

 

 

構造動作トレーニングは、曖昧な感覚表現でではなく、解剖運動学、生理学のメカニズムを理解し、忠実にトレーニングをすすめていきます。ですから絶大な効果を発揮することができるのです。体を進化させるための近道は、着実にトレーニングを積み重ねることです。


 

開脚運動学

 

股割りの解剖運動生理学

 

 

内転筋群の中で、大内転筋は最も強大で大腿の内側に扇状に広がる筋肉です。この筋肉の作用は多様で、外転以外のほとんどの股関節の動きに作用し、動作を円滑におこなう、あるいは、体のキレを出すのに欠かせない筋肉です。ところが、下肢の運動軸がズレると大内転筋が働かなくなっていきます。走っていると脚が重い、脚が出ない、脚の回転が悪い、腰の回りが悪いなど、気づかないうちに下肢の運動軸がズレ、日常動作の癖、利き足利き腕、など体の使い方が偏ることで、正常な位置からそれてしまいます。これが運動軸のズレになって、筋肉の起始停止部がそれて筋肉が正常に作用しなくなるのです。内転筋群は骨盤から大腿骨に付着していますので、骨格の位置をそろえ、筋肉が正常に作用するようにトレーニングしていきます。

 

内転筋は長短小内転筋と大内転筋にグループ分けします。内転筋は内ももものイメージがありますが、大内転筋はお尻側から付着していますので、起始停止を理解する必要があります。

 

長短小内転筋-恥骨~大腿内側

大内転筋-坐骨結節~大腿内側

 

内転筋は恥骨側と坐骨結節側でグループ分けできます。内転筋の作用は解剖学では内転ですが、運動学では、

 

長短小内転筋-股関節屈曲、内転、外旋

大内転筋-股関節屈曲、伸展、内転、外旋、内旋

 

です。

 

 

特に大内転筋は外転以外はほぼ動作で働く筋肉なので確実の目覚めさせたい筋肉です。大内転筋のトレーニングのポイントは骨盤と大腿骨の位置です。股割りの股関節外転、外旋ポジションから屈曲します。このとき、長短小内転筋は外旋で作用させ、大腿骨は膝蓋骨が上向きでキープし、大内転筋を伸張させます。そして、股関節の切り返しで、大内転筋が内旋、内転、伸展の伸張反射で使えるようにトレーニングします。この骨盤操作がポイントです。トレーニングは運動学、生理学、解剖学にそって正しくおこなうことが大切です。

 

開脚で内転筋を使えるようにする

 

大内転筋の骨盤操作