肩の痛みを足指から改善する方法 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

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今朝は来院された方たちに施術をしてから、私も皆さんと牧神の蹄に足指をあわせて体を整えました。ここのところ、私の体の中では骨格の建て直しが行われているようで、日に日に変化する状況がとても興味深く興味が尽きません。

 

 
【肩の痛みを足指から改善する方法】を解説します。
 
肩が痛く、医療機関で治療をしていても改善せず、このまま通院していていいのか不安、という方も多いと思います。ですが、これは担当医師にご相談ください。肩が痛いといっても、原因、症状の程度、体の状態など、人それぞれです。内科疾患が疑われる場合は医療機関の受診が必要です。
 
先日、ご近所の方と立ち話をしていた時、肩の痛みが話題にのぼりました。その方は、肩が痛い、朝起きる時に首が回らない、膝が痛くなるそうなのです。姿勢は見たところ猫背で後ろ重心です。背骨を確認すると、胸椎の7番、8番から右へ反れるように曲がっていました。運動軸は右に偏り、後ろ重心と重なり、とても不自由な動作のクセが体に染みついていました。今は、肩の痛みが特に気になっているので、何とかその痛みが収まらないかと、意識がいっているといった感じでした。
 
このように、複数個所に痛みや不調がある場合、肩の治療だけしていても治りません。一時的に肩の痛みが和らいだとしても、猫背、後ろ重心、曲がった背骨、偏った運動軸によって、不自由な動作のクセが、体に染みついていますので、再び肩が痛みだす可能性は高く、首や膝に限らず、この先どこが痛くなっても不思議ではありません。
 
まず、皆さんに知ってほしいのは、肩の痛みを改善するためには、体全体の状態を把握することが重要だということです。体全体の状態が良好な場合は、肩の治療をすれば順調に改善します。そうでなければ、肩の治療だけをしていても改善しません。一時的に肩の痛みが和らいだとしても、体全体の状態が悪い場合は、再発する可能性が高いのです。なので、肩の痛みが順調に改善しない場合、肩に意識がいきがちですが、体全体の状態を把握し、その上で、どうしたら不調が改善できるのかを常に考え続けることが大切です
 
私が実際に、患者さんを見る時には、まず、体の状態を把握するため、徒手検査法で、骨の並び、関節の動き、筋肉の働きをチェックします。さらに、どのような動作の方法で動いているのか、動作のクセをチェックします。そこから、上肢、下肢、脊柱の3つの運動軸の動きを検査して、体全体の状態、動作のクセを把握します。これを把握できれば、間違いなく、肩の痛みだけでなく、体の不調を一掃するための改善策を導き出すことが出来ます。
 
とはいえ、自分で体全体をチェックし、さらに動作のクセまでを把握するのは、難しいことです。なので、自分でもできること、体と動作の状態を良好にするために重要となる、足指トレーニングの具体的な方法を紹介します。
 
体と動作の状態を良好にするためには、体の土台である足指が使える状態でなければなりません。実は、肩の痛みに限らず、体の不調を訴える多くの方たちの足指は使えない状態になっています。体の土台が不安定な状態では、体と動作の状態を良好にすることができません。足指を使える状態にするには、体と動作の状態を良好にし、肩の痛みの根本的な原因である不自由な動作のクセを修正します。これができれば、間違いなく肩の痛みは改善する方向に向かいますので、足指を使える状態にするために必要な5つのポイントをお伝えします。
 
ポイント1
МP関節から足指を動かす。足指は見えている部分だけが足指ではなく、実際には足の半分以上が足指です。足指はどこから動かすのがいいかというと、МP関節、手で示すとゲンコツの部分です。足指を握り込んでゲンコツが出来るように、足指の関節を最終可動域まで曲げれるようにします。
 
ポイント2
ふくらはぎのインナーマッスルを使える状態にする。足指の先を曲げる時に働く筋肉は長母趾屈筋と長趾屈筋という筋肉です。この筋肉は足指の先から、足裏~内くるぶし~ふくらはぎの深層に付く筋肉で、ふくらはぎのインナーマッスルです。足指を握り込む時は、ふくらはぎのインナーマッスルが働く状態にします。
 
ポイント3
指先の感覚を敏感にする。10本の筋肉を使える状態にすることと伴に、足指の感覚を敏感にすることが重要です。当院では、牧神の蹄、セルスポンジを使って足指の感覚を敏感にするためのトレーニングを行っています。せっかく筋肉が使える状態になっても、感覚が鈍いままでは、足指を使いこなすことができません。トレーニング器具をお持ちでない方は、指先を軽く床に触れ、トントントン、と、10本の指先それぞれ、感覚を敏感にすることから始めて下さい。
 
ポイント4
10本の足指を含め、足裏全体で接地する。以上のことをクリアした上で、足指の末端の末節骨を接地し、フラット接地で床に足をついて立てるようにします。足指の末節骨が浮いているのは、フラット接地ではありません。末節骨はこの部分を床に着きます。10本の足指を含め足裏全体で接地できるようにします。
 
ポイント5
左右均等に立つ。さらに、左右均等にフラット接地で立って動作をおこなえるようにする。片足立ちで安定して立てるようにします。
 
肩の痛みを根本的に改善するためには、体の土台を安定させ、背骨を真っすぐにならべる、関節の動きを良好な状態にする、筋肉が適切に働く状態にする、さらに、運動軸を修正し、不自由な動作のクセを治す必要があります。
 
ですが、動作のクセは無意識なため、自分で気づくことは難しいことです。徒手検査法を用いて、運動軸の検査をすると、いつもの動作が、こんなにも不自由な動作になっている、ということに驚かれる方が多いです。それほど、クセが体に染みついて、自分のクセがどのようなものかを、自分で気づき、さらに、自分で修正するのは難しいのです。
 
ですから、足指トレーニングで、10本の指の感覚を敏感にし、左右均等に姿勢を正しておくことが重要です。最低限これができれば、自分が運動軸の検査をできないにしても、大きく運動軸の偏りを作らなくて済みます。その上で、肩甲骨、鎖骨、上腕骨の位置を修正していきます。
 
・腕を動かすポイントは、喉もとの溝、鎖骨と胸骨の胸鎖関節です。肩の痛みがある方の多くは、腕は肩関節から動くものだと間違いをされています。正しい理解が必要です。
 
・肩甲骨は背中に収めます。肩甲骨が外に開いて猫背になっていると、腕を正しく動かすことはできません。肩甲骨は背骨に添って、骨盤へ向かって落とします。肩甲骨を寄せる方法は、胸鎖関節が突っ張って、腕を正しく動かすことができませんし、肩甲骨は背骨に添って落とします。
 
・腕を正しく動かすには、上腕骨と肩甲骨をはめて動かします。胸鎖関節を確認→肩甲骨を背骨に添って骨盤へ向かって落とします→手を伸ばせる角度で、ゆっくり腕を伸ばし切ります、痛みがある場合は手を伸ばす角度を下げて調節します→腕を横へ肩甲骨にはめます→肘を曲げて→手のひらを返して→ゆっくり下ろします。この動きがきつい場合は、テーブルや椅子に手をついて行います。
 
・肩甲骨を背骨に添って骨盤へ向かって落とします→手を伸ばせる角度で、ゆっくり腕を伸ばし切ります、痛みがある場合は手を伸ばす角度を調節します→腕を横へ肩甲骨にはめます→肘を曲げて→手のひらを返して→ゆっくり下ろします。
 
以上が一連の腕の動きです。肩に痛みがあるからと長期間安静にして動かさないでいると、肩関節が固まってしまいます。固まると改善が難しくなるので、痛みがない範囲で動かすことが大切です。とはいえ、肩の痛みがなかなか改善しないと、気分が滅入ってしまいますが、根気よく足元の土台を安定させ、体と動作の状態を良好にしていくことが改善の近道なのです。
 
それでは、今回の内容をまとめます。足指トレーニングで、骨格の土台を安定させるためには、
 
1.МP関節から足指を動かすことができるようにすること。
2.ふくらはぎのインナーマッスル、長母趾屈筋と長趾屈筋を使える状態にすること。
3.10本の指先の感覚を敏感にすること。
4.10本の指先を含む足裏全体で接地できるようにすること。
5.左右均等に接地して、立って、動作をおこなえるようにすること。
 
その上で、一連の腕の動きを身に付けること。これをすれば、肩の痛みは、必ず改善します。
 

【肩の痛みを足指から改善する方法】