手足の骨の位置や曲がりぐあいというのは、体の中の無意識な感覚の流れによって調整されます。この感覚は深部感覚といいます。おそらく、四肢を麻痺した事のある人たちは深部感覚の存在に気づいているのではないでしょうか。感覚が消失した部位は、ただの肉の塊でしかない、感覚が消失する前は、この肉の塊の中に深部感覚が存在していたからです。この感覚は失ってみて、はじめて、その存在に気づく、無意識の感覚です。ですから、健康なスポーツ選手には気づきようがないのです。人の体は、猫背で姿勢を崩していても、体の調子が悪くても、現状の体を深部感覚が調整しています。ランニングをしていて深部感覚に気づくことはありませんが、脛の負担のかかり具合、違和感、痛みなどの感覚によって、深部感覚の調整が上手く出来ていないことを知ることができます。しかし、脛の負担のかかり具合、違和感、痛みなどの感覚が何を意味しているのかを知ることができるスポーツ選手は稀だと思います。結局、その意味が分からない選手は、脛の一点に剪断力が集中したまま、ランニングを繰り返して足を故障してしまうのです。そして、深部感覚は低下し、鈍くなることで、体を思うように扱えなくなっていくのです。