自分が自覚できることは、痛い、だるい、鈍いなどの感覚。この感覚の裏側には、自分が自覚できない無意識の身体の状態がある。無意識の身体の状態は、動作の癖や故障などの経験により個人差が大きい。無意識の身体の状態には、束になって細分化することができない筋肉、筋膜・腱・靭帯などの癒着などがある。これらの状態は、筋肉が正常に収縮して正確な関節運動を妨げる。動作の癖や故障は知らず知らずの間に身体のコントロール力を低下させている。
来院する方たちは、全身調整で無意識の身体の状態へのアプローチを受け、動作の癖を治すための運動療法に取り組んでいる。運動療法は意識へのアプローチだといえる。長年かけて身体に染みついた動作癖は、人によっては頑固なもので、骨盤おこしを身に付けるのに苦労している人もいる。それでも、正しい基本動作を身に付けることは、動作を快適におこなえるようにするために必要であり、再び身体の不調に陥らないためにも必要なことなのだ。
正しい基本動作が身に付いてくると、これまで自分が自覚できなかった身体の状態に気付くことが出てくる。その気づきの積み重ねで、身体のコントロール力を低下させている無意識をなくしていくことが大切だ。