「深部感覚」へのアプローチは、
医療関係者や専門家には馴染みがあっても
一般の方にははじめて耳にするようなこと。
私は15年前に現在(構造動作トレーニング)の
運動療法を視野に入れてリハビリに取り組んできている。
実際に深部感覚を意識して運動療法を施すようになったのは
その数年後あたりから。
今でこそある程度系統立ててリハビリを
組み立てれるようになってはいるが、
当時は患者さんもよくわからずに運動療法に励んでくれていた。
そして「深部感覚」というキーワードを使うようになって
ことはスムーズに進むかに思われたが、
患者にとっては難しいことだった。
よほど施術者が感覚のメカニズムを理解できていないと
患者が理解できず運動療法の趣旨を共有できないのだ。
それで、難しい知識は後回しにして
まずは、体が楽になる、動きが軽くなるなど、
自分の体がプラス変化だと感じることを重ねることからはじめた。
それが、「骨盤おこし」として注目されるようになった。
この夏に「深部感覚」から身体がよみがえる!(晶文社)を
刊行することができて、一般の方にようやく解説できる準備が整った。
参考本としてフルカラーの骨格ポジショニング(学研)がある。
照らし合わせて読み進めることで理解が深まるのではないかと思う。
さて、筋膜リリースの手技をメインとしている柔道整復師の先生の院を訪問。症例に対する深部感覚へのアプローチの経過と変化について話を伺った。それなりに成果はでてきているものの患者が深部感覚を取り戻すまでにいたらない。
それは、「リハビリ=筋膜リリースの手技」という考え方に問題があった。リハビリは、体に損傷を負った場合に「本来あるべき状態への回復」をおこなわなくてはならない。来院される患者が満足するするリハビリを行うことは大切である。しかし、それは手技によって「痛みが和らいだ」「気持ちよかった」「癒された」などの声にとどまるものではなく、「本来あるべき状態への回復」までを完結しなければならない。
患者が、深部感覚(位置覚、運動覚、重量覚)を体に覚えるまでの運動療法の計画が必要だ。病院の先生でリハビリ室を備えている施設なら運動療法を処方できる流れを作ればよい。しかし、接骨院のような個人の施設だと簡単にいかない。リハビリはベットの上でするものと思い込んでいる先生だと複数台のベットを取り払って運動療法のためのスペース確保がネックになる。
そのような議論を数時間してみて思ったことは、治療やリハビリというものを一時的な除痛に主眼をおいている先生には、患者の深部感覚を回復するということが、かなりハードルが高くなる。再発の原因がこの辺りにあるのではないだろうか。やはり、施術者が深部感覚の概念を備えるということは必要不可欠だ。
今後も先生方とじっくり議論を重ねていきたいと思います。