広背筋を使える状態にする深部感覚から競技動作が開花する | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

今日は、リクエストに応えて初めての広背筋ワークショップに挑戦。なぜ、広背筋?広背筋が効いた突きをしたい。私はその広背筋への強い思いにとても興味があった。人にはいろいろな興味の持ち方があるものだなぁ、そういうことがしたくて、広背筋なんだ。と、理解でき興味深い日であった。

 

何でもやってみるもの。広背筋に注目してみることで体幹と四肢が連動するためのポジションを再確認できた。そして、深部感覚が入らないと広背筋が目覚めない。広背筋を使えない人が使える状態になるまでの手順にいくつかの段階が必要だった。

 

広背筋は、胸腰筋膜浅葉、第7-12胸椎、全腰椎棘突起、仙骨の正中仙骨稜、肩甲骨下角、腸骨稜、第10(9)-12肋骨に起始し、上腕骨の小結節稜に停止する。作用は肩関節を内転、伸展、内旋する。

 

 

広背筋は起始部が多いので上下付着部で区別するとわかりやすい。

上部:胸椎棘突起と肋骨から起こる部分。

下部:腰椎・仙骨と腸骨から起こる部分。

上部は胸郭の影響を受けやすい。

下部は骨盤の影響を受けやすい。

広背筋が機能を十分に発揮するためには起始部と停止部を適切な位置に保つ必要がある。まず、胸郭と骨盤の位置は多裂筋、腸肋筋、最長筋など脊柱起立筋が作用すること。肩甲骨と胸郭の位置は、菱形筋、肩甲下筋、前鋸筋などが作用すること。特に腰部、仙骨部の多裂筋の収縮率は広背筋の精度につながる。

 

広背筋を使える状態にするための手順は、起始停止部を整える、収縮率を上げる、基本動作へ落とし込む。言葉にすると凄く単純な作業のような印象を受けるかもしれないが、起始停止部を整えることが最難関。深部感覚と骨格ポジショニングを同時進行し起始停止部を整える感じになる。

 

広背筋の起始停止部を整える。

しかし、起始停止部を整えるという意味がわからない様子。

 

広背筋の収縮率を上げるためには起始停止部がどこに位置すればよいのか?

これもよくわからない様子。

 

広背筋のニュートラルポジションで起始停止部を整える。

じっくりと時間をかけたがよくわからない。

 

広背筋の停止部の位置関係を確認。

肩関節の内外旋で広背筋の長さの変化に考え込む様子。

 

広背筋の停止部と胸郭の位置関係を確認。

肩関節の内外旋と広背筋の連動感覚が何となく分かる様子。

 

広背筋のニュートラルポジションで起始停止部を整える。

じっくりと時間をかけて、ようやく腰椎辺りが整うくらい。

 

胸郭の方向と広背筋の停止部の位置関係を確認。

再び肩関節外旋と広背筋の長さの変化に考え込む様子。

 

広背筋の停止部の深部感覚ワーク。

何をやっているのか意味がわからない様子。

 

胸郭の方向と広背筋の停止部の深部感覚ワーク。

何かに気づく。

 

広背筋を使えない人にとっては、広背筋を使う感覚がわからない。広背筋を使おうとしても、使えるものでもなく、使える状態にして、はじめて広背筋を使う感覚がめばえる。普通は使って使える状態にしようと考えがち。骨密度・筋力低下の予防のための筋トレだとすれば、とりあえず使ってみるという考えもありしれないが、ここでやるのは「動作の質」を高めるための広背筋ということです。

 

なぜ、広背筋?と思ったが、これは「腰・腹」「体幹」だとしても「動作の質」を高めるということに違いはない。今回のようにテーマを決めて仕組みを理解しながら「動作の質」を高めていくのもよいかもしれない。

 

わからないことに対して表現方法、視点を変えて繰り返し説明してみたが、何となくわかるかも?と思うポイントは人それぞれ。誰が、どの表現で、どの視点で、どのポイントで反応を示すのか、こちらも反応を待つのが楽しみなのかもしれない。

 

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