一流のやわらかでふんわりした手になりたい/手内筋(母指球と小指球の筋) | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

運動解剖学を学ぶさいは自らが求める運動モデルを明確することが大切。そして、発想力を敏感に研ぎ澄ませて学ぶ姿勢が望ましい。体の構造や仕組みというのはすでに決まっているが実感がともなわないから学ぶのだと思う。教科書に書いてあることを覚える勉強というのは、これから学んでいくための決まりごとを備えておくことだと恩師から教えてもらった。

20代は給料のほとんどを勉強につぎこんで、30代は許す限りの時間を実感を得るための学びにそそいだ。40代はようやく自分が求める運動モデルが明確になり発想力を磨いている。4月から始まった名古屋・構造動作研究会は私にとって最良の学びの場になっている。前回の復習もまだ途中だったので手内筋のつづき。

手の平は前腕骨がもっとも強度を発揮するポジションをたもつのに重要なセンサーだといえる。手の平の接触面積、圧、力など必要にして十分な接触がしたい。しかし、手が立体的な構造にも関わらず平面的に慣れてしまっている場合が多い。そのために自重を支えることもままならず、あるいは不十分な接触で動きに力みをつくってしまう。その代償は、物と人との関わりに支障をきたし上肢全般の痛みや症状の発症、スポーツや技術職などにおいてパフォーマンスが低下を招いている。手の構造と仕組みを知って必要にして十分なリハビリとトレーニングが大切だ。

手のアーチ構造は、
縦方向のアーチ
横方向のアーチ(手根骨)
横方向のアーチ(中手骨)
斜方向のアーチ
から成る。

手のアーチ

▲基礎運動学(医歯薬出版株式会社)著中村隆一・斎藤宏

手根中手関節は5つの中手骨が4つの手根骨と連絡する。第2中手骨は小菱形骨に深く入り込み、大菱形骨と有頭骨に挟まれることで第2、第3中手骨は固定をおこなっている。第1、第4、第5中手骨は可動性を持つ。

中手手根関節

▲手と痛みの機能障害(医歯薬出版株式会社) 訳=荻島秀雄


手の短い筋は、
中手の筋
母指球の筋
小指球の筋
がある。

母指球の筋と小指球の筋の手内筋について。

【母指球筋】
短母指外転筋
短母指屈筋
母指対立筋
母指内転筋

【小指球筋】
小指外転筋
短小指屈筋
小指対立筋
短手掌筋

母指球の筋と小趾球の筋

▲手と痛みの機能障害(医歯薬出版株式会社) 訳=荻島秀雄

母指と小指は多くの方向へ動く。
母指の動きは大菱形骨の鞍関節(鞍馬状)での中手骨の動き。

母指球の筋と小指球の筋

▲日本人体解剖学第一巻(南山堂)著 金子丑之助

母指球の筋の機能。
母指の内転は短母指屈筋、母指対立筋の協力のもとに母指内転筋により行われる。
母指の外転は短母指外転筋、短母指屈筋により行われる。
母指の対立位は母指対立筋、短母指屈筋、母指内転筋により行われる。
母指の対立位からの復位は、背側の長い筋(短母指伸筋、長母指伸筋、長母指外転筋)により行われる。

▲日本人体解剖学第一巻(南山堂)著 金子丑之助

母指の背側の長い筋。
短母指伸筋、長母指伸筋、長母指外転筋。

母指球の筋の機能。

▲日本人体解剖学第一巻(南山堂)著 金子丑之助


小指球の筋の機能。
小指の外転は小指外転筋により行われる。
小指の屈曲は短小指屈筋により行われる。
小指の対立位は小指対立筋により行われる。
短手掌筋は手掌腱膜と屈筋支帯を手の尺側縁の皮膚と結びつける。

母指球の筋と小指球の筋の手内筋

▲日本人体解剖学第一巻(南山堂)著 金子丑之助

構造動作トレーニングでは、深部感覚での前腕骨ポジション入力や動きのキレトレーニングなどで接触部になる手を慎重に観察し訓練することを心がけている。

理想の手は痛みや症状がなく、やわらかで血色の良い、きれいな手。変形、ゴツゴツした手は、必要以上の力や圧をかけすぎているか、手の機能状況が不十分であることが考えられる。力を効率よくつたえて動作をするためにも理想の手に近づきたいものだ。

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