私が学生の頃、東洋医学の師匠はアトピー、喘息、リウマチの患者さんたちの胸を摩ってあげていた。
症状が軽減する患者さんがあれば、軽減しない患者さんがあった。
私は一つとして同じ変化が起こらないヒトのカラダを不思議に思っていた。
喘息には水泳がいい。
よく聞いた話だが、これも水泳が効果的だった患者さんがいれば、変化がない或いは水泳を止めたらぶり返すなど一様でない変化に不思議だった。
だが、最近になってわかりはじめたことがある。
両者は呼吸器系にアプローチしていること。
最近は、アトピー、喘息、リウマチなど難治性症状の相談に対して呼吸器系の機能回復をすすめている。
これは、呼吸器系回復のアプローチで難治症状が治るということではない。
難治性症状だからこそ最低限の機能は確保する必要があると私は考えている。
実際、難治性症状の患者さんの多くは呼吸器系機能が不十分だ。
せっかく、良い治療方法を行っていても効果が半減する可能性が考えられ、
もったいない、と思うことがある。
病気には原因がある。
難治性症状は原因がはっきりしないもの。
それでも患者さんによって変化の有無は異なる。
不思議だ。
おそらく原因も重要だが、患者さん自身がどうなりたいのかということが、変化の有無に大きく関わっているのだろう。
鍼灸の免許をとりたての頃は正義感を振りかざし、どんな難治性症状でも治すような勢いで患者さんを苦しめていたことがある。
結局、それは症状に夢中になっていただけで患者さんをみていなかった。
私は自分が無力だと知り、無力なりに症状から距離を置いてこの世界で生きいる。
昔、師匠がいっていた。
「治療方法を文章に残すな!」
最近になってようやくその意味がわかりはじめた。
若いころは治療方法を教えてくれるセミナーにお金と時間を費やしたが、そのテクニックの数々が患者さんの望みを叶えるわけではないこと。
私は患者さんを観察することに重点を置いてきた。
骨格ポジション、関節運動方向、骨格筋機能、深部感覚など、
観察を重ねれば重ねるほど難治性症状で悩んでいる患者さんの複雑さを思い知る。
そして、望みは患者さん自身が叶えるということ。
私はそのためのアドバイザーだということに気づくまでにずいぶん時間を費やした。
私がすすめている呼吸器系の機能回復はアトピー、喘息、リウマチなどの特効薬ではないこと。
簡単にいうと、どんな治療にかかるにも最低限の体力があった方がいい。
そのための機能回復ということだ。
先日も子供さんの症状で相談にみえたお母さんに説明したのだが、上手く伝わらなかったようだ。これは、私のコミュニケーション能力が未熟だから。
すべてにすすめれるわけではないが、できる限りのアドバイスができるようにしたい。
Mちゃん、回復してよかったね!