神経は損傷するとそこから下の神経が麻痺するため足を動かせなくなる。
動きのプログラムは脳にある。
例えば、日常動作や本能的な動作などは脳にプログラムされている。
私たちはプログラムにある動きをしている。
麻痺の状態は、脳のプログラムから足を動かす電気信号を送りつづけるが、伝送路である神経が途絶え足に伝わらない。
神経が途絶えると、無意識でも動いていた、動かせていた足が意識をしてもどうにもならない。
逆にいえば、神経が回復すれば、無意識でも意識をしても足を動かせる。
理屈は簡単だが、麻痺のリハビリは困難極まりない。
私の場合は、神経の回復をみながらプログラムが実行できる環境作りに心がけた。
プログラムは上書きできる、あるいは書き換わる。
例えば、小児期の歩き方(歩きはじめの頃)はヒト科の動きをしているが(極端な癖が極、極少ない)、
成長とともに十人十色の歩き方になる。
人が無意識のうちに、あるいは特に強く意識することなく行う習慣的な行動のことを癖という。
ヒトが本能的に備えている歩くというプログラムに異なる環境、知識などから得たものを上書きしているのだと思う。
だから、無理に歩こうとして足をかばった動き(代償運動)にプログラムを書き変えないようにしたかったのだ。
しかし、不思議なのは麻痺する前は無意識でも意識的にでも足を動かせたことだ。
プログラムが実行できれば、足は動くのだろうが、無意識でも動くという意味がわからなかった。
意識をすれば足を動かすことができるのはイメージできたが、無意識の動作は何がきっかけとなり無意識で動くのかイメージできなかった。
あたりまえに足が動いていたときは、考えもしなかったが、ヒトが動いているという事実は本当に不思議だ。
肉体が損傷を受けると心にも損傷を受けるようで怒りっぽく神経質になっていた。
そして、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、圧覚などの感覚器はむき出しにさらされているようで過敏状態だった。
鈍い動作でそろーり、そろーりとしかリハビリできない状態が幸いしたのか、無意識の動作のきっかけが重力だということに気づくことができた。
足が動かない、筋肉が利かせられない状態で重力に身を預けるしかなかったのだ。
だが、ここでまた疑問が浮かぶ。
そうすると、無意識の動作というか、無意識でカラダを動かしているものは何か?
結局、足が完治しても無意識を動かすものの正体はわからなかった。
無意識と意識の面白い実験結果がある。
神経生理学者ベンジャミン・リベット博士は、実験で人間が何かに気づくのに0.5秒かかるということを発見した。
ということは、いま目の前にある世界は0.5秒前、過去の世界を見ていることになる。
人が何かを行うとき、意識より先に無意識が動き出して0.5秒後に意識として感じるという。
私がこのようなことを考え始めたら、パニックに陥ってしまいそうなので、結果だけを参考にする。
私というロボットとそれを操縦する私がいる。
操縦者の私はロボットの私に指令を出す。
ロボットに備わっている脳というコンピューターは伝送路である神経に電気信号を送る。
電気信号を受けた器官はカラダを動かす。
つまり、無意識を動かすものの正体は私というロボットを操縦する私ということになる。
そうすると、先日の葬儀で考えていたことにつながる。
亡くなった知人が仰向けに寝ているのを見て、その肉体に無いもの、どうしたら動き出すのだろうか?
と私は考えていた。
何かが無いということはわかるが、仮に知人というロボットとそれを操縦する知人が生前の知人だとすると、無いのはそれを操縦する知人ということになる。
不思議だ、人体は60~100兆の細胞から成り立っていると推測されているが、未だ未知なんですね。
無意識を動かす者の正体はよくわからないものだが、今度は意識というものが何なのかわからない。
いずれにせよ、無意識の動作を想定して動きのプログラムを実行する必要がある。
動きのプログラムはヒトが元々備えている動作に上書き、書き換えられて人間の動きということになっている。これを茶道でいう割り稽古、通し稽古でプログラムを「初期化」する。
動かないもの、動かせないものは割り稽古でプログラムを復活させ、ヒトの動きは通し稽古でプログラムを復活させる。
構造動作理論によるフィジカルトレーニングは動きを鍛える。
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