最強のリラックス/呼吸してリラックスしましょう! | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

私は股割りや趾(あしゆび)などの構造動作トレーニングに取り組んでいる。
トレーニングをする上で私自身が心がけていること。
それは、『腹をつくる』ということだ。
なぜ、腹なのか?
私は常に腹圧がかかった状態を保ち動くことを目指している。
腹圧が抜けるとどうなるのか?
先日、モーションキャプチャー装置を用いた重心移動の計測を行った。すると、腹圧がかかった状態では重心がお腹の表面辺りに位置し、腹圧が抜けた状態では重心が仙骨付近(お腹の奥)の後ろ重心に位置した。
構造動作トレーニングは、「運動とは重心の移動である」という運動の定義を成立させるために行っている。つまり、重心が円滑に移動するための骨格構造を築き上げるトレーニングであり、後ろ重心では運動が成立しない。そのため、腹圧がかかった状態を保って動けるよう『腹をつくる』ことを心がけている。
トレーニングの参加者から「腹圧をかけるとき、呼吸はどうすればよいのか?」という質問を多数いただく。そのときは、「自分が腹圧をかけやすい呼吸方法でかまいませんよ、できるようになったら呼吸関係なく腹圧をかけれるようにします」と回答している。
というのも、吸って腹圧がわかりやすい人、吐いて腹圧がわかりやすい人がいるから呼吸方法については限定してない。
私はこれまでに「呼吸」ということにほとんど触れてこなかった。それは、十年前ある呼吸法で身体開発を試みて精神的にも肉体的にもダメージを受けた人をみたことがあるからだ。その人は見るからに生命力が衰え何かに執着しているようで、もはや私の意見を聞く耳を持ち合わせていなかった。その後、その人がどうなったかは定かでないが生命維持に直結する「呼吸」のコントロールは慎重を喫する必要があると判断した。私は、骨格構造の変化から「呼吸」というものをみるようにした。
あるとき、仰向けで寝ていた私は骨盤位置の変化と共に鼻から腹へ直結する構造ができあがった。昔は、口角にテープを張って鼻呼吸にするための工夫をしたこともある、骨格構造の変化で所謂「腹式呼吸」というのか、赤ちゃんのような呼吸構造を経験した。それで、骨格構造を崩して呼吸器系を圧迫しているにもかかわらず呼吸を操作することとの質の違いがわかった。

先日、システマインストラクターの北川貴英さんが「最強の呼吸法」に続く第2弾「最強のリラックス」(マガジンハウス)を刊行された。このメソッドは、ロシア軍特殊部隊の元教官ミカエル・リャブコが戦場を生き抜くために生み出したシステマという訓練方法だ。私はミカエル氏にお会いしたことはないが動画や写真などで拝見したことがある。彼の体型は一言でいうと「あんこ型」。古武術の中島章夫先生の話では常に腹圧がかかっていて前に前に重心が移動するタイプだとか。赤ちゃんをそのまま大きくした構造ではないかと想像する。私には骨格構造ありきの「呼吸・リラックス技術」ということで信用性が高く、ロシア語がわからない私には北川氏の解説書は大変ありがたい。

私が取り組んでいる構造動作トレーニングは、動くための構造を築く。つまり、ミカエル氏のような動ける身体つくりをしている。動けるとは、重心を円滑に移動させることができること。人間の基本ベースを高めるトレーニングで「技術」はないのだ。
だが、私自身も多くのストレスを受ける。酒が好きなのでリラックスするために酒を飲むのだが「ちゃんぽんをしない」ということを心がけている、、外で飲むときはビールで通す。次の日は二日酔いにならないのでありがたい。中島先生曰くこれはシステマ流らしい。

「最強のリラックス」によると、リラックスは技術であるとのこと。そのための呼吸エクササイズが紹介されている。
呼吸は、鼻から吸う、口から吐くが基本。
リラックスは力みのエクササイズで身体を緊張させてからその反動でゆるませるという。
これは、構造動作トレーニングの股割りの感覚に似ている。股割りは、所謂ストレッチングのように力を抜いて行うものと違い、骨格ポジションを保持するために必要な腹圧や足を固定させるための足底筋、前脛骨筋など骨格筋を収縮させて股関節の回転力を高める。トレーニング後は、ドローンと力が抜ける。しばしば笑い声が聞こえる和やかな雰囲気のシステマの練習とは異なりますが...。
システマ流の深呼吸は「バーストブリージング」という。
ラジオ体操などの深呼吸と違い、姿勢を崩すことなくたくさんのガス交換ができるので強靭なリラックスをもたらす。

私は、骨格構造の変化から「呼吸」というものをみるようにしてきて10年経った。以前は、息を吐きながら動くという指導の意味が解らなかった。それは、各競技の選手がお腹をペチャンコにして動いているのを見ても効率の良い動きには感じなかったからだ。最近、私は息を吐いても腹圧を保つことができるようになっているのに気付いた。腹圧を保って姿勢を保持できる選手にとっては、息を吐きながら動くことがリラックスになって重心移動を円滑にすることができるということだったのだ。
私もある程度腹圧をかけて姿勢が崩れないようになってきたので、いろいろと「呼吸」を試してみようと思う。「最強のリラックス」は、他にも第4章「ブレスホールドエクササイズ」などエクササイズ満載だ。やわらかな頭、もっと動ける身体のために、呼吸をしてリラックスしようと思う。

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