痛みのルール/痛みのメカニズム/肩こり腰痛のビッグビジネス | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

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骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

肩こりや腰痛、ひざ痛などの筋骨格系疾患(癌、感染、骨折など重篤疾患を除く)を取り扱っている人は、全国でどのくらいいるのだろうか?
例えば、
整形外科医19,975人(H22年12月31日現在)
柔道整復師 50,428人(H22年末現在)←捻挫・打撲・挫傷・骨折脱臼の応急手当
はり師92,421人(H22年末現在)
きゅう師90,664人(H22年末現在)
あん摩マッサージ指圧師104,663人(H22年末現在)
約38万人。
その他にも、理学療法士が経営するサロンや整体、カイロプラクティックなど厚生省の衛生行政報告(就業医療関係者)で把握できない業種がたくさんあり総数を予想できない。
今や肩こりや腰痛、ひざ痛などの筋骨格系疾患(癌、感染、骨折など重篤疾患を除く)は国内ではビックビジネスなのだ。

最新の医学が進歩する一方で、
厚生省のH22年国民生活基礎調査、病気やけが等で自覚症状のある者(有訴者)を症状別にみると、男では「腰痛」での有訴者率が最も高く、次いで「肩こり」、「鼻がつまる・鼻汁が出る」、女では「肩こり」が最も高く、次いで「腰痛」、「手足の関節が痛む」となっている。
なぜ、巨大なマーケットになったのか?

それは、筋骨格系疾患(癌、感染、骨折など重篤疾患を除く)の原因が明らかになっていないことが問題だろう。痛みのメカニズムの研究はかなり進んでいると思われるが、わからないことが多いそうだ。私自身、一体どこでどのような研究がされているの把握できてない状況だ。何かの学会に入らないと最新情報が手に入らないということなのだろう。一般の人であれば、メディアのバラエティ的な情報を得るくらいで真実の情報入手は困難だ。せめて、国の研究費を使った情報くらいはメディアで一般の人にもわかりやすく伝えるということをしてもよいと思うのだが...。やはり、メディアのバラエティ的な情報だけでは混乱を招くだろう。正しい情報を知ることが大切です。

痛みは「生体の警告信号」です。
いま危害や異常が切迫していることを知らせ、危険から身を回避させるセキュリティシステムの根幹です。
警報機は全身のいたるところに張り巡らされていて身体のどこかに何か異変が起これば激痛が危険を知らせてくれます。警告信号としての痛みは、生体を危険から逃避させ生命維持のための重要な感覚なのです。

痛みのメカニズムの研究とはどのようなことなのか?
例えば、道路の信号機が赤に変わりました。
この信号機が、何の「目的」で、どのような「仕組み」になっているのかを調べます。
青色、黄色、赤色のそれぞれの意味は何か?
どのようにして色が切り替わるのか?
数々の細かな配線はどのような経路で電気が流れるか?
「仕組み」については研究が進みずいぶんとわかってきているようです。
赤色が激痛だとしましょう。
赤色を点灯させる配線を遮断すれば痛みを感じません。
消炎鎮痛剤などはこの仕組みを利用したり、
また局所麻酔は、神経終末の周囲で炎症が起きた場合、神経線維上の信号を麻酔薬を使って遮断すれば痛みを感じずに傷口を縫うことができます。全身麻酔は大脳皮質を眠らせます。
これでもすべてが明らかになっているわけではありません。

しかし、信号機が何の「目的」で道路に設置してあるのかということが、ほとんどわかっていない状況なのではないでしょうか?
例えば、腰痛の原因については先生方のいろいろな見解があります。
椎間板ヘルニア、骨の変形や骨粗鬆症、筋肉の引っ張り、骨の歪み、仙腸関節などが原因といわれます。
「腰椎に骨粗鬆症という異変が起こり腰の激痛が危険を知らせてくれた。」
骨粗鬆症は異変ではありませんし、正常な老化現象で激痛とは関係ありません。
そして、どれも科学的に実証されたものはないそうです。
当然、肩こりや腰痛などの筋骨格系疾患は治るはずもありませんし、仮に治ったとしても再現性に乏しいでしょう。
信号機の赤色は、「止まれ」を示しているのに、「進めの合図ですよ」「これから大地震が来る危険信号ですよ」「この先の道は陥没してしているからすすめませんよ」という誤った情報が広く浸透している状況です。
バラエティで北野武さんが「赤信号みんなで渡れば怖くない」といって大勢の人を笑わせました。
本気にする人はいないと思いますが、もし大勢の人が本気にしたら混乱しますね。
ですから、必要なルールは守るのがあたりまえ、そうででないと真実がみえなくなるのだと思います。
それが、正しい情報を知るということです。

ジョン・E・サーノ教授は、「筋骨格系疾患の原因は構造異常ではない」「正しい情報こそが筋骨格系疾患の特効薬である」と世界で初めて主張しました。サーノ博士のヒーリング・バックペイン―腰痛・肩こりの原因と治療 (春秋社)によると、緊張性筋炎症候群(TMS)という疾患が、首や肩、腰、臀部、腕、脚に痛みを出す。原因は心因性、つまり心だと述べられている。
ずいぶん衝撃的な内容でした。心因性と聞くと受け入れがたい人も多いのではないかと思います。
実は、私も...。
しかし、サーノ博士の功績は古い常識を整理し正しい情報を示したことではないでしょうか。
つまり、この信号機は「赤は止まれですよ」「今は赤ですが必ず進めるときがきますよ」という正しい情報を伝え、多くの人に安心を与えたのだと想像します。
そして、痛みのメカニズム(信号機の作用)から痛みのルール(交通ルール)へ目を向けた独創性はすばらしい発想だと思いました。

信号機が何の目的で道路に設置してあるのか?
信号機は、主として道路交差点における自動車、自転車、通行人などの通行優先権を割り振るための装置であり、「青は進め」「黄は注意」「赤は止まれ」だということ。そこには交通ルールがある。交通ルールとは、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に役立つことを目的とする。

警告信号としての痛みが、どのような異変を察知し生体を危険から逃避させようとしているのか?
生命維持のための重要な感覚は何を知らせているのだろうか?
その理由が明らかになるのには、まだ、まだ時間がかかりそうです。
しかし、ずいぶん目指す方向性がみえてきたように思います。
私たちの目指す方向性は痛みのメカニズムの仕組み、つまり、信号機の仕組みの中ではありません。
発痛物質や炎症促進物質などの目に見えない物質をいくら研究したところで、それは対症療法にしかならないように考えます。
根本的な原因を明らかにするのなら、痛みのルール、つまり、交通ルールの研究が必要ではないかと考えます。
日本の筋骨格系疾患(癌、感染、骨折など重篤疾患を除く)の治療は、諸外国に比べずいぶん遅れています。世界中のガイドラインを参考にし、日本に合ったガイドラインを作成し、すぐさま実行すべきではないでしょうか。いつまでも巨大なマーケットのままでは世界中の笑いものです。

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