"throw ~ at[to] …" | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は"throw ~ at[to] …"を取り上げたいと思います。

 

"throw"を使った文でその後に"at"と"to"が使われるものがあります。今回はその違いを考えてみます。

 

まず具体的な文がないと形がわからないので、いつも使っている『ロングマンExams英英辞典』から例文をあげてみます。

 

throw sth to sb

 

ex) He threw his shirt to someone in the crowd.

 

throw sth at sb/sth

 

ex) Someone threw a stone at the car.

 

文の形としては"throw sth to sb""throw sth at sb/sth"というパターンになります。sthはものを表しsbは人を表します。またsb/sthは人かものどちらかの意味です。

 

この2つの例文でのニュアンスの違いはつかめたでしょうか?どちらとも"threw"ということで投げたという点では同じですが、その後の"to"と"at"によってニュアンスが変わってきます。

 

この点について同じくロングマンのSTUDY NOTE Grammarの説明を見てみましょう。

 

You throw something to someone when you want them to catch it. You throw something at someone or something when you want to hit them.

 

まず"to"を使った方を見てみると、"to ~"という誰かに投げるものを受け取ってほしいときとあります。これで上の例文を考えると、シャツを群衆の誰かに投げたということで、相手にシャツを受け取ってほしいことがわかります。これは音楽のライブなどでステージ上のアーティストがシャツを観客の誰かに投げたという場面が想像できます。

 

次に"at"を使った方を見てみると、投げるものを誰かやものにヒットさせたいときとあります。同様に上の例文を考えると、石を車にめがけて投げたということで、石を車にヒットさせたい感じがわかります。これは実際に石が車に当たったかどうかはわからないと考えられます。

 

"to"は投げる相手への方向で、"at"は何かにめがけて投げるイメージになります。同じ"throw"でも"to"と"at"では意味が結構変わってくるということです。

 

この違いがわかると次の文の違いもわかるでしょう。

 

①He threw an apple to me.

②He threw an apple at me.

 

①はリンゴあげるよということでひょいと投げてくれた感じです。②はリンゴを私めがけて投げつけたということで危ない文になってしまいます。

 

日本人の英語学者にとって英語の前置詞は理解しにくい部分があるので、うまくイメージを使ってどういうニュアンスで使われるのかをつかめるといいかと思います。