否定の"both" | 英語の世界観

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私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は「否定の"both"」を取り上げたいと思います。

 

"both"は「両方」や「両方の」という訳を覚えているかと思います。例えば"I know both of his sisters."と言えば「彼の姉妹両方とも知っている」となります。

 

では否定文になるとどうなるでしょうか?

 

"I don't know both of his sisters."

 

そのまま否定と考えると「両方とも知らない」になると思いますが英語では通常そうはなりません。"not"が加わっただけで

"both"の意味が「両方」の意味ではなくなるのは不思議といえば不思議です。

 

この点について『ロングマンExams英英辞典』"both"の項目にあるSTUDY NOTE Grammarの説明を見てみましょう。

 

☓ Both is not usually used in a negative clause. Use a clause with neither instead: Neither of these methods is perfect (Not Both of these methods is not perfect).

 

この説明によると"both"は否定の節では通常使われないとあり、代わりに"neither"を使うとあります。そして例としては

"Neither of these methods is perfect."が示されています。またここを"Both of these methods is not perfect."とはしないとあります。

 

意味的には「これらの方法両方とも完璧ではない」と両方ともを否定するなら"neither"を使うというものです。

 

では"both"を否定で使うとどうなるのでしょうか?上であげた

"I don't know both of his sisters."で考えると「彼の姉妹両方ともは知らない」となり、両方の意味ではなく片方の意味になります。つまり両方ともは知らないけど片方は知っているということです。

 

この問題は部分否定か全体否定かというものです。もしどちらの姉妹も知らないなら"I know neither of his sisters."か、もしくは"I don't know either of his sisters."となります。

 

"both"を否定で使うと「両方」の意味から「片方」の意味になるのは興味深いです。また日本語では「両方とも知らない」と「両方ともは知らない」では、「は」という一文字があるだけで意味が変わってきますね。これも「は」のあるなしで全体否定か部分否定かを変えることができるのは面白いです。