動詞の"weather" | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は動詞の"weather"を取り上げたいと思います。

 

"weather"と言えば、名詞の「天気」という訳語を覚えているかと思います。今回はこの"weather"には動詞の意味もあるということを確認していきます。

 

なぜ動詞の"weather"に注目するかというと、新海誠監督の『天気の子』の英語タイトルが"Weathering with you"となっていて、動詞の"weather"が使われていたからです。

 

ではいつもどおり『ロングマン現代英英辞典』で動詞の"weather"を見てみましょう。

 

1 if rock, wood etc weathers, or if wind, sun, rain etc weathers them, they change colour or shape over a period of time

 

2 to come through a very difficult situation safely

 

"Weathering with you"で使われているのは2の方の意味ですね。そして念のために"come through"もロングマンで調べてみましょう。

 

to continue to live, exist, be strong, or succeed after a difficult or dangerous time

 

上の2と似ていますが、困難な状況などを切り抜けて生き続けるなどの意味になっています。日本語訳としては動詞の"weather "は「(困難などを)切り抜ける」があげられます。"through"があるので困難の中を突っ切るイメージでしょうかね?

 

これで動詞の"weather"の意味がわかって、『天気の子』の"Weathering with you"を見てみると、よくできた英語のタイトルだと感じます。映画を観た人はわかると思いますが、主人公たちが困難を切り抜けていく内容でもあるので、まさにピッタリの英訳と言えるでしょう。

 

最初に『天気の子』というタイトルがあって、ここから英訳するとなると、普通なら名詞の"weather"が使われそうな気がします。でもここで動詞の"weather"(ing形ですが)が使われているのは、もしかしたら最初から"Weathering with you"という英語のタイトルがあったのではと思えなくもないですね。

 

実際に『天気の子』と英語タイトルの"Weathering with you"のどちらが最初にあったのかはわかりませんが、動詞のWeather"を使うことによって「天気」という名詞の意味も感じさせながら、映画の内容をしっかりと伝えている"Weathering with you"は絶妙な表現ですね。