"teacher"=「先生」か? | 英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は基本的な単語を考えてみたいと思います。

"teacher"です。

日本語では「先生」「教師」という訳を記憶しているでしょう。

英語の"teacher"は、動詞の"teach"「教える」に、"-er"という「人」を表す接尾辞がついたものです。ここから考えると「教える人」→「教師」となることが分かるでしょう。

一応ロングマン英英辞典(Active Study)で"teacher"の意味を確認しておきましょう。

someone whose job is to teach

この説明でも、「教える」ということがポイントとなっています。

それに対し日本語の「先生」はどうでしょうか。
国語辞典を見てみると、「先に生まれた人」「相手(生徒)より先に勉強をした人」ということが書かれています。つまり字のごとく、「先」に「生」まれたということがもともとの意味ではないかと思います。生徒よりも先に生まれ、その教科を先に勉強しているということであって、英語の"teacher"ように「教える」ということがポイントではないことが、「先生」ということばからは感じられます。

恐らく英語話者からみると、"teacher"ということばでとらえた人に対して、日本人のように「先に生まれた人」という感覚はない、もしくは低いでしょう。

今回の"teacher"と「先生」の比較で分かることは、世界の区切り方がことばによって異なることです。英語では"teacher"ということばである人を指し、日本語では「先生」ということばである人を指すのです。仮に同じ人を指したとしても、そのとらえ方が英語と日本語では微妙に異なるのです。なので、"teacher"=「先生」と考えない方がいいでしょう。