欧州・ソブリン危機を考える | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします


欧州・ソブリン危機が継続中である。先週のEU]サミットでは一応「財政統合」へ向かうとの意志は示されたものの、具体的なことは何も決まらなかった。政治の決断は相変わらずスピードが遅い。だから、この危機を防ぐためにはもはや欧州中央銀行(ECB)がなりふり構わずイタリアなどの問題を抱える周辺国の債券を買うしかないという論調が市場では主流だ。

もちろん、政治的に財政の統合や欧州共同債の発行、EFSF(欧州金融安定化基金)の増額などで周辺国を救済するのが本来は筋であるしベストではあるが、政治的な縛りがあるし各国議会の承認なども必要であるから即効性がない。そして、1月以降はイタリア国債の大量発行が始まるので、時間がない中でこの危機を救えるのは最早ECBしかいないというのだ。

目の前のパニックを恐れるばかりにドイツまでもが冷静さを失ってきたと感じるのは僕だけだろうか。

景気は低迷しているのだから、いかにマネーを刷ろうともインフレなど起こるわけがない。との主張は日本だけではない。アメリカにもイギリスにも多いし、欧州にも及んできているようだ。たしかに、それは僕自身は正しいと思う。

ただし、いくつかの前提条件もあるだろうし、同時にそのことはいかにマネーを刷ろうとも景気を浮揚させインフレ率を上昇させることはできない(まして景気を浮揚させることなんて。。。)ことも意味すると思っている。

なぜなら、中央銀行がマネーをすることでベースマネーを上昇させたところで、そのお金は金融機関の中にとどまり、実体経済にお金は出回らないからである。(参考過去記事
インフレ
になれば景気はよくなる? 数字で検証

だから、日本でもアメリカでもイギリスでも金融緩和が行われているが、経済の回復は遅々として進まないのである。

国債を大量に買えばいいのだというが、国債を売る側の立場に立って考えればいいが、国債を売ることとその代金としてお金を得ることの価値が等しいと感じるから金融機関は保有する国債を売る。もっと具体的に言えば償還が10年で金利が1%の国債を売って、足元の0.1%という政策金利で運用することの価値が等しいから金融機関は保有する国債を中央銀行に売却してお金を手に入れるのだ。その交換が景気を浮揚させるわけがない。

もちろん、実体経済が上向きになって民間企業や個人の資金需要が高まったとすれば、金融機関は担保さえ差し出せばいくらでもお金を中央銀行から政策金利で借りることができる。だから、それだけ考えても、一部のリフレ派と呼ばれる人たちが叫ぶような日銀が無理に通貨供給を抑えてデフレ政策をやっているという主張が成り立たないのは明白なのである。そのようなことを言う人は短期金融市場の仕組みや実務に疎い人だけだろう。

だとすれば、欧州でも大量に欧州中央銀行がイタリア国債を買っても問題がないのではないか?という人もいるだろう。しかし、本当にそうだろうか?

日・米・英の場合はいろいろと問題を抱えながらも国家が破綻し国債がデフォルトするとは今のところ思われていない。しかし、イタリアの場合はそれなりの確率で破綻が懸念されている。しかも、国債の発行量はドイツを上回る。かつ、イタリアはユーロ圏で第3位の経済大国だ。ギリシアなどとは規模が違う。こういった国の国債を大量に無制限に買い取るというのは何を意味するのだろうか?破綻している(あるいはその可能性が相当懸念されている)国家の債務を市場価格よりも高い値段で中央銀行が買い取るということである。

本来は70円の価値しかない可能性が高いものを90円で買いましょうというのだから、理屈が合わないのは言うまでもない。70円の価値しかないものを90円で売ることができるのならばそれは価値の等しいもの同士の交換ではないから、その結果金融機関は濡れ手に粟で利益を獲ることができるし、20円分のマネーを余分に作り出すことになる。ECBはさらに担保の受け入れ基準の緩和も考えているようだから、70円の価値しかないものを担保に100円を貸し出しましょうというのだから、これも同様の結果を招くだろう。また、政府も発行した国債がいくらでも買ってもらえると思えば、苦しい緊縮財政を行うインセンティブを失いさらに事態が悪くなることは目に見えているし、民間の金融機関や事業者もモラルハザード的に債券を発行するかもしれない。

こうなると結果がどうなるかは目に見えている。日・米・英などの例とは明らかに違いこれは難しく言えば債務の貨幣化であり、インフレへの道を切り開くことになる。

もちろん、僕は預言者ではないから本当にそうなるかはわからない。ECBはイタリアにしっかりと緊縮財政を実行させながら、予防的に市場の混乱を防ぐべく債券を市場から買い取るという神業を成し遂げる可能性も大いにある。経済がドンドン成長している時代であれば、それが上手くいく可能性も高かったかもしれない。しかし、先進国が行き詰まり潜在成長率自体が大きく低下する一方で身の丈にあわない社会福祉制度が財政を圧迫している現在の状況でそれが本当に可能だろうか?インフレという悪魔を呼び寄せるくらいならば、今の痛みに耐えてデフォルトとユーロ崩壊の道を選択したほうがイタリア国民にもユーロ圏に住む人々にとってもハッピーなのではないか?と思うのは僕だけだろうか

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