地獄への道を我々は歩んでいるのか? | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

先週、政府は為替市場への介入を行った。今回の金額は4兆とも言われる。77円から76円台であった為替は一気に80円をつけた。しかし、78円の50銭程度まで現在は戻している。

以前も書いた が、為替介入というのは我々納税者から輸出企業への所得移転にすぎない。為替市場への介入は一時的に市場を動かすことはできても、中長期的に無意味であることは自明の理であるし、輸出企業で実際に働く人はそれほど多くない。そして、日本の外貨準備は1.1兆ドルほどある。おそらく、ここ数年の円高でその損失は単純に買い付け単価が100円としても20兆円にも及ぶはずだ。為替介入の資金は国債発行(正確には短期国債)によってまかなわれている。すなわち、これは借金に基づいて行われているものであり、我々の将来世代にその負担は先送りされている。歴代の政治家や財務官はこのツケを自腹で払ってくれるのだろうか?

それだけで済まず、先週、日銀は追加の金融緩和を行った。おそらく、政治の圧力に耐えられなかったのだろう。株を買い社債を買う世界でも特殊で異常な中央銀行である。しかも、そのような金融緩和の効果は今のところ見られない。それどころか、なぜか最も重要なイベントのひとつである日銀政策決定会合の結果が事前にNHKや時事通信によってリークされた。金融市場の信頼を守るためにもあってはならないことであるのに、そのような事態が起こるというこの国の愚かさにあきれ果てたものである。

先週ブルームバーグにこのような記事が出ていた。日銀がはじめて量的緩和を導入したときの議事録にまつわる記事である。その中にこのような一説があった。

「地獄」「幻想」の反論と情報漏洩の中、量的緩和を決定-日銀議事録

 量的緩和という「幻想」



  しかし、速水総裁は金利がゼロになってもマネーを「もっと出そうと思ったらこれは出せる」と述べ、早々と量的緩和への支持を表明する。それでも反対は根強く、最初は5兆円でも6兆円、7兆円と量を拡大する事態になれば、長期国債買い入れの増額も避けられなくなる。それで景気が良くなればよいが、「ならないと地獄になる」と言う植田委員に、武富委員も「そう、地獄だ」と呼応した。



        政府代表も「弥縫策では無理」

  

  量的緩和は06年3月まで5年間続き、当座預金残高目標は30兆-35兆円まで拡大した。「願わくは、このようなことをしても意味がないなと途中で納得してくれることを期待することではないか」と述べた植田委員の思いもむなしく、日銀への緩和圧力は今も続いている。


まさに、植田氏が懸念したことが、今日本のみならず世界中で起こっている。政治家は自分の責任を半ば放棄し中央銀行に安易な金融緩和やリスクアセットの買取を要求している。そして、その要求はとどまるところをしらず続いていく。


その上に各国政府はリーマンショックを100年に一度の不況・市場の失敗と位置づけ、ここぞとばかりに財政支出をなりふり構わず大きく拡大したが、景気回復の効果はほとんどなかったことは明白になっている。そして、今、米国では財政再建を主張する保守派と大きな政府を愛するリベラルとの間で各国で愚かな政争が続いている。


欧州においては規律やあるべきルールを無視した財政支援が誤った財政政策を行ってきた国に対して施されようとしている。投資家からは市場が大混乱するからと脅されて、本来必要なデフォルトという処置を欧州各国政府の首脳は取れないで居る。しかし、有権者への配慮からより大胆な財政統合という方策もとれないでいる。


少なくとも、日本がバブル崩壊を経て経験した失われた10年・20年をこれから多くの欧米の先進国が経験する可能性は高まっているように思える。


国家のパンとサーカスという人気取り愚かな政策によって贅沢になりすぎた我々の政策。表現が悪いが国家や政治家に物乞いをするのが当たり前という国民が先進国にはあふれている。日本だけが放漫財政と緩和的な金融政策を取っていたときはまだよかっただろう。しかし、世界中の先進国がそのような放漫財政と過度に緩和的な金融政策を取っている現在はどうであろうか?将来は本当に大丈夫なのだろうか?

 


産業革命以降、急速に豊かになった我々の生活。確実に世界はよくなっていると考える人が多く居ても無理はないだろう。しかし、冷静に考えれば、歴史において国家の興亡というのは必然であった。そして、どんな組織も必ず腐敗しいつか行き詰る。国家とは永遠に存在し、我々を保護する存在ではない。


世界中でばら撒かれるマネーと悪化した財政。これが何をもたらすのだろうか?我々は「地獄」への道をまさか進んではいないだろうか?とふと不安になることが多いこのごろである。


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