QE2は効果があったのか? | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

QE2が終りを迎えようとしている。

FED(アメリカの中央銀行)による国債購入→通貨ばら撒きという政策はどの程度の効果があったのだろうか?

実施の当初は株・コモデティーなどのリスク資産を上昇させた。ただ、経済指標に関しては暗くはなかったものの明るいものはなかった。若干のインフレ率の上昇が懸念された。

そして、ここにきて米国の経済指標は悪化してきている。特に日本の震災の影響もあろうが、製造業関連の指標に暗いものが見え始めている。一方で雇用や住宅ローンの問題はあまり解決されていない。

金融政策の効果が出るには数四半期は必要というのが通常の考え方であろうから、実際の効果を見極めるにはもう少し待つ必要があるだろう。

しかし、このところの株価の下落を見ると残念ながら市場は今後しばらくの経済指標の好転も見込んでいないように思える。

個人的にはQE2に効果なしでは?と言いたい。

いつも繰り返して言っているが、経済は単純なマクロのモデルであらわせるものではないと思っている。もちろん、それらを理解することは様々な世の中で起こっている現象を理解する上で非常に有用であることは言うまでもなく、僕もまだまだ勉強不足であることを痛感している身でもあるが・・・。

しかし、いつも言うように需要がないから、財政政策を!とか金融緩和を!というのはあまりに短絡的な発想である。僕が思うのはいつも二つの観点。

需要とはなんであるか?を考えるときに、需要とは供給があるからこそ存在しているということを忘れてはならないということである。何らかのパラダイムシフト(経済危機でも人々の価値観の変化でもなんでもよい)が起こっているときに需要が足りないのですということにどの程度のいみがあるだろうか?需要というのは常に良質の供給によって喚起されるものである。もちろん、人々が渇望しているものを作り出すことも大切だ。だから、需要があってこその供給というのはもちろんそうだが、逆によい供給があるからこそ需要が生み出されるという側面を我々は忘れてはならない。

そして、「よい供給」は基本的には起業家精神によって作り出されるものであり、お役所仕事によって作り出されるものではない。いかに政府が財政出動や金融緩和をしようともそれが一時的なものに過ぎない理由がここに明白に表れていると思う。

また、不況期には好況期に行われてきたであろう過剰な消費やそれに対応する過剰な供給力が調整される。好況の原因がなんであれ、好況期には多くの人が身の丈を超えた消費をしていた可能性は高いのである。ある意味で、好況というのは安定した成長速度があるとすれば、その速度を超えたスピード違反である。重要なのはこのスピード違反は通常の車の運転とは違って、後で必ず減速を強いられるということだ。

もちろん、車とさらに違うのは安定した成長速度というのは誰にも分からない点である。だから、好況期に多くの人は今がスピード違反なのか、それとも安全運転なのかを認識できない。

いずれにせよ、我々は不況期にはスピード違反のツケを払わねばならない。多くの人は過剰消費を改めて身の丈にあった生活に戻らねばならない。一部の人は過剰消費がすぎたせいで破産してしまうこともあるだろう。企業にしても同じである。ショックがあまりに急激な場合には政府が財政出動や金融緩和でこれらの調整が急激に起こり過ぎないように配慮することは政策としてはまったく否定されるべきものではないかもしれない。

ただし、重要なことはいかにそのような政策を行っても、以前のようなスピードに急に戻ることはできないということである。すべての調整が終わるまでは我々は安定的な速度に戻ることはできない。特に英米で見られたあれだけの高成長のおそらく一部はあきらかにスピード違反であったはずだ。その調整を苦しみなしで行おうというのは虫が良すぎるだろう。それはいかに金融緩和が行われても我々が受け入れなければいけないことだ。

このように考えるならば・・・・。QE2に意味がなかったという結論は当然のように感じられる。

本日は若干、雑感めいた話になってしまった。機会を改めて、他のブログを巡回したりデータを示したりして検証したい。


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